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11話: 軽く相場リサーチと商業ギルドへ

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 朝食後に宿で三人集って、ちょっとミーティングをする事にした。

「なあ、商人ギルド行こうって話したけど、具体的に何を売りたいのか?
って、商品見せろってなった場合、口紅貝殻5個だけだとなめとんのか? ってなるような気がして来た」

「あ! 商人やるなら、いきなり商品見せろ展開は確かに有るかも!」
「よし、仕方ない、何か他にも売り物を探そう! コスパ良くて価値のあるもの!」

「定番だと、砂糖、塩、胡椒かな? 食品枠に余裕で有るし、容器だけ入れ替えれば。
あれ、容器前回入れ替えてくれてたんだった」

 私はハンバーグを料理する時に注文した時の事を思い出した。

「よし、とりあえず、塩は利権が絡んでると怖いから、砂糖と胡椒にしよう」

「コータ君、利権ってなに? どゆこと? サヤあんま頭良くないから教えて?」

「塩とかは国の専売品の可能性があって、ちょっと怖いんだよ」
「あ──なるほど、お国から怒られるの怖いよね。りょ」

「後は、市場とか使えるなら、焼き鳥屋やるのはどうかって紗耶香ちゃんと昨夜寝る前に話してたの」
「なるほど、じゃあ焼き物セットをスキルで買うか」

「物入りだから、私の制服ジャケット売るよ」
「あ! カナデっちの売るなら、サヤの制服も良いよ! 
着替え用に同じデザインのを一緒に買う人いるかも!」

「分かった、先に資金調達しよう」
「でも調味料は今すぐに買っておくわ。人目を避けて室内でのが良いでしょ」
「分かった」

 私は画面を開いて胡椒と砂糖を買った。

「あ、やっぱり蓋付きの素焼きの壺に入れてくれてるよ。
外装は紙で包まれてるし、紙の上部を捻って絞って麻紐で結んで有るから、このまま買われても、中身が溢れたりしない」

「ちゃんと配慮されてて凄いな」
「カナデっち、ラッキーだね、このまま売れちゃうじゃん」

「口紅の価格市場調査だけど、出がけに下のおばさんにでも一応聞いておく?」
「朝からだと、口紅使いそうな若い女性ほぼいないかもだけど、おばさんにも若い時代はあったはずだよね」

 私達は食堂を見渡すも、若い女性は居なかった。
 宿に女性泊まってたら、って思ったけど。

「口紅? お高い物だからね、若い頃しか付けなかったよ。
銀貨一枚から~~五枚とか?
お貴族様用はもっと高いと思うよ!」

「ここらの女は旦那を捕まえたら油断して化粧しなくなるんだよ~」
店主のおじさんがそんな事を言うと、女将さんが反論した。

「あんたらの稼ぎが良けりゃあもっと頑張れたんだよ。
もしくはプレゼントしてくれたって良かったんだよ!?」

 あらら……。

「紗耶香ちゃん、コウタ、やっぱり、うちらのは量的にも少ないし、銀貨一枚で売ってみよ?」
「そうだね、多分デートとか気合い入れる時にしか使ってないっぽい雰囲気有るしね」
「ああ、分かった」

 * 

 私達は街道を歩き、先に古着も扱う服屋に寄って、制服のジャケットを買い取って貰った。

 二着で金貨6枚だった。
 コウタのも前回金貨三枚だったから、このくらいが相場なんだろう。

 学校の制服を手放したのはちょっと寂しいけど、今はお金の方が大事。
 生きないといけないから。


 次に商人ギルドを目指して表通りを歩いて行く。

「毎回歩きってのもきっつー!」
「もう少し、あの角を曲がれば、乗り合い馬車てのが出てるらしいから、水木さん、頑張って」

 お? コウタってば、もしやそれも風呂屋で得た情報?

「あ、馬車に乗れんの? やった──!」

 私達は道を歩き、角を曲がった。すると、見えた!

「あ、あの馬車の看板、もしかして停留所みたいな?」
「そう、あれだ」
「あ! 馬車が来る! 走るよ!」

 私達は慌てて走って馬車に乗り込みに行ったけど、乗り合い馬車は三分くらい他の客を待っていた。
 手を振りながら乗せて~~!って、やればいいのか。

「私は病院前で降ります」
「薬局前で降ろしておくれ」
「青空市場まで」

「あ、俺達は商業ギルド前で降ります!」

 コウタも御者のおじさんに近付いて行ったと思えば、行き先を言ってた。

「はいよ~~」

 へー、御者に行き先告げておけばいいのか。覚えた。
 バスと違ってピンポン無いから申告制なのね。
 しばらく馬車に揺られる私達。

 乗り合い馬車の中では色んな雑談、噂話が飛び交っている。
 どこそこの飯が美味いとか、人気の歌姫が近くで公演やるとか。


「あー、商業ギルド前、到着です~~お代は銅貨二枚です~~」
「「「ありがとうございました」」」

 私達はお礼を言って、チャリン、チャリンと、一人ずつ、銅貨二枚を御者に払った。

 来たわ! 商業ギルド前。

「カゴバッグ内に調味料ヨシ!」
「麻のバッグに貝殻口紅もヨシ!」

 私が持ち物チェック宣言をすると、紗耶香ちゃんもノッてくれた。

「よし、じゃあ行くぞ……」

 コウタが蔦の絡まる薄茶色の建物の扉を3回ノックした後、扉を開いた。
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