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29.単位のためにかんばります。
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花子は歴史の先生からの単位取得の条件である舞踏会出席の件をムツキを通して実父に相談した。
実父は娘からの相談に非常に嬉しそうな顔ですぐに対応するからと言った。
二人でそういう話を確かにした記憶があるがそれは昨日のはずだ。
昨日のはずなのに前回の新入生歓迎会で彼女が魔法で作った衣装をよりグレードアップさせた豪華な衣装を目の前に用意されていた。
この豪華さは何なの?
金糸がふんだんに使ってあってキラキラしてる。
花子が唖然としている横で実父がこの衣装にかけた熱意を滔々と語った。
どうやら実父はムツキから歴史の単位の件を聴く前から前回一緒に行けなかったのが心残りだったようで同じような種類の衣装を用意していたようだ。
それも愛娘の為にかなり張り込んだということだったがそのあまりの高額な衣装代に母娘揃ってその場で気絶しそうになった。
「いくらですって?」
隣で金額を聞いていた実母が再度実父に聞き返した。
「うん?大した額じゃないよ。」
それは前世知識で言えば一戸建て住宅庭付き二軒分に相当する額でした。
ひょえー!!!
「ブラン。いくら何でもそれは出し過ぎよ。」
実母がそう言い返せば実父はムッとした顔で反論した。
「信子、いいかい。君が花子の存在を隠していたから私は今まで一度も娘に何かを贈ったことがないんだ。これについて何か反論はあるかな?」
笑顔の実父は迫力があった。
「な・・・なにもないわ。」
珍しく迫力満点の切り返しに実母はすぐに撃沈された。
「さあ、花子。もうすぐ舞踏会が始まるからすぐに着替えておいで。大丈夫。今日は私がエスコートをするからね。」
実父は衣装のことを実母が承諾したことで花子に豪華衣装を渡してきた。
実父の愛がふんだんに詰まった衣装にビビって思わず実母を見た。
実母が一緒ならきっと実父は同じような衣装を用意しているはずだ。
「ごめんなさい、花子。昨日リハビリをがんばり過ぎて今日は外出を禁止されているの。」
実母は衣装代のことは頭から払いのけたようでビビッている花子の手を引くとそのまま別室に向かった。
「さあ、ここに来て頂戴。」
実母は花子を鏡の前に立たせるとテキパキと髪を結い着物を着付けた。
数十分で着付けと髪結いを終えると花子の手を引いて部屋を出ると実父がいる居間に向かった。
カチャッ。
「お待たせ、ブラン。」
「・・・。」
実父は花子を見たまま固まった。
「ブラン?」
実母の二度目の問いかけにやっと我に返ると花子が戻って来る前に着替えた実父と前回同様いや前回以上の大撮影大会が開催された。
「花子様。実父様ともう少しくっ付いてください。」
実父は右手で花子の肩を抱き寄せ、左手で実母の腰を抱いてご満悦で何十枚も撮影させた。
カシャパシャパシャ
カシャパシャパシャ
カシャパシャパシャ
カシャパシャパシャ
「ブラン。嬉しいのは分かるけどそろそろ行かないと遅刻するんじゃない。」
「ああ、わかっている。」
実父は最後の一枚をアインに撮らせると花子を連れ舞踏会の会場である王宮に向かった。
「ブラン様。今回の出席者は要注意人物でいっぱいです。くれぐれも油断なさらないようにお願いします。」
アインが物凄ーい速度で車を走らせながらも実父に注意をしてきた。
なにその死亡フラグ的アドバイスは。
花子が思わず横に座っている実父を見れば頭をポンポンと軽く叩かれた。
「心配はないよ。何といっても私がついているんだからね。」
「そうですよ。花子様はなにも気にする必要はないですよ。」
どこが大丈夫なのかわからない会話を聞いているうちに舞踏会が開催される王宮に到着した。
門を入ると王宮はズラリと黒い障壁が覆っていた。
警備員らしき人物がすぐにやって来た。
前世知識で言う近衛兵のような格好の厳つい男性が車の窓をコンコンと叩いた。
アインは車の前後席を透明なシールドで完全に分離してから窓を開いた。
アインが何かの光る石を差し出すとすぐに前に立ちはだかっていた障壁が消えた。
どうやらこのまま通って大丈夫なようだ。
車はそのまま障壁を通り過ぎ王宮内の廊下に横付けされた。
アインと横付けされた廊下で待っていた人物に挟まれて花子と実父は会場に入った。
扉を開いた先には大勢の人間がざわざわと何かを話しながら始まるのを待っていた。
実父は花子をエスコートしながら会場の前の方に歩いて行くとどこかで見た覚えのある顔立ちの男性が二人に声を掛けて来た。
「やあ君が舞踏会に出るなんて珍しいな、ブラン。」
「南条。それはこっちのセリフだ。」
南条と呼ばれた細身の男はブランたちがこれから向かおうとしていた前の方に視線を向けた。
「ナオミが来たいっていうんで仕方なくエスコートして来たんだ。」
「ああそうか。今日は王族主催だったな。」
そうか。
王族が主催する時は必ず伴侶は正式に婚姻しているもの、または血族っていう決まりがあったっけ。
はぁー面倒だよねぇー。
花子が心の中で”貴族の礼儀作法”を復習していると隣にいる実父がその男性に彼女を紹介した。
花子は慌てて会釈した。
「へえー女の子がいたんだ。可愛いなぁー。」
「言っとくがお前の息子にはやらんからな。」
「いや、まだ何も言ってないのに何でそうなるの。」
二人が言い合いをしているうちに流れていた音楽が止まって、王族が会場に入って来た。
第一王子とその婚約者、その後に王と正妃が続いて入場した。
王が最初に挨拶をして玉座に座ると第一王子とその婚約者がホールの中央に移動して最初のダンスを踊り始めた。
それにしてもあの第一王子の婚約者。
うーんどこかで見た覚えがあるんだけど誰だったかな?
うーん、思い出しそうで思い出せない。
ダンスを見ながら唸っている花子を心配したアインが後ろから声を掛けて来た。
「花子様、体調でも悪いのですか?」
「いえ違うわ。今中央で踊っている第一王子の婚約者をどこかで見た気がしてどこだったか思い出そうとしていたの。」
「ああ、それなら花子様が通われていました魔法学校ではないでしょうか。」
花子はアインの言葉にやっと思い出した。
そうよ。
あの時に決闘した相手じゃない。
「どうした花子。」
「お父様。いえ、それより挨拶はこのダンスが終わってからですよね。」
「ああ、そうだよ。大丈夫。私も一緒に行くから何も心配ないよ。」
実父はそういうと花子の頭を嬉しそうにポンポンと軽く叩いた。
なんだか子供扱いされているがまあ実父からすれば娘なんだからそれは仕方ないか。
花子たちがそんな会話をしているうちに二人のダンスが終わっていた。
「ブラン様。」
「ああ、分かっている。行こう花子。」
花子は実父に付き添われて王と正妃に挨拶に向かった。
「珍しいな。ブランが来るなんて。」
「ご無沙汰しております。」
実父は頭を下げ胸に手を当てると型通りの挨拶をした。
「花子=ルービックです。」
花子も同じように挨拶をした。
「まあ、あなたが噂の娘ね。」
王の隣にいた正妃が物珍しそうな青い瞳で花子をじっくりと観察した。
「噂?」
王が正妃の言葉を聞いて何のことを言ってのかと目線で問いかけた。
「あら聞いていませんでしたかしら。この娘がAAAの魔力を使って三段階飛び級をした娘よ。」
「AAAだと。」
王は花子をしげしげと眺めた。
「ええ、もっと早く知っていれば私の息子の婚約者にしたのに残念だわ。」
「ありがとうございます。ですがそうなるとブラウンの婚約者を換えなくてはならなくなりますので私が息子に怒られます。」
「そうね。私も娘に怒られてしますわね。余計なことを言ったわ。忘れて頂戴。」
その会話を最後に花子たちは会釈して二人の前を辞した。
二人はその後数人に挨拶をするとアインに何かを耳打ちされたブランに連れられ、花子は今回の舞踏会に出席することになった元凶の前に立っていた。
実父は娘からの相談に非常に嬉しそうな顔ですぐに対応するからと言った。
二人でそういう話を確かにした記憶があるがそれは昨日のはずだ。
昨日のはずなのに前回の新入生歓迎会で彼女が魔法で作った衣装をよりグレードアップさせた豪華な衣装を目の前に用意されていた。
この豪華さは何なの?
金糸がふんだんに使ってあってキラキラしてる。
花子が唖然としている横で実父がこの衣装にかけた熱意を滔々と語った。
どうやら実父はムツキから歴史の単位の件を聴く前から前回一緒に行けなかったのが心残りだったようで同じような種類の衣装を用意していたようだ。
それも愛娘の為にかなり張り込んだということだったがそのあまりの高額な衣装代に母娘揃ってその場で気絶しそうになった。
「いくらですって?」
隣で金額を聞いていた実母が再度実父に聞き返した。
「うん?大した額じゃないよ。」
それは前世知識で言えば一戸建て住宅庭付き二軒分に相当する額でした。
ひょえー!!!
「ブラン。いくら何でもそれは出し過ぎよ。」
実母がそう言い返せば実父はムッとした顔で反論した。
「信子、いいかい。君が花子の存在を隠していたから私は今まで一度も娘に何かを贈ったことがないんだ。これについて何か反論はあるかな?」
笑顔の実父は迫力があった。
「な・・・なにもないわ。」
珍しく迫力満点の切り返しに実母はすぐに撃沈された。
「さあ、花子。もうすぐ舞踏会が始まるからすぐに着替えておいで。大丈夫。今日は私がエスコートをするからね。」
実父は衣装のことを実母が承諾したことで花子に豪華衣装を渡してきた。
実父の愛がふんだんに詰まった衣装にビビって思わず実母を見た。
実母が一緒ならきっと実父は同じような衣装を用意しているはずだ。
「ごめんなさい、花子。昨日リハビリをがんばり過ぎて今日は外出を禁止されているの。」
実母は衣装代のことは頭から払いのけたようでビビッている花子の手を引くとそのまま別室に向かった。
「さあ、ここに来て頂戴。」
実母は花子を鏡の前に立たせるとテキパキと髪を結い着物を着付けた。
数十分で着付けと髪結いを終えると花子の手を引いて部屋を出ると実父がいる居間に向かった。
カチャッ。
「お待たせ、ブラン。」
「・・・。」
実父は花子を見たまま固まった。
「ブラン?」
実母の二度目の問いかけにやっと我に返ると花子が戻って来る前に着替えた実父と前回同様いや前回以上の大撮影大会が開催された。
「花子様。実父様ともう少しくっ付いてください。」
実父は右手で花子の肩を抱き寄せ、左手で実母の腰を抱いてご満悦で何十枚も撮影させた。
カシャパシャパシャ
カシャパシャパシャ
カシャパシャパシャ
カシャパシャパシャ
「ブラン。嬉しいのは分かるけどそろそろ行かないと遅刻するんじゃない。」
「ああ、わかっている。」
実父は最後の一枚をアインに撮らせると花子を連れ舞踏会の会場である王宮に向かった。
「ブラン様。今回の出席者は要注意人物でいっぱいです。くれぐれも油断なさらないようにお願いします。」
アインが物凄ーい速度で車を走らせながらも実父に注意をしてきた。
なにその死亡フラグ的アドバイスは。
花子が思わず横に座っている実父を見れば頭をポンポンと軽く叩かれた。
「心配はないよ。何といっても私がついているんだからね。」
「そうですよ。花子様はなにも気にする必要はないですよ。」
どこが大丈夫なのかわからない会話を聞いているうちに舞踏会が開催される王宮に到着した。
門を入ると王宮はズラリと黒い障壁が覆っていた。
警備員らしき人物がすぐにやって来た。
前世知識で言う近衛兵のような格好の厳つい男性が車の窓をコンコンと叩いた。
アインは車の前後席を透明なシールドで完全に分離してから窓を開いた。
アインが何かの光る石を差し出すとすぐに前に立ちはだかっていた障壁が消えた。
どうやらこのまま通って大丈夫なようだ。
車はそのまま障壁を通り過ぎ王宮内の廊下に横付けされた。
アインと横付けされた廊下で待っていた人物に挟まれて花子と実父は会場に入った。
扉を開いた先には大勢の人間がざわざわと何かを話しながら始まるのを待っていた。
実父は花子をエスコートしながら会場の前の方に歩いて行くとどこかで見た覚えのある顔立ちの男性が二人に声を掛けて来た。
「やあ君が舞踏会に出るなんて珍しいな、ブラン。」
「南条。それはこっちのセリフだ。」
南条と呼ばれた細身の男はブランたちがこれから向かおうとしていた前の方に視線を向けた。
「ナオミが来たいっていうんで仕方なくエスコートして来たんだ。」
「ああそうか。今日は王族主催だったな。」
そうか。
王族が主催する時は必ず伴侶は正式に婚姻しているもの、または血族っていう決まりがあったっけ。
はぁー面倒だよねぇー。
花子が心の中で”貴族の礼儀作法”を復習していると隣にいる実父がその男性に彼女を紹介した。
花子は慌てて会釈した。
「へえー女の子がいたんだ。可愛いなぁー。」
「言っとくがお前の息子にはやらんからな。」
「いや、まだ何も言ってないのに何でそうなるの。」
二人が言い合いをしているうちに流れていた音楽が止まって、王族が会場に入って来た。
第一王子とその婚約者、その後に王と正妃が続いて入場した。
王が最初に挨拶をして玉座に座ると第一王子とその婚約者がホールの中央に移動して最初のダンスを踊り始めた。
それにしてもあの第一王子の婚約者。
うーんどこかで見た覚えがあるんだけど誰だったかな?
うーん、思い出しそうで思い出せない。
ダンスを見ながら唸っている花子を心配したアインが後ろから声を掛けて来た。
「花子様、体調でも悪いのですか?」
「いえ違うわ。今中央で踊っている第一王子の婚約者をどこかで見た気がしてどこだったか思い出そうとしていたの。」
「ああ、それなら花子様が通われていました魔法学校ではないでしょうか。」
花子はアインの言葉にやっと思い出した。
そうよ。
あの時に決闘した相手じゃない。
「どうした花子。」
「お父様。いえ、それより挨拶はこのダンスが終わってからですよね。」
「ああ、そうだよ。大丈夫。私も一緒に行くから何も心配ないよ。」
実父はそういうと花子の頭を嬉しそうにポンポンと軽く叩いた。
なんだか子供扱いされているがまあ実父からすれば娘なんだからそれは仕方ないか。
花子たちがそんな会話をしているうちに二人のダンスが終わっていた。
「ブラン様。」
「ああ、分かっている。行こう花子。」
花子は実父に付き添われて王と正妃に挨拶に向かった。
「珍しいな。ブランが来るなんて。」
「ご無沙汰しております。」
実父は頭を下げ胸に手を当てると型通りの挨拶をした。
「花子=ルービックです。」
花子も同じように挨拶をした。
「まあ、あなたが噂の娘ね。」
王の隣にいた正妃が物珍しそうな青い瞳で花子をじっくりと観察した。
「噂?」
王が正妃の言葉を聞いて何のことを言ってのかと目線で問いかけた。
「あら聞いていませんでしたかしら。この娘がAAAの魔力を使って三段階飛び級をした娘よ。」
「AAAだと。」
王は花子をしげしげと眺めた。
「ええ、もっと早く知っていれば私の息子の婚約者にしたのに残念だわ。」
「ありがとうございます。ですがそうなるとブラウンの婚約者を換えなくてはならなくなりますので私が息子に怒られます。」
「そうね。私も娘に怒られてしますわね。余計なことを言ったわ。忘れて頂戴。」
その会話を最後に花子たちは会釈して二人の前を辞した。
二人はその後数人に挨拶をするとアインに何かを耳打ちされたブランに連れられ、花子は今回の舞踏会に出席することになった元凶の前に立っていた。
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