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24.憐れな男はとことん不運
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上着をめちゃくちゃにされながらも異父兄の命令通りリーナを屋敷に送り届けたカイトはやっと大学の独身寮に戻って来た。
「やあカイト。今回の新入生歓迎会は凄かったんだな。僕がパートナーで行きたかったよ。」
隣室の伯爵家の次男が独身寮の廊下で他人事のようにカイトに話しかけて来た。
「なんだよ、急に。」
「あれ、まだ見てなかったの。ほら。」
フレッドはそう言って魔法カードに写した今日の特報をカイトに見せた。
そこには帝国の第一王子の周囲に映る水着姿の男女がたくさん映っていた。
特に第一王子の横にいるレーナは彼の従妹ということもありデカデカと大きく取り上げられていた。
「あちゃーウソだろ、これ。」
「なんだ知らなかったのか?」
「ああ。」
カイトがうめき声をあげた。
絶対後で異父兄からお小言を食らうな。
だがそれって俺のせいなのか。
俺は言われたことはやったぞ。
ああー考えたくない。
カイトが廊下から部屋の鍵を開けて自室に入ると自分のベッドにドカッと座って項垂れた。
そこに何の断りもなく部屋に入って来たフレッドが目の前にあったカイトの椅子に座ると勝手に机の上にあった情報端末を操作して今日の歓迎会の様子を映し出してはあれこれ聞いて来た。
「でだ。この奇妙な洋服を着た小さな女の子は誰なんだ?」
「小さな女の子?」
カイトはベッドから起き上がると情報端末の画面を見た。
そこには会場で出会った異母兄妹が映っていた。
「ああ、その子ならルービック家の娘だよ。」
「おい待ってくれ。ルービック家に女の子はいなかっただろ。」
「次期当主のブラウンの異母妹だって言ってたぞ。」
「へえーそれじゃこの子が三段階飛び級をして異例の速さで魔法学校の高等科を卒業した娘かな。」
「へっ何それ?」
「お前相変わらず情報に疎いな。ほれ。」
フレッドは自分の魔法カードで集めた情報を見せてくれた。
そこには魔法学校を入ってすぐ実技試験を申し込んでそれを全て一発で合格したと書かれていた。
「うそだろ。」
「でこれは極秘だがどうやら魔法クラスはすべてAAAだからこの魔法大学での実技も全てクリアしてるってもっぱらの噂だよ。」
「はぁ~?そんな人間いるのか。人外だろ、それは。」
「人外ってお前・・・。」
フレッドはカイトの椅子の上で笑い転げて床に落ちた。
「うっもうお腹痛い。お前感想可笑しいだろ。」
「どこが可笑しいんだ?」
「普通の貴族ならAAAって聞いたら嫁か婿にいきたいって思うんじゃないか。」
「そう言われてみればそうかもしれないけど俺次男だし関係ないよ。」
「ホント、お前って魔道具以外興味ないよな。」
「俺をヘンタイみたいに言うな。」
「まあいいけどならカイト。僕にその娘を紹介しろよ。会場で会ったんだろ。」
「それは無理。」
「なんでだよ。」
「この情報端末に書かれているリーナがケンカ売った相手がその娘だ。」
「ああ、くそっ。使えねぇー。」
フレッドは床で呻くと立ち上がって何かを物々言いながらカイトの部屋を出て行った。
あいつは何しに来たんだ。
カイトはもう精根疲れ果てたのでシャワーを浴びて寝ようとして気がついた。
しまった。
まだ明日の課題が終わっていなかった。
結局それからしばらくカイトは机に向かって明日提出するレポートを黙々と書くこととなった。
「やあカイト。今回の新入生歓迎会は凄かったんだな。僕がパートナーで行きたかったよ。」
隣室の伯爵家の次男が独身寮の廊下で他人事のようにカイトに話しかけて来た。
「なんだよ、急に。」
「あれ、まだ見てなかったの。ほら。」
フレッドはそう言って魔法カードに写した今日の特報をカイトに見せた。
そこには帝国の第一王子の周囲に映る水着姿の男女がたくさん映っていた。
特に第一王子の横にいるレーナは彼の従妹ということもありデカデカと大きく取り上げられていた。
「あちゃーウソだろ、これ。」
「なんだ知らなかったのか?」
「ああ。」
カイトがうめき声をあげた。
絶対後で異父兄からお小言を食らうな。
だがそれって俺のせいなのか。
俺は言われたことはやったぞ。
ああー考えたくない。
カイトが廊下から部屋の鍵を開けて自室に入ると自分のベッドにドカッと座って項垂れた。
そこに何の断りもなく部屋に入って来たフレッドが目の前にあったカイトの椅子に座ると勝手に机の上にあった情報端末を操作して今日の歓迎会の様子を映し出してはあれこれ聞いて来た。
「でだ。この奇妙な洋服を着た小さな女の子は誰なんだ?」
「小さな女の子?」
カイトはベッドから起き上がると情報端末の画面を見た。
そこには会場で出会った異母兄妹が映っていた。
「ああ、その子ならルービック家の娘だよ。」
「おい待ってくれ。ルービック家に女の子はいなかっただろ。」
「次期当主のブラウンの異母妹だって言ってたぞ。」
「へえーそれじゃこの子が三段階飛び級をして異例の速さで魔法学校の高等科を卒業した娘かな。」
「へっ何それ?」
「お前相変わらず情報に疎いな。ほれ。」
フレッドは自分の魔法カードで集めた情報を見せてくれた。
そこには魔法学校を入ってすぐ実技試験を申し込んでそれを全て一発で合格したと書かれていた。
「うそだろ。」
「でこれは極秘だがどうやら魔法クラスはすべてAAAだからこの魔法大学での実技も全てクリアしてるってもっぱらの噂だよ。」
「はぁ~?そんな人間いるのか。人外だろ、それは。」
「人外ってお前・・・。」
フレッドはカイトの椅子の上で笑い転げて床に落ちた。
「うっもうお腹痛い。お前感想可笑しいだろ。」
「どこが可笑しいんだ?」
「普通の貴族ならAAAって聞いたら嫁か婿にいきたいって思うんじゃないか。」
「そう言われてみればそうかもしれないけど俺次男だし関係ないよ。」
「ホント、お前って魔道具以外興味ないよな。」
「俺をヘンタイみたいに言うな。」
「まあいいけどならカイト。僕にその娘を紹介しろよ。会場で会ったんだろ。」
「それは無理。」
「なんでだよ。」
「この情報端末に書かれているリーナがケンカ売った相手がその娘だ。」
「ああ、くそっ。使えねぇー。」
フレッドは床で呻くと立ち上がって何かを物々言いながらカイトの部屋を出て行った。
あいつは何しに来たんだ。
カイトはもう精根疲れ果てたのでシャワーを浴びて寝ようとして気がついた。
しまった。
まだ明日の課題が終わっていなかった。
結局それからしばらくカイトは机に向かって明日提出するレポートを黙々と書くこととなった。
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