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10.進級試験ー第二回(水)
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花子は二日目も同じように徒歩で学校に向かった。
道順は昨日と同じように綺麗な並木道を通って校舎まで歩いていく。
ときどきサワサワとした木々の間を抜けていく風の音が花子の耳を通り過ぎていった。
お陰でサボってしまいたい気持ちが沸々と湧き上がって来たがそれはそれで父の顔にドロを塗るようで出来なかった。
花子は母とよく似た黒髪を風になびかせながら校舎まで歩くとそのまま教室に向かった。
それにしても眠い。
昨晩は読書に浸り過ぎた。
そのお陰でちょっと寝不足だ。
ついつい続き物だったせいか最後まで読んでしまった。
それにしてもあの図書室には騙された。
あれだけあればまだまだ読むものがあるかと思っていたのだが半分は花子が通っていた中学の図書館と同じものだったのだ。
他の本も中身を見てみたが似たり寄ったりであまり目新しいものがなかった。
前世知識もあるのでまったく新しいものが読みたいのだがそんな本はあれだけの蔵書がありながらちょっぴりしかなかった。
はぁーついてない。
そんなこと考えているうちに教室に着いてしまった。
欠伸をしながら教室に入って昨日魔法で出した椅子に座るとなんでかザワザワとした声が周囲に溢れた。
花子は何だろうと思いながらも目が眠くてトロンとしてくる。
そのうち始業の鐘が鳴って教師が入って来た。
今日の授業は魔法理論のようだ。
こんな日にとてつもなく退屈な魔法理論とかなんの拷問だろう。
そう思いながらも花子は頑張って目を開けて・・・最後は父には悪いが瞼が落ちた。
一応教師に指名されたり、誰かに声を掛けられた時ように振動で目が覚める様に周囲に魔法障壁を張ると花子は爆睡した。
ブーブーブー
ブーブーブー
ブーブーブー
ブーブーブー
ブーブーブー
ブーブーブー
だんだんと強くなる振動に目が覚めた。
それと共に終業の鐘が鳴った。
なんとか授業を乗り切れ・・・なかったが終わったので花子は席を立った。
誰も彼女に話しかけて来ないのでこれ幸いに教室を出ると寮に戻った。
いつものように夕食を三人分作って部屋に戻ろうとすると護衛から明日の試験の時間について連絡があったと教えられた。
どうやら明日は授業に出なくてもいいようだ。
ラッキー。
ちょうどその時間は二回目の試験時間に重なるようだ。
今日は早く眠ろう。
花子は読み残していた数冊の本を手に寝室に向かった。
もっとも昨日の夜更かしが祟って一冊読み終えたところで眠ってしまった。
翌朝。
まだ朝靄が濃く周囲に垂れ込めている早朝。
花子は第一回目の試験が行われた訓練場に来ていた。
「やあ、おはよう。体調はどうだね、花子君。」
上下を黒の高級そうな紳士服に身を包んだ父と同じくらいの年の金髪先生がにこやかに微笑みながら花子に声を掛けて来た。
「はい、おはようございます。体調は万全ですのですぐに試験を始めて下さい。」
「これはこれは頼もしいね。では一回目と同じようにこの疑似魔法装置から繰り出される魔法を相殺するのが試験だ。ちなみに今回の魔法は水だよ。」
監督役の教師からなんでか繰り出す魔法の種類を教えられた。
「ああ、種類を前もって教えるのは前回と同じ威力のものだから万が一君に怪我されても困るからだよ。」
花子が不思議そうな顔で彼を見たのでそう説明したのだろう。
でもお陰で今回は前回より早く魔法を発動できる。
これなら余裕で魔法を相殺できる。
「ちなみに前回の監督役の教師はその説明をしなかったのかな?」
「はい。別に種類については言われませんでした。」
「ほう、それはこっちの不手際だね。」
「いえ、魔法を相殺できたので問題ありません。」
「それはよかった。では、これから魔法を発動させる。でも無理だと思ったら逃げていいからね。」
「分かりました。お願いします。」
監督役の金髪先生がそう言った瞬間、疑似魔法装置から極大の水魔法が花子に襲いかかった。
花子は目を瞑って、今回は正反対の魔法である炎を思い描く。
その炎に風魔法を纏わせて赤い色から青・・・とドンドン炎温度を上げていくと花子に襲いかかった水魔法をすべて蒸発させた。
一瞬で疑似魔法装置から放たれた魔法は消え失せた。
なんでか監督役の金髪先生が固まっていた。
いつまで立っても動かない。
花子はとぐろを巻いて上空に舞い上がっている火災旋風となった魔法を消すと監督役の金髪先生に声を掛けた。
「あのー魔法を消滅させましたが私は合格でしょうか?」
監督役の金髪先生がハッとして我に返ると慌てて疑似魔法装置のスイッチを切ってから引き攣った笑顔で合格を告げてくれた。
「ありがとうございました。」
「ああ、所で今の魔法は君のオリジナルかい?」
「えっ・・・えっとそんなものです。」
「そうかい。では次の試験だけど今度は君の希望日でいいよ。希望はあるかい?」
「えっそれなら明日がいいです。」
「あ・・・あした。本当に明日でいいのかい?」
「はい、大丈夫です。」
一瞬なんでか固まっていた監督役の金髪先生が我に返ると笑顔で頷いていた。
「では明日の同じ時間にしよう。そうそう今日はもう授業に出なくても問題ないよ。明日の為に休養しなさい。」
「はい、ありがとうございます。」
監督役の金髪先生に花子は礼をするとすぐに寮に戻って行った。
「やれやれ。彼女はどんだバケモノだな。AAAの魔法を一瞬で消し去って尚且つ消し去るために出した魔法を損なうことなく維持してるとか普通ありえないだけどなぁー。彼女は本当に庶民なのか?」
魔法学校の高等学校校長は首を傾げながらも持って来た疑似魔法装置の威力数値を思わず二度見した。
しかし何度見てもやはり数字は最高難易度のAAAを指していた。
道順は昨日と同じように綺麗な並木道を通って校舎まで歩いていく。
ときどきサワサワとした木々の間を抜けていく風の音が花子の耳を通り過ぎていった。
お陰でサボってしまいたい気持ちが沸々と湧き上がって来たがそれはそれで父の顔にドロを塗るようで出来なかった。
花子は母とよく似た黒髪を風になびかせながら校舎まで歩くとそのまま教室に向かった。
それにしても眠い。
昨晩は読書に浸り過ぎた。
そのお陰でちょっと寝不足だ。
ついつい続き物だったせいか最後まで読んでしまった。
それにしてもあの図書室には騙された。
あれだけあればまだまだ読むものがあるかと思っていたのだが半分は花子が通っていた中学の図書館と同じものだったのだ。
他の本も中身を見てみたが似たり寄ったりであまり目新しいものがなかった。
前世知識もあるのでまったく新しいものが読みたいのだがそんな本はあれだけの蔵書がありながらちょっぴりしかなかった。
はぁーついてない。
そんなこと考えているうちに教室に着いてしまった。
欠伸をしながら教室に入って昨日魔法で出した椅子に座るとなんでかザワザワとした声が周囲に溢れた。
花子は何だろうと思いながらも目が眠くてトロンとしてくる。
そのうち始業の鐘が鳴って教師が入って来た。
今日の授業は魔法理論のようだ。
こんな日にとてつもなく退屈な魔法理論とかなんの拷問だろう。
そう思いながらも花子は頑張って目を開けて・・・最後は父には悪いが瞼が落ちた。
一応教師に指名されたり、誰かに声を掛けられた時ように振動で目が覚める様に周囲に魔法障壁を張ると花子は爆睡した。
ブーブーブー
ブーブーブー
ブーブーブー
ブーブーブー
ブーブーブー
ブーブーブー
だんだんと強くなる振動に目が覚めた。
それと共に終業の鐘が鳴った。
なんとか授業を乗り切れ・・・なかったが終わったので花子は席を立った。
誰も彼女に話しかけて来ないのでこれ幸いに教室を出ると寮に戻った。
いつものように夕食を三人分作って部屋に戻ろうとすると護衛から明日の試験の時間について連絡があったと教えられた。
どうやら明日は授業に出なくてもいいようだ。
ラッキー。
ちょうどその時間は二回目の試験時間に重なるようだ。
今日は早く眠ろう。
花子は読み残していた数冊の本を手に寝室に向かった。
もっとも昨日の夜更かしが祟って一冊読み終えたところで眠ってしまった。
翌朝。
まだ朝靄が濃く周囲に垂れ込めている早朝。
花子は第一回目の試験が行われた訓練場に来ていた。
「やあ、おはよう。体調はどうだね、花子君。」
上下を黒の高級そうな紳士服に身を包んだ父と同じくらいの年の金髪先生がにこやかに微笑みながら花子に声を掛けて来た。
「はい、おはようございます。体調は万全ですのですぐに試験を始めて下さい。」
「これはこれは頼もしいね。では一回目と同じようにこの疑似魔法装置から繰り出される魔法を相殺するのが試験だ。ちなみに今回の魔法は水だよ。」
監督役の教師からなんでか繰り出す魔法の種類を教えられた。
「ああ、種類を前もって教えるのは前回と同じ威力のものだから万が一君に怪我されても困るからだよ。」
花子が不思議そうな顔で彼を見たのでそう説明したのだろう。
でもお陰で今回は前回より早く魔法を発動できる。
これなら余裕で魔法を相殺できる。
「ちなみに前回の監督役の教師はその説明をしなかったのかな?」
「はい。別に種類については言われませんでした。」
「ほう、それはこっちの不手際だね。」
「いえ、魔法を相殺できたので問題ありません。」
「それはよかった。では、これから魔法を発動させる。でも無理だと思ったら逃げていいからね。」
「分かりました。お願いします。」
監督役の金髪先生がそう言った瞬間、疑似魔法装置から極大の水魔法が花子に襲いかかった。
花子は目を瞑って、今回は正反対の魔法である炎を思い描く。
その炎に風魔法を纏わせて赤い色から青・・・とドンドン炎温度を上げていくと花子に襲いかかった水魔法をすべて蒸発させた。
一瞬で疑似魔法装置から放たれた魔法は消え失せた。
なんでか監督役の金髪先生が固まっていた。
いつまで立っても動かない。
花子はとぐろを巻いて上空に舞い上がっている火災旋風となった魔法を消すと監督役の金髪先生に声を掛けた。
「あのー魔法を消滅させましたが私は合格でしょうか?」
監督役の金髪先生がハッとして我に返ると慌てて疑似魔法装置のスイッチを切ってから引き攣った笑顔で合格を告げてくれた。
「ありがとうございました。」
「ああ、所で今の魔法は君のオリジナルかい?」
「えっ・・・えっとそんなものです。」
「そうかい。では次の試験だけど今度は君の希望日でいいよ。希望はあるかい?」
「えっそれなら明日がいいです。」
「あ・・・あした。本当に明日でいいのかい?」
「はい、大丈夫です。」
一瞬なんでか固まっていた監督役の金髪先生が我に返ると笑顔で頷いていた。
「では明日の同じ時間にしよう。そうそう今日はもう授業に出なくても問題ないよ。明日の為に休養しなさい。」
「はい、ありがとうございます。」
監督役の金髪先生に花子は礼をするとすぐに寮に戻って行った。
「やれやれ。彼女はどんだバケモノだな。AAAの魔法を一瞬で消し去って尚且つ消し去るために出した魔法を損なうことなく維持してるとか普通ありえないだけどなぁー。彼女は本当に庶民なのか?」
魔法学校の高等学校校長は首を傾げながらも持って来た疑似魔法装置の威力数値を思わず二度見した。
しかし何度見てもやはり数字は最高難易度のAAAを指していた。
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