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11.悪い知らせ
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ここ王都では珍しく濃い霧が周囲に立ち込め朝早くから賑わい始める大通りも今日は人がまばらに歩いて行くだけだった。
その大通りをものすごい勢いで駆け抜けていく兵士がいた。
ドタドタと石畳に響く音に大通りを歩いていた人々が慌てて脇に避けた。
その中を必死に形相で馬に鞭を当てながら血だらけの兵士は王城を目指した。
濃い霧を切り裂くように走って来る兵士に気がついた門番が慌てて門前に行くと伝令兵は門から出てきた兵士に伝令用の水晶を託すとその場で気を失って落馬した。
ビックリしながらも門兵は落馬した兵士から受け取った水晶球を抱えて王宮に駆け込むと緊急の報を持った兵士が飛び込んで来たことを伝えた。
その後は水晶球を門兵から受けとった兵士がそれを抱えて直接魔術棟に駆け込んだ。
「た・・・大変です。」
兵士から水晶を受け取った魔術棟の新人がシータの所に駈け込んで来た。
「どうしたの?」
「こ・・・これをもった兵士が・・・。」
新人は息切れしていて何を言っているのかわからない。
シータは差し出された水晶を受け取った。
それは通信用の水晶のようでシータの魔力に反応して映像と音声が彼女の頭の中に直接流れ込んで来た。
それはあまりにも悲惨な状況だった。
よくわからない魔獣に砦らしき建物にいる兵士が次々に襲われていく。
血しぶきと悲鳴が脳内を駆け巡った。
余りの映像にシータが失神する寸前に異様な魔力を感知したシェルが彼女の執務室に駈け込んで来て水晶を取り上げた。
シータはゼイゼイ言いながら床に頽れた。
「あら、大丈夫。抱き起した方がいいかしら?」
「だ・・・だき・・・はぁー、はぁー、はぁー。」
美野里は何度か大きく息を吐き出して体の力を抜くと椅子を掴んで立ち上がった。
「そ・・・それは何?」
「アラ知らなかった。緊急用の通信水晶よ。」
「違う。その映像よ。」
「さあ、推測は出来るけど憶測じゃあ困るから今、馬鹿魔術師団長に今の映像送っておいたわ。すぐにここに来る・・・。」
シェルが言い終わらないうちに魔術師団長が現れた。
「シェル。今の映像はなんだ?」
「辺境の砦から送られてきた水晶よ。」
「北か?」
「さあ、そこまでは不明だわ。でも映像が本物である以上、魔物討伐隊を編成する必要があるわ。」
「くそっ。」
ひとしきり悪態を吐いた魔術師団長は傍にいた新人にブラッドリイ様が来たら王宮に来るように伝言を頼むと二人を連れ王宮に向かった。
「まあ、今回は誰が討伐隊に選ばれるのかしら?」
「お前相変わらず能天気だな、シェル。」
魔術師団長は呆れ顔になりながらも王宮に入ると王に緊急会議を開くように進言し、何かの会議を開いていた貴族たちを会議室から追い出すとそのすぐ後に集まってきたお偉いさんの面々にすぐにテーブルに着くよう促した。
数十分で主だった高位貴族が会議室に集められ、すぐに王を中心に会議が開催された。
「何があった魔術師団長?」
「まずはこれを見て下さい。」
魔術師団長はそういうと先程の通信用の水晶を手に持つとその映像を会議室の中央に浮かび上がらせた。
集まった面々は驚愕で真っ青だ。
映像を見終わった王が口を開く。
「真か?」
魔術師団長は無言で頷いた。
そこにやっと何かの細長い箱を抱えたブラッドリイが会議室に現れた。
「それは!」
王が息を飲む。
「この封印を外した方が良いと思ってな。その許可がほしい。」
「それほどのことでしょうか?」
「残念ながら三つとも外したい。」
王とブラッドリイが睨み合った。
数十分の攻防の末に諦めた王は頷いた。
ブラッドリイは細長い箱を机の上に置くと箱に掛かっていた布を取り去った。
箱には厳重に二つの異なった金属で両端が封印されていた。
「マイク。こっちの白い金属板に順に魔力を流してくれ。」
魔術師団長は言われるまま横に並べられた箱を留めている金属板に魔力を流した。
途端に片端の金属がバチンと派手な音を立てて弾け飛んだ。
「次はシータだ。逆側の黒い金属板に一つずつ順に魔力を流しなさい。」
美野里は言われた通りに横に並べられた箱を留めている金属板に魔力を流した。
先程とは違い淡い光がその金属板から流れ出し真っ白に輝くとその三つの箱は会議室から消え失せた。
全員が唖然とその状況を見ていた。
「シェル。場所の特定は出来たか?」
「あら、ブラッドリイ様。いきなりそんなこと言われたってわか・・・。」
「わからないとかいうとお前が目を付けている人物に・・・。」
「あら、三つともこの王宮の周辺に流れて行って持ち主にちゃーんと拾われたわ。」
「よし、儂が今からそいつらをここに呼んでくるからその間に討伐隊の編成を済ませてくれ。」
ブラッドリイはそういうとシェルを連れて会議場を出て行った。
「お前たち聞いたな。では準備だ。」
王は残っている面々にそう告げると会議は解散された。
美野里はあまりのことに事態を把握できず。
魔術師団長に声を掛けられるまでその場で固まっていた。
「おいシータ。シータ。」
魔術師団長に揺さぶられてやっと美野里は意識を取り戻した。
「えっと・・・どうすればいいんでしょうか?」
「今ブラッドリイ様が有力メンバーを捜しに行っている。」
「有力メンバー?」
「ああ、取り敢えず魔術棟に戻って討伐用の攻撃魔道具の準備をするぞ。」
「あっ、はい。」
美野里はそれからすぐに魔術師団長と一緒に魔術棟に戻った。
その大通りをものすごい勢いで駆け抜けていく兵士がいた。
ドタドタと石畳に響く音に大通りを歩いていた人々が慌てて脇に避けた。
その中を必死に形相で馬に鞭を当てながら血だらけの兵士は王城を目指した。
濃い霧を切り裂くように走って来る兵士に気がついた門番が慌てて門前に行くと伝令兵は門から出てきた兵士に伝令用の水晶を託すとその場で気を失って落馬した。
ビックリしながらも門兵は落馬した兵士から受け取った水晶球を抱えて王宮に駆け込むと緊急の報を持った兵士が飛び込んで来たことを伝えた。
その後は水晶球を門兵から受けとった兵士がそれを抱えて直接魔術棟に駆け込んだ。
「た・・・大変です。」
兵士から水晶を受け取った魔術棟の新人がシータの所に駈け込んで来た。
「どうしたの?」
「こ・・・これをもった兵士が・・・。」
新人は息切れしていて何を言っているのかわからない。
シータは差し出された水晶を受け取った。
それは通信用の水晶のようでシータの魔力に反応して映像と音声が彼女の頭の中に直接流れ込んで来た。
それはあまりにも悲惨な状況だった。
よくわからない魔獣に砦らしき建物にいる兵士が次々に襲われていく。
血しぶきと悲鳴が脳内を駆け巡った。
余りの映像にシータが失神する寸前に異様な魔力を感知したシェルが彼女の執務室に駈け込んで来て水晶を取り上げた。
シータはゼイゼイ言いながら床に頽れた。
「あら、大丈夫。抱き起した方がいいかしら?」
「だ・・・だき・・・はぁー、はぁー、はぁー。」
美野里は何度か大きく息を吐き出して体の力を抜くと椅子を掴んで立ち上がった。
「そ・・・それは何?」
「アラ知らなかった。緊急用の通信水晶よ。」
「違う。その映像よ。」
「さあ、推測は出来るけど憶測じゃあ困るから今、馬鹿魔術師団長に今の映像送っておいたわ。すぐにここに来る・・・。」
シェルが言い終わらないうちに魔術師団長が現れた。
「シェル。今の映像はなんだ?」
「辺境の砦から送られてきた水晶よ。」
「北か?」
「さあ、そこまでは不明だわ。でも映像が本物である以上、魔物討伐隊を編成する必要があるわ。」
「くそっ。」
ひとしきり悪態を吐いた魔術師団長は傍にいた新人にブラッドリイ様が来たら王宮に来るように伝言を頼むと二人を連れ王宮に向かった。
「まあ、今回は誰が討伐隊に選ばれるのかしら?」
「お前相変わらず能天気だな、シェル。」
魔術師団長は呆れ顔になりながらも王宮に入ると王に緊急会議を開くように進言し、何かの会議を開いていた貴族たちを会議室から追い出すとそのすぐ後に集まってきたお偉いさんの面々にすぐにテーブルに着くよう促した。
数十分で主だった高位貴族が会議室に集められ、すぐに王を中心に会議が開催された。
「何があった魔術師団長?」
「まずはこれを見て下さい。」
魔術師団長はそういうと先程の通信用の水晶を手に持つとその映像を会議室の中央に浮かび上がらせた。
集まった面々は驚愕で真っ青だ。
映像を見終わった王が口を開く。
「真か?」
魔術師団長は無言で頷いた。
そこにやっと何かの細長い箱を抱えたブラッドリイが会議室に現れた。
「それは!」
王が息を飲む。
「この封印を外した方が良いと思ってな。その許可がほしい。」
「それほどのことでしょうか?」
「残念ながら三つとも外したい。」
王とブラッドリイが睨み合った。
数十分の攻防の末に諦めた王は頷いた。
ブラッドリイは細長い箱を机の上に置くと箱に掛かっていた布を取り去った。
箱には厳重に二つの異なった金属で両端が封印されていた。
「マイク。こっちの白い金属板に順に魔力を流してくれ。」
魔術師団長は言われるまま横に並べられた箱を留めている金属板に魔力を流した。
途端に片端の金属がバチンと派手な音を立てて弾け飛んだ。
「次はシータだ。逆側の黒い金属板に一つずつ順に魔力を流しなさい。」
美野里は言われた通りに横に並べられた箱を留めている金属板に魔力を流した。
先程とは違い淡い光がその金属板から流れ出し真っ白に輝くとその三つの箱は会議室から消え失せた。
全員が唖然とその状況を見ていた。
「シェル。場所の特定は出来たか?」
「あら、ブラッドリイ様。いきなりそんなこと言われたってわか・・・。」
「わからないとかいうとお前が目を付けている人物に・・・。」
「あら、三つともこの王宮の周辺に流れて行って持ち主にちゃーんと拾われたわ。」
「よし、儂が今からそいつらをここに呼んでくるからその間に討伐隊の編成を済ませてくれ。」
ブラッドリイはそういうとシェルを連れて会議場を出て行った。
「お前たち聞いたな。では準備だ。」
王は残っている面々にそう告げると会議は解散された。
美野里はあまりのことに事態を把握できず。
魔術師団長に声を掛けられるまでその場で固まっていた。
「おいシータ。シータ。」
魔術師団長に揺さぶられてやっと美野里は意識を取り戻した。
「えっと・・・どうすればいいんでしょうか?」
「今ブラッドリイ様が有力メンバーを捜しに行っている。」
「有力メンバー?」
「ああ、取り敢えず魔術棟に戻って討伐用の攻撃魔道具の準備をするぞ。」
「あっ、はい。」
美野里はそれからすぐに魔術師団長と一緒に魔術棟に戻った。
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