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06.現状把握
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克也の大まかな話ではここは異世界でここに転移して来た人間はグランドでサッカーをしてた克也と裕也、それと昨日来た朱里 。
それとなんと裕也を昨日治療したシータと呼ばれた女性もそうだった。
「なんで彼女も向こうの世界だってわかるんだ?」
「なんでって憶えてない?彼女、俺達と同じクラスでお前の前の席に座ってた子だよ。」
「えっ?」
「ああ、お前は朱里 ちゃん以外みーんな同じに見えてるからな。でも俺にとっちゃあお前に色目を使わないクラスじゃ珍しい女だってことで結構気になってたし。そうそう他のサッカー部にいた奴らにも結構人気があったんだぜ。よく見るときれいな顔してるって。」
珍しく克也はそう彼女を褒めた。
それに彼女のおかげで俺達は助かったようなものだからな。
「なんでそれを知ってるんだ?」
「ああ、まあぁ。それは色々あったんだ・・・。」
克也は嫌そうな顔をしてそれ以上はその話を詳しく説明してはくれなかった。
「そうそう話は変わるけど裕也は何の仕事をする?」
「仕事?」
「ああ、俺達こっちじゃもう成人してる訳で働かにゃいかんわけよ。」
「もう成人なのか?」
克也は黙って頷いた。
「お前はどうするんだ?」
「最初は魔術師を考えてたんだけど、色々あって兵士見習いをすることにした。」
「兵士?」
「ああ。」
「朱里 は?」
「朱里 ちゃんならまだ未成年だから本当なら働かなくてもいいはずだけど城でメイド見習いするってさ。」
「メイド?」
「ああ、昔バイトしたことあるっていって、昨日のうちにあのクソ生意気な王子に頼み込んでたなぁ。」
「朱里 ・・・。」
「それに兵士見習いなら城で訓練するから朱里 ちゃんにも会えるぞ。」
「そうか。なら俺もそうするよ。」
「そうこなくっちゃ。じゃ、行こうぜ、裕也。」
「行くってどこへ?」
「兵士見習い寮。」
「そんなとこあるのか?」
「ああ、ノルマさんに教えてもらった。」
「わかった。でも・・・」
裕也はチラチラと扉を気にしてる。
「大丈夫だよ。朱里 ちゃんにならすぐ連絡しとくから。」
「どうやって?」
「寮には城からのメイドさんが清掃に来てくれるんだ。」
「なんでそんなこと知ってる?」
「お前が何週間も意識失ってる間、いろんな奴がここに見舞いに来てたんだ。それでそういう話をしてるやつがいたんだよ。」
裕也は克也を疑いの目で見た。
「わかったわかった。ならここの治療棟の人に伝言しときゃいいだろ。どっちにしろ治ったらすぐにここ追い出されるんだから。」
「そうなのか?」
裕也が克也を疑っている間にベッドを開けるように治療棟の担当者が現れた。
裕也は克也に言われた通り、その担当者に朱里 宛の伝言を伝えると兵士の見習い寮にむかった。
その頃、魔術棟の部屋に戻った美野里は治療棟を見ながら項垂れていた。
「あら、恋煩い?」
「!!」
「なんでここにいるんですか?」
「気にしてもあなたがこっちに転移させた他の4名が見つかるわけじゃないわよ。」
「別に・・・。」
「あたしから言わせれば魔術師団長が変な障壁張ってなけりゃ全員無事に城に転移されていたわよ。」
美野里はビックリした顔でシェルを見た。
「あら信じてない顔ね。転移とか転送関係なら魔術師団長より私の方が上よ。それに私に言わせれば”白の書”を開いたばかりのあなた見たいなヒヨッ子ちゃんが転移を成功させたほうが驚きよ。それなのにそれを気に病むなんて最低。」
「そうですかね。」
美野里は治療棟から視線を外すと自分の席に座った。
「あら素直ね。なら素直なあなたにご褒美よ。」
シェルはそういうとドサッと手に持っていた書類を置いた。
「ちょっ・・・これって仕事の書類じゃないですか?」
「あら、落ち込んだ時は仕事をするのが一番よ。」
「普通は甘いものじゃないんですか?」
「あら、そうかしら?」
シェルは美野里の返しに顎に手を当てると小首を傾げた。
それが妙に色ぽくって美野里の少ししかない女心を抉った。
またこいつに負けた気がする。
「あらなんだかわからないけど勝った気がするわ。」
シェルは高笑いをしながら美野里の部屋から出て行った。
くそっ、なんで毎回毎回、あの男に女である自分は負けた気がするの!!!
美野里は書類を読みながら殴り書きするようにそれを捌いて行った。
悔しい!
それとなんと裕也を昨日治療したシータと呼ばれた女性もそうだった。
「なんで彼女も向こうの世界だってわかるんだ?」
「なんでって憶えてない?彼女、俺達と同じクラスでお前の前の席に座ってた子だよ。」
「えっ?」
「ああ、お前は朱里 ちゃん以外みーんな同じに見えてるからな。でも俺にとっちゃあお前に色目を使わないクラスじゃ珍しい女だってことで結構気になってたし。そうそう他のサッカー部にいた奴らにも結構人気があったんだぜ。よく見るときれいな顔してるって。」
珍しく克也はそう彼女を褒めた。
それに彼女のおかげで俺達は助かったようなものだからな。
「なんでそれを知ってるんだ?」
「ああ、まあぁ。それは色々あったんだ・・・。」
克也は嫌そうな顔をしてそれ以上はその話を詳しく説明してはくれなかった。
「そうそう話は変わるけど裕也は何の仕事をする?」
「仕事?」
「ああ、俺達こっちじゃもう成人してる訳で働かにゃいかんわけよ。」
「もう成人なのか?」
克也は黙って頷いた。
「お前はどうするんだ?」
「最初は魔術師を考えてたんだけど、色々あって兵士見習いをすることにした。」
「兵士?」
「ああ。」
「朱里 は?」
「朱里 ちゃんならまだ未成年だから本当なら働かなくてもいいはずだけど城でメイド見習いするってさ。」
「メイド?」
「ああ、昔バイトしたことあるっていって、昨日のうちにあのクソ生意気な王子に頼み込んでたなぁ。」
「朱里 ・・・。」
「それに兵士見習いなら城で訓練するから朱里 ちゃんにも会えるぞ。」
「そうか。なら俺もそうするよ。」
「そうこなくっちゃ。じゃ、行こうぜ、裕也。」
「行くってどこへ?」
「兵士見習い寮。」
「そんなとこあるのか?」
「ああ、ノルマさんに教えてもらった。」
「わかった。でも・・・」
裕也はチラチラと扉を気にしてる。
「大丈夫だよ。朱里 ちゃんにならすぐ連絡しとくから。」
「どうやって?」
「寮には城からのメイドさんが清掃に来てくれるんだ。」
「なんでそんなこと知ってる?」
「お前が何週間も意識失ってる間、いろんな奴がここに見舞いに来てたんだ。それでそういう話をしてるやつがいたんだよ。」
裕也は克也を疑いの目で見た。
「わかったわかった。ならここの治療棟の人に伝言しときゃいいだろ。どっちにしろ治ったらすぐにここ追い出されるんだから。」
「そうなのか?」
裕也が克也を疑っている間にベッドを開けるように治療棟の担当者が現れた。
裕也は克也に言われた通り、その担当者に朱里 宛の伝言を伝えると兵士の見習い寮にむかった。
その頃、魔術棟の部屋に戻った美野里は治療棟を見ながら項垂れていた。
「あら、恋煩い?」
「!!」
「なんでここにいるんですか?」
「気にしてもあなたがこっちに転移させた他の4名が見つかるわけじゃないわよ。」
「別に・・・。」
「あたしから言わせれば魔術師団長が変な障壁張ってなけりゃ全員無事に城に転移されていたわよ。」
美野里はビックリした顔でシェルを見た。
「あら信じてない顔ね。転移とか転送関係なら魔術師団長より私の方が上よ。それに私に言わせれば”白の書”を開いたばかりのあなた見たいなヒヨッ子ちゃんが転移を成功させたほうが驚きよ。それなのにそれを気に病むなんて最低。」
「そうですかね。」
美野里は治療棟から視線を外すと自分の席に座った。
「あら素直ね。なら素直なあなたにご褒美よ。」
シェルはそういうとドサッと手に持っていた書類を置いた。
「ちょっ・・・これって仕事の書類じゃないですか?」
「あら、落ち込んだ時は仕事をするのが一番よ。」
「普通は甘いものじゃないんですか?」
「あら、そうかしら?」
シェルは美野里の返しに顎に手を当てると小首を傾げた。
それが妙に色ぽくって美野里の少ししかない女心を抉った。
またこいつに負けた気がする。
「あらなんだかわからないけど勝った気がするわ。」
シェルは高笑いをしながら美野里の部屋から出て行った。
くそっ、なんで毎回毎回、あの男に女である自分は負けた気がするの!!!
美野里は書類を読みながら殴り書きするようにそれを捌いて行った。
悔しい!
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