11 / 15
11.世界に一つだけの魔法書作成
しおりを挟む
アランと約束をした後、図書館を出ると先ほど別れた兵士がアランを捜していたようで外の通路で声を掛けて来た。
「アラン様、こちらでしたか。」
「なんだ?」
「先ほど武国の砦にも使いを向かわせてあっちからも数名武闘会に出場させるように取り計らいました。」
「さすが仕事が早いな。ところで今日からここで寝泊まりするから用意を頼む。」
「はぁー。聞いてませんよ。そんなこと!」
「今言ったからな。ところで大会開催までどのくらい必要だ?」
「場所を整えるだけですので三日もあれば会場の方は問題ありませんが出場者が足りなくないですか?どうするつもりですか?」
「それは大丈夫だ。今から広間で見繕うからな。」
「はぁー、広間?・・・ちょ・・・アラン様、待って下さい。」
アランは喚く兵士を置き去りに広間に向かっていく。
レイはこのままここから引き返して図書館で新たな本でも捜してこの腕輪の外し方を捜そうかと迷ったがそれは諦めた。
この腕輪が王位継承権を現すものというアランの指摘は間違いないし、確かに王位継承を外れればこの腕輪は外せるという話にはある意味納得できる。
それに王位継承の仕方はその国独自のものがある。
ならこの図書館で調べてもそれについては書かれていない可能性が高い。
捜すならレイの祖国であるアントワープ国で目的の本を捜すのが一番当たる可能が高い。
くそっ。
もっと早く気がついていたらここに来る前に見つけられたかも知れないのに・・・。
いや待って。
武国にいる侍女たちに聞けば!
あっ・・・あいつらが素直に教えてくれる?
ウーン、やっぱり今回の件で優勝する方が話が早い・・・。
「レイ様は行かれないんですか?」
顎に手を当てて色々思考を巡らせているといきなり背後から兵士に声を掛けられた。
ビックリして後ろを向くとごつい体付きをした武国の王都から一緒にこちらに来た兵士がそこに立っていた。
「えっとですね。場所が・・・。」
「それならこちらです。」
なりゆきでレイも広間に向かうことになった。
アランが広間に入ってからかなり時間が経っていたのでおおよその話は終わっていたようで今は出場者を確認しているようだ。
「本当に今のお約束は間違いない話なのでしょうか?」
「武国は武を重んじる。魔国は魔力だろ。なら魔力が高いものを俺の右腕にしてやる。悪い話じゃないしそっちも昔ながらのやり方だ。従いやすかろう。違うか?」
「たしかにその見識に間違いはありませんがなぜあなたは私のような老い耄れに出場せよとおおせでしょうか?」
「王家に連なるものがたまたま魔力が多かっただけで王家じゃないものが少ないとは限らない。違うか?」杖を持った老人がいきなり鋭い眼光でアランを睨み付けた。
アランとその老人が睨み合う。
そのうち老人の方が根負けしたらしく空笑いを浮かべると出場することに了承の意志を彼に伝えた。
「これで出場者が決まったな。」
横に座って出場者の名簿を作っていたらしい兵士が盛大に溜息を吐きながら決まった出場者に簡単に説明を始めた。
「じゃ、後は頼む。」
扉前で呆けていたレイに気がつくとアランは彼女を伴なって広間を後にした。
どこに行くかと思っていたら主塔がある建物の外に出てその横に立っている横長の建屋に入った。
中はそれほど広くなくその部屋には長テーブルが置かれ奥からこちら側にいい匂いが漂ってきていた。
「食堂!」
「ああそうだ。そこそこおいしいぞ。」
アランが長テーブルの一角に座ると後ろから護衛の為について来ていた数人が彼の為に何かを取りに向かった。ほどなくしてこんもりと大皿に盛られた肉の山がテーブルの上に置かれた。
小皿が配られ思い思いにそこからスプーンでとって食べる方式のようだ。
レイも恐る恐る小皿に盛られた肉を齧ってみた。
不味くもなく美味しくもないまあ普通の料理だが彼らには味はどうでもいいらしく全員がそれをバクバクと食べていた。
レイもそれにならいほどほどにそれらを胃におさめた。
その間彼らは三日後に開かれる武闘会の話をアランにしきりに聞いていた。
「アラン様。対戦は魔力を持つもののみにするんですか?」
「いや、別に魔力が無くても出たければ出て構わん。だが一対一とは言え魔術師相手では苦戦するぞ。」
「そりゃまあそうでしょうけど、さすがに魔力防御の武具くらいはつけさせて貰えるんでしょ。」
「そうだな。まあそれくらいは許容範囲だな。」
「なら俺も出ようかな。」
「おいおい。ここにいる観客は武国の人間じゃないんだ。出てもモテはせんぞ。」
「あっ、そうか。」
どういう事?
レイが疑問符を飛ばしているとアランが説明してくれた。
武国で武闘会を開いた時にそれに上位入賞すればモテモテになれるらしい。
よくわからないが国が違えばモテ方も違うんだろう。
レイは自分に関係ないとその話はスルーした。
昼食はそんな話で盛り上がっていたがレイにはその話題はどうでもよかった。
そのうち食事は終わりそこに先程広間で出場者たちに説明をしていた兵士がアランの所にやって来た。
「アラン様。出場者の名簿作成は終わりました。後は各人に当日使用する武器もしくは魔法書などの登録をして貰えば終わりです。」
「さすがだな。」
「ありがとうございます。ですのでレイ様。こちらに当日ご使用になります武器もしくは魔法書などの登録をお願いします。」
兵士はそういうとレイに登録用紙を手渡すと昼食を摂りに他の席に行ってしまった。
「使うものね。」
レイはその紙を前に頭を捻った。
たぶん他の魔術師なら杖もしくは魔法書なのだろうが生憎レイには両方とも必要ない。
さて、では何にしようか。
魔法書は別にいらないが前世知識を生かした魔術式を書いたものは必要だろう。
これがあれば魔力の消費を極端に減らすことが出来る。
なら自分で前世知識の詰まった魔法書を作成してしまおう。
これなら効率的に魔力が使え発動も早い。
考えれば考えるほど好都合な代物だ。
レイはアランに本を作るための紙が欲しいと懇願した。
「紙?」
レイは頷いた。
「紙なんか何に使うんだ?」
「そりゃ三日後に開かれる武闘会で使うためによ。」
「まさかわざと負けようとか思っているのか?」
アランが恐ろしい顔で詰め寄って来る。
「そんなこと考えてない。むしろ勝つために必要なの。」
「俺がその腕輪を外す方法を知らないと思っているからか?」
「だから勝つためって言ってるでしょ。」
「紙が必要なのよ。」
あまりレイがしつこく要求するので最後にはアランも投げやり気味ではあるが昼食を終えて食堂を出ようとしていた兵士を捕まえて紙を用意してくれた。
「ありがとう。後は書くところだけどどこかない?」
アランは訝し気にレイを見ながらも彼女を砦にある執務室に入れてくれた。
「他にいるものは?」
「後は大丈夫。紙さえあればいい。」
レイはアランから用意された紙を執務机に一枚ずつ広げてそれに魔力で前世知識の文字を書き綴った。
一枚書いては一枚一枚に丁寧に耐火/耐水性の魔法を掛けた。
数枚であれば問題ないがそれが魔法書クラスの厚みにあると結構の魔力を持っていかれる。
レイはその日一日をそれを書くのに費やした。
夕方、アランがレイを夕食に誘いに来たが彼女はそれに見向きもしなかったというか夢中になり過ぎて気づかなかった。
明け方、描き続けた書類の束を前に丁寧にそれを重ねるとそれを本にして机に突っ伏した。
翌朝、レイを執務室に呼びに来たアランは本を抱えながら爆睡する妻を発見して呆気にとられた。
「一体こいつは何をやったんだ。」
本を抱えたレイをそのまま抱き上げるとその砦でアランが使っている寝室にレイを運び込んだ。
レイはそれから当日の朝まで無茶な魔力消費をしたせいかぶっ続けで眠り続けた。
「アラン様、こちらでしたか。」
「なんだ?」
「先ほど武国の砦にも使いを向かわせてあっちからも数名武闘会に出場させるように取り計らいました。」
「さすが仕事が早いな。ところで今日からここで寝泊まりするから用意を頼む。」
「はぁー。聞いてませんよ。そんなこと!」
「今言ったからな。ところで大会開催までどのくらい必要だ?」
「場所を整えるだけですので三日もあれば会場の方は問題ありませんが出場者が足りなくないですか?どうするつもりですか?」
「それは大丈夫だ。今から広間で見繕うからな。」
「はぁー、広間?・・・ちょ・・・アラン様、待って下さい。」
アランは喚く兵士を置き去りに広間に向かっていく。
レイはこのままここから引き返して図書館で新たな本でも捜してこの腕輪の外し方を捜そうかと迷ったがそれは諦めた。
この腕輪が王位継承権を現すものというアランの指摘は間違いないし、確かに王位継承を外れればこの腕輪は外せるという話にはある意味納得できる。
それに王位継承の仕方はその国独自のものがある。
ならこの図書館で調べてもそれについては書かれていない可能性が高い。
捜すならレイの祖国であるアントワープ国で目的の本を捜すのが一番当たる可能が高い。
くそっ。
もっと早く気がついていたらここに来る前に見つけられたかも知れないのに・・・。
いや待って。
武国にいる侍女たちに聞けば!
あっ・・・あいつらが素直に教えてくれる?
ウーン、やっぱり今回の件で優勝する方が話が早い・・・。
「レイ様は行かれないんですか?」
顎に手を当てて色々思考を巡らせているといきなり背後から兵士に声を掛けられた。
ビックリして後ろを向くとごつい体付きをした武国の王都から一緒にこちらに来た兵士がそこに立っていた。
「えっとですね。場所が・・・。」
「それならこちらです。」
なりゆきでレイも広間に向かうことになった。
アランが広間に入ってからかなり時間が経っていたのでおおよその話は終わっていたようで今は出場者を確認しているようだ。
「本当に今のお約束は間違いない話なのでしょうか?」
「武国は武を重んじる。魔国は魔力だろ。なら魔力が高いものを俺の右腕にしてやる。悪い話じゃないしそっちも昔ながらのやり方だ。従いやすかろう。違うか?」
「たしかにその見識に間違いはありませんがなぜあなたは私のような老い耄れに出場せよとおおせでしょうか?」
「王家に連なるものがたまたま魔力が多かっただけで王家じゃないものが少ないとは限らない。違うか?」杖を持った老人がいきなり鋭い眼光でアランを睨み付けた。
アランとその老人が睨み合う。
そのうち老人の方が根負けしたらしく空笑いを浮かべると出場することに了承の意志を彼に伝えた。
「これで出場者が決まったな。」
横に座って出場者の名簿を作っていたらしい兵士が盛大に溜息を吐きながら決まった出場者に簡単に説明を始めた。
「じゃ、後は頼む。」
扉前で呆けていたレイに気がつくとアランは彼女を伴なって広間を後にした。
どこに行くかと思っていたら主塔がある建物の外に出てその横に立っている横長の建屋に入った。
中はそれほど広くなくその部屋には長テーブルが置かれ奥からこちら側にいい匂いが漂ってきていた。
「食堂!」
「ああそうだ。そこそこおいしいぞ。」
アランが長テーブルの一角に座ると後ろから護衛の為について来ていた数人が彼の為に何かを取りに向かった。ほどなくしてこんもりと大皿に盛られた肉の山がテーブルの上に置かれた。
小皿が配られ思い思いにそこからスプーンでとって食べる方式のようだ。
レイも恐る恐る小皿に盛られた肉を齧ってみた。
不味くもなく美味しくもないまあ普通の料理だが彼らには味はどうでもいいらしく全員がそれをバクバクと食べていた。
レイもそれにならいほどほどにそれらを胃におさめた。
その間彼らは三日後に開かれる武闘会の話をアランにしきりに聞いていた。
「アラン様。対戦は魔力を持つもののみにするんですか?」
「いや、別に魔力が無くても出たければ出て構わん。だが一対一とは言え魔術師相手では苦戦するぞ。」
「そりゃまあそうでしょうけど、さすがに魔力防御の武具くらいはつけさせて貰えるんでしょ。」
「そうだな。まあそれくらいは許容範囲だな。」
「なら俺も出ようかな。」
「おいおい。ここにいる観客は武国の人間じゃないんだ。出てもモテはせんぞ。」
「あっ、そうか。」
どういう事?
レイが疑問符を飛ばしているとアランが説明してくれた。
武国で武闘会を開いた時にそれに上位入賞すればモテモテになれるらしい。
よくわからないが国が違えばモテ方も違うんだろう。
レイは自分に関係ないとその話はスルーした。
昼食はそんな話で盛り上がっていたがレイにはその話題はどうでもよかった。
そのうち食事は終わりそこに先程広間で出場者たちに説明をしていた兵士がアランの所にやって来た。
「アラン様。出場者の名簿作成は終わりました。後は各人に当日使用する武器もしくは魔法書などの登録をして貰えば終わりです。」
「さすがだな。」
「ありがとうございます。ですのでレイ様。こちらに当日ご使用になります武器もしくは魔法書などの登録をお願いします。」
兵士はそういうとレイに登録用紙を手渡すと昼食を摂りに他の席に行ってしまった。
「使うものね。」
レイはその紙を前に頭を捻った。
たぶん他の魔術師なら杖もしくは魔法書なのだろうが生憎レイには両方とも必要ない。
さて、では何にしようか。
魔法書は別にいらないが前世知識を生かした魔術式を書いたものは必要だろう。
これがあれば魔力の消費を極端に減らすことが出来る。
なら自分で前世知識の詰まった魔法書を作成してしまおう。
これなら効率的に魔力が使え発動も早い。
考えれば考えるほど好都合な代物だ。
レイはアランに本を作るための紙が欲しいと懇願した。
「紙?」
レイは頷いた。
「紙なんか何に使うんだ?」
「そりゃ三日後に開かれる武闘会で使うためによ。」
「まさかわざと負けようとか思っているのか?」
アランが恐ろしい顔で詰め寄って来る。
「そんなこと考えてない。むしろ勝つために必要なの。」
「俺がその腕輪を外す方法を知らないと思っているからか?」
「だから勝つためって言ってるでしょ。」
「紙が必要なのよ。」
あまりレイがしつこく要求するので最後にはアランも投げやり気味ではあるが昼食を終えて食堂を出ようとしていた兵士を捕まえて紙を用意してくれた。
「ありがとう。後は書くところだけどどこかない?」
アランは訝し気にレイを見ながらも彼女を砦にある執務室に入れてくれた。
「他にいるものは?」
「後は大丈夫。紙さえあればいい。」
レイはアランから用意された紙を執務机に一枚ずつ広げてそれに魔力で前世知識の文字を書き綴った。
一枚書いては一枚一枚に丁寧に耐火/耐水性の魔法を掛けた。
数枚であれば問題ないがそれが魔法書クラスの厚みにあると結構の魔力を持っていかれる。
レイはその日一日をそれを書くのに費やした。
夕方、アランがレイを夕食に誘いに来たが彼女はそれに見向きもしなかったというか夢中になり過ぎて気づかなかった。
明け方、描き続けた書類の束を前に丁寧にそれを重ねるとそれを本にして机に突っ伏した。
翌朝、レイを執務室に呼びに来たアランは本を抱えながら爆睡する妻を発見して呆気にとられた。
「一体こいつは何をやったんだ。」
本を抱えたレイをそのまま抱き上げるとその砦でアランが使っている寝室にレイを運び込んだ。
レイはそれから当日の朝まで無茶な魔力消費をしたせいかぶっ続けで眠り続けた。
0
お気に入りに追加
447
あなたにおすすめの小説
婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。
風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。
※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。
虐げられ令嬢の最後のチャンス〜今度こそ幸せになりたい
みおな
恋愛
何度生まれ変わっても、私の未来には死しかない。
死んで異世界転生したら、旦那に虐げられる侯爵夫人だった。
死んだ後、再び転生を果たしたら、今度は親に虐げられる伯爵令嬢だった。
三度目は、婚約者に婚約破棄された挙句に国外追放され夜盗に殺される公爵令嬢。
四度目は、聖女だと偽ったと冤罪をかけられ処刑される平民。
さすがにもう許せないと神様に猛抗議しました。
こんな結末しかない転生なら、もう転生しなくていいとまで言いました。
こんな転生なら、いっそ亀の方が何倍もいいくらいです。
私の怒りに、神様は言いました。
次こそは誰にも虐げられない未来を、とー
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!
鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……!
前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。
正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。
そして、気づけば違う世界に転生!
けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ!
私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……?
前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー!
※第15回恋愛大賞にエントリーしてます!
開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします!!
不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜
晴行
恋愛
乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。
見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。
これは主人公であるアリシアの物語。
わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。
窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。
「つまらないわ」
わたしはいつも不機嫌。
どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。
あーあ、もうやめた。
なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。
このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。
仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。
__それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。
頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。
の、はずだったのだけれど。
アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。
ストーリーがなかなか始まらない。
これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。
カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?
それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?
わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?
毎日つくれ? ふざけるな。
……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる