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11.魔の森
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満腹になった俺達は、これから”魔の森”に出発する守備隊に合流する為、もう一度、先ほどいた中庭に向かった。
この時には副隊長も、請求が爺さんの所に行くとわかって、復活している。
三人で連れだって中庭に行くと、もうすでに他の守備隊の面々はそこで俺達を待っていた。
隊長は俺たちが中庭に現れるとすぐに、”魔の森”に向け、隊列を組んで出発した。
ちなみに馬に乗れないミヤは、最初、空を飛んで”魔の森”に向かうと言し出したのだが、俺はミヤの空腹を考慮して彼女を自分の馬に乗せると、そのまま”魔の森”に向かった。
数刻後。
”魔の森”に守備隊の面々が到着した。
「これが、”魔の森”なの?」
ミヤが鬱蒼と生い茂った森を指差した。
俺達には、森から異様な感じがビンビン漂い出していて聞くまでもないのだが、もしかしてミヤはそれを感じていないのだろうか。
「ミヤ。この森見て、どんな感じがする?」
「どうって、普通の森より生茂ってるから進むと暗そうかなって、思うくらい。」
「暗いそうって、それだけ?」
「えっ、他になにがあるの?」
俺は思わず額に手を当てた。
こんな鈍感な奴を本当に”魔の森”に入れて、大丈夫なのか。
俺が思わず頭を抱えて呻いていると、そんな俺を気にすることなくミヤは、魔法を使ってふわりと馬から降りると、黒い杖を振ってその杖を懐中電灯代わりにしてスタスタと隊長に後について森に入ってしまった。
くそっ、明りを付けたまま”魔の森”に入るなんて、あいつ。
危ないだろ。
俺は慌ててミヤの後を追った。
あんな明りをつけていたらそれこそ”魔の森”にいる魔物に狙ってくれと、大声で怒鳴っているようなものだ。
俺が彼女に追いついて杖の明かりを消すように言った時には、すでに遅かった。
真っ黒くて大きな魔物が俺達の前に現れた。
「きゃっ、何アレ?」
それは、もやもやとした黒いものを周囲にまき散らしながら、俺たちに襲いかかっってきた。
俺は慌ててミヤを抱きしめて、その魔物から距離をとった。
周囲にいる騎士もその魔物から距離をとる。
その魔物は、前回倒した魔物の二倍の大きさだった。
黒いもやもやと一緒に吐き出される硫酸のような液体が、周囲の木々をたちまち溶かし悪臭が立ち込める。
ミヤはそれを呆けたように見ていたが、その後、何を思ったのか杖を頭上に構えて先ほどのように光らせた。
おい、何を考えているんだ。
俺はミヤにそれをやめさせようとしたが、ミヤはその杖をカメラのフラッシュのような目を開けていられないような光の束にすると、それを魔物に投げつけた。
魔物から悲鳴のような物凄い叫び声が聞こえ眩しい光が止んで目を開けると、そこには、みすぼらしい羽根のない鶏がいた。
「ちょっとなんで誰も動かないのよ。早く留め差さないと逃げられるよ。」
ミヤのもっともなご指摘に我に返った俺達は、剣を抜いてその羽根のない鶏もどきを攻撃した。
いつもなら一度では剣が通らないはずの魔物に黒いモヤモヤがないせいか数人が斬りつけると、あっという間にその魔物は地面に倒れ伏して息絶えた。
倒しておきながら言うのもなんだが、なんてあっけないんだ。
前回、討伐した魔物の二倍の大きさなのにもう終わってしまった。
魔法、恐るべしだ。
隊長も数分間呆けていたようだが部下に魔物を回収させると、すぐに”魔の森”を出た。
まだ森に入って数分しかたっていないのに、もう本日の討伐が終わってしまった。
俺達が”魔の森”を出て帰ろうとすると、ミヤがなんでか黒い杖を出してもう一度、そこに入ろうとした。
「おい、ミヤ。何をするつもりだ。」
「えっ、もちろん魔物狩りよ。まだ一匹しか倒してないでしょ。」
「はぁあ、なに言ってる。もう一匹倒しただろ。まだ倒すつもりか?」
俺の質問にミヤは質問で返してきた。
「ねえ、竜。魔物って原型留めなくてもいいの?」
「原型って、そりゃ倒せれば問題・・・。」
俺の言葉が終わらないうちにミヤが灯した光によって来た先程の1.5倍の大きさの魔物をミヤは、黒い杖を振るとそこから青い炎を飛ばして消し炭にした。
その場でそれを見ていた全員が固まる。
そんな俺達の心境をあざ笑うようにミヤのお腹が派手に鳴った。
グウー、キュルキュルキュル。
グウー、キュルキュルキュル。
グウー、キュルキュルキュル。
「はぁあ、ダメ。空腹で死にそう。」
ミヤはもう歩けないと、その場に座り込んだ。
我に返った俺は慌てて馬を持ってくると、彼女を馬の背に押し上げた。
「隊長、先に行きます。」
俺の言葉に隊長は食堂の名を告げると、先に行くよう手振りで示した。
俺は頷くと、空腹で死ぬぅーと喚くミヤを抱えて馬を走らせた。
前回、遥に踏み込まれ、本当にいい所で何も出来なかったあの食堂に。
「へい、いらっしゃい。」
威勢のいい料理人の声とともに、グラマーなお姉さんが注文を聞きに来た。
俺はとにかくすぐに食べられるものを出してくれるように頼んだ。
お姉さんは笑いながらメモを取ると、奥に消えて守備隊の食堂でも出たような肉と野菜のごった煮を抱えて戻ってきた。
「お待ちどうさま。」
お姉さんはそう言うと、俺達の前に大皿をドンと置いてくれた。
ミヤは大皿を抱えると、かき込むようにそれを胃におさめる。
数分後、大皿の中身が彼女の胃の中に消えた。
目をパチクリするお姉さんがハッと我に返って、また厨房に消えた。
また大皿に大量のお肉を持って現れた。
今度はさっきよりもう少しかかったが、それでも数十分でその大皿の中身がなくなった。
そんなことを数回繰り返してやっとミヤの食べる速度が普通に戻って来た頃に、守備隊の隊長が部下を連れて食堂に入って来た。
隊長以下、守備隊の面々はミヤの前に高々に積み上がった大皿に目を剥いていた。
そりゃなぁ、大の男でもこれほど食べないよな。
”魔の森”で魔法が使えることは証明できたがミヤの空腹対策を何とかしないと、討伐には向かえないよな。
俺は、まだまだ積み上がり続ける大皿を隣で見ながらボンヤリそんなことを考えた.
この時には副隊長も、請求が爺さんの所に行くとわかって、復活している。
三人で連れだって中庭に行くと、もうすでに他の守備隊の面々はそこで俺達を待っていた。
隊長は俺たちが中庭に現れるとすぐに、”魔の森”に向け、隊列を組んで出発した。
ちなみに馬に乗れないミヤは、最初、空を飛んで”魔の森”に向かうと言し出したのだが、俺はミヤの空腹を考慮して彼女を自分の馬に乗せると、そのまま”魔の森”に向かった。
数刻後。
”魔の森”に守備隊の面々が到着した。
「これが、”魔の森”なの?」
ミヤが鬱蒼と生い茂った森を指差した。
俺達には、森から異様な感じがビンビン漂い出していて聞くまでもないのだが、もしかしてミヤはそれを感じていないのだろうか。
「ミヤ。この森見て、どんな感じがする?」
「どうって、普通の森より生茂ってるから進むと暗そうかなって、思うくらい。」
「暗いそうって、それだけ?」
「えっ、他になにがあるの?」
俺は思わず額に手を当てた。
こんな鈍感な奴を本当に”魔の森”に入れて、大丈夫なのか。
俺が思わず頭を抱えて呻いていると、そんな俺を気にすることなくミヤは、魔法を使ってふわりと馬から降りると、黒い杖を振ってその杖を懐中電灯代わりにしてスタスタと隊長に後について森に入ってしまった。
くそっ、明りを付けたまま”魔の森”に入るなんて、あいつ。
危ないだろ。
俺は慌ててミヤの後を追った。
あんな明りをつけていたらそれこそ”魔の森”にいる魔物に狙ってくれと、大声で怒鳴っているようなものだ。
俺が彼女に追いついて杖の明かりを消すように言った時には、すでに遅かった。
真っ黒くて大きな魔物が俺達の前に現れた。
「きゃっ、何アレ?」
それは、もやもやとした黒いものを周囲にまき散らしながら、俺たちに襲いかかっってきた。
俺は慌ててミヤを抱きしめて、その魔物から距離をとった。
周囲にいる騎士もその魔物から距離をとる。
その魔物は、前回倒した魔物の二倍の大きさだった。
黒いもやもやと一緒に吐き出される硫酸のような液体が、周囲の木々をたちまち溶かし悪臭が立ち込める。
ミヤはそれを呆けたように見ていたが、その後、何を思ったのか杖を頭上に構えて先ほどのように光らせた。
おい、何を考えているんだ。
俺はミヤにそれをやめさせようとしたが、ミヤはその杖をカメラのフラッシュのような目を開けていられないような光の束にすると、それを魔物に投げつけた。
魔物から悲鳴のような物凄い叫び声が聞こえ眩しい光が止んで目を開けると、そこには、みすぼらしい羽根のない鶏がいた。
「ちょっとなんで誰も動かないのよ。早く留め差さないと逃げられるよ。」
ミヤのもっともなご指摘に我に返った俺達は、剣を抜いてその羽根のない鶏もどきを攻撃した。
いつもなら一度では剣が通らないはずの魔物に黒いモヤモヤがないせいか数人が斬りつけると、あっという間にその魔物は地面に倒れ伏して息絶えた。
倒しておきながら言うのもなんだが、なんてあっけないんだ。
前回、討伐した魔物の二倍の大きさなのにもう終わってしまった。
魔法、恐るべしだ。
隊長も数分間呆けていたようだが部下に魔物を回収させると、すぐに”魔の森”を出た。
まだ森に入って数分しかたっていないのに、もう本日の討伐が終わってしまった。
俺達が”魔の森”を出て帰ろうとすると、ミヤがなんでか黒い杖を出してもう一度、そこに入ろうとした。
「おい、ミヤ。何をするつもりだ。」
「えっ、もちろん魔物狩りよ。まだ一匹しか倒してないでしょ。」
「はぁあ、なに言ってる。もう一匹倒しただろ。まだ倒すつもりか?」
俺の質問にミヤは質問で返してきた。
「ねえ、竜。魔物って原型留めなくてもいいの?」
「原型って、そりゃ倒せれば問題・・・。」
俺の言葉が終わらないうちにミヤが灯した光によって来た先程の1.5倍の大きさの魔物をミヤは、黒い杖を振るとそこから青い炎を飛ばして消し炭にした。
その場でそれを見ていた全員が固まる。
そんな俺達の心境をあざ笑うようにミヤのお腹が派手に鳴った。
グウー、キュルキュルキュル。
グウー、キュルキュルキュル。
グウー、キュルキュルキュル。
「はぁあ、ダメ。空腹で死にそう。」
ミヤはもう歩けないと、その場に座り込んだ。
我に返った俺は慌てて馬を持ってくると、彼女を馬の背に押し上げた。
「隊長、先に行きます。」
俺の言葉に隊長は食堂の名を告げると、先に行くよう手振りで示した。
俺は頷くと、空腹で死ぬぅーと喚くミヤを抱えて馬を走らせた。
前回、遥に踏み込まれ、本当にいい所で何も出来なかったあの食堂に。
「へい、いらっしゃい。」
威勢のいい料理人の声とともに、グラマーなお姉さんが注文を聞きに来た。
俺はとにかくすぐに食べられるものを出してくれるように頼んだ。
お姉さんは笑いながらメモを取ると、奥に消えて守備隊の食堂でも出たような肉と野菜のごった煮を抱えて戻ってきた。
「お待ちどうさま。」
お姉さんはそう言うと、俺達の前に大皿をドンと置いてくれた。
ミヤは大皿を抱えると、かき込むようにそれを胃におさめる。
数分後、大皿の中身が彼女の胃の中に消えた。
目をパチクリするお姉さんがハッと我に返って、また厨房に消えた。
また大皿に大量のお肉を持って現れた。
今度はさっきよりもう少しかかったが、それでも数十分でその大皿の中身がなくなった。
そんなことを数回繰り返してやっとミヤの食べる速度が普通に戻って来た頃に、守備隊の隊長が部下を連れて食堂に入って来た。
隊長以下、守備隊の面々はミヤの前に高々に積み上がった大皿に目を剥いていた。
そりゃなぁ、大の男でもこれほど食べないよな。
”魔の森”で魔法が使えることは証明できたがミヤの空腹対策を何とかしないと、討伐には向かえないよな。
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