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お盆

はなれるまえに、きゅう

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雪兎は俺とは違い、絶倫ではない。今日三発も出せたのは俺に盛った媚薬の効果を間接的に得たからだけではなく、留学直前だからというのもあるのだろう。しかしそれでも三発が限界のようだ。

「はぁ……疲れたよ、ポチぃ……でも抱きたい、ポチともっとしてたいよぉ……」

「んっ、ぁ……ぁ、あっ……!」

小さな手が尻を揉みしだく。雪兎の切なげな声色に反した激しい愛撫に絶頂と中出しの余韻に浸る身体が反応する。

「ポチ、お顔見せて、お顔……可愛いお顔見たいよぉ。ゆきにお顔見せて」

ぐいぐいと肩を押され、やむにやまれず敏感な体を再びひっくり返す。仰向けになると雪兎は寂しさを滲ませた嬉しそうな笑顔で俺の顔を覗き込んだ。

「ゅ、き」

曇りのない笑顔にしてあげたい。媚薬に侵された頭ではその願望を抱くので精一杯だ、快感を求める欲が強過ぎてどうすれば雪兎が笑顔になるのかなんて考えている暇がない。

「ポチ、好きだよ、ポチ……あのね、向こうに慣れろって言われてるんだけどね、それでポチを呼んじゃダメなのは二ヶ月くらいって言ったろ? だから……だからね? ハロウィンの日は一緒に居よう、おじいちゃんが決めた期限には二週間早いけど関係ないよ、別に根拠がある期限でもないんだし。アメリカに来てよポチ、ポチに仮装させたいよ……」

俺は雪兎のためにこの身の全てを捧げる所存だ、だから「居よう」や「来てよ」なんて言葉は適さない。雪兎はただ気が向いた時に「来い」と一言いえばいいだけだ。
なんて長々と話すような余裕は発情し切った身体にはない。

「…………君のことこっそり荷物に詰めて行っちゃおうかな、どう思う? いいかな。ポチ、どう? 僕と一緒に……僕と一緒に来てくれる?」

泣きそうな顔でそんなこと言うなんて、主人としてはありえない。

「……わんっ」

抱き締めて慰めていつまでもどこまでも着いていくと言いたかった。けれどそんな余裕は今の俺にはないので、万能の返事を使った。

「ポチ……そう、だね。君は犬だもん……僕の思うままにしていいんだよね」

肉欲の熱に浮かされた俺の頬を雪兎が撫でる。彼の手はどこか冷たく感じ、目を閉じた。

「…………疲れちゃった。僕、もう寝るね?」

そう言いながら雪兎は俺の手に何かを握らせ、俺の隣に寝転がった。

「おやすみなさい、ユキ様」

目を開けて右手を顔の横へ上げてみると、イボの多い歪なディルドが握らされていた。ひとまず左手で雪兎の髪を梳き、彼が感じている寂しさを癒す努力をした。

「……薬効いてて辛いでしょ? 使ってていいよ。僕、ちょっと騒がしくても今疲れてるから寝れるし」

「お気遣い感謝します……」

絶頂を繰り返した身体はもう限界を迎えているが、恐ろしいほどの効き目を発揮している媚薬のせいで発情の方も限界が近い。

「……っ、ん、んんんぅっ……! う、ぁっ……は、んんっ」

体力の限界を訴えているようだがその警告は無視し、異物を求める後孔にディルドをねじ込んだ。騒いでも構わないと言われたものの雪兎が眠りやすいように口を手で押さえた。

「ふふっ……最高の眺め」

快感に耐える俺の顔を見つめながら雪兎はうとうとと目を閉じかけている。俺はディルドの持ち手を弄って振動のスイッチを入れ、涙目と全身の痙攣で更に雪兎を悦ばせ、最高の入眠を提供した。
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