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お盆

みっかめ、に

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用事があるらしく部屋にも居られない雪兎の代わりに雪風が部屋にやってきた。白いシャツに白いスラックス、白いベルトと輝く銀のバックル、白い靴下──ジャケットやネクタイなどの分かりやすい物こそ身に付けていないが、これはスーツだ。

「……なぁ雪風、スーツのままみたいだけどいつ帰ってきたんだ?」

「ん? 夜。疲れてたから着替えんの忘れて寝ちゃってさぁ……雪兎の電話で起きてここ来たんだよ」

朝食中、不意に気になって尋ねた。まだ眠いのか、食欲がないのか、雪風は浅い皿に乗せられたスイートコーンをフォークでぐりぐりと掻き回して弄んでいる。

「ふーん……じゃあ風呂入ってねぇの?」

「そうだな、二日くらい入ってねぇ。いや、言い訳させてくれよ、この二日仕事中に人に会ってねぇんだよ、ずーっとパソコンとにらめっこ。そのまま机で寝たりしてたから風呂忘れてて……」

「ブラックだなぁ」

「うちはホワイトだっつーの。ちゃんと有給取れるし、時間も守ってるし、産休とか育休とかも……」

「社員ホワイト待遇で社長だけブラックなのかよ」

何分社会経験のないガキだから会社について詳しくは知らないけれど、トップがしっかり休まないと部下も休みにくいんじゃないのか?

「いや俺は副業……ってかこっちが本業なんだけど、オカルト関連の仕事があるからさぁ……」

「……今回のもそれだったのか?」

「ぉん、政府からの依頼。ちょっとした呪いが詰まった箱のリモート浄化」

「リモートで出来るのかよそんなこと」

「ちょっとした、つったろ? 細工箱みてぇなもんでな、順序分かれば誰でも解呪出来るようなヤツだったからリモートでやったんだよ。風呂入る暇はなくなったけどな」

ケラケラと笑う雪風の顔に疲れは見えないが、食事が進んでいない手には疲れを感じる。表情ばかり気遣って、俺を誤魔化せたつもりでいるのだろう。

「飯食ったら風呂入るよ、真尋とヤる前に綺麗にしなくっちゃなぁ?」

煽るように笑っている。俺がシャワーシーンでも妄想していると思っているのか? 俺はもう一歩先を行くぞ。

「いや、風呂は入らなくていい。そのままの方が燃える」

「……マジで? いや、はは……俺はお前が風呂入ってなかったらそう思うけど、お前もそっかぁー……いやぁ嬉しいやら恥ずかしいやらだな」

恥じらいからか口数が増えている。雪風はまだ朝食を半分以上残しているが、俺はもう食べ終えたので雪風の隣に移動した。

「ま、真尋……」

「早く食えよ、ヤるんだろ?」

朝食が運ばれる前に着たバスローブの紐をほどき、鍛えた身体を晒す。雪風はゴクリと唾を呑み、俺の鎖骨から鼠径部までを舐めるように観察した。

「お前……前に会った時より、身体が……その、グレードアップしてるっつーか」

「真面目に訓練してるからな。里帰りもしたけど、筋トレはホテルとかでしっかりやったし」

挑発になるかどうかは賭けだったが、ピクピクと胸筋を動かしてみた。雪風は口元を押さえて深く息を吐いた、俺は賭けに勝ったらしい。

「……なぁ、知ってるか真尋。消防士に抱かれると癖になるんだよ、肉体美が素晴らし過ぎてしばらく消防士漁りやめられなくなる」

「知るわけねぇだろ急に何の話だ消防士とヤったって報告か?」

「男の話したからって不機嫌になるなよ可愛いな。ここ数ヶ月お前以外とヤってねぇっての。お前のバッキバキの身体が最高って言ってんだよ、早く抱かれてぇ……」

「……言っとくけど挿入は出来ないからな?」

「は!? なんで!?」

バスローブをめくって貞操帯を付けられた性器を晒す。

「あぁそうだったクソっ! 鍵は雪兎が持ってんだよなぁ……なんか工具で外せねぇかな、雪兎にキレられるか……いやでも真尋の欲しいし……」

「俺、四日間イくなって言われてるんだよ。俺と一緒に焦らされようか、雪風」

「えー……」

「大丈夫、雪風のことはちゃんとイかせてやるから。挿入はしないけど」

ちゅ、と頬にキスをしてやると雪風は不満げな顔のままながらも赤くなり、食事のペースを上げた。
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