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お盆
いちにちめ、ろく
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唾液を垂らしたからと頬を鞭で打たれ、表情を大きく変えるだけでも痛む顔にされてしまった。雪兎を呼ぶ時の「ユキ様」の「キ」も痛い。
「ユキ様……ユキ様ぁ……」
何もないのに表情筋を動かすよりも、雪兎を呼んだ方が痛みを味わいやすい。
「お腹、真っ赤だね」
「そうなんですか……?」
何十回と打たれた腹は満遍なく痛い。雪兎は筋肉の凹凸を楽しむように鞭の先端で優しく腹を撫で上げる、それすらも痛い。
「ひっ……痛、ぁあっ……!」
「これ以上お腹ぶったらポチ、イっちゃうよねぇ。難しいなぁ……やり方変えようかな」
「変える……? ぃっ、あぁああっ!?」
もう鞭打ちは終わりだろうと油断していた俺の太腿に鞭が振り下ろされた。そうだ、もう打たないと言ったのは腹の話だ。まだ俺には無事な部分がたくさん残っている。
「ひっ……ぃいいいっ! ぃ、あ、あぁ……あぁああーっ! いた、いっ、痛い……ですっ」
膝立ちの体勢で拘束されている俺の太腿は、内腿や裏側は叩きにくくなっている。太腿の中では比較的皮膚が分厚い部分を叩かれたのだが、それでも痛い。
「気持ちよさそうだね……鞭を新調した甲斐があったよ。素材変えたんだ、前のより跡がハッキリ残るだろ? 嬉しい?」
「は、ぃ……嬉しい、ですぅ……」
「イきそう?」
「はい……も、出てしまいそうです」
後一発、どこでもいいから叩いて欲しい。ようやく射精出来そうだ。けれど射精したとしても一晩焦らされた前立腺は満足しないだろう。後孔からの刺激以外はもう受け付けない、俺はそういう身体にされたのだ。
「……その縛り方じゃお尻も背中も叩けないし、内腿だって無理。下手に叩くと君イっちゃうし……アプローチを間違えたみたいだね」
雪兎はポイッと鞭を捨て、俺の前に膝立ちになり、俺の太腿を撫でた。鞭の跡をなぞられて思わず声が漏れる。
「んっ……」
「ムカついてたし、お仕置きだから鞭を選んだけど……刺激が強すぎるよね、今選ぶべきじゃなかった。反省するよ」
軽く開いた状態で拘束された足と足の間に雪兎の手が入り込む。内腿を優しく撫で回され、ゾワゾワとくすぐったい快感が広がっていく。
「はっ、ぁ……あーっ……」
「やっぱり内側の方がすべすべしてる……ポチ? 太腿なでなでしてるだけなのに気持ちいいの?」
「きも、ちぃ……ユキ様っ、ユキ様にぃ……こんなっ、優しく……撫でてもらえてっ、俺ぇ……幸せ、で……力抜けてきてっ、もぉ……なんか、イきそぉです」
「……っ! そう……危なかった。撫でるのだけでも危ないんだね、四日間……なんか自信なくなってきたなぁ」
バッと手を離した雪兎は深いため息をついて俺を見上げる。
「ユキ様ぁ……」
「…………ちょっと待ってね」
雪兎は鞭を拾って片付けるとその収納場所から新しいものを持ってきた。今度はどんな玩具が飛び出すのだろうとワクワクして見つめていると、赤い蝋燭が眼前に突き出された。
「ろーそく……?」
「そ。蝋燭。ちょっと待ってね」
雪兎は机の引き出しからマッチを取り出し、火をつけ、それを蝋燭に移した。
「ポチ、火は苦手じゃないよね」
「…………はい」
マッチの火が消され、蝋燭の火が揺れる。
「あの……なんか、ポタポタするので責める感じですか?」
「よく知ってるね。流石変態。そう、溶けた蝋を身体に落とすんだよ」
「……熱い、ですか?」
「そりゃ熱いよ、火ついてるんだから。ポチは頑丈だから火傷なんてしないよね?」
熱いと聞いて興奮で呼吸が荒くなる。雪兎が蝋燭を傾け、ポタポタッと太腿に赤い斑点が出来上がる。
「熱っ! ぁ……? んー……いや、そこまで熱くない……熱いけど」
「融点五十度だからね。気付いちゃダメだろ? SMプレイにはイメージも大事だよ」
「ご、ごめんなさっ、ぁ、熱っ、でも熱いっ」
落ちてくるまでに少し冷えるとしても、五十度くらいだとすると……普段四十度くらいの風呂に入っているから、舌ならともかく肌がそれ以上の熱を受けることは稀だし、熱いのも当然だ。
「蝋燭なんだから熱いに決まってるだろ? 火傷しちゃったらごめんね。ほら、熱いよ、百度以上あるんじゃないかな? 火傷しちゃうよ」
ネタばらしをした後に思い込みを煽ろうとしても──あぁ、俺の脳は単純だ。ちょっと熱さが増した。
「ぁ、んっ……んんっ、熱っ、ユキ様ぁ……」
苦痛はそれほどないが、蝋燭プレイという有名なプレイで、視覚的にも責められていると分かりやすい。
強い刺激を与えずに俺を興奮させ続けるという雪兎の焦らしプレイの目的から考えれば、これほど合うアイテムは他にないだろう。
「ユキ様……ユキ様ぁ……」
何もないのに表情筋を動かすよりも、雪兎を呼んだ方が痛みを味わいやすい。
「お腹、真っ赤だね」
「そうなんですか……?」
何十回と打たれた腹は満遍なく痛い。雪兎は筋肉の凹凸を楽しむように鞭の先端で優しく腹を撫で上げる、それすらも痛い。
「ひっ……痛、ぁあっ……!」
「これ以上お腹ぶったらポチ、イっちゃうよねぇ。難しいなぁ……やり方変えようかな」
「変える……? ぃっ、あぁああっ!?」
もう鞭打ちは終わりだろうと油断していた俺の太腿に鞭が振り下ろされた。そうだ、もう打たないと言ったのは腹の話だ。まだ俺には無事な部分がたくさん残っている。
「ひっ……ぃいいいっ! ぃ、あ、あぁ……あぁああーっ! いた、いっ、痛い……ですっ」
膝立ちの体勢で拘束されている俺の太腿は、内腿や裏側は叩きにくくなっている。太腿の中では比較的皮膚が分厚い部分を叩かれたのだが、それでも痛い。
「気持ちよさそうだね……鞭を新調した甲斐があったよ。素材変えたんだ、前のより跡がハッキリ残るだろ? 嬉しい?」
「は、ぃ……嬉しい、ですぅ……」
「イきそう?」
「はい……も、出てしまいそうです」
後一発、どこでもいいから叩いて欲しい。ようやく射精出来そうだ。けれど射精したとしても一晩焦らされた前立腺は満足しないだろう。後孔からの刺激以外はもう受け付けない、俺はそういう身体にされたのだ。
「……その縛り方じゃお尻も背中も叩けないし、内腿だって無理。下手に叩くと君イっちゃうし……アプローチを間違えたみたいだね」
雪兎はポイッと鞭を捨て、俺の前に膝立ちになり、俺の太腿を撫でた。鞭の跡をなぞられて思わず声が漏れる。
「んっ……」
「ムカついてたし、お仕置きだから鞭を選んだけど……刺激が強すぎるよね、今選ぶべきじゃなかった。反省するよ」
軽く開いた状態で拘束された足と足の間に雪兎の手が入り込む。内腿を優しく撫で回され、ゾワゾワとくすぐったい快感が広がっていく。
「はっ、ぁ……あーっ……」
「やっぱり内側の方がすべすべしてる……ポチ? 太腿なでなでしてるだけなのに気持ちいいの?」
「きも、ちぃ……ユキ様っ、ユキ様にぃ……こんなっ、優しく……撫でてもらえてっ、俺ぇ……幸せ、で……力抜けてきてっ、もぉ……なんか、イきそぉです」
「……っ! そう……危なかった。撫でるのだけでも危ないんだね、四日間……なんか自信なくなってきたなぁ」
バッと手を離した雪兎は深いため息をついて俺を見上げる。
「ユキ様ぁ……」
「…………ちょっと待ってね」
雪兎は鞭を拾って片付けるとその収納場所から新しいものを持ってきた。今度はどんな玩具が飛び出すのだろうとワクワクして見つめていると、赤い蝋燭が眼前に突き出された。
「ろーそく……?」
「そ。蝋燭。ちょっと待ってね」
雪兎は机の引き出しからマッチを取り出し、火をつけ、それを蝋燭に移した。
「ポチ、火は苦手じゃないよね」
「…………はい」
マッチの火が消され、蝋燭の火が揺れる。
「あの……なんか、ポタポタするので責める感じですか?」
「よく知ってるね。流石変態。そう、溶けた蝋を身体に落とすんだよ」
「……熱い、ですか?」
「そりゃ熱いよ、火ついてるんだから。ポチは頑丈だから火傷なんてしないよね?」
熱いと聞いて興奮で呼吸が荒くなる。雪兎が蝋燭を傾け、ポタポタッと太腿に赤い斑点が出来上がる。
「熱っ! ぁ……? んー……いや、そこまで熱くない……熱いけど」
「融点五十度だからね。気付いちゃダメだろ? SMプレイにはイメージも大事だよ」
「ご、ごめんなさっ、ぁ、熱っ、でも熱いっ」
落ちてくるまでに少し冷えるとしても、五十度くらいだとすると……普段四十度くらいの風呂に入っているから、舌ならともかく肌がそれ以上の熱を受けることは稀だし、熱いのも当然だ。
「蝋燭なんだから熱いに決まってるだろ? 火傷しちゃったらごめんね。ほら、熱いよ、百度以上あるんじゃないかな? 火傷しちゃうよ」
ネタばらしをした後に思い込みを煽ろうとしても──あぁ、俺の脳は単純だ。ちょっと熱さが増した。
「ぁ、んっ……んんっ、熱っ、ユキ様ぁ……」
苦痛はそれほどないが、蝋燭プレイという有名なプレイで、視覚的にも責められていると分かりやすい。
強い刺激を与えずに俺を興奮させ続けるという雪兎の焦らしプレイの目的から考えれば、これほど合うアイテムは他にないだろう。
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