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夏休み
どっぐらん、さん
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ポチと名付けられ、食事は床で行い、雪兎の飼い犬として暮らしている。だが、それでも、俺の身体は人間だ。ドッグランに行っても何も出来ない。
「ドッグラン……ですか」
「ワンちゃんたくさんいるよ。お友達できるといいね」
何かの隠語だろうか? 特殊プレイ用の施設とか? だが、道具程度なら楽に揃えられるだろうし……一体何なんだ?
「若神子グループ的に将来付き合っていくことになるだろう同学部の人達とたまに話すんだけど、愛犬家が結構いてね。そのうちの一人が経営すらドッグランに遊びに行くって約束しちゃったんだよ」
「なるほど……?」
金持ちの社交界みたいなものか? 俺みたいなのを連れて行っていいのか?
「僕はその人達とお話するけど、ポチは気にせずワンちゃん達と遊んでてね」
ペットシッター的な役割を担わされるのだろうか。俺は犬として暮らしているが犬の扱いなんて何も知らない、不安だ。
車内ということもあって不安が拭い切れないままドッグランに着いてしまった。何の隠語でもなかったようで、本当にただのドッグランだ、広い芝生に遊具が点在している。
『こんにちはー、来たよー』
併設されているカフェに入ると既に数人の青年が席についており、雪兎は突然英語を話し始めた。
『若神子さん、久しぶり』
『来てくれて嬉しいよ、そちらの方は?』
ミスター若神子とか言ってる……俺もハローくらい言っておいた方がいいかな?
『彼が僕の愛犬……というていの恋人だよ。彼は英語が分からないし、分かっても僕達の会話には入れない。だから、今日は犬として……ね。君達は全員愛犬家だし』
俺を紹介している様子の雪兎がマイハニーとか言ってくれた。流石に犬として紹介したりはしないらしい。ドッグとかも頻繁に聞こえるけれど……分からない、英語を勉強するべきだろうか?
『ははっ、面白いね。犬種は何かな?』
『日本の雑種。君の犬と遊ばせてもいいかな?』
『うちの? あぁ、構わないよ。珍しい形の犬だから、噛んでしまったらすまないね』
何を話しているかさっぱりなので、カフェのテーブルや椅子に繋がれた犬を眺めることにした。ドーベルマンなどの大型犬からポメラニアンなどの小型犬まで、その大きさや姿は様々だ。
「ポチ、ワンちゃん達と遊んでいいってさ」
「はぁ……」
俺が気乗りしていないのを分かっているかのように、尻尾は揺れない。ランダムという俺の予想はハズレか? いや、きっと偶然だ。
『外で好きに遊ばせてこよう、俺達はコーヒーでも飲みながら話そうか』
「ポチ、犬は外で遊んで来いってさ」
「えぇ……クーラー効いた部屋から出たくないです……ユキ様のお傍に居たいですし」
「ダメ、遊んできて」
雪兎の側仕えが俺の将来の仕事とはいえ、十数匹の犬と共に外に出された瞬間、今日は家で待っていればよかったと本気で思った。
「ドッグラン……ですか」
「ワンちゃんたくさんいるよ。お友達できるといいね」
何かの隠語だろうか? 特殊プレイ用の施設とか? だが、道具程度なら楽に揃えられるだろうし……一体何なんだ?
「若神子グループ的に将来付き合っていくことになるだろう同学部の人達とたまに話すんだけど、愛犬家が結構いてね。そのうちの一人が経営すらドッグランに遊びに行くって約束しちゃったんだよ」
「なるほど……?」
金持ちの社交界みたいなものか? 俺みたいなのを連れて行っていいのか?
「僕はその人達とお話するけど、ポチは気にせずワンちゃん達と遊んでてね」
ペットシッター的な役割を担わされるのだろうか。俺は犬として暮らしているが犬の扱いなんて何も知らない、不安だ。
車内ということもあって不安が拭い切れないままドッグランに着いてしまった。何の隠語でもなかったようで、本当にただのドッグランだ、広い芝生に遊具が点在している。
『こんにちはー、来たよー』
併設されているカフェに入ると既に数人の青年が席についており、雪兎は突然英語を話し始めた。
『若神子さん、久しぶり』
『来てくれて嬉しいよ、そちらの方は?』
ミスター若神子とか言ってる……俺もハローくらい言っておいた方がいいかな?
『彼が僕の愛犬……というていの恋人だよ。彼は英語が分からないし、分かっても僕達の会話には入れない。だから、今日は犬として……ね。君達は全員愛犬家だし』
俺を紹介している様子の雪兎がマイハニーとか言ってくれた。流石に犬として紹介したりはしないらしい。ドッグとかも頻繁に聞こえるけれど……分からない、英語を勉強するべきだろうか?
『ははっ、面白いね。犬種は何かな?』
『日本の雑種。君の犬と遊ばせてもいいかな?』
『うちの? あぁ、構わないよ。珍しい形の犬だから、噛んでしまったらすまないね』
何を話しているかさっぱりなので、カフェのテーブルや椅子に繋がれた犬を眺めることにした。ドーベルマンなどの大型犬からポメラニアンなどの小型犬まで、その大きさや姿は様々だ。
「ポチ、ワンちゃん達と遊んでいいってさ」
「はぁ……」
俺が気乗りしていないのを分かっているかのように、尻尾は揺れない。ランダムという俺の予想はハズレか? いや、きっと偶然だ。
『外で好きに遊ばせてこよう、俺達はコーヒーでも飲みながら話そうか』
「ポチ、犬は外で遊んで来いってさ」
「えぇ……クーラー効いた部屋から出たくないです……ユキ様のお傍に居たいですし」
「ダメ、遊んできて」
雪兎の側仕えが俺の将来の仕事とはいえ、十数匹の犬と共に外に出された瞬間、今日は家で待っていればよかったと本気で思った。
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