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使用人体験

てんらんかい、じゅうに

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叔父を監禁する時用らしいベッドで目を覚ます。手枷に足枷が付いた嫌な見た目のベッドだったが、ぐっすり眠れた。

「ふぁぁ……ぁん? んだこれ」

首に何か巻き付いている。ほどいてみるとベルトだった、俺がしてきた物ではない。本革の上等そうなものだが、なんで俺の首に? 寝ぼけて巻いたのか? 記憶はないな。

「…………まぁいいや」

多分叔父か涼斗の物だろう。寝ぼけて部屋を出るまではしないだろうから、この部屋にあったものだろう。その辺に置いていこう。

「おーじーいー様っ、おはようございまーす」

布団から転がり出てパソコンの配線に絡まって眠っている祖父を起こし、朝支度を済ませた。

「涼斗さん、おはようございまーす」

「おはよう」

「おはようございます、すぐ朝ご飯作りますから待っていてくださいね」

祖父を抱えて朝食の調理風景を見させ、完成したら祖父を椅子まで運んで配膳を手伝い、手を合わせる。

「いただきます」

「はい、先に食べておいてください。凪さん起こしてきます」

「行ってらっしゃーい……一生起きてこなきゃいいのに」

「同、感」

「おじい様とはホント気が合いますねぇ」

トーストにハムにサラダにヨーグルトに……豪華な朝食だ、祖父を泊めたからだろうか? こんなに美味しい料理を作れる恋人に負担ばかりかけている叔父はやはりクズだな。

「おはよぉー……はぁっ、なんかだるい。涼斗さーん食べさせてくださいよぉ」

「もぉ……凪さんったら」

俺と祖父の視線なんて気にせずにイチャつく二人を見ているとイライラする。俺も雪風とはあんな感じに見えているのだろうか? 人前では控えないとな。

「ごちそうさまでした。おじい様、食器お下げしますね」

「あ、雪也くん。食器は水に漬けて置いておいてください。後でまとめて洗った方が楽なので、洗ってくれなくていいですよ」

「分かりました。おじい様、荷物まとめてきますね」

着替えなどを畳んで鞄に詰める。水などの買ったもの、除菌シートなどの使ったものも詰めていく。

「…………真尋」

「……っ!?」

背後から呼びかけられて慌てて振り向くと叔父が立っていた。雪風と声がそっくりな彼に真尋と呼ばれるのはとても腹立たしい。

「なんだよクソ野郎、何か用か」

「……昨日は悪かったね」

叔父が謝るようなことなんてあったか? なかなか家に入れてくれなかったり、イライラを与えられたりはしていたが、昨日は直接的な嫌がらせなどはなかった。俺が一方的に罵っていただけで、叔父から俺をからかうこともなかった……と思う、多分。

「……ごめんね」

「うわっ、何、触んな」

ぽんっと頭を撫でられたが、すぐに手を払った。

「本当に何……? 気持ち悪いぞ」

「……覚えてないの?」

「何が?」

「…………謝って損した! 可愛いとこもあるんだって、ちょっと歩み寄ってやろうと思ったのに、この鳥頭!」

叔父が何を言っているのか分からないが、俺は別に記憶の抜けを感じていない。叔父の妄言だろう。

「んだよ可愛いとこもあるって気持ち悪ぃ! 歩み寄ってやろうって何だよ上から目線かクソ野郎ふざけんな! てめぇが寄ってきたら全力で逃げるわ!」

叔父の妄言と決まれば悩む必要はない、ムカついたことに対して文句を言うだけだ。
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