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留学後の性活

あれていたおもいで

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養子になる前の記憶が曖昧だ、中学の頃のことなんて全く覚えていない。雪風曰く、俺は嫌な記憶に蓋をするのが得意らしい。中学の頃に嫌なことがあったのだろうか? まぁそんなことはどうでもいい、嫌でなかったことは覚えているのだから。

「仲がよろしかったんですか? 写真を見るに、そんな感じですけど」

写真の中の俺は俺に瓜二つの男児に肩車をしている。

「……仲、どうだったっけ」

記憶が蘇るのが遅い、会話に追いついてくれない。頭が痛い。

「…………あぁ、そうだ、思い出した。國行の親父を花瓶でぶん殴ったら國行に懐かれたんですよ」

「ちょっと何言ってるか分からないです」

「なんで分かんねぇんだよ、なーんて……ははっ、まぁ分かりませんよね? でも単純ですよ?」

法事の日、國行はまだ幼いのに大人しく正座をしていた。同年代の子供は読経中にも走り回っていたから印象的だった。

「國行がお茶こぼしたんです」

足が痺れていたのに無理にお茶を取りに行かされた國行は足をぐねってお茶を零した。お茶を取りに行かせた國行の父親は彼を着替えさせると言って廊下に連れ出し、折檻を始めた。

「……そげしたらあんクズ親父、國行蹴りやがった。えらしい國行が泣いちょった、やけん花瓶で…………すいません」

「ちょっと何言ってるかよく分かりませんでしたけど、助けてあげた感じなんですね」

「國行は弱っちくって、その割に目つき悪いからトラブルに巻き込まくって、見てらんないから助けたらどんどん俺に懐いて……本っ当、えらしい子……もぉ、しんけんえらしぃ子ぉで……」

思い出してきた。叔父の工場へ引き取られた後、両親の死から立ち直れずに塞ぎ込む俺をずっと心配してくれていた彼のことを、部屋に閉じこもる俺に食事を届けてくれた彼のことを、箸を持つ気力さえ失った俺に細かく切った食べ物を食べさせてくれた彼のことを──可愛い従弟のことを。

「…………父さん母さんが死んで悲しいからって、國行がしてくれたことまで、俺……忘れてた。今の今まで……全然、國行のこと考えてなかった」

久しぶりに会いたくなってきたな。

「國行……久しぶりに抱っこしてやりたいなぁ。ふふ、國行小さいんですよ、このくらいだったかな」

腕の中に収まる、雪兎よりも小さい従弟。

「ポチ様に似てるならデカくなったりするんじゃないですか? いつか身長追い抜かれるかも」

「まっさかぁ、國行本当に小さいんですよ? 写真見てくださいよ、これ……えーっと、九歳ですよ? ほーと小さいけん、こげなもんに追いつかれんて…………すいません、なんか懐かしいなーってなると敬語外れちゃって」

「え? い、いえ、お気になさらず」

従弟のおかげで元気が出た。そろそろ昼食の時間だし、部屋に戻ろう。


──雪兎が居なくても精神を安定させる方法がある、それはとてもいいことだ。可愛い従弟の存在はまた俺を救ってくれたのだ、両親を失った直後のように。
たとえ、使用人の言葉が俗に言うフラグになっていたとしても──
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