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蜘蛛の巣にかかる蝶

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射精直後の萎えた陰茎をインキュバス特有のうねる腸壁で勃たせ、半勃ちになったら腰を振る。射精直後の陰茎を責められる辛さは知っているが、カタラの精液の美味さの前にはそんな知識は塵に等しい。

「ぁんっ! んっ、突いてくんないけどぉっ、柔らかめのぬるぬる擦れんのもぉっ、しゅきっ、かもぉ」

「……っ、サクっ、サク! 俺はめちゃくちゃキツい! ちょっと止まってくれっ、マジで、マジでやばいっ、取れちまうって!」

「取れるほど締めてないよぉっ、カタラったら上手」

「お世辞とかじゃなくてっ……ぁあっ! クソっ、んんっ……なんっ、で、俺が、喘がなきゃっ、なんねぇんだよっ……はぁっ、ぁ……サクを、めちゃくちゃに喘がせてやろうとっ、思ってたのにぃっ」

快感に浸され、いつの間にか完全に勃っていたカタラの陰茎は俺の中でビクビクと痙攣している。射精したいのだろう、可愛い仕草だ。

「俺今すっごいインキュバスしてる……! んっ、あっ、あぁんっ! すぐっ、搾ってやるからなぁっ、カタラぁっ」

「止まれって言ってんだよ俺は!」

「やーだっ、ぁ、んっ、んんんっ……! カタラのっ、きもちぃもんっ、俺だっていっぱいイってるんだから、カタラもいっぱいイこっ?」

深海を思わせる青色の瞳に涙が滲んでいる。今の俺にはそれが可愛く思えて、カタラに見せつけるように自分の陰茎を情けなく振り回し、腰を激しく振った。

「あぁあっ、しゅごいぃっ! イくっ、イくイくっ……イくぅっ! カタラのきもちぃいぃっ……! ひ、ぃっ、んんっ、あぁあっ! イったばっかのとこっ、こしゅんのもイイよぉっ……!」

「……サクっ、俺もまたイきそうだ、けどっ! 今度こそ止まれよ!」

「イったばっかの擦るときもちぃのにぃ……んっ、ぁ、きたっ、きたぁ……はぁああんっ、おいし……さいこぉ」

「ふー……サク、一旦止まれよ? 抜くのは後でいいから、止まっておけよ」

この世に存在するありとあらゆる味の中で頂点を決めることがあれば、カタラの精液は頂点の座を確約されている。そんな美味を我慢することなんて出来るだろうか? 答えは否だ。

「……っ、おいっ、サク!」

「一桁以内なら誤差……」

「な訳あるか! ったく、仕方ねぇ、後で文句言うなよ!」

カタラは俺が精液の味に恍惚とするほんの僅かな時間を狙って練った魔力の糸を張り巡らせ、俺の身体の自由を奪った。

「あぇ……? 動かない」

「縛らせてもらったぜ」

「ひっ……!? ぁ、あっ、やだぁっ、抜いちゃやだっ……ん、んんっ、ぁあぁっ……!」

俺の意思に関係なく身体が宙に浮かび、萎えた陰茎を抜かれてしまった。

「はぁ……サク、一つ言っとくがな、俺はお前とのセックスが嫌な訳じゃないぜ。搾精されるのが嫌なだけだ、分かるか? ちゃんとコミュニケーションとして、愛を育む手段として、セックスしようぜ? 食事だけじゃなくてな」

浮いているという感覚も、糸に吊られているという感覚もあまりない。感覚的には何かに接しているのに視覚的には浮いているのだ。

「……まぁ、俺が美味くなり過ぎたり、事前に魔力ぶっ込んで発情させ過ぎたせいだよな、悪かったよ。ごめんな、サク」

「…………羽も動かないの気持ち悪いよ」

「あぁ、前よりも細くて丈夫な糸を作れるようになったから超細かい蜘蛛の巣みたいにしてサクを雁字搦めにしてみた」

「尻尾も揺らせないぃ……これやだ」

「ちょっと休憩させてくれ……」

カタラは一番体力がないかもしれない。いや、一番は流石に査定士かな? 俺を入れるとするなら間違いなく俺だが。

「お前よくイってるのにイくのやだーとか言ってるけどさ、今日は逆だったよな。実は好きなのか? 今日だけそういう気分?」

「んー……? イってる時にイかされると、イくの終わんなくなってずっと頭ふわふわしたり、身体が気持ちいいビリビリから逃げられなくなったりするんだけど……えっと……意識が飛んじゃいそうな感覚とか、身体が勝手にビクビク震えて思うように動かなくなるのとか、そういうのが怖くて嫌だって言ってる、かな?」

「結構自分で分析出来てるもんなんだな。気持ちいいのはいいけど、怖いってか。なるほどな。で、今日はなんで? 優位取れてたから?」

「……理性飛んでたから? さっきからじわじわ戻ってきてて……今すっごく恥ずかしい」

顔に熱を感じる。赤くなっているのだろう。カタラは俺の理性が戻っていることを確認してクスッと笑うと糸を消し、俺をベッドの上に落とした。

「はぁー……! 身体が動くぅ……!」

「なるほど、理性ね。最初に入れたのが原因か? 俺が美味すぎたから?」

「どっちもかな、カタラは理性ある俺の方がいい?」

「どんなサクでも好きだけど……そういう話じゃねぇよな、気分によるかな。話したい時もとにかくヤりたい時もあるだろ」

今は理性がある方がいいとでも言いたいのか、休憩を終えたカタラは俺の腰を抱き寄せた。

「理性飛ばなきゃイきまくんのは嫌か?」

「今自体が尋問みたいで嫌……イくのは別に嫌じゃないよ、嫌嫌言ってるのにされちゃうってのも好きってカタラ知ってるだろ。ぁ……アルマみたいに、トンじゃいそうって言ったらぎゅーってしてくれて、どこにも行かせないぞってオーラを出してくれたら、安心してイきまくれるかも」

「腕鍛えようかな……」

「そ、そんなことしなくてもイきまくってたら理性飛ぶから……カタラの腕はこのままがいいな」

腰を抱いてくれているカタラの腕に尻尾を絡め、もう片方の腕に手を伸ばす。俺の求めを察したカタラは苦笑いを浮かべ、俺に両腕とも寄越してくれた。

「……俺の手、好きか?」

「うん、細めなんだけど鍛えてるの分かるんだよ。ちょっと力入れると筋浮くだろ? これカッコいい」

「サクは腕ふにふにだもんなぁ」

「インキュバスは肉体が変化しないんだよ、鍛えても変わんないんだから仕方ないだろ」

「変わるとしたら鍛えるか?」

首を横に振るとカタラはくすくすと笑いながら俺を押し倒し、覆い被さって両手で頬を撫でた。

「……もう一回する?」

「んー……俺って体力ねぇんだなぁ、昼間もうちょい休めばよかった。今日はもう無理、ごめんな。朝までこうやってダラダラ過ごすのは嫌か?」

「ううん……すごくいい」

カタラの首に腕を絡め、どちらともなく唇を重ねる。カタラの舌に舌を巻き付けてやると、離した瞬間仕返しのように上顎を舐められてくぐもった声が漏れた。

「ん、んんっ……はぁっ、もぉ……ダラダラ過ごすんだろ?」

「サクが先に俺の舌ぐるぐる巻きにしたからだ」

頬を撫でていた右手が首を辿って胸や脇腹を過ぎ、ベッドと尻の隙間に入り込んだ。そして力任せに尻肉を揉みしだき、俺の後孔を疼かせた。

「ひゃんっ……! ちょっと、お尻っ、ダラダラ過ごすって言ったのに嘘つき!」

「ダラダラにサクの尻は大事なんだよ。やわっこくて手に吸い付いてきて、めちゃくちゃ癒されるんだからな」

「んゃあっ……両手で揉むなぁっ、カタラは癒されても俺はムラムラするんだからなっ」

「尻揉まれただけで欲しくなっちまうのか? エロい身体してんなぁ」

「お前らが毎日毎日必死に開発したからな! んっ……だからっ、揉むなら……中もしてくんないとぉ……お尻、切ないよ。カタラぁ……」

攻め方の方向性を変えようと、尻を揉みしだかれている快感を利用して消え入るような声を出した。すると──

「それ、欲しい……」

──太腿に硬くなった陰茎が触れるのだから、カタラも大概単純だ。
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