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眠る義姉の隣で

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オーガの集落は水道設備が整っていない。集落に三つほどあるらしい井戸から水を汲み、家まで運ぶ。そんな手間のかかった水を使うのははばかられ、俺は夕飯が終わった後、手足の汚れを玄関で払い落とすのに留めようとした。

「サク? あぁ……焼き魚の汚れか。姉さん、布巾を貸してくれ」

「汚れてるのね? いらっしゃい」

姉は小さなタオルのようなものを濡らして手を拭いていた。アルマに軽く背を押され、姉の方へ。

「アルマに食べさせてあげて汚れちゃったのね、可愛い……ふふ、手出して」

やっぱり子供扱いだ。姉に手を差し出すと彼女は俺の手をそっと掴み、手のひらに濡れタオルを押し当て、拭った。しかし一度では汚れは完全には取れない。

「魚の油がしつこい……」

姉はゴシゴシと俺の手のひらを拭う。オーガの分厚くザラついた肌用のゴワゴワしたタオルはインキュバスの柔く脆い肌には合わず、あまり擦られると痛みを覚える。

「姉さん、あまり擦るな……サクは脆いから怪我になる」

「もー、心配し過ぎだよアルマ、ちょっと痛いけど流石に何ともないって」

「そうね、様子を見つつ……きゃっ!?」

拭くのをやめて俺の手のひらを見た姉は驚き、タオルを落とした。俺の手を拭いていた面は真っ赤に染まっていた。

「……え?」

強く肌を擦り続けるとジンジンと痺れ、感覚が薄れる。タオルで首などを擦り過ぎて後からヒリヒリ痛んだという経験を子供の頃にする人は多いだろう。

「サクっ!?」

ずるんと手のひらの皮膚が剥けていた。けれど、見るまで気付かなかった。見るとヒリヒリズキズキ痛んできた、痛覚もなかなか雑なところがある。

「サク、大丈夫か? 再生できるか?」

「……うん」

「嘘、嘘、ごめんなさいっ……そんな、だって私拭いただけ……」

腹が減っているせいか再生が遅い。再生に魔力を使うせいか目眩もする。婚姻の呪のおかげで死なない程度にアルマから自動的に魔力を吸い取れるのだが、本当に死なない程度だから飢餓状態には陥る。

「だからあまり擦るなと言ったんだ! サクはインキュバスなんだ、肌も骨も俺達よりずっと脆いんだ、獲物の皮を剥ぐ時よりも慎重にならなければ行けないんだ!」

「アルマ、アルマ! お姉さん怒るのやめて! お姉さんは拭いてくれただけだよ、事故なんだから」

「きちんと言っておかないとまた怪我を負わされるぞ、どうせ治るし文句も言われないからと雑になっていくんだ」

「アルマ! お姉さんにそんな言い方ダメ!」

アルマは姉を言葉で責めるのはやめたが、その視線は厳しいままだ。姉は目を逸らして小さな声で再び謝り、また嫌な空気が流れる。

「……再生が遅くないか?」

「そ、そんなことないよ……擦れてぐちゃってなってるから、見た目より複雑な怪我なんだよ。だからそう思うだけかも」

「…………ならいいんだが」

「うん……すぐ治すから。もう……寝よ、ね?」

手を背に隠して笑顔を作り、二人に提案する。落ち込んだままの二人は頷いた。

「一人分しかないからサクちゃん寝て。床で寝たら身体痛めそうだし」

「……だがこれはオーガ用の寝具だろう。この毛皮……毛が硬くはないか? サクの肌には刺さるかもしれない」

「え……これでもダメ? じゃあどうしよう……」

「俺が敷き布団になる、そう寒くはないし掛け布団はいらないだろう」

「そう? じゃあ……私はいつも通り寝るけど」

「それでいい」

寝支度を整える姉に背を向けたアルマの指を引っ張り、着せられた服の裾をめくり上げる。

「アルマ、俺……足も汚れてるの忘れてた」

俺が今着ているのはアルマの子供の頃の服なのだが、それでも大き過ぎてワンピースのようになるのだ。足の可動域を狭めるスカート状のものは好きではない、アルマの膝に乗せてもらっている間俺は性器露出ギリギリまで服をめくり上げていて、アルマの食べカスで汚れたのは太腿だった。

「……分かった。綺麗にしてやる。少し待ってくれるか?」

「うん……? 分かった」

寝支度を整えた姉が灯りを消し、アルマはその近くの床に胡座をかいた。俺はアルマの前に立ち、アルマの指示を待った。

「ねぇ、アルマ」

「しー……静かに。姉さんはもう眠るんだ」

「ぁ、うん……」

「……ちゃんと綺麗にしてやるから」

アルマの大きな手が腰と太腿を掴んで引き寄せる。心臓の鼓動が早まるのを感じつつ、アルマのこれからの行為を察して服をめくり上げる。

「……っ、ひ……!」

温かく柔らかくぬめった弾力のあるモノが太腿を這い回る。アルマの舌だ。彼は分厚い舌で自身の食べカスを舐め取ろうとしているのだ。

「んっ……くす、ぐったい……」

「…………サク、しー……」

「ぅうぅ……!」

アルマの舌の粒が肌を擦る。魚の油のベタつきを唾液によるものへと変えていく。

「んっ、ふ……ぅう……」

ただ汚れを綺麗にしてもらっているだけなのに、声が出てしまう。空腹なのも重なって欲情しやすくなっているのに唾液を肌に塗り込まれては、勃ってしまう。

「んっ……ん、ぅ……」

必死に口を塞ぐ。どんなに外が大雨でうるさくても、インキュバスの優れた聴覚はアルマの静かな舌と唾液の音を拾う。

「……サク」

「ん……?」

「綺麗になったよ」

もう眠るのか? もう俺の陰茎は勃ってしまっている。これ以上舐められてもどうにもならないけれど、勃ったままでは眠れない。

「後ろを向いて」

「え……? な、なんで……?」

「……いいから」

アルマの力に逆らえる訳もなく、あっさり引っくり返される。

「……もっと服をめくって。もっと、もっと……もう少し。そう……それでいい」

尻を丸出しにさせられて鼓動が騒がしくなっていく。アルマの姉が、義姉がすぐ隣で眠っているのに、俺は勃った陰茎と尻を丸出しにしているのだ。そう意識すると体温がどんどん上がった。

「ひぁっ……!?」

「しー……静かに」

大きな手に尻肉を鷲掴みにされて後孔を拡げられ、飢餓感がむくむくと膨らんだ。

「ひっ……んっ、んんっ……!」

アルマの舌が後孔にぴとりと触れ、ゆっくりと擦り、皺一本一本に丹念に唾液を塗り込み始めた。俺は両手で口を強く押さえ、声が漏れてしまうのを防ごうとした。

「くっ……ふ、ぅうんっ……!」

どれだけ口を塞いでもくぐもった声が出てしまう。息を自力でずっと止めていることは出来ないし、解放された瞬間に大声を出しそうだ。

「んぁっ……!」

分厚い舌が後孔にねじ込まれた。汚いからダメだなんて排泄をしないインキュバスが言っても仕方ないし、本当に汚くてもアルマは聞く耳を持ちそうにない。

「ぁ、ふっ……は、うぅ……」

人間の平均の陰茎サイズはあるだろう舌が後孔の中で別の生き物のようにうねる。腸壁をこねられて足が震える。

「……サク、座って」

俺の腰が抜けそうなことに気付いたのか、アルマはそう提案してくれた。胡座をかいたアルマの膝の上に腰を下ろすと、アルマは早速俺の足の間に手を伸ばした。

「ア、アルマっ……横で、お姉さん寝てる」

「……一人で城に泊まって腹が減っていたろう? 気付いてやれなくてすまなかったな」

「ダメっ、そこは、もぉ……取り返しつかなくなっちゃう」

舌でほぐされた後孔にアルマの指が押し付けられ、俺は下腹をきゅんきゅんと疼かせながらも必死に首を横に振った。指を挿入されたらもう、中出ししてもらえるまで俺は止まれなくなる。

「だめぇ……んっ、ぁ、ああっ……ぁ、んむっ……! んっ、んんんっ!」

太くごつごつとした指が後孔に入る。大きな舌が口内を埋めて嬌声を止める。

「んっ、んんっ……! ん、ん……」

ぎゅうぎゅうとアルマの指を締め付けながら、俺の思考回路はどうやってアルマを止めるかではなくどうヤれば姉にバレないかを考えるように急速に変化していった。
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