上 下
488 / 604

駆け付け三発

しおりを挟む
木にもたれて足を軽く開き、アルマの腕を掴んで引っ張り、足の間に手を導いた。俺と目線を近付けるために背を曲げたアルマの顔は俺の顔の真横にある。熱い吐息が頬にかかる。

「アルマ……ん……んっ、んん」

短く切って先も丸めた可愛らしい角。そんな角を木の幹にめり込ませたアルマに顔の角度を合わせ、再び唇を重ねる。

「んっ、んぅう……!」

自然公園に着いてすぐに尻尾を出す穴の真下にある留め具を外しておいた。布がぺろんとめくれて露出している尻にアルマの指が触れた。期待で彼の腕を掴む手の力を強めてしまう。

「んっ、ふ、ぁあ……アルマぁ」

「サク、サク……サク、あまり俺を怒らせないでくれ」

唇が離れるとアルマは俺の尻肉をむにむにと弄びながら呟いた。

「竜に無理矢理犯されたと……それだけでいい、詳細なんて話すな。愛しい妻が人型ですらない他の雄にめちゃくちゃにされた姿が脳裏に浮かぶ、もう……気が狂いそうだ」

こつ、こつ、と優しく額をぶつけながら金色の瞳を潤ませて、いつも以上に低い声で唸るように話す。
本人も言っている通りアルマは怒っている、そしてその感情を態度に出さないように頑張ってくれている。大柄な自分の態度が悪いと脆い俺が怯えると思っているのだろう、その通りなのだが、俺は怒っているアルマが好きだ。

「ごめんね、アルマ」

「……サクが謝ることなんて何もない、悪いのはあのドラゴンと……サクにこんなことを言わせた俺だ」

怒りや欲情で理性を飛ばしたアルマは雄の本能を剥き出しにする。そんなアルマに抱かれるのが好きだ、この趣味はきっとインキュバスの搾精本能から来るものなのだろう、本能的に犯した方が相手を孕ませるためのいい精子が出るに決まっている。

「違うの、アルマ……俺、アルマが怒ってくれますようにって、ドラゴンにどんなふうにされたか言ったの……」

「……っ、またか。サク……お前は時々そういうことをするな」

「ごめんね……? でも、怒ってるアルマかっこいいからぁ……嫉妬してる顔好きなの、イラついてる雰囲気最高なのっ……ねぇアルマ、アルマぁ、ごめんね? 許して?」

「サクには怒っていないよ……」

ネタばらしが早かったか、呆れが勝って怒りが薄れてしまった。俺がこのパターンを使い過ぎたせいもあるかもしれない。

「でもドラゴンには怒ってるんだろ? 俺に八つ当たりしてよ」

「な、何を言っている、そんなことっ……!」

「俺のここめちゃくちゃに突いてぇ……?」

「…………っ、サク、淫らが過ぎるぞ! 全く……いくらインキュバスだからって、もう少し貞淑にだな……」

「勃ってるくせにぃ……本当に貞淑にして欲しいの?」

陰茎に触れるとアルマは力強いため息をつき、中指を一気に挿入してきた。

「ぁゔんっ……! んぁあっ、太いっ、ごつごつしてるぅ……はぁあんっ、アルマの指、指好きぃっ」

「確認するぞサク、俺に怒って欲しいんだな? 怖がらないな? 怒りを抑えなくていいんだな?」

「俺のここに全部ぶつけてっ、旦那様ぁ」

久しぶりの再会だからだろうか、寂しさの反動だろうか、俺は自分でも驚くほど淫らになっていた。

「あぁ……この嫉妬と怒りはサクの可愛い声と顔で治めてもらおうか」

「うん、うんっ、いっぱいイかせて、イキ顔いっぱい見てぇ……んぁっ! ぁあんっ! んんぅっ、ぐちゅぐちゅ好きぃっ、ひっ、ぁ、あぁんっ!」

「触れる前からぐしょ濡れだったな。確かに……ぐちゅぐちゅと鳴ってる、匂いもすごいな」

「んっ、んんんぅっ! ぅあっ、あぁっ、は、アルマとするって、考えただけでぇっ、濡れちゃう、ぁ、イっちゃうっ、もぉイっちゃうぅっ! アルマ見ててっ、顔見ててぇっ!」

いつもは行為中だろうと僅かに羞恥心を残していたが、今はもう欠片もない。アルマの首の後ろで手を組んでぶら下がるようにし、彼の望み通りに絶頂の瞬間の顔を見せてやった。

「……っ、ぁ、あぁっ……えへ、へへへ、アルマぁ、早速一回目」

「いい顔だったな、もう一度見たい」

「んぁあっ!? 今イったばっかでっ、ゃ、敏感なのにぃっ、しょんなっ、おんなじとこぉっ、ぉ、あっ、ゃ、あぁあっ! イくっ、しょこイくぅうっ!」

「……そんなにこのしこりは気持ちいいのか?」

二連続の絶頂直後で酷く敏感になっているのに、アルマは興奮で張っている前立腺を再びコリコリと責めた。

「ぁうぅうんっ! んっ、んんん、ん……いい、よぉ。きも、ひぃ……しゅごくいい……」

「そんな蕩けた顔をして……あぁ、サク、可愛いな、あの日檻で出会った時から愛おしさが増すばかりだ。何に犯されたってサクの魅力は損なわれない、罪滅ぼしのように俺に乱暴さを求めなくていいんだよ」

「んっ、あぁあ……ぁ、アルマっ、ちょっと……」

「ん? 何だ? 言いたいことでもあるのか?」

俺の絶頂を見て少し気が晴れたらしいアルマは笑顔で俺の話を聞いてくれる。その股間は大きく膨れており、話すのが憂鬱になった。

「今、そういえばってなったんだけど……その、俺……ドラゴンに犯されて、また卵産めるようになっちゃったから…………その、入れるのは、だめ。指だけ……俺もここっ、手とか口とかでしたげるから、その……ごめんね?」

「…………これを入れるなということか?」

アルマは露出させた陰茎を俺の腹に押し付ける。はだけるまでもなく俺のシャツは腹を隠すほどの丈はない、素肌に熱と硬さが伝わる。

「うん……ネメシスとかシャルに相談して、避妊方法考えてみるから……それまで、本番はなし。前のは知らなかったから仕方ないし、ちゃんと育ってくれたからよかったけど……無計画に赤ちゃん産んだらダメだから」

今後も子供を産むとしても自分達の島に帰ってからだ、今後同僚となる他の魔王の島で出産なんて……なんか気まずい。

「誘っておいてごめんね。でもっ、俺インキュバスだし、手コキもフェラも一流だよっ。だから……」

「……他の男の名前を出すな、今ここには俺しか居ないんだ」

「…………アルマ?」

「入れるなだって? 冗談じゃない、お前の腹にあの図体だけデカいクズの精液を染み込ませたままにしておけと? ふざけるな、お前は俺の妻だ。お前がさせていいのは俺の匂いだけだ」

「アルマ……」

笑う時にだって意識して隠している牙が見えている。金色の瞳が捕食者の光を宿している。

「だ、だめだよぉ……赤ちゃんできちゃうから……ほんとに、だめ……」

いや、もうデキたな。卵は俺が孕みたいと思えば勝手に有精卵になるんだ、思う直前に誰かの精液があればそれが混じり、なければ俺の魔力だけで生成される。

「そんな目で見ないでよアルマぁ……孕んじゃうじゃんっ……!」

目を合わせただけで妊娠する生き物になってしまった。早いところ避妊の方法を見つけないと、俺の周りはドラゴンだらけになってしまう。とりあえず子供は二人くらい増えるかな?

「何故嫌がる、爬虫類臭いままがいいのか? 誰の妻か忘れているようだな」

右太腿を掴まれて無理矢理右足を上げさせられる。柔軟なインキュバスの股関節は人間の可動域を超え、本物のI字バランスにさせられた。

「ぁん……アルマ、擦り付けちゃだめ……お腹きゅんきゅんするぅ……ぅ、あっ、ぁあああっ! おっ、き、ひぃいんっ!」

片足立ちで抱かれるのかと思ったが、挿入が半分ほど済むとアルマは俺の胴に手を移し、背を伸ばして俺を軽々と持ち上げて駅弁の姿勢にしてしまった。

「ぁ、ひぃいっ……!? まだっ、ありゅうっ……! んぁあっ、ぁあっ、奥っ、ごちゅって……ひぁっあぁああっ!? ぬけてくっ、んゃあっ、おひりめくれりゅぅうっ! ぅあっあぁんっ!? また奥っ、ぅあっ……!」

「……なぁサク。ドラゴンに抱かれた時もそうやって声を上げてやったのか? 向こうの方が大きかったんだろ? でも俺の方が硬いんだよな。どっちの方がよかった?」

「ありゅまっ、ありゅまらからぁああっ! ぁひっ、ひぃっ、はやいよぉおっ! もっ、おしりどぉにかなってりゅうっ!」

「変わっていないさ、可愛いお尻のままだよ」

挿入禁止を告げた時からキレているくせに、俺の予想に反して見た感じは冷静なままだ。けれどどこかただならぬ雰囲気があり、俺の当初の目的だけは達成された。
しおりを挟む
感想 156

あなたにおすすめの小説

どうやら俺は悪役令息らしい🤔

osero
BL
俺は第2王子のことが好きで、嫉妬から編入生をいじめている悪役令息らしい。 でもぶっちゃけ俺、第2王子のこと知らないんだよなー

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
────妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの高校一年生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の主人公への好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

処理中です...