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精霊使いとは何なのか

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俺の頭の上に浮かんだ十字の棒二つ、そこから伸びた糸、カタラが手に持つ細い棒、全て半透明だ。

「……カタラは魔力の実体化あんまり上手くないんだよな」

「あぁ、お前の弟の方が上手い。見れば分かるだろ? 俺の作るのはぼんやりしてて、シャルのはハッキリしてる」

細い棒の先端が亀頭に触れそうで触れない。

「俺、魔力がどうとかってよく分からなくて」

挿入される未来を妄想し、鈴口がヒクつく。尿道が疼く。

「俺は魔力の人格と会話して協力してもらうスタイルだから、自然や他人に存在する魔力も操れるんだ。シャルは完全に魔力を食っちまって自分のものにして操るから強いんだな」

「えっと……つまり、カタラはシャルみたいにガス欠しない?」

「分かってんじゃん。ま、人格と会話するにも集中力が居るから……あんまやり過ぎると鼻血出たりするぞ」

俺の手首に巻きついた糸はたわんでおり、俺はまだ手を自由に動かせる。そっとカタラの銀髪に触れ、目を隠しそうな前髪をかきあげる。

「…………なんだ? カタラさんのおでこ見たいのか?」

「狭くて可愛いな」

綺麗な富士額だ。つるんとした額を親指で撫で、銀色の眉に指を下ろす。細いがハッキリとしていて、銀色だが肌が白いからよく目立つ。いつもは髪に隠れているから眉の表情が分かるのは新鮮だ。

「……あのさ、アルマのことなんだけど」

「これからヤるってのに他の男の話か。いいぜ、なんだよ」

眉頭が僅かに下がる、苛立っているらしい。

「アルマ……今、檻の中に閉じ込められてた頃より髪伸びてるんだよ。アルマを捕まえてたあの爺さん、頻繁にアルマの髪切ってたのかな」

「あぁ、オーガって栄養状態悪いと冬眠みたいな感じで身体が不活性化するらしいぞ。それじゃないか?」

「へぇ……? よく分かんないけど。あ、俺とシャル全然髪伸びないのなんで?」

「インキュバスは見た目変わんねぇだろ。髪型変えたいのか? 魔力弄れば何とかなると思うけど……」

やはり魔物の生態はよく分からない、この辺りは転生者の不利なところだな。前世の常識が邪魔をしている。

「そういうわけじゃないんだ。ただ……ずっとこの部屋に居たら暇だろうし、髪いじって遊べないかなーって。カタラ、もうちょっと伸びたら三つ編みしてやるよ」

「三つ編みね……ま、好きにしろよ。でもお前は暇にはならないんじゃないか? サクには何をどれだけやっても飽きが来ないしさー?」

細い棒の先端が亀頭に触れる。ピクっと腰を跳ねさせると糸が張った。

「カ、カタラ……? 動けなくなったんだけど」

両手は頭の上、足は軽く開いて、背筋を伸ばして立った姿勢で固定される。手を動かそうとしても糸が巻きついた箇所が痛むこともない。

「どうなってるんだよ……上から吊られてるなら手が下がらないのは分かるけど、足が上がらないのはおかしいだろ」

「お前の魔力に干渉してるからな、物理的に拘束してるわけじゃないんだよ」

「また難しいこと言う……」

「難しくねぇよ、サクはこれから少しも動けずに俺に鳴かされるってだけ」

棒の先端が鈴口に触れる。しかし挿入はせずにつぅっと通り過ぎ、カリ首をなぞる。

「……っ、するなら早くしてくれよ」

「早くして欲しいならおねだりしてみろよ」

先走りの汁が出ているのはきっと、尿道を犯してもらうための潤滑油としてだ。俺のをどこかに挿入するための潤滑油ではない。

「しっ、しない! そこ、入れるとこなんかじゃないし……」

アルマとのセックスの時に覚醒させられたインキュバスの本能はもうぐっすり眠っている。尿道を棒で犯して欲しいだなんて言えない。

「ふーん? でも、見てみろよ。入れて欲しそうだぞ?」

尿道口はパクパクと開き、閉じ、蜜を垂らして棒をねだっている。まるで餌を欲しがる雛のようだ。

「こっちの口は素直なのになー? 上のお口は随分強情だ」

カタラの手から細い棒が消え、俺の口が勝手に開く。カタラの前に膝をつかされ、大きく開けた口に彼の指が入れられる。

「ん、んぅうっ……!」

「……先に上のお口を構ってやらないとダメなのか? 構って欲しくて拗ねてたんだな?」

「んんぅっ!」

無理矢理口を開けさせられているのに、どこにも掴まれている感覚なんてなくて、少しの痛みもない。自分の意思ではないのに自分で口を開けている、そして全く動かせず、いや、動かさずにカタラの指を受け入れている。

「ん、んっ、ぅぅっ……!」

前世にはなかった魔力という謎の概念を使って身体を支配されている恐怖と違和感に、口内を弄ばれる快感が重なる。

「どうよサクちゃん。お口気持ちぃ?」

「んっ……ふ、ぁあっ! ぁ、はぁっ……はぁ……か、ぁ、らぁ……」

指が抜けて舌だけが自由に動くようになる。けれど、カタラの名前すら呼べない。

「口開けっぱなしじゃ喋れないか。俺の名前全部母音アなんだし何とかならない? ならねぇか」

「ぁ、あぅぅ……ぁ、あ……んぅぅっ!」

喋れないながらも抗議していると再び指が入ってくる。頬の内側を撫で、奥歯を引っ掻き、歯茎をなぞられる。

「ん……! んっ、ん、ふ……ぁっ、あぁっ……!」

優しく、優しく、口内を弄り回される。歯以外には決して爪を立てず、俺の唾液を絡めた指の穏やかな侵略が気持ちいい。

「顔とろけてきたな、よくなってきたか? こんなに涎垂らしてちゃ脱水にならないか心配だな、下もすごいし」

頬の内側を弄ばれるとくちゅくちゅと音が鳴る。柔らかい内壁に触れられる感覚は後孔を弄られている時とよく似ていて、音もそっくりで、羨ましがる後孔の潤滑油の分泌まで激しくなる。

「ふ、ぅっ……ぅううっ!」

口から垂れて喉をつたい胸まで濡らしていく唾液も、後孔から垂れて足をつたい床に水たまりを作る腸液も、鈴口から溢れて陰茎と陰嚢を濡らす先走りの汁も、何もかも恥ずかしくて仕方ない。

「……顔真っ赤。何、恥ずかしい?」

色んな穴から溢れていく体液は俺の淫らさを象徴している。男に抱かれるのを好む淫乱なインキュバスだという自覚はあるが、目に見える証拠はまだ認めたくない。

「すっごい欲しがってるみたいだし、扱いてやるよ」

ようやく快楽を与えられる。しかし、射精出来ないのに扱かれても──でも、強い刺激が欲しい。
期待した陰茎がピクピク震える様を見ながらカタラは俺の舌をつまみ、引っ張り出した。舌の先端に糸が巻きついて舌を突き出したまま固定される。

「ふっ……!? ぅーっ! んぅーっ!」

「扱いてやるってば。ほら」

長い舌がカタラの指に挟まれる。陰茎にするように舌を扱かれ、ちゅこちゅこと音が鳴る。

「……舌、気持ちいいか?」

くすぐったい、気持ちいい、もう少し強くつまんで欲しい。そう伝えたくても言葉は紡げない。

「イくまでやってやるよ」

舌は確かに気持ちいいけれど、扱く力が弱くて絶頂にはほど遠い。無理だと示す声を上げる度にカタラは楽しそうな笑みを深くし、さらに焦らすように指先の力を弱めた。
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