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お触りメインのストリップショー

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泣いて、笑って、そんな俺にみんな呆れずに構ってくれる。彼らからの愛情を実感するほどに死にたくなくなって、生きていたくなって、自分の罪を忘れていく。

「……やっと役に立てると思ったんだ。ずっとみんなに守られてるの、なんか、申し訳なくて」

一通り笑って落ち着いたみんなはベッドに腰掛けた俺の話を静かに聞いてくれる。前世では俺の話を聞く奴なんて居なかった、この空間は心地よくて仕方ない。

「…………でも結局捕まっちゃって。ダメだな、俺……一人で何かしようとしたらいっつもこうだ」

自分を蔑んでも慰められるだけ、そんな構って欲しいだけのような子供っぽい真似はしたくない。俺に声をかけようとしたみんなを静止し、話を続けた。

「なぁ、ネメスィ、カタラ……最初さ、俺が宿屋から居なくなったことあっただろ?」

「宿屋の主人がお前を王都に売り飛ばした時のことか」

「あのクソジジイ今思い出してもムカつく……もっかい殴ってやりたいな」

「……私、ちょっと悪い取引しちゃったんだよねぇ」

気恥しそうに笑う査定士は椅子に座っており、その膝にはシャルが乗っている。シャルは査定士の首に片腕を絡めたまま、もう片方の手を軽く挙げて言った。

「あ、その人なら多分殺しました」

何の話か分かっていないアルマ以外、全員が硬直する。

「兄さんを追って、兄さんの匂いがする奴を全員殺してきたんです。スライムとか、宿屋の人とか……ぁ、珍しいので言えば森でオーガを殺しましたよ。首取っても動くものですから苦戦しました」

「オーガ……? まさか、アイツか……?」

「お義兄さんの知り合いだったんですか? すいません、兄さんの匂いがして……殺さなきゃって思ったんで殺しちゃいました」

俺の匂いだしたから殺さなきゃって思った……? いや、省略しただけだろう。シャルはいい子なんだ。

「えっと、話戻すな? あの宿屋でさらわれた件……俺な、あの宿屋の主人に割引するって嘘つかれて、ネメスィ達のために聞いておかなきゃって思ったから部屋出ちゃったんだ。それで乱暴されて……インキュバスだってバレて、売られたんだ」

「…………そうだったのか」

「うん……二人のために、なんかしないとって思って……アルマ、さっき言ってたオーガのやつもそうなんだ。アルマのお姉さんに水汲み頼まれて、絶対一人じゃ無理だって思ったけど……お嫁さんになったんだから何かしなきゃって、それで……手伝うって言われて。俺……」

「……サク。泣かないで」

「俺のせいで、アルマ……故郷に帰れなくなっちゃった。アルマ、お姉さんも居たのに、俺がバカだったから……いっつもそうだ。シャルは俺のために酷いことしたのに、そのことで罵って、泣かせたのに逃げてっ…………俺、バカで、間抜けで、ろくに警戒もできなくてっ……!」

「いいんだよ、サク。こうしてサクと居るだけで俺は幸せだ。自分を責めないで」

また泣いてしまった。またみんなに慰めさせてしまった。申し訳なくて仕方ない、役に立ちたくてうずうずする、みんなのために俺が出来ることはないだろうか。

「ごめん……泣いてばっかで、ウザいよな。みんな……みんなは俺に「居るだけでいい」とか言ってくれるけど、俺それだけじゃ嫌だ。みんなの役に立ちたい、みんなを喜ばせたいんだ……でも俺、唯一の特技のセックス使ってもスパイも出来ない。何が出来るのかな俺って……何すればいいかな、何すればみんな喜んでくれる?」

みんなは顔を見合わせ、査定士を除いた全員で意地の悪い笑顔を浮かべあった。

「サク、分かってるだろ? 俺達が何に喜ぶか」

「そうだな、カタラ。何が特技かは分かっているらしいし」

「……妻だからな、複雑な気分だが。最近サクに会えていないし、みんな飢えているよ、サク」

「その可愛い服の裾をたくし上げてください、兄さん」

査定士の膝の上でくつろぐシャルの言う通り、ワンピースの裾を掴んで持ち上げた。

「サク、その下着は」

「……王様が用意したやつ」

腰と太腿にベルトを巻き、それらを繋ぐ布一枚で陰嚢と陰茎だけを包んで尻を丸出しにした下着。前世で言えばジョックストラップに近いが、あれはスポーツ用だ。俺が履かされたのは明らかに性的なもの、前を包む布からは「普通の下着っぽいのに尻が出てるギャップを作ればいいんだろ」みたいなやる気のなさを感じる。

「…………それを履かされて、何をされた?」

大きな赤い手が俺の太腿を簡単に掴む。ゾクッと身体が悦ぶのを感じつつ、鋭くなった金眼を見つめ返した。

「ちょっとお尻揉まれただけだよ、アルマ……」

「……ちょっと?」

鋭い爪が生えた指が爪を俺に触れさせないように反り返って尻肉を押さえる。

「う、うん……本当にちょっとだけ、前も、ちょっと……撫でられただけ」

「…………王以外には?」

「へ……?」

「……兵士共にまた輪姦まわされなかったかと聞いている」

アルマの瞳からも声色からも苛立ちが伝わる。俺は怒って雄らしさを増したアルマに萌え、性器を僅かに膨らませた。

「えっと、兵士には……ひぁっ!?」

突然後ろから尻と太腿の境を撫でられ、驚いて振り向くとカタラが屈んでいた。

「……この下着すごいな、すっげぇエロい」

「確かに……」

「お前は来んな! お前のせいでサクが酷い目に遭ったんだからな!」

「カタラ、ネメスィに意地悪しないでやってくれよ、俺が無茶言ったんだってば……」

ネメスィといがみ合うカタラをなだめていると布に包まれた陰茎を指先で撫で上げられた。

「兄さん、勃たせてますね。みんなに見られたからですか? お尻触ってもらえて嬉しかったんですか?」

「シャルぅ……」

「兄さん、手は裾を掴んだままでお願いします」

「サク、俺と離れた間誰にどう抱かれたか説明してくれ」

スカートをたくし上げたまま下を見て、下半身を撫で回す愛おしい男達を眺める。

「ぁ、ぅ……ま、まずっ……店に行く前に、巡回してた兵士とっ……ヤった。その後、怖い仕事してる人達とっ、馬車の中で……」

アルマは俺に触れるのをやめ、膝立ちで俺をじっと見つめている。その目を見つめたり、目を逸らしたり、どんどん興奮が溜まって性器が膨らんでいく。

「店に、入ったら……お客さん何人か取った」

先輩の笑顔を思い出して胸が苦しくなる。涙を零し、大きな指に拭われる。

「その中に軍の中佐が居て、その人は身体を改造しててっ……!」

シャルが布に包まれたままの俺の陰嚢をはむはむと唇で挟む。カタラに尻や太腿を揉まれ、撫で回され、ネメスィに首筋を唇で責められる。

「アルマのより、おっきぃの入れられて痛くてっ……でもいっぱいイっちゃった」

アルマの金眼は瞳孔が目立つ、少しでも膨らめばすぐに分かる。

「そ、それからっ……捕まって、檻に入れられて……檻を出るために、見張りの兵士のを、しゃぶって。その、あとっ……脱出に協力してもらおうと、ドラゴン逃がそうとしてっ……そのドラゴンに、種付けされたっ……ぁ、シャル、そこらめっ……」

「…………ドラゴンなんて居たのか」

「う、うんっ……あのね、アルマっ……ドラゴンに抱かれたら、本当に孕むかもって……」

アルマと二人で査定士を見つめる。彼は見物に徹してい椅子の上でくつろいでいた。

「あぁ、ドラゴンの生殖方法だと他種族の雄でも孕むことはある。精液は出来る限り掻き出して、ついでに、その……私のを入れておいたけれど」

「……ドラゴンの後、彼に抱かれたので最後か?」

「う、うんっ……王様はそんな時間なかったし、お城の兵士達は真面目な人で」

女には嫌われるだなんてインキュバスとして情けなくて言えない。

「そうか……サク、分かっていると思うが、その連中よりもずっと気持ちよくしてやる。俺以外の男なんて忘れさせてやるからな」

「う、んっ……して、アルマぁ……」

期待で揺れた尻尾がネメスィに掴まれ、すりすりと撫で回す愛撫が始まる。俺はアルマとキスしながら、既に幸福の絶頂に居た。
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