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ゴブリンの巣からの脱出
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首に巻き付けてやった尻尾に力を入れると、ゴブリンはもがき苦しみながら動きを鈍らせていく。醜い声を漏らして口から泡を吹き、そのうちに動かなくなった。
「はぁ、はぁっ…………手、ぅ……痛いっ……!」
俺の両手を貫通して地面に突き刺さったナイフに尻尾を巻き、少しずつ引っ張って抜いていった。
足も手も痛いので腹筋だけで上体を起こし、穴の空いた手を眺めて、不意に腰の横にくたっと落ちた尻尾を見れば、ナイフの柄に巻きついていた。ついさっきまで俺の手に刺さっていたものだ。
「これは……持っていこうか。こっちは……んー」
指を後孔に入れ、中に大量に出された精液を吸収できる位置まで押し込む。それを何度も繰り返す。
「んっ、あ、ぁんっ……指、気持ちぃ……はぁ、はぁっ……あ、きた……不味い……」
いくら不味くて大した魔力が手に入らないといってもないよりはマシだ。
「うん……手、だいぶ治った。足も……」
数十匹分の精液を吸収すると、傷は完治した。足が伸びた訳ではない、膝上の長さのままだ。だが、手のひらと足の断面の傷さえなければ四つん這いで逃げられる、念の為にナイフは尻尾に巻き付けていこう。
「カタラは……巣に連れ込まれてんのかな。外かな……」
四つん這いで慎重に進んでいくと曲がり角に差し掛かり、影に隠れて覗き、ゴブリンが居ないことを確認する。指を舐めて腕を頭上高くに伸ばし、風の流れを調べる。アニメ知識もたまには役に立つ。
松明が壁に刺さっていたり、地面に立てられていたり、転がっていたり。そんな薄暗い道をしばらくく。
「……出口だ」
曲がりくねった細い道の先が明るくなっている。きっと陽光だ。その喜びに洞窟内を動き回ってまた傷だらけになった手のひらと足の断面の痛みが吹っ飛ぶ。
「やった、やった……出れたぁっ!」
外の景色に向かって全力で進み、ようやく洞窟の外に出られた。だが、油断は禁物。出入り口の見張り番らしいゴブリンが真横に立っていた。あちらも驚いているから不意打ちはない、だが、すぐに棍棒を振り上げる。
「……っ、ぅああっ!」
尻尾に巻き付けていたナイフを手に取り、ゴブリンの喉元を狙って突き刺す。ゴブリンは棍棒を落とし、自身の血を手に掬い、喉に刺さったナイフの柄を握ろうとしたところで力尽きた。
「し、死んだ……? 殺した……のか、俺が……」
ナイフを握っている血まみれの手は俺の手だ。尻尾で首を絞めた時よりも「殺した」という感覚が強い。
「い、いや……正当防衛だ。俺はっ、悪くない……」
子供程度の大きさのゴブリンを殺す罪悪感はかなりのものだ。彼らにされたことを何度も反芻し、正当な殺害だと自分に必死に言い聞かせる。
「…………ゲームの主人公ってよくレベル上げなんかできるな……」
俺が殺したのはこれで二匹だ。生まれて最初に襲われたコボルトは弟がトドメを刺したから、俺のカウントではないはず。
「カタラは……大丈夫、だよな……」
どれだけ広いのか、何匹潜んでいるのかも分からないゴブリンの巣に再び入る勇気はない。俺は雄にモテる特性が付与されているから巣に連れて帰られたのであって、カタラは殴られただけで放置された可能性だってある。
仮に巣の中にまだカタラが居るとして、助けに行ったって俺にカタラは救えないし、カタラの脱出の邪魔をしてしまうかもしれない。
俺は誰に言うでもない言い訳を頭に大量に並べて、カタラから目を逸らす理由を得た。
「……早く逃げないと」
罪悪感で足を止めてはいけない。早く巣から離れなければまたゴブリンに捕まる。
痛む手足をついて、俺は再び歩き始めた。
「……アルマ! 居た、よかった、アルマっ、アルマ……! 大丈夫か……?」
ゴブリンに巣まで引きずられた時に背中の皮が剥けたようで、血の跡がしっかりと残っていた。それを辿ると木の根元に転がったアルマの首を見つけた。
「ひっ……!? あ、あっ……嘘、アルマ、嘘ぉ……」
草陰に隠れてアルマをよくよく見てみると、右の頬が破れて奥歯が見えていた。しかし腐り落ちた訳ではなさそうだ、引きちぎられたような──まさかゴブリンか? 持ち帰る途中で俺が抱えていたアルマに気付いて捨てた、それはきっと間違いない。その時に齧ったか何かしたのか?
「どうしよう……アルマ、大丈夫……だよな?」
治りますようにと祈って唇を重ねる。魔力を流し込むイメージは上手く湧かない、これで合っているといいのだが。
「…………とりあえず、ネメスィを探そうな、アルマ。ネメスィはなんだかんだ良い奴なんだ、ちゃんと話せば分かってくれる」
左腕にアルマを抱え、草木を掻き分けて進んでいく。枝葉が皮膚を薄く裂いていく、こんな時にはインキュバスの滑らかで薄い肌が憎い。
「……セーブポイント?」
しばらく進むと泉が見えた。その清浄さはまさにRPGのセーブポイント。
「…………魔力宿ってたりしないかな」
底の石の並びが分かる素晴らしい透明度。きっと飲んでも大丈夫だろうと手で掬って飲んでみる。
「冷たい……けど、それだけだな」
別に魔力が宿っていそうな感じはない。
土汚れが酷いアルマの肌や髪を洗い、口移しで水を飲ませてみたが、頬の穴から零れてしまった。
ゴブリン何十匹分の精液は再生でほとんど使ってしまったし、余っていた分もアルマに注いでしまった。これではネメスィと合流する前に飢え死にしてしまう。泉が魔力も湧かせていてくれたならよかったのに。
「セーブしたいなぁ……あぁでもこれじゃ詰みセーブか……」
前世気分の言動は今や現実逃避だ。
本当に腹が減った、食事をしなければ──野生の魔獣とヤらなければ、アルマも俺も死ぬ。カタラも怪しい。
こういう時に限って見つからなかったりするんだとひねくれつつ、良さげな魔物を探そうと体を反転させると茂みが鳴った。
「はぁ、はぁっ…………手、ぅ……痛いっ……!」
俺の両手を貫通して地面に突き刺さったナイフに尻尾を巻き、少しずつ引っ張って抜いていった。
足も手も痛いので腹筋だけで上体を起こし、穴の空いた手を眺めて、不意に腰の横にくたっと落ちた尻尾を見れば、ナイフの柄に巻きついていた。ついさっきまで俺の手に刺さっていたものだ。
「これは……持っていこうか。こっちは……んー」
指を後孔に入れ、中に大量に出された精液を吸収できる位置まで押し込む。それを何度も繰り返す。
「んっ、あ、ぁんっ……指、気持ちぃ……はぁ、はぁっ……あ、きた……不味い……」
いくら不味くて大した魔力が手に入らないといってもないよりはマシだ。
「うん……手、だいぶ治った。足も……」
数十匹分の精液を吸収すると、傷は完治した。足が伸びた訳ではない、膝上の長さのままだ。だが、手のひらと足の断面の傷さえなければ四つん這いで逃げられる、念の為にナイフは尻尾に巻き付けていこう。
「カタラは……巣に連れ込まれてんのかな。外かな……」
四つん這いで慎重に進んでいくと曲がり角に差し掛かり、影に隠れて覗き、ゴブリンが居ないことを確認する。指を舐めて腕を頭上高くに伸ばし、風の流れを調べる。アニメ知識もたまには役に立つ。
松明が壁に刺さっていたり、地面に立てられていたり、転がっていたり。そんな薄暗い道をしばらくく。
「……出口だ」
曲がりくねった細い道の先が明るくなっている。きっと陽光だ。その喜びに洞窟内を動き回ってまた傷だらけになった手のひらと足の断面の痛みが吹っ飛ぶ。
「やった、やった……出れたぁっ!」
外の景色に向かって全力で進み、ようやく洞窟の外に出られた。だが、油断は禁物。出入り口の見張り番らしいゴブリンが真横に立っていた。あちらも驚いているから不意打ちはない、だが、すぐに棍棒を振り上げる。
「……っ、ぅああっ!」
尻尾に巻き付けていたナイフを手に取り、ゴブリンの喉元を狙って突き刺す。ゴブリンは棍棒を落とし、自身の血を手に掬い、喉に刺さったナイフの柄を握ろうとしたところで力尽きた。
「し、死んだ……? 殺した……のか、俺が……」
ナイフを握っている血まみれの手は俺の手だ。尻尾で首を絞めた時よりも「殺した」という感覚が強い。
「い、いや……正当防衛だ。俺はっ、悪くない……」
子供程度の大きさのゴブリンを殺す罪悪感はかなりのものだ。彼らにされたことを何度も反芻し、正当な殺害だと自分に必死に言い聞かせる。
「…………ゲームの主人公ってよくレベル上げなんかできるな……」
俺が殺したのはこれで二匹だ。生まれて最初に襲われたコボルトは弟がトドメを刺したから、俺のカウントではないはず。
「カタラは……大丈夫、だよな……」
どれだけ広いのか、何匹潜んでいるのかも分からないゴブリンの巣に再び入る勇気はない。俺は雄にモテる特性が付与されているから巣に連れて帰られたのであって、カタラは殴られただけで放置された可能性だってある。
仮に巣の中にまだカタラが居るとして、助けに行ったって俺にカタラは救えないし、カタラの脱出の邪魔をしてしまうかもしれない。
俺は誰に言うでもない言い訳を頭に大量に並べて、カタラから目を逸らす理由を得た。
「……早く逃げないと」
罪悪感で足を止めてはいけない。早く巣から離れなければまたゴブリンに捕まる。
痛む手足をついて、俺は再び歩き始めた。
「……アルマ! 居た、よかった、アルマっ、アルマ……! 大丈夫か……?」
ゴブリンに巣まで引きずられた時に背中の皮が剥けたようで、血の跡がしっかりと残っていた。それを辿ると木の根元に転がったアルマの首を見つけた。
「ひっ……!? あ、あっ……嘘、アルマ、嘘ぉ……」
草陰に隠れてアルマをよくよく見てみると、右の頬が破れて奥歯が見えていた。しかし腐り落ちた訳ではなさそうだ、引きちぎられたような──まさかゴブリンか? 持ち帰る途中で俺が抱えていたアルマに気付いて捨てた、それはきっと間違いない。その時に齧ったか何かしたのか?
「どうしよう……アルマ、大丈夫……だよな?」
治りますようにと祈って唇を重ねる。魔力を流し込むイメージは上手く湧かない、これで合っているといいのだが。
「…………とりあえず、ネメスィを探そうな、アルマ。ネメスィはなんだかんだ良い奴なんだ、ちゃんと話せば分かってくれる」
左腕にアルマを抱え、草木を掻き分けて進んでいく。枝葉が皮膚を薄く裂いていく、こんな時にはインキュバスの滑らかで薄い肌が憎い。
「……セーブポイント?」
しばらく進むと泉が見えた。その清浄さはまさにRPGのセーブポイント。
「…………魔力宿ってたりしないかな」
底の石の並びが分かる素晴らしい透明度。きっと飲んでも大丈夫だろうと手で掬って飲んでみる。
「冷たい……けど、それだけだな」
別に魔力が宿っていそうな感じはない。
土汚れが酷いアルマの肌や髪を洗い、口移しで水を飲ませてみたが、頬の穴から零れてしまった。
ゴブリン何十匹分の精液は再生でほとんど使ってしまったし、余っていた分もアルマに注いでしまった。これではネメスィと合流する前に飢え死にしてしまう。泉が魔力も湧かせていてくれたならよかったのに。
「セーブしたいなぁ……あぁでもこれじゃ詰みセーブか……」
前世気分の言動は今や現実逃避だ。
本当に腹が減った、食事をしなければ──野生の魔獣とヤらなければ、アルマも俺も死ぬ。カタラも怪しい。
こういう時に限って見つからなかったりするんだとひねくれつつ、良さげな魔物を探そうと体を反転させると茂みが鳴った。
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