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完全な陥落は鳥籠の外で

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目を覚まし、疼く下腹に力を込めて凹ませる。胃の底を叩かれる感覚は夢のくせに異常なまでにリアルで、現実で思い返すだけで内臓が犯されるために蠢くのが分かった。

「……おはようございます、兄さん。よく眠れましたか?」

「しゃるっ……ぁ、おとーとっ!」

鳥籠の上部に縛られた手首を軋ませ、一晩中勃起したままだった性器を揺らしておねだりを始める。

「弟っ、弟ぉっ、俺夢見た、弟がすっごくおっきくてきもちぃので俺の中ぐっちゃぐちゃに掻き回してくれる夢見たのっ」

「そうですか、夢に見たならそれが兄さんの願望なんですね。兄さんが僕と結婚したいって言ってくれたら、現実でもしてあげますよ?」

鉄柵の隙間から見える紫の丸い瞳は愛おしそうに歪んでいる。弟は微笑んでズボンと下着をズラし、鉄柵に陰茎を押し付けた。俺の息がかかる度に弟の陰茎が太く長く膨らんでいく。鳥籠越しに大きくなっていく性器の匂いを嗅いだ俺は発情を深め、ガクガクと腰を揺らした。

「そっ、それ、それ欲しいっ……入れてっ、ねぇ入れてぇっ、おとーとぉっ」

「結婚する前にセックスしちゃいけないんですよ? 兄さんが僕と結婚したいなら入れても構いませんけど」

「じゃあ結婚でも何でもするからぁっ…………ぁ? そ、そうだ、俺……もう結婚してる」

「何言ってるんですか、この間大嫌いだって言われて振られてたでしょう? 別れてたじゃないですか。それに約束したでしょう、起きたら僕と結婚したいって僕に言うって」

それは夢の話で──あれ? 今は現実だっけ? 夢だっけ? そもそも夢と現実って何が違うんだったっけ? 結婚……俺、誰と結婚したんだっけ?
ダメだ、弟の手のひらに描かれた奇妙な模様を見ていると頭がどんどんぼやけていく。あれは俺の発情を促す仕掛けだろうか?

「そう……だっけ? なら、大丈夫……? あれ? 俺、結婚って……え? 誰と……?」

「大丈夫です大丈夫です。兄さんは僕と結婚するんですよ、ほら兄さん、言ってください。抱かれたいから結婚したいって、はしたなく腰振りながら僕に求婚してくださいよ」

「うん……弟、俺と──」

「シャルって呼んでください」

それは夢の中の名前で……いや、夢の中のシャルは優しくなっていたからアレは弟? いや、えっと、夢は……あれ? 何が夢で何が現実なんだっけ。まぁいいや、早くシャルに抱かれたい、とにかく言ってしまおう。

「シャル……俺と結婚してください。俺をお嫁さんにして、毎日中出しして、俺の身体をシャル専用に作り替えてください」

「はいっ……! もちろんです、兄さん」

鳥籠が開き、数日ぶりに外に出される。手首と尻尾の縄も解かれ、俺は腕をシャルの首に、尻尾をシャルの腰に巻き付けた。

「ようやく手に入った……! 兄さん、本当ならこんなバカにせず、記憶を消したりせず、兄さんのまま振り向いて欲しかった……でも、仕方ありません。僕以外のこと何も覚えていなくても、僕以外のこと何も分からなくても、兄さんは兄さんですからね。毎日抱いて、必ず幸せにしてみせますよ、兄さん」

腹筋に力を込め、シャルの腰に巻き付けた尻尾で自分の腰を持ち上げ、数センチしか残っていない足を無意味に揺らし、目測ではとても入るとは思えない亀頭に後孔の入口を擦り付ける。

「はぁっ……はぁっ、シャル、シャルの……シャルのぉっ……」

くちゅっ、くちゅ……と水音が響く度、下腹の疼きが増していく。ぐにぐにと亀頭に押される穴の縁が口付けをするように吸い付いて離れなくなる。

「……どうしたいんですか? 兄さん。言ってくれないと僕分かりません」

「シャルのこのおっきいの俺に入れて欲しいっ! お腹の形変わるくらい中からずんずんして欲しいっ、せーえき流し込んで欲しいっ! お願い、お願いシャルぅ……して、してぇ? お願い、俺お嫁さんなんでしょ? お嫁さんのお願いは聞かなきゃいけないんだからぁ……ねぇお願いっ、入れて、突いて、めちゃくちゃにしてよぉっ……!」

「…………兄さんは僕なんてどうでもいいんですよね、気持ちいい棒に掻き回してもらえるなら、誰でも何でも構わないクソビッチなんですよね……大丈夫です、どんな兄さんでも僕は愛していますから」

ずぷぷっ……と一気に根元まで挿入される。俺の体内は彼の異常なまでの巨根に満たされ、外側からはシャルの腕と身体に圧迫される。

「はぁぁあぁんっ……! あぁっ、はぁっ……ぁ、イ、くぅうっ……!」

「やっと、やっと抱けた……! ようやく現実で兄さんに入れられた。兄さん、兄さん……好きです兄さん、大好きですよ」

腸壁を素早く擦り上げられ、前立腺や精嚢を押し潰されながら腸の形を陰茎の形に変えられ、今まで夢の中でしか触れられなかった弱点を突かれては、絶頂を迎えるしかない。

「……入れただけですよ?」

「ぅんっ……入れられただけで、イっちゃったぁ……あぁっ、はぁ……おなか、すごくきゅんきゅんしてる……シャル、シャルのすっごい……入れてるだけでまたイきそうっ……! ねっ、早くぅ……めちゃくちゃにしてよ……」

淫魔の喉や膣壁、腸壁は精液を搾り取るために蠢く。それは当然自分も快楽を覚え、呼吸による収縮も合わさり、動かれていなくても絶頂がじわじわと近付いてくる。

「兄さんっ……あぁ、やっぱり……兄さんは最高です。何に犯されたって、どんなにバカになったって、足がなくたって、兄さんは、兄さんは……可愛くて、綺麗で、最高で、完璧で…………僕の全てです」

夢の中と同じようにゆっくりと腰が引かれていく。きゅうっと締め付けていた陰茎が出て行くと身体がめくれ上がっていくような感覚がある。

「ぁ、あっ、はぁあんっ……らめ、出てくのでもっ……イくぅううっ!」

「兄さんが傍に居るなら簡単に落とせると思って、ゆっくり僕に依存させるつもりだったのに、逃げ出してしまって……慌てて兄さんに向けて夢を送信したんですよ、効き目ありましたか?」

亀頭が出て行くギリギリでシャルの腰は止まり、俺の腰や背に回ったシャルの手に力が込められ、またゆっくりとずぶずぶと沈んでいく。

「ひっ……ぐ、ぅううっ……! ぅ、うっ……イくっ、イくぅうっ!」

「兄さんを拾った人間に盗られないように兄さんを夢の中でめちゃくちゃに犯しましたよね。兄さんったらシャルしゅきシャルしゅきぃって……あの時の兄さん、とっても可愛かったんですよ、もちろん今も可愛いんですけど…………兄さん、僕の声なんか聞かずに、僕なんか気にしないで……僕を兄さん理想の肉棒の付属品くらいにしか思ってないんでしょう。分かってますよ、それで構いません……構わないんです、兄さん……大好き」

シャルの首に回した腕から力が抜けていくのとは反対に、シャルの背中と頭に添えていた手には力が入り、爪を立てて引っ掻いてしまう。

「痛っ……い、ですよ、兄さん……兄さん、僕を所有したいってマーキングしてくれてるんじゃないんですよね、それなら嬉しいんですけど…………僕、ただの付属品ですもんね、僕のこと何も考えてないから僕に痛いこと出来るんですよね」

俺の腰を掴んでいた手が下がり、尻を鷲掴みにして揉みしだかれる。

「んひぃっ!? ぁ、ああんっ! もっと、もっと強くぅっ……!」

「……兄さんが僕の夢を自分で勝手に見ているだけだと思い込んでいたのは意外でした。インキュバスが夢を操れるのは知ってるでしょう? バカなんですよね、兄さんって」

尻尾の付け根もぐりぐりと弄られて絶頂の間隔が狭まる。脊椎に快楽の電流が走り、射精を命令された陰茎がぶるぶると震え、先走りの汁を垂らす。

「んぁあっ! はぁっ、あぁっ……イってる、今イってるぅうっ……! もっとぉっ、もっとしてぇっ!」

ガクガクと震える腰をしっかりと捕まえられ、抜き挿しの速度が増す。ずぷっ、ずぷっ……と一定間隔で掘削される。

「ぁんっ! ぁひんっ! ひっ、ィっ、そぉっ、そぉっ! もっとぉっ! もっとずんずんしてぇっ!」

「勝手に夢を見てるって思い込んだなら自分は弟に好意があるんだって勘違いしてくれると思ったので、黙ってたんですよ。ふふ……アルマさんを登場させたのはどうでした? ちょっと意地悪でしたよね、ごめんなさい兄さん、だって僕兄さんが好きなんです、アルマさん邪魔なんですもん、いいですよねもう忘却術かけちゃいましたし……アルマって聞いても何のことか分からないでしょう?」

「あぁんっ! んぁっ……んゔぅっ!? ひぐっ、んぅっ、んんんっ……! ずっと、イってりゅっ……止まんないっ、止まんないぃいっ!」

内臓を揺さぶられるのが気持ちよくて、背骨を叩かれるのが気持ちよくて、それなのに射精できないのが辛いけれど、それを気にする余裕はなく連続絶頂に身を任せる。

「聞こえてないみたいですね、バカな兄さん……アルマさんは兄さんと別れてませんよ、死んでもいません……オーガは首飛ばされたくらいじゃ死なないみたいです。変な怖い奴に首持ってこいって言われましたから、生えはしないみたいですけど……放っておけば死ぬんでしょうか、アレ。持ってこないで置いて来れば身体が勝手に首拾って繋げて助けに来てくれたかもしれませんよ? なのに首持ってきたから……きっとそのうち本当に死にますよね、死んで欲しいです……早く死ねよ、間男が」

「イぐっ、イぐぅうっ……! ふっ、ふぁ……ひぃいっ……し、ぬぅっ、ぁ、あぁあああっ! は、ぁっ……イくのっ、止まんない、ひっ、変にっ……なるぅうっ……!」

「…………こうやって色々話してあげても、イくイくうるさい自分の声で聞こえてないんでしょ? 可愛い兄さん、可哀想……知らない間に夫を殺して、大して好きでもない弟に堕とされちゃって……可愛い……ほら、イけっ、もっとイけよっ、僕だけの兄さんになるんでしょ! たっぷり種付けしてあげますから僕のお嫁さんになってくださいよ!」

一際強く突き上げられたかと思えば胃に精液が流し込まれる。胃の底を叩いていた陰茎が射精で僅かに震えていて、その震えでまた絶頂を迎え、俺はとうとう声すら上げられなくなってパクパクと口を開閉させていた。
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