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夢も現実も大差ない

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立ったまま向かい合って抱き締められ、腰羽の付け根を撫でられ尻を揉みしだかれる。早く入れて擦って出してしまえばいいと思っているはずなのに、無意識下では前戯を大事にしているらしい。

「んっ、ん……シャルぅ……早く、中ぁ……中、してぇ……」

「…………兄さん、随分敏感になりましたね。誰かに何かされましたか?」

耳の尖った部分を軽く唇で挟まれる。腰羽の付け根を撫でていた手が後頭部を支え、弟の方を向かせた。

「兄さん、僕と別れてからどこで誰にどんなふうにされたんですか? 隠さずに全部具体的に教えてください」

「森に入ってすぐ、ス……スライムに、その……一晩中、触手で全身撫で回されて……」

細長い指先が割れ目に差し込まれ、拡げられ、腸壁が微かに外気に触れる。

「こっち、されちゃったんですね?」

ちゅく……と俺の期待を表す淫靡な音が鳴る。シャルの指先が穴の縁をなぞっている。

「ん……その後、精霊使い……? と、勇者に拾われて、馬車の中で両方に抱かれて……ぁ、同時に上と下で咥えたり……も、して。お腹に電気されたり、お尻叩かれたりして……」

「人間ですか……お腹、膨れました? 美味しかったんですか? 叩かれたって……それ、嬉しかったんですか?」

「…………腹は、膨れたけど。味は……その、お前のが一番。俺は叩かれて悦んだりしない……嫌だった、怖かった……」

弟は唾液も精液も美味しくて、何より愛撫が優しかった。
スライムに犯されて吹っ切れてしまったのだろうか、男に抱かれることに最初ほどの忌避感がなくなってきている。

「ねぇ、兄さん。一つ、インキュバスの豆知識を教えてあげますね。何故か兄さんは自分の身体について知らないことが多いみたいですから」

くちゅくちゅと音を立てて中を優しく掻き回されながらでは頭に入らない。しかし、俺の知らない知識が出てくるなんて夢にしてはおかしくないか? 俺の夢なら俺の知らないことなんて出ないだろう。

「んっ、ぁあっ、シャルぅ、そこぉっ、そこすき……もっと強くぅ、ぐりぐりぃ……ぃ、ひっ! ひぁあっ!」

「インキュバスやサキュバスに排泄の必要はありません。ですから、ここもれっきとした性器なんです。予備ですけどね。だからここで精液を受けてもちゃんと食事になりますし、感じられます」

「ぁっ、んっ、ぁ、シャルっ、シャルぅっ……もぉっ、イきそぉっ……!」

夢について考察したい事柄が現れたのに、中を指で掻き回されて頭が働かない。

「……だから安心して僕に抱かれてくださいね。他の男から吸った汚い魔力を全部出して、僕の魔力で兄さんを満たしてあげますから」

敏感な部分を強く押され、シャルの腕の中で絶頂を迎え、彼の性器に精液をかけてしまった。
俺はこんな弟を無意識に求めていたのか? 弟にこんなふうに愛されたかったのか? 弟はどこまでも優しく俺を兄として慕ってくれていたのに、こんな目で見ていたのか。そんな自己嫌悪が募り、快感に背徳感を混じらせた。

「兄さん、そろそろ入れますから足を上げてください。僕にしっかり抱き着いて、腕も足も絶対に離さないでください」

「んっ、うんっ……!」

シャルの首に腕を回して自分の肘を掴む。右足を上げてシャルの腰羽の下辺りに巻き付け、挿入を待つ。

「はっ、ぁっ……!? 太っ、んぁあっ! 太いっ、ま、待って……裂けるっ、裂けちゃう……」

「……大丈夫です、兄さん。兄さんはインキュバスでしょう? 大丈夫……怖いかもしれませんけど、よく感じてください。痛みはないでしょう? ゆっくりしますから、しっかり僕を感じてください」

骨格からして不可能だとしか思えない長さの陰茎をどんどん飲み込んでいくのは夢だからだ。きっとそうだ。現実で同じことをやったら内臓が潰れてしまうに決まっている。

「兄さん、ほら、左足も上げて……」

言われるがままに左足も上げ、俺は完全にシャルに持ち上げられる。手足を必死に巻き付けていても重力が手伝った串刺しには適わず、巨大な陰茎を根元まで咥え込んだ。

「ぁ、あぁああっ! しゅごっ、おっきぃ、深いぃっ……ひっ……お腹っ、お腹変になる、内臓潰れるぅっ……!」

内臓を押し潰されるような感覚が快感だなんて、いくら夢とはいえ俺は異常だ。排尿のように精液を漏らして夢に作った弟の虚像にしがみつくなんて、異常者だ。

「人間じゃあるまいし……大丈夫ですよ、兄さん。ほら、分かりますか? こう……こっちに押し付けると……」

ぐりゅ、と体内で陰茎が貫く方向を変える。肉と内臓を何層か挟んで背骨にごりごりと押し付けられる。

「ぁ、はっ、ぁあっ、背中っ、響くぅ……ごりごりしてりゅぅ……しゃるの、しゅごいぃっ……!」

「……でしょう? だから、ちょっと持ち上げて……落として、突いていけば……」

腰を掴まれ、抜き挿しが始まる。人間のものと比べれば遥かに長いそれが出ていき、また入ってくる。内臓が全て持っていかれるような感覚と、体内を揺さぶられる感覚が、快感だった。

「脊椎に僕を叩き込めるんです。兄さんの身体は僕に抱かれるのが一番気持ちいいって身体でしっかり覚えるんですよ。人間みたいな細短い柔らかいもの入れられたって、腹が膨れるだけで兄さんの気持ちは満たされません。兄さんのお腹と心を満たせるのは僕だけなんです」

「あっ、ぉおっ、うぁっ、はっ……ひぁっ、しゃっ、しゃるぅっ! これっ、ひっ、死ぬ……」

抜けていく度に元に戻らないんじゃないかと怖くなるくらいにめくれて、入れられる度に背や腹から陰茎が飛び出てくるんじゃないかと怖くなるくらいに深く強く貫かれる。

「大丈夫、兄さん。死なせたりしません。ただ、僕なしでは生きられなくなるだけです。僕は兄さんがいなくちゃ生きていけないんですから、兄さんもそうなってくれないと不公平ですよね」

「はぁっ、ひゃっ、ひぁあっ! ひぅっ、こっ、こわれりゅっ、こわれ、るぅっ! 俺っ、こわれりゅぅっ!」

背骨をゴンゴンと揺らされてまともでいられる訳がない。瞼の裏でチカチカと光が点滅している。全身が作り変えられていくのが分かる。

「……兄さんに必要なのは僕だけです、スライムも人間もいりません。兄さんには僕さえいればそれでいいんです、そうでしょう、兄さん、ねぇ兄さん言って、僕が必要って、僕が欲しいって、言ってくださいよ兄さん……」

「イっ、てる……? ずっと、イってりゅぅっ……! 何っ、こりぇえっ、分かんなっ、もぉっ、何も、分かんなぃいっ……! きもひぃいっ!」

「シャル、ですよ。兄さん。シャル、好き、気持ちいい、シャル、好き……言ってください」

「ひっ、ぃ、シャルっ、すきぃっ! きもひぃっ、しゃりゅうっ、しゅきぃっ……きも、ちぃっ! しゃるぅっ! しゃるしゅきぃいっ!」

「兄さんっ、あぁ兄さん……可愛い……僕も好きです、大好きです、兄さん……愛してますっ……!」

脳が蕩けて快楽を貪る以外の仕事を放棄する。意味も分からずシャルに教えられた言葉を嬌声混じりに繰り返すだけの性玩具に成り果てる。
夢が願望だなんて信じたくない。夢を操れるなんて信じたくない。これが俺の願望だなんて知りたくなかった。
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