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幼馴染に偽の軟膏塗ってみた

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最奥の腸壁に精液をかけられ、マーキングされたような気分になる。一瞬前までドクドクと脈打っていた陰茎が柔らかく縮み、抜けていくのに名残惜しさを覚えた。

「んっ、ぁ、あぁっ……! ぁんっ!」

にゅぽんっ、と音を立ててレンの陰茎が抜けた。レンとの初めてのセックスが終わった。
理解してしまった、俺が男根に逆らえないことを、レンを抱くよりレンに抱かれる方が幸せなことを、レンは初めから俺を抱くつもりだったことを──そして、俺自身の願い通りだったことを。

「ふー……気持ちよかった。もち、もちー? 大丈夫か?」

俺は夫だと自分に言い聞かせることでレンを抱く気満々でいたけれど、レンの巨根を見たりしゃぶったりしている間ずっと下腹が疼いていた。本当はずっと抱いて欲しかったんだ、レンへの恋心に気付いたあの日からずっと、他の男達のようにレンにレイプされたいと思っていた。

「もち……」

気持ちよかったのに、心の底の願望が叶ったのに、くだらない男のプライドと、希望的観測を裏切られたショックがレンの手を払わせた。

「…………ごめん」

レンは小さく呟き、それからは俺に手を伸ばしてこなかった。
手を払ったくせに俺はもう一度手を伸ばして欲しがっていた、抱き締めて欲しかった、なんなら二回戦に突入して欲しかった、願いを察してくれないレンへの苛立ちとワガママな自分への嫌悪感で俺は泣き出してしまった。

「もち…………ゃ、ノゾム……」

セックス直後に泣き出すなんて最低だ、これじゃレンが本当にレイプしたみたいじゃないか。早く泣き止んで「俺がレンを抱くつもりだったのに」と拗ねて笑って「でも気持ちよかったからまたお願い」と次の約束を取り付けなければ、そう思っているのに震える手足は動かないし涙は止まらない。

「………………ノゾム」

「……帰る」

ようやく絞り出した言葉は酷いものだった。

「そう、か……分かった。明日、用事あるんだもんな」

引き止めてくれないんだなと拗ねながら、俺は重だるい身体を起こしてベッドから降りる──降りようとしたが、レンに肩を押さえられた。

「もち、ちょっと待ってくれ」

「……な、何?」

恋する乙女のように胸を高鳴らせて言われた通りに待っていると、レンは鞄からハンドクリームのようなものを取り出した。

「ししょーにもらった軟膏だ。ヤった後に塗る用」

「……尻に?」

「あぁ、せめてものお詫びだ。ごめんなぁ、もち……お前が可愛くて、好きすぎて、俺…………本当にごめん」

謝らなくていいと言わなければならないし、言いたいのに、俺は無言のまま脚を開いた。

「レン……塗ってくれる?」

「……もちろん」

一瞬、レンの口元が嗜虐的な笑顔に歪んで見えた。気のせいだろうか、いや気のせいに決まっている。

「んっ……! 冷た……」

白いクリームを絡めた細長い中指が後孔に入ってくる。

「ん……レン、俺……別に尻痛くはないけど」

「痛みなくても粘膜は確実にダメージ受けてるから、塗っといた方がいいんだってよ」

「ふーん……? ぁっ、レン……そこ、優しく……ひぁっ! ぁ、ふっ……ん、んん、ん……」

「あぁ、前立腺だっけ? この辺はよく擦ったから念入りに塗っとかないとな」

「そんなっ、ぁ……! んっ、んんっ、んんんん……!」

前立腺にくりくりと指を押し当てて軟膏を塗り込まれ、俺は喘ぎ声を抑えようと両手で口を押さえた。

「よっし、出来た。本当にごめんな、お前は俺のこと抱きたかったんだもんな」

「……うん。でも、レンも男なんだから……一回くらいしたいよな。いいよ、そんな謝んなくて」

「次する時は、俺……もちの言うこと何でも聞いてやるからな。お前が望むなら抱かれてやるよ」

しゅんと眉尻を下げたレンはとんでもないことを言った。

「な、何でも!? 本当に、抱かせてくれる……?」

「あぁ、どんな服だって着るし、どんなプレイにも付き合うぞ? 外で抱きたいってお願いだとしても聞いてやる」

「……言質」

やはり男前な性格をしているレンとは正反対に、俺はずる賢くスマホを構えてレンにもう一度同じことを言うようねだった。レンは呆れたように笑い、俺に動画を撮らせてくれた。

「ありがとう! 次どんなプレイするか考えとく。レンも、その……後ろちょっとくらい自分で弄っといてくれよ。俺、上手くほぐせるか分かんないし、痛くさせたくないから」

「はいはい。それじゃまたな、明日はどこ行くんだ?」

軟膏を塗り終えた後、俺は服を着させられて自宅まで送られた。たかが数メートル送ってくれなくてもいいのに、たかが数メートルだからと送ってくれる。こんなにも優しい彼に拗ねていた自分が嫌になる。

「……秘密」

「男のとこか」

「ちっ、ちがうっ……ちゃんとした、用事」

「そっか、ごめんなからかって。じゃ、今日は早めに休んどいた方がいいんじゃないか。また今度なー」

俺の下手くそな誤魔化しをあっさりと信用してくれたレンに手を振りながら罪悪感を覚え、俺は少し暗い気持ちで自宅に帰った。

「……明日の準備しよ」

明日は根野のところへ行く日だ。俺は自室で鞄に荷物を詰めた。着替えワンセット、念のための歯ブラシ、根野にもらった根野の爪を詰めた瓶。

「爪よこすとか気持ち悪い奴だなぁ……」

パワーストーンなどを入れてストラップにする用の小瓶に爪を入れている俺も俺だが。

「…………お風呂入ろ」

静けさが嫌で独り言を呟き、シャワーを浴びる。後孔から垂れてきたレンの精液に気付き、手ですくって眺める。ほじくって全て出した方がいいのだろうか、軟膏も一緒に流れ落ちてしまわないだろうか、色々と考えた。

「ん……?」

後孔が痒い。ジンジンする。下腹が熱い。ズクズクする。

「な、に……?」

今すぐ後孔に指を突っ込んで掻き回したい。頭のド真ん中を占拠した欲望を俺はシャワーの温度を下げることで誤魔化した。

「……っ、なんだよ……なんで、こんな……ムラムラしてるんだよ」

冷水を浴びて何とか相殺できている欲情の熱。レンが傍にいる訳でも、センパイの匂いを嗅いだ訳でも、ミチに愛撫された訳でも、根野に囁かれた訳でもないのに、一人でこんなに身体を熱くするなんておかしい。

「まさかっ……なんか、変な霊取り憑いたんじゃ……」

怪異からは解放されても霊媒体質は残ると言われたことを思い出し、また別の色情霊に取り憑かれているのではと疑った俺は、霊感の強いレンに視てもらおうと思い付いた。

「レン……そうだ、レン、レンに会おう……レン」

レンの姿を脳裏に思い浮かべると一瞬で俺の脳はレンに塗り潰される。すぐに浴室を出てびしょ濡れの体をバスタオルで包んだ。

「…………レン、レンに……会わなきゃ」

用意していた着替えを無視し、靴も履かず、鍵もかけずに家を出た。

「だめ……お尻っ、触りたい……ぁああっ、無理っ、我慢とか無理ぃっ!」

後孔の痒みと疼きに耐えられず、俺は左手でバスタオルを押さえて右手で後孔をほじくった。

「んぉっ……ほ、ぉおおっ……! ぁ、あっ、はぁああんっ……気持ちぃっ、気持ちぃいっ……!」

路上でガニ股になって後孔を弄りながら甘えた声を漏らし、恍惚とした笑顔のままレンの家のインターホンを押した。

「はーい……待ってたぞ、もち。すごいカッコだな、風呂入ってたのか?」

レンはバスタオル一枚で自慰をしながらやってきた俺を、大して驚きもせず迎えてくれた。

「レン、レンっ……俺、なんか変なんだっ、ぁんっ、んんんっ! ぁ、はっ、ここっ、ここ好きっ、イくぅぅうっ!」

「っと、玄関汚さないでくれよ」

射精の寸前にレンがバスタオルを被せてくれなかったら、俺は並べられている靴に精液をかけていただろう。

「ご、めっ……んぅうっ、ふぅっ、だめ……止まんないっ、手ぇ止めらんないよぉっ! レン助けてっ、お尻熱くて痒くてずくずくしてぇっ、も、どぉにかなりそうで……! なんか、取り憑いてんじゃないかって」

「なんも取り憑いてねぇよ」

「え……?」

こんなにも身体に異常が起こっているのに、何も取り憑いていない? そんな馬鹿な、色情霊でもいなければ俺がこんなことになるなんてありえない。

「……まぁ、とりあえず上がれよ。あぁ、足拭けよ」

バスタオルを剥がされ、玄関マットの上に落とされる。俺はそのバスタオルを踏んで足を拭い、自慰をしながらレンについて行った。
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