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きゃんぷ、いち
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草原で寝転がっていると腹の上に鉄球が落ちてくる夢を見た。
腹の重みに目を覚ますと雪兎が乗っていた。どうやら飛び乗ったらしい、既に水兵服をモチーフとした可愛らしい洋服に着替えており、相変わらず太腿の半分も隠さない短パンの隙間が俺の視線を吸い込む。
「ポチ、起きた? ご飯できたよ」
「ご飯……? 今何時ですか?」
「六時! ほら行くよ!」
雪兎に手を引かれて寝巻きのまま広間へ行けば雪風が既に座っていた。
「おはよう、真尋、ユキ」
「おはよー雪風」
「雪風、おはよ」
机にはパンケーキが並べられている。生クリーム付きカットフルーツ盛りの豪華な代物だ。
「ポチ、キウイあげる」
「真尋、ブルーベリーやるよ」
俺の愛しい主人と愛しい恋人はフルーツの好き嫌いも多いようだ。
「生クリーム重い……ユキ、やるよ」
「ありがとー、雪風」
多量の生クリームを食べられないのは歳のせいか? なんて聞いたら怒るだろうか。
「美味しかった、ごちそうさま! ポチ、椅子引いて」
食べ終わった雪兎が膝に乗ってきたので軽く頭を撫でる。俺と雪風も食べ終わると食器が下げられた。
「それで、ここで何して遊ぶんだ?」
「なんだよユキ、言ってなかったのか? 川遊びだよ、川すぐそこにあるだろ?」
「言ってなかったっけ……ほら、僕水着着てるでしょ」
手触りで疑ってはいたけれどやはり水着だったのか。雪風もスラックスの下に水着を着込んでいたようなので、二人に先に行ってもらって俺は寝室に戻り、雪兎が用意してくれていた水着に着替えた。
「……ダイビングスーツだよなこれ」
後ろのファスナーが閉められなかったので使用人に頼み、俺も川に向かった。
「うわ……綺麗な川ですね。こういうところの魚って美味しいんですよね」
雪兎と共に川を覗き込み、その透明度に感嘆する。
「魚居るかな?」
「居ると思いますけど……」
「早く入ろっ、ポチ」
立ち上がった雪兎に手を引かれて川に入ろうとすると雪風に首根っこを掴まれた。
「準備運動がまだだぞ二人とも」
「えー、いいじゃんそんなの」
「良くねぇよガキ、川舐めんな」
大切なことだが雪風には嫌な思い出でもあるのだろうか。渋々準備運動を始めた雪兎の傍で同じ動きをしつつ、雪風に聞いてみた。
「雪風、川で溺れたことでもあるのか?」
「俺じゃねぇよ、ここで兄貴が足攣って溺れてな」
「え、叔父さん? 大丈夫だったの?」
「使用人に引っ張りあげられて「もう帰る~」って泣いてて面白かったなぁ」
それは面白そうだ、見たかったなぁ。
叔父の非道を知らない雪兎は面白がるなんて酷いと雪風に怒っていたが、俺は雪風と視線を交わして笑いあっていた。
「……っし、こんなもんだな。川の水は冷たいからな、最初はゆっくり浸かれよ」
準備運動を終え、俺が先に川に浸かる。一番深いところは俺の鎖骨まで、雪風は浅瀬で遊ばせよう。
「ユキ、ほらちゃんとサンダル履いとけ」
「早く入らせてよー」
「足切るかもしれないだろ」
海のような砂浜ならともかく、川の底は小石でいっぱいだ。用心に越したことはない。
「もういい?」
「真尋から離れるなよ。真尋、ユキ頼むぞ」
「もちろん。雪風は?」
「俺は上流で釣りしてくる。泳ぐような歳じゃねぇんだよ、ガキ」
雪風は待機していた釣り具を持った使用人を連れて上流に向かった。
「俺アユ食べたいですー!」
「僕ヤマメー!」
手を振りながら叫ぶと雪風は振り返らずに片手を挙げた。
「……カッコイイと思ってやってるのかな」
「やめてあげてください。ヤマメって珍しいやつじゃありませんでした?」
「知らないよ。釣りしたことないもん」
「俺もゲーム知識しかありませんけど」
とは言っても釣りゲームや釣りが出来るようなスローライフ系はあまりやっていない。アクションやシューティングが多かったかな、恋愛系も幾つかやったな。
「ポチ、手ぇ引っ張ってー」
「はいはい」
川面にうつ伏せになった雪兎と両手を繋ぎ、ゆっくりと後ろへ歩いていく。
性行為ばかりの日常が嫌な訳ではもちろんないのだが、こういった真に健康的な遊びもいいものだ。歳相応の表情を見せている雪兎を眺め、幸せを噛み締めた。
腹の重みに目を覚ますと雪兎が乗っていた。どうやら飛び乗ったらしい、既に水兵服をモチーフとした可愛らしい洋服に着替えており、相変わらず太腿の半分も隠さない短パンの隙間が俺の視線を吸い込む。
「ポチ、起きた? ご飯できたよ」
「ご飯……? 今何時ですか?」
「六時! ほら行くよ!」
雪兎に手を引かれて寝巻きのまま広間へ行けば雪風が既に座っていた。
「おはよう、真尋、ユキ」
「おはよー雪風」
「雪風、おはよ」
机にはパンケーキが並べられている。生クリーム付きカットフルーツ盛りの豪華な代物だ。
「ポチ、キウイあげる」
「真尋、ブルーベリーやるよ」
俺の愛しい主人と愛しい恋人はフルーツの好き嫌いも多いようだ。
「生クリーム重い……ユキ、やるよ」
「ありがとー、雪風」
多量の生クリームを食べられないのは歳のせいか? なんて聞いたら怒るだろうか。
「美味しかった、ごちそうさま! ポチ、椅子引いて」
食べ終わった雪兎が膝に乗ってきたので軽く頭を撫でる。俺と雪風も食べ終わると食器が下げられた。
「それで、ここで何して遊ぶんだ?」
「なんだよユキ、言ってなかったのか? 川遊びだよ、川すぐそこにあるだろ?」
「言ってなかったっけ……ほら、僕水着着てるでしょ」
手触りで疑ってはいたけれどやはり水着だったのか。雪風もスラックスの下に水着を着込んでいたようなので、二人に先に行ってもらって俺は寝室に戻り、雪兎が用意してくれていた水着に着替えた。
「……ダイビングスーツだよなこれ」
後ろのファスナーが閉められなかったので使用人に頼み、俺も川に向かった。
「うわ……綺麗な川ですね。こういうところの魚って美味しいんですよね」
雪兎と共に川を覗き込み、その透明度に感嘆する。
「魚居るかな?」
「居ると思いますけど……」
「早く入ろっ、ポチ」
立ち上がった雪兎に手を引かれて川に入ろうとすると雪風に首根っこを掴まれた。
「準備運動がまだだぞ二人とも」
「えー、いいじゃんそんなの」
「良くねぇよガキ、川舐めんな」
大切なことだが雪風には嫌な思い出でもあるのだろうか。渋々準備運動を始めた雪兎の傍で同じ動きをしつつ、雪風に聞いてみた。
「雪風、川で溺れたことでもあるのか?」
「俺じゃねぇよ、ここで兄貴が足攣って溺れてな」
「え、叔父さん? 大丈夫だったの?」
「使用人に引っ張りあげられて「もう帰る~」って泣いてて面白かったなぁ」
それは面白そうだ、見たかったなぁ。
叔父の非道を知らない雪兎は面白がるなんて酷いと雪風に怒っていたが、俺は雪風と視線を交わして笑いあっていた。
「……っし、こんなもんだな。川の水は冷たいからな、最初はゆっくり浸かれよ」
準備運動を終え、俺が先に川に浸かる。一番深いところは俺の鎖骨まで、雪風は浅瀬で遊ばせよう。
「ユキ、ほらちゃんとサンダル履いとけ」
「早く入らせてよー」
「足切るかもしれないだろ」
海のような砂浜ならともかく、川の底は小石でいっぱいだ。用心に越したことはない。
「もういい?」
「真尋から離れるなよ。真尋、ユキ頼むぞ」
「もちろん。雪風は?」
「俺は上流で釣りしてくる。泳ぐような歳じゃねぇんだよ、ガキ」
雪風は待機していた釣り具を持った使用人を連れて上流に向かった。
「俺アユ食べたいですー!」
「僕ヤマメー!」
手を振りながら叫ぶと雪風は振り返らずに片手を挙げた。
「……カッコイイと思ってやってるのかな」
「やめてあげてください。ヤマメって珍しいやつじゃありませんでした?」
「知らないよ。釣りしたことないもん」
「俺もゲーム知識しかありませんけど」
とは言っても釣りゲームや釣りが出来るようなスローライフ系はあまりやっていない。アクションやシューティングが多かったかな、恋愛系も幾つかやったな。
「ポチ、手ぇ引っ張ってー」
「はいはい」
川面にうつ伏せになった雪兎と両手を繋ぎ、ゆっくりと後ろへ歩いていく。
性行為ばかりの日常が嫌な訳ではもちろんないのだが、こういった真に健康的な遊びもいいものだ。歳相応の表情を見せている雪兎を眺め、幸せを噛み締めた。
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