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どらいぶ、いち
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俺達自身にはとても健康的な、けれど他者から見ればきっと爛れた日常は紛れもない幸福だ。両親を事故で失ってからずっと死にたがっていたけれど、今はもう死にたいだなんて考えられない。
「なぁ真尋、次の休みに遊びに行かないか?」
ある日の昼下がり、ベッドの上、俺の腕の中で雪風は突然提案してきた。
「遊びに?」
「あぁ、親父がな、せっかく息子と暮らすの許してやったんだから、休日くらい遊びに連れてってやれって」
なんだかんだ息子が可愛いと見える、やはり祖父はツンデレだ。祖父にとっての可愛い息子、俺にとっての可愛い恋人の髪を撫でれば、彼は俺にだけ無邪気な満面の笑みを見せてくれる。
「俺はもちろん良いけど、雪兎には言わなくていいのか?」
「ユキには言ってある。昨日、お前が失神した後でな」
「最近毎日失神してるんだけど大丈夫なのか? それで雪兎はなんて?」
「大丈夫だろ。ユキは大喜びの大賛成だったぞ。お前もってことは決まりだな、電話かけてくる」
俺の腕から抜け出しベッドから降りた雪風は全裸のまま携帯端末を手に取り、どこかに電話をかけた。太腿に垂れる白濁液がなんとも唆る、あの細い腹の中を圧迫していたかと思うと背骨にゾクッとするものが走る。
「はーいよろしくー。よし、決まったぜ、今度の土日貸切だ」
「それはいいけど、どこに行くんだ?」
「親父が勧めてくれたところでな、うちが面倒見てる会社の貸し別荘だ。治外法権ってやつでな、年に何回かドラッグパーティが……っと口が滑った」
いつも思っていることだけれど、この家はヤの付く犯罪組織の匂いがぷんぷんする。
「……そんな顔すんなよ、他国じゃ解禁されてる麻薬ばっかりだ。金だけじゃ借りれない別荘だ、馬鹿は居ない、悪影響が大き過ぎる麻薬なんかやらねぇよ」
「麻薬は麻薬だろ……大丈夫なのか? そんなところに雪兎連れて行って。聞いたことあるぞ、麻薬の工場跡地の家を知らずに借りた一家が幻覚見たって話」
「潔癖の親父が勧めるんだ、洗浄は十分過ぎるほどやってるさ」
ならいい、とは言えない。
「……ユキには言わない、そんな顔すんなって。な?」
「…………大丈夫なのか? そんなところ持ってる会社と付き合ってて。今言わなくたって、雪兎が継ぐならそいつらとの付き合いも雪兎が引き継ぐんだろ?」
携帯端末を置いてベッドの上に戻ってきた雪風は楽しそうに笑っていた。
「やっぱりお前はガキだよな」
「……潔癖じゃ大人になれないって?」
「そんな在り来りなこと言いやしねぇよ」
俺の太腿の上に乗った雪風は不敵な笑みを浮かべたまま俺の顎を指でなぞった。
「リスクのある知り合いとの付き合い方と縁の切り方はユキも心得てる。むしろ不正をバラしてやったり、な? どんな奴にも利用価値はあるんだよ」
無邪気さとは程遠いその微笑みは上に立つ者らしく見えた。
「雪風は麻薬なんかやってないよな?」
「……へっ? ははっ、何言うんだよいきなり、俺は煙草も吸わねぇぞ?」
「いや、冷静に考えて雪風は歳と見た目が一致しないし……」
「お前それは親父見てから言えよ、若々しいのは遺伝だ」
雪兎より幼く見える祖父にはまた別の原因がある気もするが。
「俺も親父も爺さんも麻薬はやってねぇよ、クソ兄貴は怪しいけど……そんな不安そうな顔すんなってー、な? 遊びに行くんだからさ」
「あぁ……うん、貸し別荘か。何するんだ?」
「予定としてはバーベキュー。川あるし川遊びもいいな、水着持って行けよ?」
中学生連れの休日の遊びとしては満点に近い、あくまでも俺の中では。
俺はひとまず家の黒い部分から目を逸らし、休日が待ち遠しいと笑顔を作った。
「なぁ真尋、次の休みに遊びに行かないか?」
ある日の昼下がり、ベッドの上、俺の腕の中で雪風は突然提案してきた。
「遊びに?」
「あぁ、親父がな、せっかく息子と暮らすの許してやったんだから、休日くらい遊びに連れてってやれって」
なんだかんだ息子が可愛いと見える、やはり祖父はツンデレだ。祖父にとっての可愛い息子、俺にとっての可愛い恋人の髪を撫でれば、彼は俺にだけ無邪気な満面の笑みを見せてくれる。
「俺はもちろん良いけど、雪兎には言わなくていいのか?」
「ユキには言ってある。昨日、お前が失神した後でな」
「最近毎日失神してるんだけど大丈夫なのか? それで雪兎はなんて?」
「大丈夫だろ。ユキは大喜びの大賛成だったぞ。お前もってことは決まりだな、電話かけてくる」
俺の腕から抜け出しベッドから降りた雪風は全裸のまま携帯端末を手に取り、どこかに電話をかけた。太腿に垂れる白濁液がなんとも唆る、あの細い腹の中を圧迫していたかと思うと背骨にゾクッとするものが走る。
「はーいよろしくー。よし、決まったぜ、今度の土日貸切だ」
「それはいいけど、どこに行くんだ?」
「親父が勧めてくれたところでな、うちが面倒見てる会社の貸し別荘だ。治外法権ってやつでな、年に何回かドラッグパーティが……っと口が滑った」
いつも思っていることだけれど、この家はヤの付く犯罪組織の匂いがぷんぷんする。
「……そんな顔すんなよ、他国じゃ解禁されてる麻薬ばっかりだ。金だけじゃ借りれない別荘だ、馬鹿は居ない、悪影響が大き過ぎる麻薬なんかやらねぇよ」
「麻薬は麻薬だろ……大丈夫なのか? そんなところに雪兎連れて行って。聞いたことあるぞ、麻薬の工場跡地の家を知らずに借りた一家が幻覚見たって話」
「潔癖の親父が勧めるんだ、洗浄は十分過ぎるほどやってるさ」
ならいい、とは言えない。
「……ユキには言わない、そんな顔すんなって。な?」
「…………大丈夫なのか? そんなところ持ってる会社と付き合ってて。今言わなくたって、雪兎が継ぐならそいつらとの付き合いも雪兎が引き継ぐんだろ?」
携帯端末を置いてベッドの上に戻ってきた雪風は楽しそうに笑っていた。
「やっぱりお前はガキだよな」
「……潔癖じゃ大人になれないって?」
「そんな在り来りなこと言いやしねぇよ」
俺の太腿の上に乗った雪風は不敵な笑みを浮かべたまま俺の顎を指でなぞった。
「リスクのある知り合いとの付き合い方と縁の切り方はユキも心得てる。むしろ不正をバラしてやったり、な? どんな奴にも利用価値はあるんだよ」
無邪気さとは程遠いその微笑みは上に立つ者らしく見えた。
「雪風は麻薬なんかやってないよな?」
「……へっ? ははっ、何言うんだよいきなり、俺は煙草も吸わねぇぞ?」
「いや、冷静に考えて雪風は歳と見た目が一致しないし……」
「お前それは親父見てから言えよ、若々しいのは遺伝だ」
雪兎より幼く見える祖父にはまた別の原因がある気もするが。
「俺も親父も爺さんも麻薬はやってねぇよ、クソ兄貴は怪しいけど……そんな不安そうな顔すんなってー、な? 遊びに行くんだからさ」
「あぁ……うん、貸し別荘か。何するんだ?」
「予定としてはバーベキュー。川あるし川遊びもいいな、水着持って行けよ?」
中学生連れの休日の遊びとしては満点に近い、あくまでも俺の中では。
俺はひとまず家の黒い部分から目を逸らし、休日が待ち遠しいと笑顔を作った。
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