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ふたまた、いち

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退院から数週間、後遺症も見られず俺は健康そのものだった。
だが、変わったことが幾つかある。一つ目は雪風が仕事場を家に移したこと。目立つ見た目の上、狙われることが多い彼は元々リモートワークが多かったようだ。超安全な地下室からかなり安全な家への移動は、雪兎との関係改善も狙っているのだろう。

「えー……だ、からっ……それは、ナシになっただろ? 対案っ、考えてるよな……そう、それっ……それ、説明しろ」

祖父の雪成が親子の愛情を作らないというこの家の慣習を終わらせると言ったのだ、だから雪風は家に住めるようになった。

『……あの、社長。先程から体調が優れないように見えますが』

雪兎は今学校に行っているが、学校から帰ると一番に雪風に会いに来て抱っこをせがむ。年齢で考えれば幼すぎる行動だが、可愛らしいので良しとしよう。

「んっ……? 気に、するな……別に、体調っ、は……悪くない、から。ほら……会議続けろ」

俺は雪兎が家に居る間は主に雪兎と、雪兎が居ない間は雪風と身体を重ねた。休日は三人ですることも多い。雪兎が嫉妬を雪風にぶつけるのではなく、俺を抱く時に俺にぶつけるようになり、親子関係は平穏無事だ。

「……っ! ふっ……!」

『社長? 社長、本当に大丈夫ですか?』

「あ、あぁ……平気だ、続けろ」

雪風は今、椅子に座らず膝立ちで仕事をしている。机に乗せたパソコンを弄り、ヘッドホンとマイクをつけて会議中だ。床に膝立ちになってはカメラに映らないので、折り畳んだ毛布を重ねて台を作っている。

「んぁっ……! ぁ、はっ……」

雪風は不意にマイクとカメラを切った。

「ぁあああっ! イくっ、イくっ……ぁ? まひろ? 真尋ぉ……なんでやめるんだよ」

台を作ってまで雪風が椅子に座らなかったのは、俺に指で後孔をほじくってもらうためだ。カメラに映るのはせいぜい胸から上程度、だから雪風は下は何も履かず、俺を誘っている。

「カメラ切るからだ。部下が見てるとこでイかないと意味ないだろ? バレるかバレないかが醍醐味なのに、切っちゃダメだろ」

指を穴から抜くと、ぬちゃ……と音がして腸液がたっぷり絡みついていた。

「……分かった。じゃあ……次はこれ入れてくれよ」

雪風は蕩けた笑顔を浮かべて俺の股間を摩る。スラックス越しに撫でられても熱い吐息が漏れ、ただでさえ膨らんでいたのに更に硬く張る。

「ダメだ、どうやってもカメラに映る」

「バックじゃなくてさ、お前がここに寝転がって俺が乗ればいいんじゃないか?」

騎乗位? それなら俺は映らないかもしれないが、別の問題がある。

「……雪風の部下は雪風がぴょんぴょん上下してても何とも思わないのか?」

「う……が、頑張って腰だけ揺らす、頭揺らさないようにするから」

頭だけ動かさないなんてそんな鳥みたいな真似が出来るとは思えない。

「…………俺の部下、俺が多少変でも察して何も言わないって。どうせまた誰かとヤってるんだって」

俺はこういった状況で雪風を抱いた覚えはない、俺以前のせフレだろう、腹立たしい。

「バレるかバレないかが醍醐味なんだってば。バレても大丈夫とか、バレたらやばいとか、それはまた別。ほら、部下の前でイかせてやるからカメラとマイク入れろ」

雪風は俺を蕩けた瞳で見つめ、額にキスをしてからカメラとマイクを用意し直した。画角の外から繋がったのを確認し、再び指を突っ込む。

『あ、社長! どうしてたんですか?』

「ぁんっ……! ぁ、いや……ちょっと、調子悪いのはパソコンの方みたいだな」

ほぐれ切った柔らかな腸壁は絶頂を目前にし、俺の指にきゅうきゅうと吸い付いてくる。ここに入れたら気持ちいいだろう、今すぐに突っ込んで腰を振りたい。そんな欲望を抱え、マイクに穴を掻き回すぐちゅぐちゅという音が拾われるくらいに激しく指を動かす。

「……っ、ふっ、ぅ、んっ、んっ……! んゔぅうっ!」

絶頂の寸前、雪風は口に手を当てた。しかしそれでも声は抑えきれず、快感に仰け反った雪風に部下達から心配の声が上がっていた。
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