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くるーざー、ろく
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前々からのふざけた予想が真実に変わる日は近い。旅行が終わって帰ったら元家庭教師だった物を渡されて「ポチさんも餌やりします?」とか言われないか心配だ。
「まひろぉー、終わった?」
「あぁ、終わった。これでまた雪風に手ぇ出す奴が減るぞ」
雪風は俺が渡した上着を羽織って待っていた。そう長い丈ではないから下半身は出てしまっているし、前も閉められていないから妙に扇情的だ。
「なぁ真尋聞いてくれよ。真尋の服、被ってたら真尋に抱き締められてる感じするけど、あんまり匂い嗅げないし、腕がちょっと寂しいんだよ。でも抱き締めてたら背中寂しいんだ。ほんのり温かいのももう俺の体温かもしれないし……どうすればいいと思う?」
「それ着たまま俺に抱かれたらいいと思うぞ」
本気で悩んでいるような顔をして、首を傾げて可愛らしいことを尋ねる雪風。もはや性欲が二の次だ、庇護欲が溢れて止まらない。
「…………その、真尋……俺、せんせに色々されて、今ちょっと後ろ使えない……」
言いたいことはたくさん頭の中に吹き荒れたが、その全ては雪風に聞かせたくない醜い思考だった。俺は黙って雪風を抱き寄せて唇を短く重ねた。
「……別にヤれなくてもいいよ。俺も実はコックリングつけられてて……行為自体は出来るけど射精出来ないんで辛いとこだったんだ」
「そうか……? ぁ、そうだ、真尋、お前のことは諦めたつもりだったんだけど、どうしても無理で、ちょっと持ってきてたんだよ」
「何を?」
「メイド服と化粧道具! お前がメイド好きだって聞いたから服いくつか買ったんだよ」
「なっ……何やと……?」
雪兎に何度かねだっていたけれど叶っていなかったメイドコスが見られる。しかも化粧付きの完璧な雪風の女装、もう死んでもいいかもしれない。
「えっと……あぁ、この鞄」
雪風はソファの横に置いていたボストンバッグを指差す。開けてみれば俺にとってはお宝の山、多種多様なメイド服だ。
「ふわぁぁあっ……ヴィクトリアン、クラシカル、アキバ系、フレンチ……ひゃああ和風に中華まで……」
「喜んでもらえそうで良かった! けど……ちょっと気持ち悪いな」
「へっ……ふへへ……生地が……マジ……」
ジョークグッズや数千円のコスチュームではない、分厚い生地に丁寧な縫い目、安っぽくないフリルに色、完璧だ、完璧の中の完璧だ。
「ぅへへへっ……じゃ、じゃあまずはクラシカルから着てもらおうか……」
「気持ち悪いぞー。もちろん、って言いたいところなんだけどな、そろそろ島に着くんだ」
「え……」
「島、着いてからな? 部屋で待っとけよ、可愛いメイドさんがお世話しに来るから」
メイド服を綺麗に畳んで鞄に戻し終わるとほぼ同時、船が接岸する。俺の上着を羽織っただけの姿で出ていこうとする雪風を止めて、自分が服を着ていないことを気付かせ、スーツを着せた。
「……ぅわっ……すごい、すごい島! めっちゃ島だ! 島!」
船を降りると美しい島の景色が目に飛び込んできた。目の前に伸びた細い道の先にある和風家屋、左手の方にある浜辺に右手の奥にある山。煌めく青と雄大な新緑に対して俺の感性は貧弱だ。
すごい、綺麗、美しい、そんな言葉だけを浮かべながら、案内されるがままに島唯一の建物、別荘に向かった。
「まひろぉー、終わった?」
「あぁ、終わった。これでまた雪風に手ぇ出す奴が減るぞ」
雪風は俺が渡した上着を羽織って待っていた。そう長い丈ではないから下半身は出てしまっているし、前も閉められていないから妙に扇情的だ。
「なぁ真尋聞いてくれよ。真尋の服、被ってたら真尋に抱き締められてる感じするけど、あんまり匂い嗅げないし、腕がちょっと寂しいんだよ。でも抱き締めてたら背中寂しいんだ。ほんのり温かいのももう俺の体温かもしれないし……どうすればいいと思う?」
「それ着たまま俺に抱かれたらいいと思うぞ」
本気で悩んでいるような顔をして、首を傾げて可愛らしいことを尋ねる雪風。もはや性欲が二の次だ、庇護欲が溢れて止まらない。
「…………その、真尋……俺、せんせに色々されて、今ちょっと後ろ使えない……」
言いたいことはたくさん頭の中に吹き荒れたが、その全ては雪風に聞かせたくない醜い思考だった。俺は黙って雪風を抱き寄せて唇を短く重ねた。
「……別にヤれなくてもいいよ。俺も実はコックリングつけられてて……行為自体は出来るけど射精出来ないんで辛いとこだったんだ」
「そうか……? ぁ、そうだ、真尋、お前のことは諦めたつもりだったんだけど、どうしても無理で、ちょっと持ってきてたんだよ」
「何を?」
「メイド服と化粧道具! お前がメイド好きだって聞いたから服いくつか買ったんだよ」
「なっ……何やと……?」
雪兎に何度かねだっていたけれど叶っていなかったメイドコスが見られる。しかも化粧付きの完璧な雪風の女装、もう死んでもいいかもしれない。
「えっと……あぁ、この鞄」
雪風はソファの横に置いていたボストンバッグを指差す。開けてみれば俺にとってはお宝の山、多種多様なメイド服だ。
「ふわぁぁあっ……ヴィクトリアン、クラシカル、アキバ系、フレンチ……ひゃああ和風に中華まで……」
「喜んでもらえそうで良かった! けど……ちょっと気持ち悪いな」
「へっ……ふへへ……生地が……マジ……」
ジョークグッズや数千円のコスチュームではない、分厚い生地に丁寧な縫い目、安っぽくないフリルに色、完璧だ、完璧の中の完璧だ。
「ぅへへへっ……じゃ、じゃあまずはクラシカルから着てもらおうか……」
「気持ち悪いぞー。もちろん、って言いたいところなんだけどな、そろそろ島に着くんだ」
「え……」
「島、着いてからな? 部屋で待っとけよ、可愛いメイドさんがお世話しに来るから」
メイド服を綺麗に畳んで鞄に戻し終わるとほぼ同時、船が接岸する。俺の上着を羽織っただけの姿で出ていこうとする雪風を止めて、自分が服を着ていないことを気付かせ、スーツを着せた。
「……ぅわっ……すごい、すごい島! めっちゃ島だ! 島!」
船を降りると美しい島の景色が目に飛び込んできた。目の前に伸びた細い道の先にある和風家屋、左手の方にある浜辺に右手の奥にある山。煌めく青と雄大な新緑に対して俺の感性は貧弱だ。
すごい、綺麗、美しい、そんな言葉だけを浮かべながら、案内されるがままに島唯一の建物、別荘に向かった。
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