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へやでゆっくり、いち

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扉を開け、足の裏に感じる床の質が変わる。俺の首に腕を回し、肩を掴むようにしている雪風も医務室を出たと分かったのか、腕も下も締める力を強めた。

「雪風、締まり良くなってるぞ」

「うるさいっ、部屋戻れよ……」

「今から戻るんだって」

雪風の部屋に、だけれど。
首に絡んだ腕も、腰に巻き付いた足も、どちらも可愛らしい。肩甲骨の辺りに引っ掻き傷が付かないかだけが心配だが、これからの快感とスリルの前では塵に同じ。
シーツは薄くうっすらと外の様子が伺えるものの、スタスタと歩ける訳もなく、自然と壁に手をついて歩くようになる。そうすれば雪風を支える腕も一本減り、残った方に力が入り、雪風の下腹が圧迫され、更なる快楽に落とされる。

「……ぁ、んっ! ゃあ……ひぁっ、ふっ……ぁんっ!」

一歩、また一歩進む度、雪風は甘い声を上げる。

「…………なぁ、雪風。ちっちゃい子が履いてるぴきゅぴきゅ鳴る靴あるじゃん」

「ぴきゅぴきゅっ……て、言う、んっ! 言うの、初めてっ……聞いたぞ。それがっ、ぁあっ……ぁ、は…………なにぃ?」

「よく喋れんな……いや、歩く度に鳴るので思い出したんだよ。雪風も一歩ごとに声出すからさ」

音が鳴る幼児用の靴呼ばわりされたことが相当悔しかったらしく、雪風は俺の首元に顔を埋め、必死に声を殺し始めた。

「ふっ……ん、んんっ! ……は、ふ…………ふぅぅっ……! ぅ、んっ……」

「余計エロいな」

「ぅうぅううっ……!」

不満の唸りなのか快楽の反応なのか分からないな。階段に指しかかれば雪風を支える腕を初めとし、全身に力が入る。足も当然。

「んっ、は、はぁっ……真尋っ、待って……階段やばい、声っ……出る……」

「出していいぞ、みんなに聞こえるだろうし、俺は幼児靴って呼ぶけど」

雪風はまた俺の首筋に顔を押し付け、声を耐えた。だが、吐息やそれに混じる声がたまらなく扇情的だ。

「んっ、ぁ、はぁっ、ゃんっ! 真尋っ、ふぁ……まっ、まだぁ?」

「今踊り場……はい、もう少し」

「俺っ……も、無理…………ひぅうっ!」

踊り場から二階のちょうど中間、雪風は体をぐったりと垂らし、手足に力が入らなくなった。

「…………真尋ぉっ、俺……今、イった……」

「分かった」

分かったので、階段を駆け上がり、二階にたどり着いた時に静かにジャンプした。予報通り、最初の深めの絶頂から、浅く可愛らしい絶頂が繰り返された。

「真尋っ、真尋、真尋ぉっ! ばかぁっ!」

軽かやなステップで雪風の部屋に。執務室のような堅苦しい空気の中、ぴょんぴょん飛び跳ねる。雪風の反応は常に新鮮で飽きない可愛らしいものだけれど、彼自身ははとても疲れるようで、俺に絡めていなければいけないだろう手足がだらりと垂れ下がっていた。
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