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じさ
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携帯を勝手に触ったこと、いや、触っていないと嘘をついたことへの追求が終わってしばらく、俺はぼうっと窓の外を眺めていた。もどかしさや熱は治まっていないが、それに反応して身を捩ったり喘いだりするほどの体力はなかった。
出国してすぐは青空が見えていて、しばらくするとオレンジ色に変わって──また時間が経つと青色に戻った。今どの辺りを飛んでいるのだろう、雲の上からでは分からない。まぁ、下の景色が見えたとしても分からないだろうけど。
「……ヨーロッパとの時差ってさぁ、何時間だっけ?」
雪兎はジュースを飲みながら本を読んでいる。俺に構うのに飽きたのか、疲れた俺に気遣っているのかは分からない。
「確か……マイナス八時間くらい、だったかと」
「流石、博識。渡航経験ないのにね」
「……時差は義務教育でしょ」
「地域ごとに覚えてる人あんまり居ないよ」
雪兎は飲んでいたジュースを肘掛け横のポケットに置き、冷蔵庫から新しくジュースを取り出す。蓋を開けて錠剤を幾つか入れ、軽く振ってから俺に渡してくる。
「…………目の前で薬入れます?」
鮮やかな青色の飲料水。ラベルは剥がされている。
「疲れたでしょ? 片方は睡眠薬だから安心して。ジェット降りたら車でまたしばらくあるし……寝てていいよ」
「片方?」
「大丈夫大丈夫、もう片方もただの精力増強剤だから。変なものじゃないよ」
十二分に変なものだし、犯罪的な組み合わせだ。
そう思いつつも俺はそのジュースを一気に飲み干した。爽やかな甘味とスッキリとした後味、まぁ美味しい部類だ、褒めるほどではないが。
空き容器を雪兎に返し、椅子を倒す。右腕で明るい照明から目を逃がして、俺は意識的に眠った。
薬入りのジュースを飲み干し、三十分。雪兎はそっと席を立つ。
「……ポチ、寝た? ちゃんと効いてる……かな?」
その白い手をポチの胸元に這わせ、耳に息を吹きかける。甘い吐息を漏らしてすぐに反応した胸の突起を服の上から弾いて、だらしなく開いた口に舌を挿し込む。
「…………両方、ちゃんと効いてるね」
唾液の伝う唇を手の甲で拭って、キスしている間に自然と開いた脚に気が付く。その真ん中の膨らみにも。
「ねぇ、ポチ。動かして欲しい?」
雪兎はリモコンを弄りながらそう尋ねる。答えは求めていない。
ヴヴ……と小さな音が鳴り始める。
「とりあえず弱にしておくね」
「……んっ、ん……ふっ……ゃ……」
「……やっぱり中がいい?」
「ゃ、ぁ、あっ……ん、んんっ……」
確かに眠っている。けれど、これまでの経験と薬によって、彼は眠っていても声を漏らす程に敏感になっている。
「…………起きそうかな。本当に疲れてたみたいだし、向こうでは遊びたいし……弱にしておくね」
太腿を擦り合わせ、目を隠して口を押さえようとして、身体を捩って呼吸を乱す。
「うわ……やばいね、これ」
その艶かしい姿には雪兎の欲も煽られる。
しかし、ここで睡姦を行うほど節操無しではないし、一時の欲望に駆られて後の楽しみを潰すほど馬鹿ではない。
雪兎は席に戻り、視線を強引に本に落とす。本の内容は昔ながらの日本家屋での密室殺人という一見不可能に思えるミステリーであったが──あまり集中出来なかった。
出国してすぐは青空が見えていて、しばらくするとオレンジ色に変わって──また時間が経つと青色に戻った。今どの辺りを飛んでいるのだろう、雲の上からでは分からない。まぁ、下の景色が見えたとしても分からないだろうけど。
「……ヨーロッパとの時差ってさぁ、何時間だっけ?」
雪兎はジュースを飲みながら本を読んでいる。俺に構うのに飽きたのか、疲れた俺に気遣っているのかは分からない。
「確か……マイナス八時間くらい、だったかと」
「流石、博識。渡航経験ないのにね」
「……時差は義務教育でしょ」
「地域ごとに覚えてる人あんまり居ないよ」
雪兎は飲んでいたジュースを肘掛け横のポケットに置き、冷蔵庫から新しくジュースを取り出す。蓋を開けて錠剤を幾つか入れ、軽く振ってから俺に渡してくる。
「…………目の前で薬入れます?」
鮮やかな青色の飲料水。ラベルは剥がされている。
「疲れたでしょ? 片方は睡眠薬だから安心して。ジェット降りたら車でまたしばらくあるし……寝てていいよ」
「片方?」
「大丈夫大丈夫、もう片方もただの精力増強剤だから。変なものじゃないよ」
十二分に変なものだし、犯罪的な組み合わせだ。
そう思いつつも俺はそのジュースを一気に飲み干した。爽やかな甘味とスッキリとした後味、まぁ美味しい部類だ、褒めるほどではないが。
空き容器を雪兎に返し、椅子を倒す。右腕で明るい照明から目を逃がして、俺は意識的に眠った。
薬入りのジュースを飲み干し、三十分。雪兎はそっと席を立つ。
「……ポチ、寝た? ちゃんと効いてる……かな?」
その白い手をポチの胸元に這わせ、耳に息を吹きかける。甘い吐息を漏らしてすぐに反応した胸の突起を服の上から弾いて、だらしなく開いた口に舌を挿し込む。
「…………両方、ちゃんと効いてるね」
唾液の伝う唇を手の甲で拭って、キスしている間に自然と開いた脚に気が付く。その真ん中の膨らみにも。
「ねぇ、ポチ。動かして欲しい?」
雪兎はリモコンを弄りながらそう尋ねる。答えは求めていない。
ヴヴ……と小さな音が鳴り始める。
「とりあえず弱にしておくね」
「……んっ、ん……ふっ……ゃ……」
「……やっぱり中がいい?」
「ゃ、ぁ、あっ……ん、んんっ……」
確かに眠っている。けれど、これまでの経験と薬によって、彼は眠っていても声を漏らす程に敏感になっている。
「…………起きそうかな。本当に疲れてたみたいだし、向こうでは遊びたいし……弱にしておくね」
太腿を擦り合わせ、目を隠して口を押さえようとして、身体を捩って呼吸を乱す。
「うわ……やばいね、これ」
その艶かしい姿には雪兎の欲も煽られる。
しかし、ここで睡姦を行うほど節操無しではないし、一時の欲望に駆られて後の楽しみを潰すほど馬鹿ではない。
雪兎は席に戻り、視線を強引に本に落とす。本の内容は昔ながらの日本家屋での密室殺人という一見不可能に思えるミステリーであったが──あまり集中出来なかった。
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