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おきがえ、なな
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たった今着たばかりの服を脱いで、畳む。それを終えると同時に雪兎が部屋に帰ってきた。その手に紙袋を引っ掛けて。
「ポチの部屋着はこれだよ!」
「……なんです? これ」
雪兎が掴みあげたのは向こうが透けて見える薄い布、透けてはいるが色は一応黒らしい。
「まずこれを……首輪邪魔だね、外すよ」
「あ……はい、どうぞ」
赤い首輪が外され、金色の重い輪が首に巻かれる。締め付けは変わらないが重さが全く違う。
「…………これ、本物の金じゃないですよね?」
雪兎は俺の質問には答えず、首輪の留め具に布を引っ掛ける。
「首輪に繋げた布を背中で結んで……その先は垂らしておく。よし、こんな感じだね」
「すっけすけじゃないですか」
「言ったでしょ? えっちなの着ようって」
透け布を使うのはかなりの強硬手段だ。やはり俺には色気が無いらしい。
「透けるって言っても胸の周りは重ねてあるから、そんなに見えないでしょ?」
「……乳首隠せりゃいいなんてそんなアニメの規制じゃないんですから」
「まぁ簡単に捲れるけどね。ちらっと」
「やめてくださいよ……」
雪兎の手を優しく払い、胸元の布を整える。雪兎は悪戯っ子のような笑みを浮かべ、布の上から胸を撫でる。
「……薄い布だからね、感触いつもと違うでしょ?」
「ふっ……ゃ、やめてくださいっ……着替え、するんでしょ? 先に……着替え終わらせましょうよ」
くすくすと笑って手を離し、また別の金装飾を取り出す。それには宝石も伺えて、やはり本物の金なのではないかとの疑惑が深まる。
「貞操帯も邪魔だね、一回外すよ?」
「……お好きにどうぞ」
貞操帯が外された。後ろに入れられていた物を抜かれた時には一瞬身を跳ねさせたが、ベルトのように腰に巻かれた金細工の冷たさに取って変わられる。
「で、ここに布を通してっと」
首輪と同じく留め具に布を引っ掛けて、垂らす。腰の前面に布が垂れているというのは、どうにも褌を連想させるが、アレと違って俺が着ている物には後ろの部分がない。
「……あ、あの? 後ろは?」
「ないよ?」
「…………お尻、丸出しですか?」
「まぁ……そうだね。でも別にいいでしょ? 便利じゃん」
何に便利だと言うのだろう。
雪兎は次に俺の二の腕と手首にそれぞれ輪を巻いて、その留め具に布を引っ掛けた。蝙蝠の皮膜のように、着物の袖のように、片腕二つずつの腕輪を繋ぐ布──これには何の意味があるのだろう。
「後、足だね」
ベルトの左右の留め具に布を通して、膝の上に巻いた輪に引っ掛ける。太腿の外側を僅かに隠す形となる。膝の輪を通った布は足首の輪に繋がった。
「で、最後に顔で……完成!」
顔の下半分を隠し、耳の上を通して頭の後ろで端を結ぶ。
雪兎に連れられて姿見の前に立ってみたが、隠すべきところをことごとく間違えたような服装だ。
「エキゾチックってやつだね、大人っぽいよポチ」
「はぁ……石油とか出てそうな感じしますね」
動きにくいだとか、重たいだとか、眠れないだとかの愚痴は一旦置いておこう。
「…………なんでこの服選んだんですか?」
「可愛いからに決まってるじゃん」
「占いの館とか開いてそう……」
何よりの問題は臀部を隠す布がないという事だ。シャツ一枚の方が余程肌を隠せていた。
俺はこれが普段着ではなくコスプレ衣装である事を祈りつつ、目の前に映る自分から目を逸らした。
「ポチの部屋着はこれだよ!」
「……なんです? これ」
雪兎が掴みあげたのは向こうが透けて見える薄い布、透けてはいるが色は一応黒らしい。
「まずこれを……首輪邪魔だね、外すよ」
「あ……はい、どうぞ」
赤い首輪が外され、金色の重い輪が首に巻かれる。締め付けは変わらないが重さが全く違う。
「…………これ、本物の金じゃないですよね?」
雪兎は俺の質問には答えず、首輪の留め具に布を引っ掛ける。
「首輪に繋げた布を背中で結んで……その先は垂らしておく。よし、こんな感じだね」
「すっけすけじゃないですか」
「言ったでしょ? えっちなの着ようって」
透け布を使うのはかなりの強硬手段だ。やはり俺には色気が無いらしい。
「透けるって言っても胸の周りは重ねてあるから、そんなに見えないでしょ?」
「……乳首隠せりゃいいなんてそんなアニメの規制じゃないんですから」
「まぁ簡単に捲れるけどね。ちらっと」
「やめてくださいよ……」
雪兎の手を優しく払い、胸元の布を整える。雪兎は悪戯っ子のような笑みを浮かべ、布の上から胸を撫でる。
「……薄い布だからね、感触いつもと違うでしょ?」
「ふっ……ゃ、やめてくださいっ……着替え、するんでしょ? 先に……着替え終わらせましょうよ」
くすくすと笑って手を離し、また別の金装飾を取り出す。それには宝石も伺えて、やはり本物の金なのではないかとの疑惑が深まる。
「貞操帯も邪魔だね、一回外すよ?」
「……お好きにどうぞ」
貞操帯が外された。後ろに入れられていた物を抜かれた時には一瞬身を跳ねさせたが、ベルトのように腰に巻かれた金細工の冷たさに取って変わられる。
「で、ここに布を通してっと」
首輪と同じく留め具に布を引っ掛けて、垂らす。腰の前面に布が垂れているというのは、どうにも褌を連想させるが、アレと違って俺が着ている物には後ろの部分がない。
「……あ、あの? 後ろは?」
「ないよ?」
「…………お尻、丸出しですか?」
「まぁ……そうだね。でも別にいいでしょ? 便利じゃん」
何に便利だと言うのだろう。
雪兎は次に俺の二の腕と手首にそれぞれ輪を巻いて、その留め具に布を引っ掛けた。蝙蝠の皮膜のように、着物の袖のように、片腕二つずつの腕輪を繋ぐ布──これには何の意味があるのだろう。
「後、足だね」
ベルトの左右の留め具に布を通して、膝の上に巻いた輪に引っ掛ける。太腿の外側を僅かに隠す形となる。膝の輪を通った布は足首の輪に繋がった。
「で、最後に顔で……完成!」
顔の下半分を隠し、耳の上を通して頭の後ろで端を結ぶ。
雪兎に連れられて姿見の前に立ってみたが、隠すべきところをことごとく間違えたような服装だ。
「エキゾチックってやつだね、大人っぽいよポチ」
「はぁ……石油とか出てそうな感じしますね」
動きにくいだとか、重たいだとか、眠れないだとかの愚痴は一旦置いておこう。
「…………なんでこの服選んだんですか?」
「可愛いからに決まってるじゃん」
「占いの館とか開いてそう……」
何よりの問題は臀部を隠す布がないという事だ。シャツ一枚の方が余程肌を隠せていた。
俺はこれが普段着ではなくコスプレ衣装である事を祈りつつ、目の前に映る自分から目を逸らした。
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