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おきがえ、ろく
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雪兎は着替えを終え、鞄を机に持っていき中身の入れ替えを行っている。時間割を合わせているのだろうか……俺は中学の時から置き勉主義で、時間割を合わせたことはなかったな。
「……ユキ、様」
足に上手く力が入らず、目眩のようなものもあって、俺はベッドから降りてすぐに床に膝を着いた。
「ん? 何、ポチ」
「……ユキ様、春休みっていつからなんですか?」
「僕が行ってる学校は普通とはちょっと違っててね、春休みは二週間、期間内ならいつからでもいいんだ。飛び飛びでもOK、変わってるでしょ?」
終業式は三月で、四月が始まる頃にはもう春休みは終わり──というのが俺の感覚だったが、どうやら庶民の常識は通用しないらしい。
「じゃあ、旅行は二週間ですか?」
「丸々って訳にはいかないけど、まぁそうだね」
「二週間ユキ様と二人っきり……!?」
「向こうにも使用人居るし、観光もしたいからガイドさんも居るけど」
その方々はそんなに話しかけてこないだろうし、俺や雪兎を狙ったりもしないだろう。なので数えない、ゲームで言うNPCだ。
「…………まぁ、海外行ってまで部屋でヤリっぱなしってのも嫌ですけど」
「えっと……外でしたいってこと?」
「なんでその発想に行くんですかね。嫌ですよ海外での逮捕歴アリとか」
「冗談だって、二割くらいは」
それは本気と言うんだ。
話しているうちに身体の怠さや目眩もマシになり、俺は四つん這いで雪兎の足元に移動した。椅子に座った雪兎の膝に頬を擦り寄せ、そっと頭を置く。
「……ふふ、本物の犬みたい」
「本物じゃありませんけど、本当ですよ」
「そうだね、可愛い可愛い」
頭を撫でられると素直に喜ばしい。尻尾を振りたくなるが、尻尾を振ったら撫でられる感触なんて消し飛んでしまう。
「……ポチもお着替えしようか」
「服あるんですか?」
「旅行用に頼もうかと思っててさ、せっかくだしオシャレしなきゃね。それに、春物はもう用意してるから……それ着る?」
「…………まぁ、俺は犬なので」
犬の服は飼い主が選ぶ物だ。犬の中で渋いナイスミドルであろうと、人間にはピンクのフリフリドレスを着せられる。まぁ服装に関する意識は人間のものだから、犬がどう思うかは知らないけれど。
「尻尾穴ないんだよねぇ、どうする?」
「……尻尾外すっていう選択肢は?」
「犬耳尻尾or貞操帯、だけどどうする?」
貞操帯か……コックリングを装着されている以上、射精出来ないのは両方同じ。窮屈さは貞操帯の方が上だが、張形の大きさは尻尾の方が上、さてどうしよう。
「もしくは、貞操帯つけて……ベルトに付ける尻尾飾りにするか」
「……尻尾何個あるんですか?」
「用途別に色々」
「用途……? まぁ、好きにしてください」
雪兎の好きにさせた結果、俺は貞操帯を装着させられ、ベルトに尻尾飾りを付けられた。犬耳のカチューシャは続投。
春物の服は薄手のジーンズと藍色のパーカー。モテない男子中学生のような服装だが、まぁいい。
「……思ったより地味だなぁ」
「別に目立ちたくないですけど」
「まぁ、それ散歩用だしね。部屋の中ではもっと……えっちなの着ようか」
「……こんなガタイのいい男が何着たらエロくなるって言うんですか」
「さっきの格好は中々だったよ」
服装としては扇情的だっただろうけど、中身が俺ではどうにならない。肌の色は濃いし、目付きは悪いし、筋肉はあるしで、艶っぽさの欠片もない。
「持ってくるからちょっと待っててね」
また通販ででも頼んでいたのだろう。雪兎は俺を部屋に一人残し、去っていく。
別の物を着るなら脱いでおこうと、俺は今まで着ていた服を畳んで待った。
「……ユキ、様」
足に上手く力が入らず、目眩のようなものもあって、俺はベッドから降りてすぐに床に膝を着いた。
「ん? 何、ポチ」
「……ユキ様、春休みっていつからなんですか?」
「僕が行ってる学校は普通とはちょっと違っててね、春休みは二週間、期間内ならいつからでもいいんだ。飛び飛びでもOK、変わってるでしょ?」
終業式は三月で、四月が始まる頃にはもう春休みは終わり──というのが俺の感覚だったが、どうやら庶民の常識は通用しないらしい。
「じゃあ、旅行は二週間ですか?」
「丸々って訳にはいかないけど、まぁそうだね」
「二週間ユキ様と二人っきり……!?」
「向こうにも使用人居るし、観光もしたいからガイドさんも居るけど」
その方々はそんなに話しかけてこないだろうし、俺や雪兎を狙ったりもしないだろう。なので数えない、ゲームで言うNPCだ。
「…………まぁ、海外行ってまで部屋でヤリっぱなしってのも嫌ですけど」
「えっと……外でしたいってこと?」
「なんでその発想に行くんですかね。嫌ですよ海外での逮捕歴アリとか」
「冗談だって、二割くらいは」
それは本気と言うんだ。
話しているうちに身体の怠さや目眩もマシになり、俺は四つん這いで雪兎の足元に移動した。椅子に座った雪兎の膝に頬を擦り寄せ、そっと頭を置く。
「……ふふ、本物の犬みたい」
「本物じゃありませんけど、本当ですよ」
「そうだね、可愛い可愛い」
頭を撫でられると素直に喜ばしい。尻尾を振りたくなるが、尻尾を振ったら撫でられる感触なんて消し飛んでしまう。
「……ポチもお着替えしようか」
「服あるんですか?」
「旅行用に頼もうかと思っててさ、せっかくだしオシャレしなきゃね。それに、春物はもう用意してるから……それ着る?」
「…………まぁ、俺は犬なので」
犬の服は飼い主が選ぶ物だ。犬の中で渋いナイスミドルであろうと、人間にはピンクのフリフリドレスを着せられる。まぁ服装に関する意識は人間のものだから、犬がどう思うかは知らないけれど。
「尻尾穴ないんだよねぇ、どうする?」
「……尻尾外すっていう選択肢は?」
「犬耳尻尾or貞操帯、だけどどうする?」
貞操帯か……コックリングを装着されている以上、射精出来ないのは両方同じ。窮屈さは貞操帯の方が上だが、張形の大きさは尻尾の方が上、さてどうしよう。
「もしくは、貞操帯つけて……ベルトに付ける尻尾飾りにするか」
「……尻尾何個あるんですか?」
「用途別に色々」
「用途……? まぁ、好きにしてください」
雪兎の好きにさせた結果、俺は貞操帯を装着させられ、ベルトに尻尾飾りを付けられた。犬耳のカチューシャは続投。
春物の服は薄手のジーンズと藍色のパーカー。モテない男子中学生のような服装だが、まぁいい。
「……思ったより地味だなぁ」
「別に目立ちたくないですけど」
「まぁ、それ散歩用だしね。部屋の中ではもっと……えっちなの着ようか」
「……こんなガタイのいい男が何着たらエロくなるって言うんですか」
「さっきの格好は中々だったよ」
服装としては扇情的だっただろうけど、中身が俺ではどうにならない。肌の色は濃いし、目付きは悪いし、筋肉はあるしで、艶っぽさの欠片もない。
「持ってくるからちょっと待っててね」
また通販ででも頼んでいたのだろう。雪兎は俺を部屋に一人残し、去っていく。
別の物を着るなら脱いでおこうと、俺は今まで着ていた服を畳んで待った。
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