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おさんぽ

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一晩だけの正月旅行から一週間、俺は雪兎に連れられ庭を案内されていた。

「こっちがねー、えっと、花育ててて、こっちは木で……あれ、これ何の木だったかな……」

雪兎の気が向けば貞操帯を外して手や足で弄んでもらえるが、あの旅行から帰ってから俺はずっと貞操帯を付けている。雪風は家に居ないし、使用人達に俺を襲うような奴はいないし、何の為に付けているのか俺には分からない。

「そうそうあっちに池があって……ポチ?  聞いてる?」

自由に一人で発散出来なくなった俺はいつも悶々として、情報量の少ない雪兎の案内を全く聞いていなかった。
正直にそう言うと雪兎はポケットに手を入れ、足を早めた。怒らせたかななんて気にしたのは一瞬で、貞操帯に仕込まれたオモチャからの刺激に座り込んだ。

「僕の話そんなにつまんない?」

つまらなかった、そう正直に答えたら何をされるのかという好奇心が膨れ上がる。

「は……ぁっ、ゆき…………ごめん、なさい」

「そんな所に座っちゃ汚いよ、早く行こ?」

手首に絡めた俺の首輪に繋がる紐を引き、可愛らしく小首を傾げる。
俺は正座を崩したような体勢で、両手を脚に挟んで俯いており、首輪を引かれてもすぐには動けなかった。

「ほら、早く行こうよ。つまらなくないもの見せてあげるから」

「とめ、て……っ……」

「ポチ、散歩嫌いなの?」

流石に敷地外には出してもらえず、たまには外に出たいという俺の要望は庭巡りという形で叶えられた。

「……しょうがないなぁ、もう」

振動が止まる。雪兎も俺の遊び方をたまには変えたいらしい。

「ま、待って……まだ、足に力入んない……です」

「もー!  じゃあ、這ってくれば!」

力を抜いていたところに全体重をかけられ、俺は首輪に引っ張られて地面に手を着いた。その姿を見た雪兎は途端に上機嫌になって、俺の顎を掴んで上を向かせた。

「…………そのままおいで?」

「へ……?  それは、どういう意味で……」

「そのままの意味だよ。犬って、二足歩行だったかなぁー?」

「……四つん這いになれと!?」

「やだなぁ、たまにしてるじゃん」

「それはベッドの上だから良いんですよ!  いや良くありませんあれめちゃくちゃ恥ずかしいんです!  じゃなくて、ここ外ですよ!?」

首輪を付けて、苦しいくらいに紐を引かれ、四つん這いで庭を歩き回るなんて、流石にプライドが許さない。
拒絶の意を込めて雪兎の顔を睨み上げる。悪戯っぽい、僅かに紅潮した可愛らしい顔を。

「こ、こんなの……」

「こんなの?  何?  嫌なの?」

「…………興奮するっ……上に乗ってちょっと叩いてみて欲しいなんて言えない!」

「わぁ大声。でもごめんね、鞭とか持ってないから」

俺は鞭で叩けなんて言っていないし、雪兎の手のひらが良いと思っている。
俺は決して痛みが好きなのではない、雪兎に屈服させられたいだけだ。
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