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ふろあがり
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風呂上がり。浴衣を着た雪兎を見て、俺は萎えかけていた欲望を再び燃え上がらせる。
「ユキ様ー! しましょー!」
背後から抱き締めるが、雪兎は俺に冷たい目を向ける。露天風呂で「お風呂上がってから……」と言っていたあの可愛らしい瞳はどこにも見受けられない。
「邪魔しないで。髪の手入れと肌の保湿、お風呂上がりはやることいっぱいなんだよ」
「……そんなのしても無駄じゃないですか? するんでしょ? ってか俺舐めるかもしれないのに変なの塗らないでくださいよ俺お腹壊しますよ?」
「うるさいなぁ、ガサツなポチには分かんないよ。僕はデリケートなの! とにかく、あと二十分くらいは待って!」
めいっぱい時間を使いたいと言っていたのは誰だったか。そう言い返したくなったが、俺はそれをため息に変えて雪兎から離れた。
雪兎を怒らせて良いことは何一つないし、雪兎の肌や髪が荒れては俺も困る。
「……ごめんね? でも、本当に……僕、肌弱くて……」
保湿クリームを塗りながら、雪兎は小動物のような可愛さを戻す。どうしてこうもコロコロと態度を変えられるのか、俺には分からない。
「構いませんよ。弱そうなのは見れば分かりますし」
「どういう意味?」
「色素無いじゃないですか」
「なくはないよ、知らないけど。っていうかポチが多すぎるの」
「平均より黒いとは思いますけどね。色黒ってほどでもないですよ」
俺は浴衣の帯を締め直して、肌の手入れをする雪兎を眺める。顔に塗っていた時は何も思わなかったが、浴衣をはだけさせて腕や肩、足に塗っていくのを見ていると、なかなかに興奮が持続する。
「……ぁ、ねぇポチ。暇なら何か飲み物買ってきてよ。喉乾いた」
「えぇーこのカッコしてると目立つのに」
「何が…………あぁ、いや知らないよ」
「勃った原因ユキ様なのに。まぁいいですよ、何飲みたいんです?」
「んー、炭酸じゃないジュース、柑橘系ね」
生返事をして部屋を出る。通路にも暖房は効いていて、浴衣一枚でもなんら問題は無かった。
自販機を探して彷徨う俺の前にふらふらと歩く人影が見えた。真っ白なそれは壁にぶつかって、ずるずると倒れ込む。
「だ、大丈夫ですか?」
駆け寄って声をかける。
「…………犬」
真っ赤な瞳が俺を睨み上げる。俺は彼に方を貸して立ち上がらせた。
「雪風様……酔ってます? 大丈夫ですか? 水飲みます? 今から買いに行くんですけど……」
雪風は黙って首を振る。どうしようかと考えて気を抜いた瞬間、よろめいた雪風に壁に押し付けられる。
「……っと、すいません」
すぐに体勢を戻そうとするが、雪風は俺の肩を押さえ付けて離さない。
「…………雪風様?」
雪風は俺の顔を頭で押しのけ、首筋に舌を這わせる。
「ちょ……っ、な、何して……」
止める間もなく、歯が突き立てられる。加減など一切なく、噛みちぎられるのではないかと思うほどだった。
「ね……えっ、ちょっと! 何してるんですかっ……て! 離れて!」
雪兎とは違い、雪風は俺より背が高く力も強い。どれだけ身体を押しても、雪風は離れてくれない。もがいていると雪風の口が首から離れて耳に移る。
「暴れるな……犬、大人しくしてろ」
そう囁くと、雪風は再び首筋に噛み付いた。
「ユキ様ー! しましょー!」
背後から抱き締めるが、雪兎は俺に冷たい目を向ける。露天風呂で「お風呂上がってから……」と言っていたあの可愛らしい瞳はどこにも見受けられない。
「邪魔しないで。髪の手入れと肌の保湿、お風呂上がりはやることいっぱいなんだよ」
「……そんなのしても無駄じゃないですか? するんでしょ? ってか俺舐めるかもしれないのに変なの塗らないでくださいよ俺お腹壊しますよ?」
「うるさいなぁ、ガサツなポチには分かんないよ。僕はデリケートなの! とにかく、あと二十分くらいは待って!」
めいっぱい時間を使いたいと言っていたのは誰だったか。そう言い返したくなったが、俺はそれをため息に変えて雪兎から離れた。
雪兎を怒らせて良いことは何一つないし、雪兎の肌や髪が荒れては俺も困る。
「……ごめんね? でも、本当に……僕、肌弱くて……」
保湿クリームを塗りながら、雪兎は小動物のような可愛さを戻す。どうしてこうもコロコロと態度を変えられるのか、俺には分からない。
「構いませんよ。弱そうなのは見れば分かりますし」
「どういう意味?」
「色素無いじゃないですか」
「なくはないよ、知らないけど。っていうかポチが多すぎるの」
「平均より黒いとは思いますけどね。色黒ってほどでもないですよ」
俺は浴衣の帯を締め直して、肌の手入れをする雪兎を眺める。顔に塗っていた時は何も思わなかったが、浴衣をはだけさせて腕や肩、足に塗っていくのを見ていると、なかなかに興奮が持続する。
「……ぁ、ねぇポチ。暇なら何か飲み物買ってきてよ。喉乾いた」
「えぇーこのカッコしてると目立つのに」
「何が…………あぁ、いや知らないよ」
「勃った原因ユキ様なのに。まぁいいですよ、何飲みたいんです?」
「んー、炭酸じゃないジュース、柑橘系ね」
生返事をして部屋を出る。通路にも暖房は効いていて、浴衣一枚でもなんら問題は無かった。
自販機を探して彷徨う俺の前にふらふらと歩く人影が見えた。真っ白なそれは壁にぶつかって、ずるずると倒れ込む。
「だ、大丈夫ですか?」
駆け寄って声をかける。
「…………犬」
真っ赤な瞳が俺を睨み上げる。俺は彼に方を貸して立ち上がらせた。
「雪風様……酔ってます? 大丈夫ですか? 水飲みます? 今から買いに行くんですけど……」
雪風は黙って首を振る。どうしようかと考えて気を抜いた瞬間、よろめいた雪風に壁に押し付けられる。
「……っと、すいません」
すぐに体勢を戻そうとするが、雪風は俺の肩を押さえ付けて離さない。
「…………雪風様?」
雪風は俺の顔を頭で押しのけ、首筋に舌を這わせる。
「ちょ……っ、な、何して……」
止める間もなく、歯が突き立てられる。加減など一切なく、噛みちぎられるのではないかと思うほどだった。
「ね……えっ、ちょっと! 何してるんですかっ……て! 離れて!」
雪兎とは違い、雪風は俺より背が高く力も強い。どれだけ身体を押しても、雪風は離れてくれない。もがいていると雪風の口が首から離れて耳に移る。
「暴れるな……犬、大人しくしてろ」
そう囁くと、雪風は再び首筋に噛み付いた。
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