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あっため
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雪兎は体温が低い。その名の通り、なんて茶化す気も起きないくらいに。
熱を測った事はないから詳しくは分からないが、手足の末端は氷のように冷たい。冷え性なのかもしれない。
だから俺は雪兎が眠っている間、その冷たい手足を温めている。
足を絡めて、指を絡めて、息を吐きかけて、温める。
「……ぁ、っつい」
氷みたいな冷たさをしておきながら、雪兎は暑がりだ。すぐに毛布を蹴っ飛ばす。
「お腹出しちゃダメですよー……っと」
毛布をかけ直し、雪兎の背を摩る。
「んー……ぽちの、ばかぁ……」
「こんなに尽くしてるのに!」
寝言に傷つきながらも、雪兎を温める。
俺は体温は高いが寒がりだ、雪兎とは真逆。だから雪兎を温めるのは、俺が暖を取る為でもある。
毛布を蹴り飛ばす氷と一緒に寝ていたら、凍え死んでしまう。
雪兎の右手の甲に唇を触れさせて、口を少し開けて、舌を這わせる。舌をゆっくりと中指に絡ませて、そのまま口の中に招き入れる。
「んっ……ふ、んー……可愛い」
俺の指とは全く違う、細い指。
第二関節のあたりまで咥えこんで、赤子が母の乳を求めるように吸う。
静かな部屋に響くちゅっちゅという音は、甘美な背徳感を与えてくれる。
オレンジ色の僅かな光。俺が暗闇が怖いと言ったら点けたままにしてくれた最小限の電灯。その光に照らされると、雪兎の白い髪は暗いオレンジ色に見える。
俺は咥えていた指を離して、ゆっくりと雪兎を起こさないように起き上がる。
乱れた毛布をかけ直し、柔らかく白い餅のような肌にキスを落とす。
唇を触れさせたまま耳に移動し、わざと熱い吐息をかける。
「んっ……」
雪兎は耳が弱いらしい。その名の通り、なんて茶化したくなるくらいに。いや、うさぎの弱点が耳だとは思えない、印象が強いという意味だと言い訳しておこう。
「やっ……ぁ、ん」
いつもより高い可愛い声を出す。
俺はもっともっとその声を聞きたくて、耳を食む。
「ん…………やめ、ろ!」
首が絞まる──雪兎が首輪の紐を引っ張ったのだ。
起きたのか? いや、半覚醒と言ったところか。
調子に乗り過ぎたらしい。俺は反省して、雪兎の柔らかい髪を撫でる。
サラサラと指を通すその髪に色素はない。それが雪兎の神秘性を増していた。
「……んぅー、ぽち、ぎゅー」
髪を撫でていた手を止めるように雪兎の手が乗ってくる。
俺は夢と現の境をさまよう雪兎の願いを聞いて、ぎゅーっと抱き締める。すると雪兎の寝息は穏やかになり、指の力も抜ける。
俺は足を絡め直して、ふくらはぎで膝を擦る。だんだんと温度が移っていく様が面白くて、愛おしくて、擦り合わせる力を強くする。
「……可愛いよなぁ、本当に。はぁー……抱きたい」
雪兎の肌は全身陶器のようにすべすべで、それを俺の好きなように指や舌で愛撫できたなら、どんなにいいか。それを想像するだけで勃ってしまう。
だからといって欲望のままに動いてはその日が遠ざかるばかりだ。俺は弱々しい理性に毎晩ギリギリで抑えられて、雪兎を健全な方法で温めている。
熱を測った事はないから詳しくは分からないが、手足の末端は氷のように冷たい。冷え性なのかもしれない。
だから俺は雪兎が眠っている間、その冷たい手足を温めている。
足を絡めて、指を絡めて、息を吐きかけて、温める。
「……ぁ、っつい」
氷みたいな冷たさをしておきながら、雪兎は暑がりだ。すぐに毛布を蹴っ飛ばす。
「お腹出しちゃダメですよー……っと」
毛布をかけ直し、雪兎の背を摩る。
「んー……ぽちの、ばかぁ……」
「こんなに尽くしてるのに!」
寝言に傷つきながらも、雪兎を温める。
俺は体温は高いが寒がりだ、雪兎とは真逆。だから雪兎を温めるのは、俺が暖を取る為でもある。
毛布を蹴り飛ばす氷と一緒に寝ていたら、凍え死んでしまう。
雪兎の右手の甲に唇を触れさせて、口を少し開けて、舌を這わせる。舌をゆっくりと中指に絡ませて、そのまま口の中に招き入れる。
「んっ……ふ、んー……可愛い」
俺の指とは全く違う、細い指。
第二関節のあたりまで咥えこんで、赤子が母の乳を求めるように吸う。
静かな部屋に響くちゅっちゅという音は、甘美な背徳感を与えてくれる。
オレンジ色の僅かな光。俺が暗闇が怖いと言ったら点けたままにしてくれた最小限の電灯。その光に照らされると、雪兎の白い髪は暗いオレンジ色に見える。
俺は咥えていた指を離して、ゆっくりと雪兎を起こさないように起き上がる。
乱れた毛布をかけ直し、柔らかく白い餅のような肌にキスを落とす。
唇を触れさせたまま耳に移動し、わざと熱い吐息をかける。
「んっ……」
雪兎は耳が弱いらしい。その名の通り、なんて茶化したくなるくらいに。いや、うさぎの弱点が耳だとは思えない、印象が強いという意味だと言い訳しておこう。
「やっ……ぁ、ん」
いつもより高い可愛い声を出す。
俺はもっともっとその声を聞きたくて、耳を食む。
「ん…………やめ、ろ!」
首が絞まる──雪兎が首輪の紐を引っ張ったのだ。
起きたのか? いや、半覚醒と言ったところか。
調子に乗り過ぎたらしい。俺は反省して、雪兎の柔らかい髪を撫でる。
サラサラと指を通すその髪に色素はない。それが雪兎の神秘性を増していた。
「……んぅー、ぽち、ぎゅー」
髪を撫でていた手を止めるように雪兎の手が乗ってくる。
俺は夢と現の境をさまよう雪兎の願いを聞いて、ぎゅーっと抱き締める。すると雪兎の寝息は穏やかになり、指の力も抜ける。
俺は足を絡め直して、ふくらはぎで膝を擦る。だんだんと温度が移っていく様が面白くて、愛おしくて、擦り合わせる力を強くする。
「……可愛いよなぁ、本当に。はぁー……抱きたい」
雪兎の肌は全身陶器のようにすべすべで、それを俺の好きなように指や舌で愛撫できたなら、どんなにいいか。それを想像するだけで勃ってしまう。
だからといって欲望のままに動いてはその日が遠ざかるばかりだ。俺は弱々しい理性に毎晩ギリギリで抑えられて、雪兎を健全な方法で温めている。
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