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ゆきとのてで

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雪兎はそっと俺の性器に指先を触れさせる。氷のように冷たい指は、熱くたぎったものを触って少しずつ温まる。

「出したばっかだよね?  なんでこんなに……」

「ユキ様がしてくれるって言うからですよ」

「ポチは僕に触っちゃダメだよ。分かってる?  約束守らなかったらもう絶対してあげないからね」

「…………手錠かけてくれません?  俺、興奮すると我を忘れちゃうタイプで」

「自分のことを分かってるってのは、いいことだと思うけどさぁ。でもそれはどうかと思うなぁ」

雪兎はそう言いながらも俺の腕を後ろに回させ、手錠をかけた。鉄の冷たさが雪兎の指を思い出させて、雪兎に手を押さえつけられているようで、興奮した。

「……ユキ様、早く」

「そんなに早く早くって言われるとさぁ、やりたくなくなるんだよねー」

「約束じゃないですか!  守ってくださいよ!」

「や、やるよ……冗談だって」

雪兎はしばらくどう攻めるかを考え込み、何かを思いついた様子でニヤリと笑った。その笑みは悪戯っ子のようで、俺に不安を覚えさせる。

「きゅーっと、して……」

陰茎の根元を人差し指と親指で作った輪で締める。

「上に……下に。どう?」

「いいです、すごく……気持ちいい。もう出ちゃいそうですよ」

「だらしないの」

「ユキ様がしてくれてるって思うだけで、もう……!」

わざとなのか、その扱き方は稚拙だ。けれど見た目にあったその手の幼さは俺に奇妙な背徳感を与える。
雪兎の性技がこんなものではないという予想はついている、だから本領発揮するまでは我慢──したかった。

「……っ、ふ。ぁ……もう、出ちゃった」

「結構早かったねぇ」

「ユキ様にもっとしてもらいたかったのに……」

「…………そんなに僕が好き?」

雪兎の目は先程までとは打って変わって真剣だ。
好き?  か。そう聞かれればそうだと答えられる。
俺は雪兎が好きだ。その中性的な童顔が、余裕ぶった表情が、冷たい指が、甘えたがりなところが、大好きだ。
性的な対象として。

「好き、です。好きですユキ様」

「そう……そっか、そっかぁ」

雪兎は嬉しそうにニマニマと笑い、そのだらしない口元を手で隠す。俺の精液にまみれた手で。

「……なら、してあげないとね」

半勃ちになっていた陰茎を握られると、俺の身体は勝手に跳ねた。二度も射精して、大して時間も開いていない。イったばかりの俺の性器はかなり敏感になっていた。

「ふふ、どうしよっかなぁ。ちょっといじめちゃおっか?」

「……ふぁ、あ……どんなっ……ふうに?」

「もうイキそう?  ほんと可愛いなぁ」

可愛いのはそっちだ。顔も体も声も話し方も。
俺に可愛らしさなんて微塵もありはしない。
俺はそんなことを喘ぎ喘ぎ伝えた。雪兎は少し顔を赤くして、陰茎の根元を強く握る。

「そんなこと言ったって、優しくなんてしてあげないよ」

「……ゆきぃ」

「様を付けろ、馬鹿犬……なーんてね」

コロコロと変わる表情、愉悦に満ちた赤紫の瞳。
雪兎の全てが俺を惹きつけてやまない。
あぁ、本当に……可愛い、抱きたい、俺に惚れさせたい。
俺の願望はきっと俺と雪兎が入れ替わって叶うだろう、いや、もう叶っているのかもしれない。
俺は雪兎に「抱きたい」と言われれば喜んで体を委ねるし、きっともう雪兎に惚れている。
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