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ききめはいかが?

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雪兎はこの白い部屋に溶け込んで、赤紫の瞳だけが浮いていた。

「ゆきっ、ゆき……ゆきとぉ!」

「ただいまポチ、風邪引いたんだって?  怒られちゃったよ、ちゃんと責任もって面倒みろって」

俺は雪兎が目の前にいるのに、陰茎を扱く手を止められないでいた。雪兎はそのことをどう思うだろうか。

「お薬、どうかな?  先生お墨付きだからよく効くと思うんだ」

雪兎は布団を剥ぎ取り、自慰に耽る俺を見て満面の笑みを浮かべる。

「よく効いてるね、よかった」

ぴん、と亀頭を弾く。俺はそれでまた果てた。
雪兎は俺の胸を手のひらで撫でる。僅かに乳首が擦れる度に、俺は足をびくびくと跳ねさせた。

「もっと、ちゃんと触って、ゆき……」

「ユキ?  って呼んだ?」

「……ユキ様!」

「うん、何?」

「乳首……弄ってください。抓ったり、とか、してください」

俺は雪兎の手首を掴んで、震える声でそう懇願する。
雪兎はもう片方の手で俺の頭を撫でて、額にキスを落とした。その行動に気を取られていると、俺の願い通りに乳首が抓り上げられる。

「ひっ……ん、ぁ、そう……もっと」

「もっと?  こう?」

ぐりぐりと指を動かしながら引っ張られると、俺はまた軽く絶頂した。
自分で自分のモノを扱きながら、飼い主に乳首を弄られて、あぁ、本当に俺は……ペットになってしまった。

「……ユキ様っ、下、下も触ってください!」

「えぇ?  自分でしてるじゃん」

「ユキ様の手がいい、ユキ様ぁ……」

「んー……また今度ね」

雪兎は乳首を弄っていた手を下に向かせておきながら、その手を俺の顔の前でひらひらと揺らした。

「そんなっ……」

「今はこっち。ほら……ぐーりぐーり」

また乳首を抓られる、今度は両方同時に、力加減を変えながら。左は優しくして、右は激しくして。少ししたらそれも入れ替わったりして。

「あっ……は、もう……むり、あぁっ!  んっ……ふ、これ以上イったら、俺、壊れるっ……」

「そしたらまた組み上げてあげるよ。僕好みに」

「ほ、ほんと?  捨てない?」

「捨てない捨てない」

「あっ、はぁ……なら、なら壊して!  早く……壊してぇ!」

「えぇ?  ふふ、どうしようかな」

こんなに苦しく焦らされるのなら、プライドが邪魔して上手くねだれないのなら、いっそのこと壊れてしまいたい。
雪兎はそんな俺の願いを聞く気はないらしく、両の手のひらを俺から離した。

「ねぇ、何思いながらそれしてるの?」

「……え?」

「だからさ、そのおてては何を再現したくて動いてるのかなぁっーて」

雪兎は俺からローターを取り上げ、自分の性器を弄り続ける淫らな手を指差す。

「……ユキ様、ユキ様を、抱いてる……想像をして」

「へぇ!  僕を抱きたいの?」

「…………はい」

「ダメだよ」

分かっていた事だ、落ち込んだって仕方ない。そう自分を慰める。妄想は自由だ、とも。

「抱いてあげてもいいけど、抱かれるのはやだ」

抱いてあげる?  それは、雪兎が俺を──という意味でいいのか?
それは……嫌だ。捨てたはずのプライドが帰ってきて、 騒ぎ立てる。
何の為にその陰茎があると思っている、好いた相手をよがらせる為だろう、と。
俺は雪兎に弄ばれる快楽を完璧に覚えてしまったのに、雪兎に壊されたいとまで願ったのに、未だにそんなことを言う俺もいる。
もう何も分からなくなって、俺はただ雪兎の名を繰り返した。
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