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爛れた日常
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雪大と友人になってから俺は栄治を初めとして他の学生達と話さなくなっていた。雪大の部屋で起きて雪大と共に講義を受け雪大の部屋で眠る……俺達はいつの間にか二十四時間を共に過ごすようになっていた。
「……っ、ふ……ぁ、あっ、ゆきひろぉっ……!」
夏祭りの前日、俺は雪大の部屋で膝立ちになり、同じく膝立ちになった雪大と向かい合い彼の肩に掴まり、彼に性器を弄られていた。
「秋夜君は湯浴みの後に必ず大きくしてしまうね」
寮にあるのは大浴場のみで、俺は以前まで誰も居ない時間を見計らって一人で入っていた。栄治の騒がしさから唯一逃げられる時間だった。
「湯浴みの前だったら少しくらい汚れてもいいのに、ままならないものだよ」
雪大と共に風呂に入れば当然ながら雪大の裸を見ることになる。白い肢体は俺の想像を遥かに超えて美しく、小銭を投げて拝みたくなるくらいだった。
彼の裸を眺め、時折彼の肌に触れ、湯上りのしっとりとした肌や髪を間近で観察する。そうしているうちに俺は性器を膨らませてしまうようになった。
「僕も結構上手くなってきたと思うのだけれど、どうだろう。秋夜君、秋夜君はどう思う? 気持ちよくなってくれているかい?」
彼の肩にしがみついて彼の匂いを肺に取り込み、その空気を喘ぐのに使う。
「ん、ぅっ……ふ、ぅ……うんっ、上手く、なって……ぁ、あぁっ……!」
陰茎を握って前後する右手、亀頭を覆って擦る左手、その手に込める力加減は次第に上手くなり、愛撫の緩急の付け方も上手くなっている。
「ふふっ、昼は僕に色んなことを教えてくれて頼りになる君が……この時だけは僕に子供のように甘えてくる。僕はこの時間が好きだよ、秋夜君」
「俺っ……も……すきっ、ゆきひろぉっ……」
友人である雪大にこんなことをさせている罪悪感はとても大きい。けれど慣れというのは恐ろしいものだ、その罪悪感すら興奮材料になってしまった。
「そう? ふふ、そうだろうね、湯浴みを終えて部屋に戻るまで、待ち遠しくてたまらないと顔に書いてあるんだ。僕の手をじっと見つめて、足を擦り合わせているね」
「は、ぁっ……ぁーっ、あっ、ぁ……!」
みっともなく腰を揺らして友人に快楽を与えられる。その日常は爛れたものだが、俺には離したくないものだった。
「あ、ぁっ、俺、もうっ……!」
「……出して」
「ぁあっ……! はぁっ、ぁ……ゆきひろ、ゆきひろぉ」
言いたくない。この行為は異常だと、友人同士でこんなことはしないのだと、教えたくない。
「今日もたくさん出したね、秋夜君。手拭いは僕が洗ってくるから君は布団を敷いておいて」
雪大は純粋なまま素直なまま堕ちていくのだ。
「あぁ……今日も俺は最低だ」
どうして俺は大切な友人にこんなことをさせてしまうのだろう。どうして毎晩毎晩性器を膨らませてしまうのだろう。
雪大を見て勃起させているんだ。違う、友人で勃たせるなんてありえない。俺は栄治に疑われていたような男色の趣味はないはずなんだ、風呂場や脱衣所で他の学生と会って裸を見ても何とも思わないし、自室に隠してあるポルノ雑誌を見れば女体に惹かれる、男に興味はないはずだ。
「ただいま、秋夜君」
「……おかえり」
一つの布団にふたりで寝転がり、暗くなった部屋で背中に雪大の体温を感じ続ける。
「なぁ……雪大、俺は何かの病気でないかと思うんだ。毎日毎日射精しなければ満足出来ないなんてどうかしてる、前までそんなことはなかったんだ」
「うーん……でも、そんな症例は聞いたことがないよ。僕は浅学だけれども」
若神子家は古来より薬作りを生業としてきた一族だ。歴史を学べば朝廷に仕えていた若神子の名を嫌でも見る。雪大も医学にはある程度明るいのだろう。
「気になるならお医者様にかからないと」
「嫌だよ……毎日毎日勃起が治まらなくて友達に射精させてもらっていますなんて説明したくない」
「何か大きな病の予兆だったらどうするんだい? 君が病に倒れたらと思うと僕は不安で眠れないよ」
大きな病……そうなのかもしれない。友人に興奮してはいけないのだから、性欲が増す症状のある病気なのだ。
「……そうだな。また今度都合をつけて病院に行ってみるよ」
「それがいい。僕も安心して眠れるよ、おやすみ」
「おやすみ……」
いつも通りに眠った次の朝、朝に弱い雪大を起こして朝支度をし、講義室へ向かうその途中、久しぶりに栄治に話しかけられた。
「最近ずっと若神子の部屋に泊まってるんだな、一人部屋は寂しいぞ」
「嘘つけ」
「よく分かったな。で、秋夜、若神子、お前ら夏祭りに興味あるか?」
「ある! あるよ、栄治君、僕はとてもある! 今日の夜だよね、夏祭り。秋夜君と行こうと言っているんだ」
夏祭りと聞いた途端雪大が子供のようにはしゃぎ始めた。
「そうなのか、じゃあ話が早い。なんとあの女子大の方々と約束を取り付けられたんだが、こっちの男子の数が足りなくてな、お前らが入れば足りそうなんだ。本物のお嬢様方とお話……なんなら交際が可能かもしれない! 俺は一番可愛い子と文通を約束するという目標がある!」
女子大か。この大学は一応共学だが居るのは男ばかりだ、俺が受けている講義を取っていないだけで本当は俺が思っているより居るのかもしれないけれど。
「……ん? なんだ若神子、女子大生に興味はないのか? 秋夜、お前はあるだろ?」
「あぁ、もちろん……」
「よし! じゃあ決まりだ、秋夜、若神子、講義が終わったら一張羅に着替えて集合だ!」
「あ、おい、集合場所……あぁ、行ってしまった。まぁどうせ玄関か校門だろ、雪大、席を取りに行こう」
栄治の人付き合いの上手さのおかげで女の子と知り合いになれそうだ。
「…………雪大? 顔色悪いぞ、どうした?」
「……女の子、苦手なんだ」
「そりゃまたどうして」
「……………………ごめん、話したくない」
想像するだけで顔色を悪くするくらい苦手になる出来事なら話したくないだろう、当然だ。俺も詳しく聞く気はない。しかしこうなると雪大を夏祭りに連れ出して楽しませてやりたいという当初の目的が果たせないかもしれない、弱ったな。
「……っ、ふ……ぁ、あっ、ゆきひろぉっ……!」
夏祭りの前日、俺は雪大の部屋で膝立ちになり、同じく膝立ちになった雪大と向かい合い彼の肩に掴まり、彼に性器を弄られていた。
「秋夜君は湯浴みの後に必ず大きくしてしまうね」
寮にあるのは大浴場のみで、俺は以前まで誰も居ない時間を見計らって一人で入っていた。栄治の騒がしさから唯一逃げられる時間だった。
「湯浴みの前だったら少しくらい汚れてもいいのに、ままならないものだよ」
雪大と共に風呂に入れば当然ながら雪大の裸を見ることになる。白い肢体は俺の想像を遥かに超えて美しく、小銭を投げて拝みたくなるくらいだった。
彼の裸を眺め、時折彼の肌に触れ、湯上りのしっとりとした肌や髪を間近で観察する。そうしているうちに俺は性器を膨らませてしまうようになった。
「僕も結構上手くなってきたと思うのだけれど、どうだろう。秋夜君、秋夜君はどう思う? 気持ちよくなってくれているかい?」
彼の肩にしがみついて彼の匂いを肺に取り込み、その空気を喘ぐのに使う。
「ん、ぅっ……ふ、ぅ……うんっ、上手く、なって……ぁ、あぁっ……!」
陰茎を握って前後する右手、亀頭を覆って擦る左手、その手に込める力加減は次第に上手くなり、愛撫の緩急の付け方も上手くなっている。
「ふふっ、昼は僕に色んなことを教えてくれて頼りになる君が……この時だけは僕に子供のように甘えてくる。僕はこの時間が好きだよ、秋夜君」
「俺っ……も……すきっ、ゆきひろぉっ……」
友人である雪大にこんなことをさせている罪悪感はとても大きい。けれど慣れというのは恐ろしいものだ、その罪悪感すら興奮材料になってしまった。
「そう? ふふ、そうだろうね、湯浴みを終えて部屋に戻るまで、待ち遠しくてたまらないと顔に書いてあるんだ。僕の手をじっと見つめて、足を擦り合わせているね」
「は、ぁっ……ぁーっ、あっ、ぁ……!」
みっともなく腰を揺らして友人に快楽を与えられる。その日常は爛れたものだが、俺には離したくないものだった。
「あ、ぁっ、俺、もうっ……!」
「……出して」
「ぁあっ……! はぁっ、ぁ……ゆきひろ、ゆきひろぉ」
言いたくない。この行為は異常だと、友人同士でこんなことはしないのだと、教えたくない。
「今日もたくさん出したね、秋夜君。手拭いは僕が洗ってくるから君は布団を敷いておいて」
雪大は純粋なまま素直なまま堕ちていくのだ。
「あぁ……今日も俺は最低だ」
どうして俺は大切な友人にこんなことをさせてしまうのだろう。どうして毎晩毎晩性器を膨らませてしまうのだろう。
雪大を見て勃起させているんだ。違う、友人で勃たせるなんてありえない。俺は栄治に疑われていたような男色の趣味はないはずなんだ、風呂場や脱衣所で他の学生と会って裸を見ても何とも思わないし、自室に隠してあるポルノ雑誌を見れば女体に惹かれる、男に興味はないはずだ。
「ただいま、秋夜君」
「……おかえり」
一つの布団にふたりで寝転がり、暗くなった部屋で背中に雪大の体温を感じ続ける。
「なぁ……雪大、俺は何かの病気でないかと思うんだ。毎日毎日射精しなければ満足出来ないなんてどうかしてる、前までそんなことはなかったんだ」
「うーん……でも、そんな症例は聞いたことがないよ。僕は浅学だけれども」
若神子家は古来より薬作りを生業としてきた一族だ。歴史を学べば朝廷に仕えていた若神子の名を嫌でも見る。雪大も医学にはある程度明るいのだろう。
「気になるならお医者様にかからないと」
「嫌だよ……毎日毎日勃起が治まらなくて友達に射精させてもらっていますなんて説明したくない」
「何か大きな病の予兆だったらどうするんだい? 君が病に倒れたらと思うと僕は不安で眠れないよ」
大きな病……そうなのかもしれない。友人に興奮してはいけないのだから、性欲が増す症状のある病気なのだ。
「……そうだな。また今度都合をつけて病院に行ってみるよ」
「それがいい。僕も安心して眠れるよ、おやすみ」
「おやすみ……」
いつも通りに眠った次の朝、朝に弱い雪大を起こして朝支度をし、講義室へ向かうその途中、久しぶりに栄治に話しかけられた。
「最近ずっと若神子の部屋に泊まってるんだな、一人部屋は寂しいぞ」
「嘘つけ」
「よく分かったな。で、秋夜、若神子、お前ら夏祭りに興味あるか?」
「ある! あるよ、栄治君、僕はとてもある! 今日の夜だよね、夏祭り。秋夜君と行こうと言っているんだ」
夏祭りと聞いた途端雪大が子供のようにはしゃぎ始めた。
「そうなのか、じゃあ話が早い。なんとあの女子大の方々と約束を取り付けられたんだが、こっちの男子の数が足りなくてな、お前らが入れば足りそうなんだ。本物のお嬢様方とお話……なんなら交際が可能かもしれない! 俺は一番可愛い子と文通を約束するという目標がある!」
女子大か。この大学は一応共学だが居るのは男ばかりだ、俺が受けている講義を取っていないだけで本当は俺が思っているより居るのかもしれないけれど。
「……ん? なんだ若神子、女子大生に興味はないのか? 秋夜、お前はあるだろ?」
「あぁ、もちろん……」
「よし! じゃあ決まりだ、秋夜、若神子、講義が終わったら一張羅に着替えて集合だ!」
「あ、おい、集合場所……あぁ、行ってしまった。まぁどうせ玄関か校門だろ、雪大、席を取りに行こう」
栄治の人付き合いの上手さのおかげで女の子と知り合いになれそうだ。
「…………雪大? 顔色悪いぞ、どうした?」
「……女の子、苦手なんだ」
「そりゃまたどうして」
「……………………ごめん、話したくない」
想像するだけで顔色を悪くするくらい苦手になる出来事なら話したくないだろう、当然だ。俺も詳しく聞く気はない。しかしこうなると雪大を夏祭りに連れ出して楽しませてやりたいという当初の目的が果たせないかもしれない、弱ったな。
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