422 / 909
第二十五章 本拠地は酒色の国に
不審な男
しおりを挟む
部屋に戻ってベッドに腰掛けると兄らしき人物に顔を掴まれた。
『……何この目』
「グラスアイだって。ヴェーンさんに貰った」
『ヴェーン? あぁ、ダンピールの』
兄はすぐに手を離し、僕の湿った髪を撫で付けて両目を観察した。このグラスアイはどんな見た目をしているのだろう、前の僕のと同じだろうか。
「どう? 似合う?」
『まぁ、無いよりはいいけど……』
兄はあまり気に入っていない様子だ、僕が他人から貰った物を身に付けているのが気に入らないのだろうか。
『……派手だよね。ダイクロイックアイって言うんだっけ。色が半分ずつ違う』
派手という言葉に嫌なものを感じ、僕は眼の特徴を詳しく話すよう促した。
『右眼は赤と緑、左眼は青と黄。あと、模様が……五芒星、ハート、四つ葉、飾り文字……』
「模様!?」
『魔眼にも模様あったからそんなに気にしなくていいと思うけど?』
魔眼の模様は魔法陣に似ていて、派手なのは嫌だったがデザインとしては気に入っていた。だが、ハートやら四つ葉やらは許容出来ない、そんな可愛らしい模様は嫌だ。
『それより、もう寝なよ。いい子は寝る時間だ、ヘルはいい子だよね?』
僕をベッドに転がし、毛布をかけ、兄は部屋を出ていった。僕は毛布を頭の上まで引き上げて、変わらない暗闇の中に意識を沈めた。
時間帯は分からないし相変わらず目は無いけれど目が覚めた。隣にふわふわとした毛の感触がある、触れ慣れたそれはすぐにアルのものだと分かった。
少し硬い胸周りに、柔らかくへこんだ腹回り、呼吸による上下の遅さから深く眠っているのだろうと判断する。
「……フェル、起こして」
気持ち良く眠っているのなら起こすべきではない。
近くに触手が居るだろうと手を伸ばすと無数の手が僕の身体を起こしてくれた。
「ありがと。ねぇ、トイレ連れてって。喉乾いたからキッチンにも」
触手は指示した通りに動いてくれた。フェルは知能が無いと言っていたが、僕はそうは思わない。
ザラザラとした舌触りの甘いコーヒーを飲みながらそんなことを考えていた。
『……三秒後、カップが割れる。五秒後、椅子が倒れる』
人気の無いキッチンに僕でない者の声が響く。僕は驚いて立ち上がり、その途中でコーヒーカップを落とした。カップは机の上に落ちたようだったが、上手く乗りはしなかったのか床に落ちて割れた。音と足に触れた破片からそう判断した。
誰かが居るということと、カップが割れる音で混乱した僕は椅子の背もたれに手をかけたまま慌てて後退し、椅子ごと倒れた。触手は僕だけを支え、椅子はカップよりも大きな音を立てた。
『……吃りながら、誰? と聞く』
「だっ、だ、誰?」
『……四秒後、ヘルシャフトは叫ぶ。六秒後、私奴には回避不能の攻撃』
気味が悪い、起こること全てを先に言っている。聞き覚えのない平坦な声の不可解な言動に僕は思わず叫んでいた。
『ヘルシャフト様! ご無事ですか!』
叫んだ直後、大きな物音が鳴った。扉を乱暴に開けて、不審者に攻撃を仕掛け机を壊した──で合っているだろうか。
「べ、ベルゼブブ? ねぇ何? 何なの? さっきから……気持ち悪い人が」
『顔も見ずに殴りましたからね、少々お待ちを』
ガシャガシャという音は壊れた家具や食器が鳴らしているのだろう。
『酷い事を致しますね、ベルゼブブ様。ようやく馳せ参じたと言いますのに』
『……誰ですか?』
「え、し、知り合いでもないの……? 何なの、怖いよ」
『……ふむ、このままここに居ると殺されますね。ではまたの機会に』
廊下を走ってくる音が聞こえる、一人ではない。
『あ……消えちゃいましたね。何なんでしょう』
このまま居ると殺されると言っていたか、逃げたのだろう。誰に殺されるというのだ、僕も危険なのか?
『ヘル! どうした!』
『お兄ちゃん無事!?』
『ヘル! 何があったの? 誰がやったの? この悪魔なの? どうやって殺すかの希望ある?』
なるほど、確かに不審者にとっては危険だ。特に兄が。
「……もう逃げたよ。怖かったけど、僕は平気」
少し叫ぶだけで人が集まり、僕を心配してくれる。その事実が何より嬉しい。
『……外から入ってきてその上逃げたって? この家には結界を張った、僕の許可無く入ったら灰になるはずだよ』
本体であろうフェルに引っ張られ、アルの翼に包まれる。兄は家具や食器に修復魔法をかけながらベルゼブブを問い詰めている。
『殴った時の手応えが弱かったので、おそらくは魔力で作った分身でしょう』
以前会ったサタンのようなもの、という事か。つまりは魔力の扱いが上手い上級悪魔だと。
『で、その魔力は私から溢れ出たもの。なので私にはあれが誰なのか分かりませんし、兄君の魔法にも引っかからなかったという訳ですよ』
『……君を殺せばいいの?』
『面白いことを言いますね。今の私は魔界の最深部に居る時の十三分の一の力を発揮出来ますよ?』
それは強いのだろうか。
『…………ふん、まぁいいよ。見逃してあげる』
強いらしい。
『ベルゼブブ様の魔力を借りられたという事はベルゼブブ様に近しい者では?』
「あの人もベルゼブブのこと知ってたみたいだし、部下か何かじゃないの?」
『私の魔力使ってたんですから魔力反応私と同じで見ても分かりませんよ。ヘルシャフト様、気持ち悪いとか言ってましたけど、何がどう気持ち悪かったんです? 何か特徴があれば分かるかもしれません』
「……起こることを全部先に言ったんだ。カップが割れるとか、僕の言うことだとか、全部」
割れると言われなければ僕は驚かず、カップは割れなかっただろう。今は兄に修復されて、また僕に甘いコーヒーを与えているけれど。
『情報ありがとうございます、分かりません』
「……知り合いなら見た目とかで分からない? 僕には見えなかったけど、ベルゼブブは見たでしょ?」
『見たは見ましたけど、人間に化けた姿なんて魔界ではまず見ませんし、人界に来てからは呪いかけて国乗っ取ってる悪魔くらいにしか接触してませんし』
「そっか…………とりあえず、みんなを集めようよ。あんな入り方が出来るなら言っておいた方がいいし、もしかしたら何か知ってるかも」
僕はアルに乗り、リビングルームに運ばれる。この家で一番大きな部屋だ。
フェルが家の中を駆け回って全員を呼び、長い時間をかけて集めた。
『……集まりましたね。ところでなんですが、どうしてヘルシャフト様の叫び声を聞いて集まらなかったんですか? まさか聞こえなかったとは言いませんよね?』
僕は長机の上座の横に座らされている、ちなみに上座はベルゼブブだ。アルは机の下にもぐっていて、僕に撫でられている。
『まず堕天使! 答えなさい!』
「勘弁してくださいよベルゼブブ様。俺が行っても意味ねぇでしょ。俺今は最弱ですし? ベルゼブブ様や狼や兄ぃが居るなら任せた方が得策って訳ですよ」
『はっ! 小賢しい!』
「ひでぇな」
アザセルの言い分は正しいのだが、合理的が過ぎて腹立たしい。僕を王と慕うならそれなりの態度を見せて欲しい。
『次! 鬼共!』
『誰か行くやろ思てな。めっさ眠かってん』
『うちは行こ思てたよ? 髪整えて、化粧して、着替えてから……なぁ?』
『ドクズですね! 次は……』
アザセル以下だ、酒呑も茨木も自己中心的が過ぎる。
『…………外来種?』
『何も聞こえなかった』
『……貴方はそんな感じですよね』
兄がトールを呼んでも良さそうなものだが、忘れていたのだろうか。僕はその疑問を媚びへつらうのを忘れずに尋ねた。
『お兄ちゃんが信用出来ないの? お兄ちゃんだけじゃ不安? なんてね、焦ってただけだよ、気を付ける』
案外とまともな答えが返ってきた。
僕を心配して焦っていたのならどんな失敗だって気にならない。僕は軽く感謝を伝えて、進行役をベルゼブブに返した。
『貴方に聞くのもお門違いな気もしないでもないですが、アシュメダイのペット、貴方は?』
「いや俺は向かってたよ、地下室に居たから時間食っただけで。俺お前らと違ってガキがどこに居んのか分かんねぇし」
ヴェーンはフェルが皆を呼びに行ってしばらくしてやって来た。フェルが声をかけたのだろうと思っていたが、入れ違いになっていたらしい。
『……なんで向かってたんですか? 来る必要ありませんよね?』
「は? いや、子供が叫んでたら見に行くだろ普通」
『なんで普通の感覚持ってるんですか? おかしいですよ』
「うるせぇなぁ、ここ俺の家だぞ? 何かあったんなら見に行くだろ普通」
『普通語らないでくれます?』
まさか眼球蒐集家が一番まともな感性を持っているとは思わなかった。
とりあえずこれで全員への問い詰めが終わった、責めるのは個別にするとして、次は謎の悪魔の情報集めだ。
『……何この目』
「グラスアイだって。ヴェーンさんに貰った」
『ヴェーン? あぁ、ダンピールの』
兄はすぐに手を離し、僕の湿った髪を撫で付けて両目を観察した。このグラスアイはどんな見た目をしているのだろう、前の僕のと同じだろうか。
「どう? 似合う?」
『まぁ、無いよりはいいけど……』
兄はあまり気に入っていない様子だ、僕が他人から貰った物を身に付けているのが気に入らないのだろうか。
『……派手だよね。ダイクロイックアイって言うんだっけ。色が半分ずつ違う』
派手という言葉に嫌なものを感じ、僕は眼の特徴を詳しく話すよう促した。
『右眼は赤と緑、左眼は青と黄。あと、模様が……五芒星、ハート、四つ葉、飾り文字……』
「模様!?」
『魔眼にも模様あったからそんなに気にしなくていいと思うけど?』
魔眼の模様は魔法陣に似ていて、派手なのは嫌だったがデザインとしては気に入っていた。だが、ハートやら四つ葉やらは許容出来ない、そんな可愛らしい模様は嫌だ。
『それより、もう寝なよ。いい子は寝る時間だ、ヘルはいい子だよね?』
僕をベッドに転がし、毛布をかけ、兄は部屋を出ていった。僕は毛布を頭の上まで引き上げて、変わらない暗闇の中に意識を沈めた。
時間帯は分からないし相変わらず目は無いけれど目が覚めた。隣にふわふわとした毛の感触がある、触れ慣れたそれはすぐにアルのものだと分かった。
少し硬い胸周りに、柔らかくへこんだ腹回り、呼吸による上下の遅さから深く眠っているのだろうと判断する。
「……フェル、起こして」
気持ち良く眠っているのなら起こすべきではない。
近くに触手が居るだろうと手を伸ばすと無数の手が僕の身体を起こしてくれた。
「ありがと。ねぇ、トイレ連れてって。喉乾いたからキッチンにも」
触手は指示した通りに動いてくれた。フェルは知能が無いと言っていたが、僕はそうは思わない。
ザラザラとした舌触りの甘いコーヒーを飲みながらそんなことを考えていた。
『……三秒後、カップが割れる。五秒後、椅子が倒れる』
人気の無いキッチンに僕でない者の声が響く。僕は驚いて立ち上がり、その途中でコーヒーカップを落とした。カップは机の上に落ちたようだったが、上手く乗りはしなかったのか床に落ちて割れた。音と足に触れた破片からそう判断した。
誰かが居るということと、カップが割れる音で混乱した僕は椅子の背もたれに手をかけたまま慌てて後退し、椅子ごと倒れた。触手は僕だけを支え、椅子はカップよりも大きな音を立てた。
『……吃りながら、誰? と聞く』
「だっ、だ、誰?」
『……四秒後、ヘルシャフトは叫ぶ。六秒後、私奴には回避不能の攻撃』
気味が悪い、起こること全てを先に言っている。聞き覚えのない平坦な声の不可解な言動に僕は思わず叫んでいた。
『ヘルシャフト様! ご無事ですか!』
叫んだ直後、大きな物音が鳴った。扉を乱暴に開けて、不審者に攻撃を仕掛け机を壊した──で合っているだろうか。
「べ、ベルゼブブ? ねぇ何? 何なの? さっきから……気持ち悪い人が」
『顔も見ずに殴りましたからね、少々お待ちを』
ガシャガシャという音は壊れた家具や食器が鳴らしているのだろう。
『酷い事を致しますね、ベルゼブブ様。ようやく馳せ参じたと言いますのに』
『……誰ですか?』
「え、し、知り合いでもないの……? 何なの、怖いよ」
『……ふむ、このままここに居ると殺されますね。ではまたの機会に』
廊下を走ってくる音が聞こえる、一人ではない。
『あ……消えちゃいましたね。何なんでしょう』
このまま居ると殺されると言っていたか、逃げたのだろう。誰に殺されるというのだ、僕も危険なのか?
『ヘル! どうした!』
『お兄ちゃん無事!?』
『ヘル! 何があったの? 誰がやったの? この悪魔なの? どうやって殺すかの希望ある?』
なるほど、確かに不審者にとっては危険だ。特に兄が。
「……もう逃げたよ。怖かったけど、僕は平気」
少し叫ぶだけで人が集まり、僕を心配してくれる。その事実が何より嬉しい。
『……外から入ってきてその上逃げたって? この家には結界を張った、僕の許可無く入ったら灰になるはずだよ』
本体であろうフェルに引っ張られ、アルの翼に包まれる。兄は家具や食器に修復魔法をかけながらベルゼブブを問い詰めている。
『殴った時の手応えが弱かったので、おそらくは魔力で作った分身でしょう』
以前会ったサタンのようなもの、という事か。つまりは魔力の扱いが上手い上級悪魔だと。
『で、その魔力は私から溢れ出たもの。なので私にはあれが誰なのか分かりませんし、兄君の魔法にも引っかからなかったという訳ですよ』
『……君を殺せばいいの?』
『面白いことを言いますね。今の私は魔界の最深部に居る時の十三分の一の力を発揮出来ますよ?』
それは強いのだろうか。
『…………ふん、まぁいいよ。見逃してあげる』
強いらしい。
『ベルゼブブ様の魔力を借りられたという事はベルゼブブ様に近しい者では?』
「あの人もベルゼブブのこと知ってたみたいだし、部下か何かじゃないの?」
『私の魔力使ってたんですから魔力反応私と同じで見ても分かりませんよ。ヘルシャフト様、気持ち悪いとか言ってましたけど、何がどう気持ち悪かったんです? 何か特徴があれば分かるかもしれません』
「……起こることを全部先に言ったんだ。カップが割れるとか、僕の言うことだとか、全部」
割れると言われなければ僕は驚かず、カップは割れなかっただろう。今は兄に修復されて、また僕に甘いコーヒーを与えているけれど。
『情報ありがとうございます、分かりません』
「……知り合いなら見た目とかで分からない? 僕には見えなかったけど、ベルゼブブは見たでしょ?」
『見たは見ましたけど、人間に化けた姿なんて魔界ではまず見ませんし、人界に来てからは呪いかけて国乗っ取ってる悪魔くらいにしか接触してませんし』
「そっか…………とりあえず、みんなを集めようよ。あんな入り方が出来るなら言っておいた方がいいし、もしかしたら何か知ってるかも」
僕はアルに乗り、リビングルームに運ばれる。この家で一番大きな部屋だ。
フェルが家の中を駆け回って全員を呼び、長い時間をかけて集めた。
『……集まりましたね。ところでなんですが、どうしてヘルシャフト様の叫び声を聞いて集まらなかったんですか? まさか聞こえなかったとは言いませんよね?』
僕は長机の上座の横に座らされている、ちなみに上座はベルゼブブだ。アルは机の下にもぐっていて、僕に撫でられている。
『まず堕天使! 答えなさい!』
「勘弁してくださいよベルゼブブ様。俺が行っても意味ねぇでしょ。俺今は最弱ですし? ベルゼブブ様や狼や兄ぃが居るなら任せた方が得策って訳ですよ」
『はっ! 小賢しい!』
「ひでぇな」
アザセルの言い分は正しいのだが、合理的が過ぎて腹立たしい。僕を王と慕うならそれなりの態度を見せて欲しい。
『次! 鬼共!』
『誰か行くやろ思てな。めっさ眠かってん』
『うちは行こ思てたよ? 髪整えて、化粧して、着替えてから……なぁ?』
『ドクズですね! 次は……』
アザセル以下だ、酒呑も茨木も自己中心的が過ぎる。
『…………外来種?』
『何も聞こえなかった』
『……貴方はそんな感じですよね』
兄がトールを呼んでも良さそうなものだが、忘れていたのだろうか。僕はその疑問を媚びへつらうのを忘れずに尋ねた。
『お兄ちゃんが信用出来ないの? お兄ちゃんだけじゃ不安? なんてね、焦ってただけだよ、気を付ける』
案外とまともな答えが返ってきた。
僕を心配して焦っていたのならどんな失敗だって気にならない。僕は軽く感謝を伝えて、進行役をベルゼブブに返した。
『貴方に聞くのもお門違いな気もしないでもないですが、アシュメダイのペット、貴方は?』
「いや俺は向かってたよ、地下室に居たから時間食っただけで。俺お前らと違ってガキがどこに居んのか分かんねぇし」
ヴェーンはフェルが皆を呼びに行ってしばらくしてやって来た。フェルが声をかけたのだろうと思っていたが、入れ違いになっていたらしい。
『……なんで向かってたんですか? 来る必要ありませんよね?』
「は? いや、子供が叫んでたら見に行くだろ普通」
『なんで普通の感覚持ってるんですか? おかしいですよ』
「うるせぇなぁ、ここ俺の家だぞ? 何かあったんなら見に行くだろ普通」
『普通語らないでくれます?』
まさか眼球蒐集家が一番まともな感性を持っているとは思わなかった。
とりあえずこれで全員への問い詰めが終わった、責めるのは個別にするとして、次は謎の悪魔の情報集めだ。
0
お気に入りに追加
434
あなたにおすすめの小説
スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜
シャチ
ファンタジー
タリム復興期を読んでいただくと、なんでミリアのお母さんがぶっ飛んでいるのかがわかります。
アルミナ王国とディクトシス帝国の間では、たびたび戦争が起こる。
前回の戦争ではオリーブオイルの栽培地を欲した帝国がアルミナ王国へと戦争を仕掛けた。
一時はアルミナ王国の一部地域を掌握した帝国であったが、王国側のなりふり構わぬ反撃により戦線は膠着し、一部国境線未確定地域を残して停戦した。
そして20年あまりの時が過ぎた今、皇帝マーダ・マトモアの崩御による帝国の皇位継承権争いから、手柄を欲した時の第二皇子イビリ・ターオス・ディクトシスは軍勢を率いてアルミナ王国への宣戦布告を行った。
砂糖戦争と後に呼ばれるこの戦争において、両国に恐怖を植え付けた一人の令嬢がいる。
彼女の名はミリア・タリム
子爵令嬢である彼女に戦後ついた異名は「狙撃令嬢」
542人の帝国将兵を死傷させた狙撃の天才
そして戦中は、帝国からは死神と恐れられた存在。
このお話は、ミリア・タリムとそのお付きのメイド、ルーナの戦いの記録である。
他サイトに掲載したものと同じ内容となります。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。
勇者としての役割、与えられた力。
クラスメイトに協力的なお姫様。
しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。
突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。
そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。
なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ!
──王城ごと。
王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された!
そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。
何故元の世界に帰ってきてしまったのか?
そして何故か使えない魔法。
どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。
それを他所に内心あわてている生徒が一人。
それこそが磯貝章だった。
「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」
目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。
幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。
もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。
そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。
当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。
日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。
「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」
──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。
序章まで一挙公開。
翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。
序章 異世界転移【9/2〜】
一章 異世界クラセリア【9/3〜】
二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】
三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】
四章 新生活は異世界で【9/10〜】
五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】
六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】
七章 探索! 並行世界【9/19〜】
95部で第一部完とさせて貰ってます。
※9/24日まで毎日投稿されます。
※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。
おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。
勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。
ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
よろしくお願いいたします。
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる