38 / 41
第四章 対抗試合! 茶道部に勝て
4-14 お姉さまの実力はいかに
しおりを挟む
【村雨初音 視点】
ストーリーテラーの鳴海さんが格差で気絶してしまったのでわたくし村雨初音が代理を務めます。
お姉さまこと姫川さんのエキシビションマッチが行われることになりました。
「姫川さん、誰と闘りたいですか」
九条さんが鳳女子茶道部の誰と対戦するかを促す。
姫川さんは鳳女子メンバーの九条さん、七瀬さん、そして二ノ宮恋ちゃんを交互に見渡すと恋ちゃんに視点を定める。
「ふふ。あたしは恋ちゃんと闘りたい」
「ほう」九条さんは自分が選ばれなかったことにプライドをくすぐられたよう。彼女は扇を閉じた。
「その理由を参考までにお聞かせ願いますか」
「詩乃の仇を取りたい。九条さんとは対戦したことあるけど、恋ちゃんとガチで闘ったことなかったから」
お姉さまは二回戦で恋ちゃんにパーフェクト負けしてしまった折笠詩乃さんの仇をとるつもりだ。
「ヒメ。あんたってコは」
折笠さんが自らの形の良い鼻を触る。
「あたしたちに言葉は要らない。詩乃」
深い絆と友情が紡ぎだした言葉にわたくしは感動を覚えた。このふたりには誰にも入り込めない親愛がある。
「いいよ。お姫さま。ボクが負けたらお嫁さんになってあげる」
二ノ宮恋ちゃんは余裕しゃくしゃくである。
「いいのかしら。言葉というものは取り消せない。自分が放った言葉が自分の人生をつくるのよ。あたしの人生はあたしがルール! シナリオを描くのはあたし! 恋ちゃん、覚悟はいい? 恋ちゃんの言葉はあたしの闘争本能に火をつけた」
「そんなにボクと結婚したいのかよ。いいもんね。このゲームで九条さん以外に負けたことないし」
わたくしはお姉さまを信じている。誰と結婚しようと一番に愛しているのはわたくしだと。だからお姉さまの選択に口をはさんだりしない。
舌戦が最高潮を迎えるとともにふたりが対戦席につく。
恋ちゃんは前回と同じアストリアを選んだ。
姫川さんもアストリアを選ぶ。同キャラ対決だ。
お姉さまのアストリアは色調が赤っぽい2Pカラーである。
対戦開始。
開幕とともに姫川さんの赤アストリアはすたすたと恋ちゃんの青アストリアに近づいていく。
恋ちゃんは突進必殺技『ラッシング・エッジ』で牽制した。
すると姫川さんも同じ技をだす。
一部の技が完璧なタイミングで重なると『相殺』が起こる。
ふたりが猛烈にボタンを連打した。連打数が多いほうが相手をはじくのだ。連続技のチャンスである。
連打で勝ったのは姫川さんだった。
はじかれた1Pアストリアにジャンプキックから立ちパンチ→キャンセル必殺技『ソード・テンペスト』の基本的コンボが極まる。体力は三分の一減った。
ここからの姫川さんの攻めは凄かった。
ガードを固めようとした恋ちゃんにつぎつぎと通常技を繰りだす。
それらをしゃがみガードした1Pアストリアに2Pアストリアの攻撃がヒットする。
「村雨さん、覚えておいて。いまのは中段技。しゃがみガードでは防げない属性を持っている技のこと。上級者同士は中段技でガード方向を揺さぶるの」
折笠さんが技の解説をしてくれた。
ひとつのヒットから確実にコンボを極める姫川さん。もう1Pアストリアは虫の息。
「くっ」
流れを立て直そうとした恋ちゃんが小ジャンプからコンボを極めようとしたそのとき。
2Pアストリアのしゃがみ姿勢からの突き上げがカウンターヒット!
カウンターヒットした相手はシステム的に空中で無防備になる。それからさきは姫川さんによる一方的な蹂躙だった。華麗な連続技によって恋ちゃんのアストリアはKOした。
「ふにゃー!」
恋ちゃんはネコのような悲鳴をあげた。
第一ラウンドはお姉さまの勝利だった。
次回へつづく
ストーリーテラーの鳴海さんが格差で気絶してしまったのでわたくし村雨初音が代理を務めます。
お姉さまこと姫川さんのエキシビションマッチが行われることになりました。
「姫川さん、誰と闘りたいですか」
九条さんが鳳女子茶道部の誰と対戦するかを促す。
姫川さんは鳳女子メンバーの九条さん、七瀬さん、そして二ノ宮恋ちゃんを交互に見渡すと恋ちゃんに視点を定める。
「ふふ。あたしは恋ちゃんと闘りたい」
「ほう」九条さんは自分が選ばれなかったことにプライドをくすぐられたよう。彼女は扇を閉じた。
「その理由を参考までにお聞かせ願いますか」
「詩乃の仇を取りたい。九条さんとは対戦したことあるけど、恋ちゃんとガチで闘ったことなかったから」
お姉さまは二回戦で恋ちゃんにパーフェクト負けしてしまった折笠詩乃さんの仇をとるつもりだ。
「ヒメ。あんたってコは」
折笠さんが自らの形の良い鼻を触る。
「あたしたちに言葉は要らない。詩乃」
深い絆と友情が紡ぎだした言葉にわたくしは感動を覚えた。このふたりには誰にも入り込めない親愛がある。
「いいよ。お姫さま。ボクが負けたらお嫁さんになってあげる」
二ノ宮恋ちゃんは余裕しゃくしゃくである。
「いいのかしら。言葉というものは取り消せない。自分が放った言葉が自分の人生をつくるのよ。あたしの人生はあたしがルール! シナリオを描くのはあたし! 恋ちゃん、覚悟はいい? 恋ちゃんの言葉はあたしの闘争本能に火をつけた」
「そんなにボクと結婚したいのかよ。いいもんね。このゲームで九条さん以外に負けたことないし」
わたくしはお姉さまを信じている。誰と結婚しようと一番に愛しているのはわたくしだと。だからお姉さまの選択に口をはさんだりしない。
舌戦が最高潮を迎えるとともにふたりが対戦席につく。
恋ちゃんは前回と同じアストリアを選んだ。
姫川さんもアストリアを選ぶ。同キャラ対決だ。
お姉さまのアストリアは色調が赤っぽい2Pカラーである。
対戦開始。
開幕とともに姫川さんの赤アストリアはすたすたと恋ちゃんの青アストリアに近づいていく。
恋ちゃんは突進必殺技『ラッシング・エッジ』で牽制した。
すると姫川さんも同じ技をだす。
一部の技が完璧なタイミングで重なると『相殺』が起こる。
ふたりが猛烈にボタンを連打した。連打数が多いほうが相手をはじくのだ。連続技のチャンスである。
連打で勝ったのは姫川さんだった。
はじかれた1Pアストリアにジャンプキックから立ちパンチ→キャンセル必殺技『ソード・テンペスト』の基本的コンボが極まる。体力は三分の一減った。
ここからの姫川さんの攻めは凄かった。
ガードを固めようとした恋ちゃんにつぎつぎと通常技を繰りだす。
それらをしゃがみガードした1Pアストリアに2Pアストリアの攻撃がヒットする。
「村雨さん、覚えておいて。いまのは中段技。しゃがみガードでは防げない属性を持っている技のこと。上級者同士は中段技でガード方向を揺さぶるの」
折笠さんが技の解説をしてくれた。
ひとつのヒットから確実にコンボを極める姫川さん。もう1Pアストリアは虫の息。
「くっ」
流れを立て直そうとした恋ちゃんが小ジャンプからコンボを極めようとしたそのとき。
2Pアストリアのしゃがみ姿勢からの突き上げがカウンターヒット!
カウンターヒットした相手はシステム的に空中で無防備になる。それからさきは姫川さんによる一方的な蹂躙だった。華麗な連続技によって恋ちゃんのアストリアはKOした。
「ふにゃー!」
恋ちゃんはネコのような悲鳴をあげた。
第一ラウンドはお姉さまの勝利だった。
次回へつづく
2
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる