鮮明な月

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間章 ソノサキの合間の話

間話46.件

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「俄然、怪談めいて来てるな。いや、サスペンスか?ん?」

何とか話を切り替えようとでも言うように、溜め息混じりの声で外崎了に肩を支えられながら外崎宏太が言う。そんな予想外の宏太の言葉に、風間祥太も僅かに表情を曇らせて考え込み押し黙っていた。
既に数年前の過去になりつつある三浦和希の起こした複数殺人事件。
その事件では数人が惨殺されたのだった。無惨に遺体は損壊された状態で発見され、何とかその事件で生き残りったのはたった3人だ。その内の一人はラブホテルの廊下で発見されたが、やがて回復も望めないまま植物状態となり死亡している。あの事件から今も生きているのは、目の前の傷跡だらけの外崎宏太と女性が一人。女性の方も一時は生死の境をさ迷いはしたが、外崎宏太も瀕死の重傷で奇跡的に生き残った経緯を持っている。
そして当の三浦自身も重傷を負いはしたが、何とか医療のお陰でギリギリ命を取り留めたのだった。そしてそれから大きな騒ぎもなく1年が経ち、誰もが三浦が生きていることすら忘れかけていたのに、病院で隔離させれていた三浦が逃げ出したのだ。それは悪名を馳せながら去年死んだ進藤隆平という男の手引きで逃げ出した三浦は、残念なことに今も自由に街を闊歩し定期的に人を殺し続けている。

希代の殺人鬼

既にネット上では最近では三浦は都市伝説扱いで、男女構わずラブホテルに一緒にはいると殺されるやらカラオケボックスに2人で入ると殺されるやら様々な尾ひれがついて化け物のごとく噂されている。
ただし現実的には三浦の被害にあうのは必ず男性だけと決まっている。そして確実に性行為を行った男だけが、三浦の場合は殺害されるという条件が既に分かっていた。というのも三浦の殺意は自分を虐げた男に対して沸き上がるものらしく、男が相手であっても性行為がないのであれは普通に会話をしてお茶なんかしたりすることが出来てしまうということが分かっているのだ。(その一人である青年が、三浦は恐らくはトラウマとかPTSDみたいな感じでフラッシュバックを起こし、暴力的な行動に出るようだと観察していて感じたと話していた。)
同時に最初の事件の後遺症として、三浦和希には記憶障害という大きな障害が残されている。これは人の顔が長期には記憶できないというもので、事件直後はそれまで幼馴染みとして過ごしてきた槙山忠志のことも全く記憶していないとされていた。ところがその後病院で秘密裏に行われた違法投薬の実験体になった三浦は、特殊な記憶能力を開花させたとされている。結果として人の顔は記憶できないが、それ以外の例えば電機機器の操作等の説明は1度見ると忘れないのだという。それは不思議なことに武術や何かにも作用して、何も運動経験のない筈の三浦はカポエラと合気道なんかを使いこなすようになってしまった。そして身体を動かすようになったことも理由なのか、僅かだが記憶障害に関しても改善が見られていたらしい。

「…………数人だけは記憶してるとは思ってましたが……。」

三浦自身から自分の印象が強かったり何か切っ掛けがあった人間に関しては、ほんの数人だけは記憶しているような言動が見られるようになったのだ。それらの数人に関しては三浦自身が好意的にとらえている節があり、何度か自ら会いに来たりもしている。それがここに来て全く正反対の人間の記憶も残っていると、映像の中で独り言のように呟いているようなのだ。

「くだんが何を指して言っているかってのは…………あるだろうがな。」
「くだん…………。」
「くだんと言えば『件』が先ずは出てくるとこだろうが。」

『件』は、19世紀前半ごろから日本各地で知られる妖怪のことで、『件』の文字通り半人半牛の姿をした妖怪として知られている。その姿は、古くは牛の体と人間の顔の怪物であるとするが、人間の体と牛の頭部を持つとするという例も明治中期にはあった。牛頭の女性についても第二次世界大戦ごろからは都市伝説化している。
幕末頃に最も広まった伝承では、牛から生まれる奇獣、または人と牛との合の子とも言い伝えられているという。人間の言葉を話すとされるが、生まれて数日で死に、その間に作物の豊凶や流行病、旱魃、戦争など重大なことに関して様々な予言をし、それは間違いなく起こる、とされている。また、件の絵姿は厄除招福の護符になるとも伝承されているそうだ。
別の伝承では、必ず当たる予言をするが予言してたちどころに死ぬ、とする話もあるそうである。また歴史に残る大凶事の前兆として生まれ、数々の予言をし、凶事が終われば死ぬ、とする説もあるとか。これに関しては江戸時代から昭和まで、西日本を中心に日本各地で様々な目撃談が残されているとされている。

「…………名前とか土地とだといわれた方が、安心しますね。」
「それは俺も同感だ。」

ここに来て三浦自身が不可思議な存在になりつつあるのに、更に妖怪やら何やら不可思議な世界のものになんか飛び込みたくはない。世の中常識では図れないものが多いのは分かっているけれど、これ以上訳の分からないものに巻き込まれるのはごめん被りたいと宏太は苦い顔で言う。何しろ眼が見えなくなってからと言うものの、自分の聴力が異常に向上してあり得ないものまで聞き取っていると言う自覚はあるのだ。

「宏太……。」

心配そうに声をかける了が傍にこうしていなければ、宏太自身自分が生きた世界にいるのか、はたまた死んでしまっているのかすら判別できなくなりかけていたのだ。そう言う意味ではこれ以上は巻き込まれたくはないが、三浦の案件はさっさと結末を願いたいことでもある。

「一先ず、くだんってのが何なのか調べるしかないな。」
「これ以上の音は拾えそうですか?」
「解体音が酷すぎるが、もう少しはやってみるか。高くつくぞ?ん?」

恐らくは宏太程の成果は警察の方では得られないと風間も考えているのだろうし、この件に関しては了がどんなに止めても宏太が自分の安定のためという理由で諦めないのも分かっている。どんなにそれを調べることに不快感があるとしても、宏太は三浦を最初に狂気に追いやったことを後悔し続けているのだ。

表には出さないけど、やったことはやったことなんだもんな……

自分の義理の弟である片倉右京の死で自暴自棄になっていた宏太が、とある女に誘われて容赦なく調教師の能力をふるい狂気に落ちた三浦和希。その手で殺されかけたのは自業自得だと言われてと仕方がないとすら思っている宏太が、三浦を逮捕するなり何なり決着をつけようと尽力するのを了は止めることが出来ない。それが分かっているから仕方なしに了は溜め息をついて、暫くはこまめに宏太の様子を管理しないとと眼を細めるのだった。



※※※



「結局中身を確認しないと、何でこれが特別なのかも分からないし、何が分類なのかも分からないんだよ!!」

とリビングで大声で叫ぶように頭を抱えているのは、本日は128ギガバイトの括りで件の記録媒体を分類しようとしていた庄司陸斗なのは言うまでもない。あの10キロ段ボールの中身をひっくり返して、先ずはフロッピーだけをかき集め中から128GBとあるものを見つけ、次にBlu-rayだけをかき集めて4層式128GBを発見したまでは良かった。ところが問題はUSBだ。たかだか5センチ大のUSBが両手では抱えきれない程……それを1つ1つ容量を確認して確認して。

「一個一個かぁ……面倒くさ…………。」
「しかも時々マーカーペンか何かで汚れがあって、見えないのがあってさ!」

余りにも面倒な作業に根を詰めたせいで陸斗のフラストレーションが溜まりに溜まったらしいのを、帰宅して食卓で聴く羽目になった狭山明良と結城晴は思わず苦笑いするしかない。(というか、実は陸斗が口にしたそのマーカーペンのラインこそが了が仕込んだ簡単な方の分類のマークだったのだが、生来の性格も災いしてそれには全く気がつかず残念ながら『汚れ』扱いで無造作に拭いとられていたのを了は生暖かい視線で背後から眺めていたりする。それ大事なんだけどなー、そうしちゃうかー、残念だなーという背後の視線に気がついていたら、そこからでも別な方法があったかもしれないのはさておき。)

だって、相手があの外崎宏太だもんなー。

どう考えても一筋縄で行く筈がないし、宏太のことだから更に絡め手とかを仕込んでいると確信してしまうのは2人も宏太との付き合いが長くなってきたということだろう。それにしても幾ら記録媒体を見るための機器とかで底上げしてあったとしても、USBの数は聴いているだけでうんざりしそうである。

「やっと残り3個で見つけたけどさぁ?!一個ずつってなんだよ?!何だよ!その限定感!!何でそれだけ?って気になるに決まってるし!」

あー、それってさ?きっとトラップ。陸斗のぼやきを聴いた瞬間に、晴がそれに気がついたのは言うまでもない。何しろそんな限定感を醸すやり方は宏太は絶対に好まないから、きっとそれを仕掛けてるのは宏太じゃなく久保田惣一の方に違いない。あの喫茶店のマスターはそう言う限定感とかお得感を刺激するようなトラップが好きで、あの渋い様相と異なり時に途轍もなく子供っぽいことをするのだ。それに関しては宏太に関連して喫茶店メンバーとの付き合いが出来て、更に惣一が松理と結婚して2人に子供が出来てからは特に顕著に分かるようになった。何しろ宝娘の碧希に好かれる人間に対して、たまに惣一がとんでもない悪戯を仕掛けているのを見たし(大概は前園良臣とか宮直行が被害者で。一度前園が半泣きで『何してくれてんだよ!兄貴!』と怒鳴り込んできたのを見たが、スマホを使おうとしたら勝手に片っ端からデータがクラッシュしていくという事態になったらしい。)、それに関して妻の松理にガンガンと説教されているのも度々見ている。

でもそれ教えたら陸斗のためになんないのかなー…………?

あそこで働くということは、今後もこのトラップ紛いの事は度々と相手をしないとならなくなる。ということは、今から慣れておいた方が良いのか?それとも助けておいた方がいい?その視線を晴から向けられた明良が賑やかな微笑みで、陸斗の事はいいから放っておきなさいと言っている。

「でもあんなの何で一個ずつなのか、中も見ないとなんないじゃん!そしたら何あれ?!何なの?あの画像。」

え?何?何なの?どんな画像?と思わず2人で乗り出して耳を傾けたら、プルプルしながら陸斗はテーブルを叩く勢いで呻く。

「赤ん坊の画像って何?!!何なの?!何の意味だよ?!3000枚も!!」

あー…………ヤッパリ久保田惣一だった。しかも自分の子供の画像をBlu-rayにそんなに仕込んでたんだと晴は思わず一瞬でスン……と顔色を変えてしまう。まぁ初めての子供だから写真を撮りたくなるのは分からないでもないが、見ず知らずの赤ん坊の写真3000枚以上を全部確認は確かにキツい。画像に何か仕込んである可能性もまだ無いわけではないから、1枚1枚とことんまで丁寧に確認しないとならないのだから。

何かそれ聴いただけで……俺は……分類の答えが分かっちゃうけどなぁ……

恐らくは惣一の『我が家の天使・タマちゃんコレクション』なんだろうが、画像全て確認するにはかなり手間と時間がかかるに違いない。そうなると晴としては、それって絶対に他の分類方法があるんじゃないだろうかと思う訳である。もしかしたら自分の時みたいに重ねてみたら、何かある!?とかみたいな、もっと単純に見つかる簡単なもの。そうそう、さっき陸斗自身が口にした汚れ擬きとされたマーカーで書いたものとか?了が短時間で準備してるなら、それくらいの方が安易に出来そうだけどなー。とはいえそれに関して了や宏太をよく知っていて行動を想定できる晴が、簡単に手助けして良いのか、これに関してはこっそり後で了にでも相談してみようかとも思う。何しろ宏太に聴いたりしたら確実に余計なことが増えそうな気がするから、そこは聴くのすら止めておいたろうが無難だ。それにしても惣一まで参加して準備していたとは少し驚いてしまうが、自分の時もそうだったのだろうか?そうだとしたらもしかして、自分の時にも別な分類が幾つかあったのかもしれない。

惣一に会って、偶々連れてきた碧希に出会うまで分からないままだとか?

どちらにせよある意味では、途轍もない意地が悪い分類だと分かっている。何しろ見ず知らずのどっかの赤ん坊の写真を、何かあるのかと延々と舐めるように1枚ずつ確認しないとならないなんて。陸斗は先ずはBlu-rayには赤ん坊の写真が3000枚保存してあることを確認し、しかもその半分どころか1/3に満たない枚数を見終わる前に今日の仕事が終わったらしい。そんな陸斗の本日の苦悩と悶絶を、生暖かい視線で2人は見守るのだった。
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