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間章 ちょっと合間の話3
間話108.そしてこちらも余波?
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いつになく自分の記憶に悶絶しながら狭山明良は、結城晴との下着の話を断片的にだけど話していた。淫らな下着姿で拘束され震えながら懇願する晴が途轍もなく色っぽかったと言うのは何となくだが伝わった……と思う。思う……なのは源川仁聖にしてみれば、晴は呑気でヤンチャな小型犬みたいな印象はあっても、色気……と言われても正直『えー…………。』と思うからで、そこは恋人の明良とは受け止め方が違う。まぁそれは外崎宏太の外崎了への認識だって同じだし、仁聖の榊恭平への認識だって他人から見れば同じこと。幾ら仁聖から見たら恭平はふるいつきたくなるくらいの美人で色っぽく見えていても、他人から見れば格好いい男前(ここは他人だって同じ認識になる筈と、力をこめたいのは言うまでもないが。)なだけだ。
そうしてバイト終わり帰宅した仁聖が、自宅のウォークインクローゼットに隠していた代物を思わず取り出したのは言うまでもない。
そんなに…………凄いの?……いや、前も確かに凄かったけど…………
いや、そう言う点では既に以前2度ばかり恋人・榊恭平はセクシーランジェリーは身に付けてくれたことがあるし、ローター1つではあるが1度だけ恭平に使ってみたこともあった。確かにそのどれもが悩殺ものの色っぽさと、仁聖が制止しきれないほど大興奮したのは事実。それでもそれには拘束とか付加価値が加わったらどうなるかなんて、想像も出来なかったりする。
淫らな隠すところの少ない性的な想像を掻き立てる下着に、仰々しい革製の手枷。それに、幾つかの用途が限定される玩具とローション。くれると言われて素直に貰ってきてしまったけれど、今更だけどこれはどうしたものなのだろう。恭平に枷をつけてエッチな下着をつけて?確かに興奮するだろうけど、そんなことしてくれるとは思えなかったりもして。
「…………何してるんだ?それ。」
「ひぇええ?!!」
想定外に肩越しに突然降り落ちて来た声に、ビャッと飛び上がった仁聖は人生で最大の失態だと思われる過ちを犯していた。
※※※
まぁここまでの仁聖の性格のか行動とかを知っていてくれれば、あの時何が起きたのか想像するのは容易いことだろう。
帰宅して自室に引きこもった仁聖は、宏太から貰った品々を取り出して眺めながら実はかなりの時間悶々と考え込んでいたわけで。恭平が久々の食事当番で夕食の支度終えても、仁聖は部屋から出てこないまま。随分部屋から出てこないなぁと思った恭平が何度かドアをノックしたのだけれど、ウォークインクローゼットの奥に居たので仁聖は反応しなかったのだ。そんなわけで何かあったのか?と部屋に入った恭平は、クローゼットの奥に座り込みボーッと考え込んでいる仁聖を見つけた訳である。
そうして肩越しに何やってるんだ?と問いかけたらば、野性動物が驚いたみたいにビャッと飛び上がった仁聖は手にしていた代物を盛大にぶちまけていた。
「………仁聖……………何なんだ…………?これは。」
まぁ恭平の人生では全く接する機会のなかった途轍もない代物の数々が、床に盛大に飛び散ったわけで。最近では見ないほどスン…………ッと氷のような冷ややかな顔に恭平が変わったのに、違う意味で仁聖は凍りついて震え上がっている。何しろ目の前の床に散らばった物が物なのだ。
「あ、あの、これは………っ…えっと。」
「また…………ファンレターか?」
以前の代物がそうだったから恭平から、こう問いかけられたのだと分かっている。が、これを全てファンレターで送りつけられていたら、確実にそういう系統のモデルもやったのか?と恭平に疑われるに違いない。決してSM雑誌なんかのモデルを藤咲がさせる訳はないのだが、流石に必死に首を横に振って違います!してません!!と訴える。すると突然目の前の恭平が、世にも美しく恐ろしい氷の微笑を浮かべた。
「なら…………何なんだ?仁聖?」
そんなわけで。
その後のこの状況をなんと仁聖は説明したらいいのか。
「あの、恭平…………さん……?」
戸惑いながら声をあげる仁聖を、ニッコリと微笑んだ恭平が見下ろしているこの状況。
あの下着やら何やらをぶちまけ直後に恭平に氷の微笑で見下ろされた仁聖は、即断で素直に『全部宏太さんから貰いました、ごめんなさい』と平伏した。その上でフゥン……とぶちまけたものを拾い上げていった恭平に何故か『じゃ、これな?』とその内の1つを手渡され、その後何故か夕食は後なと先に風呂に直行させられ、しかも問答無用でお着替えを命じられていたのだ。
「何だ?」
「あの…これ……………恥ずかしい……んだけど。」
そう言うと賑やかに恭平から微笑まれるが、実は恭平に履かせる予定の物の中の1つを自分で履く羽目になった。無言の圧力に負けて風呂場で履いたは良いが、余りに心許ない布地に思わず下半身にバスタオルを巻いて出てきた訳で。それを恭平は想定していたのか、ベットの上に仁聖を追いやり腹の上に跨がられ見下ろされたと言うわけ。
恭平って……実はこういうとこ…………ある?
時々理性の針が振り切れた恭平に仁聖は縛られて乗っかられてしまったりしている、そんな頻度が多い気がしてしまうのは気のせいだろうか。いや、それが嫌とかなんとかではないけれどと頭の中で考えている仁聖の唇を奪いながら、恭平がソッと重みをかけて身体ごとのし掛かってくる。
「ん…………。」
手首にスルリと絡み付く恭平の指の動きに何となく何処かで感じたことのある感触を感じながら、甘い口付けに酔ったようにポフンと後ろ向きに倒されてしまう。
こうして仁聖が恭平と触れあうようになって、そろそろ2年が経とうとしている。以前から綺麗でしなやかで誰もが見惚れる容姿だった恭平だけど、今は満たされている証拠なのか益々艶を増していて。時に妖艶としか表現できない色香を漂わせ、仁聖をこうして強く惹き付ける。バスタオルで隠したままの淫らな下着の下で、キスの心地よさに思わず自身を固くした仁聖に向かって震い付きたくなるようなプルンと濡れた唇が淫らに微笑む。
「きょ……へぇ。」
思わずその身体を抱きしめようとした瞬間、何故かクンッと片手の動きが抑制されているのに仁聖は『あれ?』と無意識に右側に顔を向けていた。
「へ?」
右の手首に、革製の枷。それが何故か仁聖の腕の動きを抑制していて、何これ?と首を傾げ反対の手を挙げようとして、反対側も同じなのに今になって気がつく。いつの間にか両手首に痛みもなく手枷が嵌まっていて、しかもそれは何故かベットの下にどうやってか繋がれている模様だ。つまり上半身は起こすことも出来ない状態の上、クルンと身を返した恭平が手際よく足首にも枷を嵌めてしまっている。
「え?あれ?なに?」
「こういうこと、したかったんだろ?仁聖。」
え?とキョトンとしてしまう仁聖の足首は何故か棒に繋がれてしまっていて、脚を軽く開いた形で閉じることも出来ない状態になっている。つまりはダ・ヴィンチのウィトルウィウス的人体図 をベットの上で、仁聖は自分の身体で体現中。
「えええ、と、恭平、さん。」
そうだったあの手首をなぞる指の動き。宏太が手枷を嵌める時のやり方そっくりだと、今更気がついてしまった。しかも何で恭平が?!と思った瞬間に、そうだったと仁聖も気がついてしまう。
榊恭平は、鳥飼信哉と同じ古武術の天才。
そしてその鳥飼信哉の古武術は、宏太が過去に学んでいたものでもある。つまり宏太が拘束に使っていると言う捕縛術とか言うものを、恭平も身に付けて(以前は組打術までしか知らないと話していたが、今更だけど恭平は鳥飼の道場の門下生に最近復帰した。しかも、信哉曰く恭平は信哉も認める天才で10年のブランクがあっても他の鍛練を続けてきた者とひけをとらない技能の持ち主。そして新生・鳥飼道場で師範代になる予定で急激に古武術の習得を進められている。そんな急な習得は有り得ない筈なのに、それを可能にしてしまう程の天才なのだと信哉は恭平を高く評価しているのだ。)いたりする。
「な、何で手枷……なの?」
男ってのは1つや2つこういうのを喜ぶもんだと宏太は言っていたし、狭山明良でさえ玩具の手錠を持っていると話していた。とは言っても恭平の家にはこの類いの物は何一つ置いてなかったし、仁聖だって玩具の類いは御姉様方の持ち物は兎も角自分は所有していない。だけど、確かに仁聖がここに暮らすようになってモデルなんかしているので、恭平に使ってしまった物はあるのはある。だけど目下こんなにガッチリ拘束されているのは、これまでのように恭平ではなく言うまでもない仁聖だ。
「何だ?したかったから、貰ってきたんだろ?」
いや、確かにちょっとは興味があるし、したかったから貰ったのは事実。けれど、枷を嵌めるのは自分ではなくて、目の前の恭平だと仁聖は思っていて。それに下着を履くのだって自分ではなくて、自分を見下ろしている恭平の筈で。あれ?これってもしかして初めての逆?俺もしかして初体験しちゃうの?何てグルグルしている仁聖の股間を隠すバスタオルに、恭平の指がかかっていた。
「え!!だ、だめ!!外しちゃダメ!!」
「…………見せたくて、履いたんだろ?」
いや、履けって言われたからと仁聖は慌てるが、恭平は容赦なくバスタオルの前をはだけてしまう。曝されてカァッと頬が熱くなってしまうのは、その卑猥な光景を今の仁聖には全く隠しようがないからだ。
形を説明するにも、下着と言うには布地はほぼないに等しい。サイドと股間には幅の細い白い紐が渡されただけで、前部分には辛うじて白い光沢のある生地が半円形に付けられているのみ。ハッキリ言えば竿は殆んど隠れないどころか出すのが基本みたいに、生地の真ん中に穴が開いている有り様だ。つまり前にある布地の真ん中から陰茎はさらけ出して、陰嚢だけ隠すなんて本末転倒な形の下着。
素直に指示通りその穴に陰茎を通して履くしかなかったから、仁聖は着た後にバスタオルを巻いていた訳で。でもこんな風に大の字に固定された手足では股間を隠すことも出来なくて、恭平の気持ちいいキスで既に芯を持ち始めたソコが頬と同じで熱を持ちプルンと下折立つ。
「エロいな、…………仁聖の。」
脚の間に膝をついた恭平に見下ろされ、そんなことを低い声で言われるのになおのこと頬が熱くなる。興奮で妖艶に潤んだ微笑みで唇を湿しながら恭平が、フシダラに下折たたせてしまうのを隠せない自分の下着姿を眺めているのだ。
「ちょ……あの…………。」
こっちはほぼ全裸で拘束されているのに仁聖が枷を外してと必死に懇願するけれど、恭平はスイッチが入ってしまったように全く聞くつもりもない様子。しかもこれだけでは物足りないみたいに、何故か再びモゾモゾと何かを取り出している。
「きょ、うへ?あの…………。」
「これも使えそうだな?仁聖のここ。」
「え?」
何する気?と恭平の手元も見えなくて戸惑っている仁聖の姿に、恭平は賑やかな笑顔のままヌリュンと滑る何かを仁聖の亀頭にスッポリと嵌めてしまっていた。
「え?あ?ええ?」
恭平の視線だけで完全に勃起して膨れ上がっていた亀頭を包み込んでしまった珍妙な形のシリコンカバーなようなものに、仁聖はポカンとしたままの視線を向ける。カバーを嵌める為に塗り込んだのか、ジェルのようなものがトロリと竿を伝っていく。それを恭平の真っ白な指先が、皮膚に塗り込むように竿の血管をなぞり塗りつけていくのが見える。
「え、あ、えと、あの?」
まだ混乱したままの仁聖が身動きしようと手足の枷をカチャカチャとならすのに、恭平が腹の横に腰かけたまま覆い被さり妖艶に口付けてくる。
「可愛いな?仁聖は。」
「え?…………んんっ…………。」
甘く蕩けるような口付けをされながら、指先の擦れる微かな甘い刺激が怒張を這う。何度も口付けながら恭平の指が竿を擦る刺激に、もっと気持ちいい場所を擦って欲しくて仁聖の腰がカクカクと揺すられている。
「ん、んん、………………ん。はぅ……。」
心地よく舌を絡められる恭平のキスに、仁聖の半開きの唇から蕩けた声が溢れる。指先でツツッツツッと竿にジェルを塗り込まれていく刺激が、次第にピリピリとした違う感覚が加わり始めたのは次の瞬間だった。
「んんっ…………?は、ぅ……んん、や、だ……んっ。」
チリチリと細かな硬い毛先で刺激されるようなムズムズと疼く感覚が、カバーの嵌め込まれた亀頭を中心に広がっていく。
「ふぁ、あ、なに、や。」
手で擦ろうにも手は枷で繋がれて届かないし、脚で擦り合わせようにも棒を手と同じく固定されていて膝を曲げ擦り合わせることも出来ない。それなのに亀頭の疼きはジンジンと膨れ上がって、腰がカクカクと勝手に動き出している。
「あ、嘘、やだっ、ふぁ、…………あぅ。」
しかも指で擦られていた竿の方までそのむず痒さが広がり始めていて、仁聖の口から喘ぎめいた声が止まらない。
そうしてバイト終わり帰宅した仁聖が、自宅のウォークインクローゼットに隠していた代物を思わず取り出したのは言うまでもない。
そんなに…………凄いの?……いや、前も確かに凄かったけど…………
いや、そう言う点では既に以前2度ばかり恋人・榊恭平はセクシーランジェリーは身に付けてくれたことがあるし、ローター1つではあるが1度だけ恭平に使ってみたこともあった。確かにそのどれもが悩殺ものの色っぽさと、仁聖が制止しきれないほど大興奮したのは事実。それでもそれには拘束とか付加価値が加わったらどうなるかなんて、想像も出来なかったりする。
淫らな隠すところの少ない性的な想像を掻き立てる下着に、仰々しい革製の手枷。それに、幾つかの用途が限定される玩具とローション。くれると言われて素直に貰ってきてしまったけれど、今更だけどこれはどうしたものなのだろう。恭平に枷をつけてエッチな下着をつけて?確かに興奮するだろうけど、そんなことしてくれるとは思えなかったりもして。
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「ひぇええ?!!」
想定外に肩越しに突然降り落ちて来た声に、ビャッと飛び上がった仁聖は人生で最大の失態だと思われる過ちを犯していた。
※※※
まぁここまでの仁聖の性格のか行動とかを知っていてくれれば、あの時何が起きたのか想像するのは容易いことだろう。
帰宅して自室に引きこもった仁聖は、宏太から貰った品々を取り出して眺めながら実はかなりの時間悶々と考え込んでいたわけで。恭平が久々の食事当番で夕食の支度終えても、仁聖は部屋から出てこないまま。随分部屋から出てこないなぁと思った恭平が何度かドアをノックしたのだけれど、ウォークインクローゼットの奥に居たので仁聖は反応しなかったのだ。そんなわけで何かあったのか?と部屋に入った恭平は、クローゼットの奥に座り込みボーッと考え込んでいる仁聖を見つけた訳である。
そうして肩越しに何やってるんだ?と問いかけたらば、野性動物が驚いたみたいにビャッと飛び上がった仁聖は手にしていた代物を盛大にぶちまけていた。
「………仁聖……………何なんだ…………?これは。」
まぁ恭平の人生では全く接する機会のなかった途轍もない代物の数々が、床に盛大に飛び散ったわけで。最近では見ないほどスン…………ッと氷のような冷ややかな顔に恭平が変わったのに、違う意味で仁聖は凍りついて震え上がっている。何しろ目の前の床に散らばった物が物なのだ。
「あ、あの、これは………っ…えっと。」
「また…………ファンレターか?」
以前の代物がそうだったから恭平から、こう問いかけられたのだと分かっている。が、これを全てファンレターで送りつけられていたら、確実にそういう系統のモデルもやったのか?と恭平に疑われるに違いない。決してSM雑誌なんかのモデルを藤咲がさせる訳はないのだが、流石に必死に首を横に振って違います!してません!!と訴える。すると突然目の前の恭平が、世にも美しく恐ろしい氷の微笑を浮かべた。
「なら…………何なんだ?仁聖?」
そんなわけで。
その後のこの状況をなんと仁聖は説明したらいいのか。
「あの、恭平…………さん……?」
戸惑いながら声をあげる仁聖を、ニッコリと微笑んだ恭平が見下ろしているこの状況。
あの下着やら何やらをぶちまけ直後に恭平に氷の微笑で見下ろされた仁聖は、即断で素直に『全部宏太さんから貰いました、ごめんなさい』と平伏した。その上でフゥン……とぶちまけたものを拾い上げていった恭平に何故か『じゃ、これな?』とその内の1つを手渡され、その後何故か夕食は後なと先に風呂に直行させられ、しかも問答無用でお着替えを命じられていたのだ。
「何だ?」
「あの…これ……………恥ずかしい……んだけど。」
そう言うと賑やかに恭平から微笑まれるが、実は恭平に履かせる予定の物の中の1つを自分で履く羽目になった。無言の圧力に負けて風呂場で履いたは良いが、余りに心許ない布地に思わず下半身にバスタオルを巻いて出てきた訳で。それを恭平は想定していたのか、ベットの上に仁聖を追いやり腹の上に跨がられ見下ろされたと言うわけ。
恭平って……実はこういうとこ…………ある?
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「へ?」
右の手首に、革製の枷。それが何故か仁聖の腕の動きを抑制していて、何これ?と首を傾げ反対の手を挙げようとして、反対側も同じなのに今になって気がつく。いつの間にか両手首に痛みもなく手枷が嵌まっていて、しかもそれは何故かベットの下にどうやってか繋がれている模様だ。つまり上半身は起こすことも出来ない状態の上、クルンと身を返した恭平が手際よく足首にも枷を嵌めてしまっている。
「え?あれ?なに?」
「こういうこと、したかったんだろ?仁聖。」
え?とキョトンとしてしまう仁聖の足首は何故か棒に繋がれてしまっていて、脚を軽く開いた形で閉じることも出来ない状態になっている。つまりはダ・ヴィンチのウィトルウィウス的人体図 をベットの上で、仁聖は自分の身体で体現中。
「えええ、と、恭平、さん。」
そうだったあの手首をなぞる指の動き。宏太が手枷を嵌める時のやり方そっくりだと、今更気がついてしまった。しかも何で恭平が?!と思った瞬間に、そうだったと仁聖も気がついてしまう。
榊恭平は、鳥飼信哉と同じ古武術の天才。
そしてその鳥飼信哉の古武術は、宏太が過去に学んでいたものでもある。つまり宏太が拘束に使っていると言う捕縛術とか言うものを、恭平も身に付けて(以前は組打術までしか知らないと話していたが、今更だけど恭平は鳥飼の道場の門下生に最近復帰した。しかも、信哉曰く恭平は信哉も認める天才で10年のブランクがあっても他の鍛練を続けてきた者とひけをとらない技能の持ち主。そして新生・鳥飼道場で師範代になる予定で急激に古武術の習得を進められている。そんな急な習得は有り得ない筈なのに、それを可能にしてしまう程の天才なのだと信哉は恭平を高く評価しているのだ。)いたりする。
「な、何で手枷……なの?」
男ってのは1つや2つこういうのを喜ぶもんだと宏太は言っていたし、狭山明良でさえ玩具の手錠を持っていると話していた。とは言っても恭平の家にはこの類いの物は何一つ置いてなかったし、仁聖だって玩具の類いは御姉様方の持ち物は兎も角自分は所有していない。だけど、確かに仁聖がここに暮らすようになってモデルなんかしているので、恭平に使ってしまった物はあるのはある。だけど目下こんなにガッチリ拘束されているのは、これまでのように恭平ではなく言うまでもない仁聖だ。
「何だ?したかったから、貰ってきたんだろ?」
いや、確かにちょっとは興味があるし、したかったから貰ったのは事実。けれど、枷を嵌めるのは自分ではなくて、目の前の恭平だと仁聖は思っていて。それに下着を履くのだって自分ではなくて、自分を見下ろしている恭平の筈で。あれ?これってもしかして初めての逆?俺もしかして初体験しちゃうの?何てグルグルしている仁聖の股間を隠すバスタオルに、恭平の指がかかっていた。
「え!!だ、だめ!!外しちゃダメ!!」
「…………見せたくて、履いたんだろ?」
いや、履けって言われたからと仁聖は慌てるが、恭平は容赦なくバスタオルの前をはだけてしまう。曝されてカァッと頬が熱くなってしまうのは、その卑猥な光景を今の仁聖には全く隠しようがないからだ。
形を説明するにも、下着と言うには布地はほぼないに等しい。サイドと股間には幅の細い白い紐が渡されただけで、前部分には辛うじて白い光沢のある生地が半円形に付けられているのみ。ハッキリ言えば竿は殆んど隠れないどころか出すのが基本みたいに、生地の真ん中に穴が開いている有り様だ。つまり前にある布地の真ん中から陰茎はさらけ出して、陰嚢だけ隠すなんて本末転倒な形の下着。
素直に指示通りその穴に陰茎を通して履くしかなかったから、仁聖は着た後にバスタオルを巻いていた訳で。でもこんな風に大の字に固定された手足では股間を隠すことも出来なくて、恭平の気持ちいいキスで既に芯を持ち始めたソコが頬と同じで熱を持ちプルンと下折立つ。
「エロいな、…………仁聖の。」
脚の間に膝をついた恭平に見下ろされ、そんなことを低い声で言われるのになおのこと頬が熱くなる。興奮で妖艶に潤んだ微笑みで唇を湿しながら恭平が、フシダラに下折たたせてしまうのを隠せない自分の下着姿を眺めているのだ。
「ちょ……あの…………。」
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「きょ、うへ?あの…………。」
「これも使えそうだな?仁聖のここ。」
「え?」
何する気?と恭平の手元も見えなくて戸惑っている仁聖の姿に、恭平は賑やかな笑顔のままヌリュンと滑る何かを仁聖の亀頭にスッポリと嵌めてしまっていた。
「え?あ?ええ?」
恭平の視線だけで完全に勃起して膨れ上がっていた亀頭を包み込んでしまった珍妙な形のシリコンカバーなようなものに、仁聖はポカンとしたままの視線を向ける。カバーを嵌める為に塗り込んだのか、ジェルのようなものがトロリと竿を伝っていく。それを恭平の真っ白な指先が、皮膚に塗り込むように竿の血管をなぞり塗りつけていくのが見える。
「え、あ、えと、あの?」
まだ混乱したままの仁聖が身動きしようと手足の枷をカチャカチャとならすのに、恭平が腹の横に腰かけたまま覆い被さり妖艶に口付けてくる。
「可愛いな?仁聖は。」
「え?…………んんっ…………。」
甘く蕩けるような口付けをされながら、指先の擦れる微かな甘い刺激が怒張を這う。何度も口付けながら恭平の指が竿を擦る刺激に、もっと気持ちいい場所を擦って欲しくて仁聖の腰がカクカクと揺すられている。
「ん、んん、………………ん。はぅ……。」
心地よく舌を絡められる恭平のキスに、仁聖の半開きの唇から蕩けた声が溢れる。指先でツツッツツッと竿にジェルを塗り込まれていく刺激が、次第にピリピリとした違う感覚が加わり始めたのは次の瞬間だった。
「んんっ…………?は、ぅ……んん、や、だ……んっ。」
チリチリと細かな硬い毛先で刺激されるようなムズムズと疼く感覚が、カバーの嵌め込まれた亀頭を中心に広がっていく。
「ふぁ、あ、なに、や。」
手で擦ろうにも手は枷で繋がれて届かないし、脚で擦り合わせようにも棒を手と同じく固定されていて膝を曲げ擦り合わせることも出来ない。それなのに亀頭の疼きはジンジンと膨れ上がって、腰がカクカクと勝手に動き出している。
「あ、嘘、やだっ、ふぁ、…………あぅ。」
しかも指で擦られていた竿の方までそのむず痒さが広がり始めていて、仁聖の口から喘ぎめいた声が止まらない。
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