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間章 ちょっと合間の話3
間話102.そして下着の話・再来。2
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「え?あ、そうなの?」
キッチン傍の定位置の椅子からキッチンの中の行動を何時ものごとく伺っている外崎宏太から、少し地下のクローゼットに置いていた未使用下着の段ボールを少し片付けたと聞かされて外崎了が冷蔵庫の扉を閉じ振り返りつつ答える。
少しとは言っても箱は一つ二つではなかったし、正直邪魔だけど中身が中身だと言うのと自分のために買われてしまった物なので了には手の出しようがなかったのだ。まぁ豪邸過ぎて置き場所がない訳じゃないからと暫く手付かずでいたのだが、幾ら着ない物とは言え(それらを着ないと判定したのは、同じ物の色違いとか宏太が触っても楽しくないと言ったタイプの同じような形の物とかだ。というか、目の見えない宏太がセクシーランジェリーの類いを着せて何が楽しいんだと了としては思うのだけど、一応何かの基準があるらしく着せて楽しいものはちゃんと存在している模様。お陰でお気に入りはちゃんと上のクローゼットに移動されているのは言うまでもない。)購入した当人の宏太が片付けてくれたのに文句がある訳がない。
「ああ、仁聖と明良の二人が欲しがったのはやったぞ?」
地下のクローゼットから大量の段ボールを一人で運び出すのは幾らなんでも盲目の宏太には無理なので、若いのを呼んだと言っていたが呼ばれたのは源川仁聖と狭山明良だったようだ。そうなんだ?とは言ったものの、下の地下室に置いていた段ボールの中にはセクシーランジェリーと括るには、些か度を越した類いのモノもあったので。
あっちの類い持って帰ってたら、恭平は激怒するなぁ…………
と長く榊恭平と付き合いのある友人としては思うわけで、方や結城晴の方は嫌がってても着せられてそう…………等と染々と思ってしまうのはここだけの話だ。それにしても
何で急に断捨離?
まぁ断捨離が悪いわけではないのだが、ここにきて何故とは少しは思ったりするから、了は手早く最近の宏太が好んで食べたがるようになった果物を食べやすいように皿に取り分ける。先日風邪を引いたのでビタミンが身体に欲しいらしくて、今まではそんなに食べなかったのだけれどこの間風邪にに良いかと林檎と少しだけ生姜をおろしたモノを食べさせたのが気に入ったらしい。
「ほら、こぉた。」
アイランドキッチンのカウンター越しに手を伸ばして声をかけると、宏太が言葉の先を読んだみたいに顔を向ける。
いや、もぉ…………
ちょっと了が悶絶しそうになったのは、宏太が鳥のヒナみたいに大人しく了に向かって口を開けたから。そうなのだ、まだ慣れない食べ物だから仕方がないのだけど、ここのところの宏太はあの膝枕の辺りからちょっと目に見えて甘えるようになった。洗って出してやったのは一口サイズの苺だから手探りすれば自分で食べられなくもないのだけど、『アーン』で待たれるのに見悶えなそうになりながらカウンター越しではあるが一つ口に運んでやる。
「…………少し……酸っぱい…………けど甘い。」
「苺だからな。好きそうか?」
モコモコと無言で一粒の苺を味わっている宏太の様子は、正直いうと子供みたいで可愛い。今迄風邪を引いて熱を出したことがなかった上に味覚障害持ちだった宏太は、風邪を引いたらビタミン摂取とかいう案外普通の事も未経験。しかもここ一年で味覚障害が治って、様々なものの味を楽しめるようになってきた面もあって果物の甘さに目下嵌まっている。
「この間のよりは、好きだ。」
とは言えそこにはやはり盲目のハンデもあって、ベタな定番の味から訓練していて、甘味や塩味にはかなり慣れたし辛味も少しずつ取得中。苦味に関しては元々宏太が苦手なのと、味覚自体が子供と同じ感覚なのでまだ慣れないけれど、珈琲は飲めるから慣れれば変わってくるところだろう。そんな宏太があまり触れにくい酸味に慣れるのには果物が良さそうだなとは了も思ったのだけれど、先日酸味の強い柑橘を剥いて食べさせたらビックリして悶絶したのだ。
あ?酸っぱい?
と聞いた時に珍しく無言でプルプルしていた宏太がなんとも可愛かったので、少し経ったらまた食べさせてみようと密かに了としては思っているのはさておき。
「ん、苺も種類があるからなあ、甘そうなヤツ選ぶから。」
その言葉に大人しく頷く宏太の姿に、了は微笑みながらそう言えばあの大量の段ボールどうやって処分したんだ?と思い出したように問いかけていた。
「残りは…………相園にやった。」
「相園さん?なに?ホテルの他になんか商売でもすんの?」
「いや、ホテルで物販。」
なるほどと素直に納得はするけれど、ラブホテルともブティックホテルとも呼ぶ休憩なんかもある類いの簡易ホテルの支配人という立場の相園良臣(元は久保田惣一の部下だったという話し。裏の顔は良くは知らないが、少なくともホテル関係に顔が利くというのは既に了も結城晴の件も含め十分知っている。)とはいえ、片寄ったメンズ物のセクシーランジェリーがどうやって売れるのだろうかと疑問に思った瞬間、あれ?と了は首を傾げて宏太を眺める。
「なあ?宏太。」
「ん?」
「何か俺に隠してる?」
その言葉に何気なく顔をピクリと動かした宏太に、了は徐に目を細めていたのだった。
※※※
「やだ、明良…………これ、や。」
フルフルと頭を振りながら懇願する晴の姿は、明良にとっては酷く艶かしくて欲情をそそる。ベットの上で晴は細い手足に枷を嵌め、それぞれ左右にその枷を金具で繋がれた形で膝を立てて座り込んでいるのだ。しかも、その股間はエナメルのような布で出来たセクシーランジェリーというヤツで包まれただけで、他は何一つ布地は身に付けていない。
「でも、約束だよね?ちゃんと着てるとこみせるって。」
そう、この下着一枚の姿を見せてもらうという明良との約束で、晴はこの下着を素直に身に付けたのだ。とは言えこんな淫らな下着を身につけた姿の晴を目の前にして、明良が何にもしないで『見せてくれてありがとう』なんて終わらすわけないでしょ?そんなの分かりきってる癖にと明良としては言いたくなるのはここだけの話。
それにしても今さらなのだけれどあの秘密の部屋で宏太から、これはこう使うんだと簡単に教えてもらった枷の効果はとんでもない。今迄使ってみた事のある簡易的なフェイクファーの手錠は、つけるのは簡単でもファーのせいで外すのが面倒臭くて、しかも行為中に勝手に絞まって晴が手首の痛さに悲鳴を上げることが多々あった。それに対してレザー製のキチンと作られた枷の使いやすさ。
革だからな、汗とかの対応は必要だけどキチンと手入れしとけばな。
高いけど良いものだから皮が挟まるなんて事はないし痕も付きにくいからつけられるヤツも苦痛が少ないと平然と宏太がいうのには、流石本職と仁聖と二人揃って呆気にとられてしまう。
ちゃんと使うとな、どうやっても自由に動けなくもなるからいいんだよ。
枷で自由を奪われたら従うしかなくなると、身体で分からせるには一番手っ取り早い。それが枷の一番のポイントなんだと言う宏太は目が見えなくても、掴んだ相手の手首にほんの一瞬でその枷をかけることが出来てしまうのだ。明良も仁聖もこうやるんだよと宏太にやって見せて貰ったのだが、スルリと手首を撫でられた後には黒革の手枷が嵌められた自分の手首を見下ろして唖然としたのだった。
エエエ?今のどうやったの?!
宏太は指で手首の太さを撫でながら確認して、クルリと回しながら一緒にベルトを回しつつベルトの適切な穴を通すのだ。宏太にユックリとやってみて貰っても、手早く手枷を巻き付け一瞬でベルト穴に固定している手際の良さは確かに熟練の技としかいえない。しかもこういうのを繋ぐ時にはこう、なんて枷同士の繋ぎかたという拘束の仕方まで説明されるのに明良はポカンとしてしまった。
これもSMですか?
いや、これは別の知識。
器具の扱いは調教師の知識だというけれど、人体を拘束するのは噂の古武術の中の捕縛術(捕縛術は後に警察官の犯人逮捕のための捕縛に繋がったものだそうである。聞けば十手術とかにも通じていて江戸時代では岡引等の技術として伝わっているし、現代でも警察に逮捕の際の技術として習得されてもいるらしい。そう言われれば明良の祖父・高良も、母・かぐらも警察官なので捕縛術を身に付けていた筈だ。)が基本なのだそう。人体に害がなるべくない状態で、動きを遮るように拘束するということらしい。勿論全く人体に害のない拘束はあり得ないけれど、血行や筋肉の動きで苦痛でないのに動けないが一番効果的だと宏太は笑う。
そんな拘束のレクチャーをチラリと受けた上での今夜の実践なのだけれど、以前より更に簡単に枷をつけられてしまう晴なのは明良が新しい技身につけた云々というより晴がノホホンのせいな気もしてしまう。そうして目下晴はウルウルした瞳で手足を拘束されて、既にベットの上から逃げることも出来ないでいる。
「あきらぁ…………これ、やだぁ。」
カチカチ音をさせる革のベルトの枷は、確かに前に試しに買った玩具のフェイクファーの手錠なんかよりしなやかで当人にも痛みもないようだ。手錠式だと金具が絞まりやすくて、肌が挟まったりすると痛みも強い。その点ではやはり肌の当たる面が全て滑らかなレザーなので、晴にも苦痛も少ないようだ。それに外周の金具の取り付けも確りしていて、動かそうとガチャガチャしても肌が挟まるような不安がない。
「外して…………お願い、あきらぁ。」
膝を立てて膝頭を擦り合わせ座り込んでいる晴が、上目遣いに懇願する様はとっても可愛いのだ。しかも手首と足首がガッチリと余裕なく金具で繋がれているから、その体勢でないといられないのだけど。
「でも、見せてくれるんだよね?晴。」
キシッとベットを軋ませて晴の身体に近寄利覆い被さってくる明良の視線に、晴が戸惑うように見上げてくる。見るだけなら近づかなくてもといいたげな晴の身体を後ろに押しやった明良に、晴は驚いた声をあげて後ろ向きに転がっていた。
「ひゃあ!!わ、わ!」
肩を押されて転がると手首に繋がれた足首を上げるしかなくて、どうしても足を上げ膝を抱える体勢で寝転がる嵌めになってしまう。そうなると今度は手では股間を隠せないのに晴が慌てて頬を染めるのは、身に付けているのが何とも言いがたい恥ずかしいモノだからだ。
「や、やだぁ!ダメ!見ないでよぉ!」
自分ではどうにも出来ない状態で、恥ずかしい場所をジロジロと眺められるのに身悶える。晴のスリルとサスペンス好きの根本は、羞恥心を刺激されるのに弱いという面がある。ダメだと思うような状況や行動をするのもされるのにも晴は興奮してしまう。そんな刺激に弱い晴だから、『五十嵐ハル』の活動も楽しんでしまうし外で明良とオイタをして気持ち良くもなってしまうのだ。そんな晴がこの体勢で恥ずかしい思いをさせられるのに対して、なんともない筈がない。
「ダメ?ほんと?こんなにしてて?」
結局転がされてしまった晴が身動きとれないうちに、腰の下に高くクッションをあてがわれ腰が浮き上がってしまった。そうすれば晴には、もう自分では起き上がるどころか股間を隠すことも出来ない。その明良の目の前にさらけ出された布地一枚の張り詰めた晴の股間に、明良の指先一本がツツツ……ッと爪の先だけで掠める。
「ひゃううっん!」
薄く張り付く布地一枚越しに、晴の陰茎が淫らに脈打つのが分かる。その声を必死に手で押さえようとしても、晴にはもう膝を抱えることしか出来ないのだ。ゾクゾクとその姿に興奮が背筋を走るのを感じながら、明良はその下着の最大の特性であるモノに指をかけていた。
「あ、やっ、やだ、それっ。」
エナメル質の布地で身体を覆うのはその全体の3分の一程度。それがこの下着の一番のエロさではなくて、勿論サイドの編み込まれた紐でもない。この下着が一番性的に持っている特殊な部分は、中央を前から後ろに一直線に走る銀色のジッパーの存在なのだ。しかも、そのジッパーの金具は、当然前にも後ろにも一つずつ輪が存在している。
「ちゃんと、見せて…………ね?晴。」
チキチキと微かな音を立ててジッパーの動く音がするのに、晴の身体が強張り震えている。男としては敏感な部分をジッパーで挟まれたらと恐怖感も強いのだろうけれど、明良が手をかけたのは後側の仙骨の上で揺れる方のジッパーだった。それが引き下げられていくチキチキ、チィ……チリチリという音が寝室に響き渡るのに、晴が悲鳴に近い声で懇願する。
「やだ、開けちゃ、やぁ!!あきらぁ!!」
もしかして下に更に下着履いてたりしてと一瞬は考えたものの、下から姿を見せ始めたのは別な布地ではなく、滑らかな桃のようなツルンと柔らかな可愛い晴の臀部。そしてそのジッパーがジリジリと開かれて、その先の肌が更に空気に触れていく。
キッチン傍の定位置の椅子からキッチンの中の行動を何時ものごとく伺っている外崎宏太から、少し地下のクローゼットに置いていた未使用下着の段ボールを少し片付けたと聞かされて外崎了が冷蔵庫の扉を閉じ振り返りつつ答える。
少しとは言っても箱は一つ二つではなかったし、正直邪魔だけど中身が中身だと言うのと自分のために買われてしまった物なので了には手の出しようがなかったのだ。まぁ豪邸過ぎて置き場所がない訳じゃないからと暫く手付かずでいたのだが、幾ら着ない物とは言え(それらを着ないと判定したのは、同じ物の色違いとか宏太が触っても楽しくないと言ったタイプの同じような形の物とかだ。というか、目の見えない宏太がセクシーランジェリーの類いを着せて何が楽しいんだと了としては思うのだけど、一応何かの基準があるらしく着せて楽しいものはちゃんと存在している模様。お陰でお気に入りはちゃんと上のクローゼットに移動されているのは言うまでもない。)購入した当人の宏太が片付けてくれたのに文句がある訳がない。
「ああ、仁聖と明良の二人が欲しがったのはやったぞ?」
地下のクローゼットから大量の段ボールを一人で運び出すのは幾らなんでも盲目の宏太には無理なので、若いのを呼んだと言っていたが呼ばれたのは源川仁聖と狭山明良だったようだ。そうなんだ?とは言ったものの、下の地下室に置いていた段ボールの中にはセクシーランジェリーと括るには、些か度を越した類いのモノもあったので。
あっちの類い持って帰ってたら、恭平は激怒するなぁ…………
と長く榊恭平と付き合いのある友人としては思うわけで、方や結城晴の方は嫌がってても着せられてそう…………等と染々と思ってしまうのはここだけの話だ。それにしても
何で急に断捨離?
まぁ断捨離が悪いわけではないのだが、ここにきて何故とは少しは思ったりするから、了は手早く最近の宏太が好んで食べたがるようになった果物を食べやすいように皿に取り分ける。先日風邪を引いたのでビタミンが身体に欲しいらしくて、今まではそんなに食べなかったのだけれどこの間風邪にに良いかと林檎と少しだけ生姜をおろしたモノを食べさせたのが気に入ったらしい。
「ほら、こぉた。」
アイランドキッチンのカウンター越しに手を伸ばして声をかけると、宏太が言葉の先を読んだみたいに顔を向ける。
いや、もぉ…………
ちょっと了が悶絶しそうになったのは、宏太が鳥のヒナみたいに大人しく了に向かって口を開けたから。そうなのだ、まだ慣れない食べ物だから仕方がないのだけど、ここのところの宏太はあの膝枕の辺りからちょっと目に見えて甘えるようになった。洗って出してやったのは一口サイズの苺だから手探りすれば自分で食べられなくもないのだけど、『アーン』で待たれるのに見悶えなそうになりながらカウンター越しではあるが一つ口に運んでやる。
「…………少し……酸っぱい…………けど甘い。」
「苺だからな。好きそうか?」
モコモコと無言で一粒の苺を味わっている宏太の様子は、正直いうと子供みたいで可愛い。今迄風邪を引いて熱を出したことがなかった上に味覚障害持ちだった宏太は、風邪を引いたらビタミン摂取とかいう案外普通の事も未経験。しかもここ一年で味覚障害が治って、様々なものの味を楽しめるようになってきた面もあって果物の甘さに目下嵌まっている。
「この間のよりは、好きだ。」
とは言えそこにはやはり盲目のハンデもあって、ベタな定番の味から訓練していて、甘味や塩味にはかなり慣れたし辛味も少しずつ取得中。苦味に関しては元々宏太が苦手なのと、味覚自体が子供と同じ感覚なのでまだ慣れないけれど、珈琲は飲めるから慣れれば変わってくるところだろう。そんな宏太があまり触れにくい酸味に慣れるのには果物が良さそうだなとは了も思ったのだけれど、先日酸味の強い柑橘を剥いて食べさせたらビックリして悶絶したのだ。
あ?酸っぱい?
と聞いた時に珍しく無言でプルプルしていた宏太がなんとも可愛かったので、少し経ったらまた食べさせてみようと密かに了としては思っているのはさておき。
「ん、苺も種類があるからなあ、甘そうなヤツ選ぶから。」
その言葉に大人しく頷く宏太の姿に、了は微笑みながらそう言えばあの大量の段ボールどうやって処分したんだ?と思い出したように問いかけていた。
「残りは…………相園にやった。」
「相園さん?なに?ホテルの他になんか商売でもすんの?」
「いや、ホテルで物販。」
なるほどと素直に納得はするけれど、ラブホテルともブティックホテルとも呼ぶ休憩なんかもある類いの簡易ホテルの支配人という立場の相園良臣(元は久保田惣一の部下だったという話し。裏の顔は良くは知らないが、少なくともホテル関係に顔が利くというのは既に了も結城晴の件も含め十分知っている。)とはいえ、片寄ったメンズ物のセクシーランジェリーがどうやって売れるのだろうかと疑問に思った瞬間、あれ?と了は首を傾げて宏太を眺める。
「なあ?宏太。」
「ん?」
「何か俺に隠してる?」
その言葉に何気なく顔をピクリと動かした宏太に、了は徐に目を細めていたのだった。
※※※
「やだ、明良…………これ、や。」
フルフルと頭を振りながら懇願する晴の姿は、明良にとっては酷く艶かしくて欲情をそそる。ベットの上で晴は細い手足に枷を嵌め、それぞれ左右にその枷を金具で繋がれた形で膝を立てて座り込んでいるのだ。しかも、その股間はエナメルのような布で出来たセクシーランジェリーというヤツで包まれただけで、他は何一つ布地は身に付けていない。
「でも、約束だよね?ちゃんと着てるとこみせるって。」
そう、この下着一枚の姿を見せてもらうという明良との約束で、晴はこの下着を素直に身に付けたのだ。とは言えこんな淫らな下着を身につけた姿の晴を目の前にして、明良が何にもしないで『見せてくれてありがとう』なんて終わらすわけないでしょ?そんなの分かりきってる癖にと明良としては言いたくなるのはここだけの話。
それにしても今さらなのだけれどあの秘密の部屋で宏太から、これはこう使うんだと簡単に教えてもらった枷の効果はとんでもない。今迄使ってみた事のある簡易的なフェイクファーの手錠は、つけるのは簡単でもファーのせいで外すのが面倒臭くて、しかも行為中に勝手に絞まって晴が手首の痛さに悲鳴を上げることが多々あった。それに対してレザー製のキチンと作られた枷の使いやすさ。
革だからな、汗とかの対応は必要だけどキチンと手入れしとけばな。
高いけど良いものだから皮が挟まるなんて事はないし痕も付きにくいからつけられるヤツも苦痛が少ないと平然と宏太がいうのには、流石本職と仁聖と二人揃って呆気にとられてしまう。
ちゃんと使うとな、どうやっても自由に動けなくもなるからいいんだよ。
枷で自由を奪われたら従うしかなくなると、身体で分からせるには一番手っ取り早い。それが枷の一番のポイントなんだと言う宏太は目が見えなくても、掴んだ相手の手首にほんの一瞬でその枷をかけることが出来てしまうのだ。明良も仁聖もこうやるんだよと宏太にやって見せて貰ったのだが、スルリと手首を撫でられた後には黒革の手枷が嵌められた自分の手首を見下ろして唖然としたのだった。
エエエ?今のどうやったの?!
宏太は指で手首の太さを撫でながら確認して、クルリと回しながら一緒にベルトを回しつつベルトの適切な穴を通すのだ。宏太にユックリとやってみて貰っても、手早く手枷を巻き付け一瞬でベルト穴に固定している手際の良さは確かに熟練の技としかいえない。しかもこういうのを繋ぐ時にはこう、なんて枷同士の繋ぎかたという拘束の仕方まで説明されるのに明良はポカンとしてしまった。
これもSMですか?
いや、これは別の知識。
器具の扱いは調教師の知識だというけれど、人体を拘束するのは噂の古武術の中の捕縛術(捕縛術は後に警察官の犯人逮捕のための捕縛に繋がったものだそうである。聞けば十手術とかにも通じていて江戸時代では岡引等の技術として伝わっているし、現代でも警察に逮捕の際の技術として習得されてもいるらしい。そう言われれば明良の祖父・高良も、母・かぐらも警察官なので捕縛術を身に付けていた筈だ。)が基本なのだそう。人体に害がなるべくない状態で、動きを遮るように拘束するということらしい。勿論全く人体に害のない拘束はあり得ないけれど、血行や筋肉の動きで苦痛でないのに動けないが一番効果的だと宏太は笑う。
そんな拘束のレクチャーをチラリと受けた上での今夜の実践なのだけれど、以前より更に簡単に枷をつけられてしまう晴なのは明良が新しい技身につけた云々というより晴がノホホンのせいな気もしてしまう。そうして目下晴はウルウルした瞳で手足を拘束されて、既にベットの上から逃げることも出来ないでいる。
「あきらぁ…………これ、やだぁ。」
カチカチ音をさせる革のベルトの枷は、確かに前に試しに買った玩具のフェイクファーの手錠なんかよりしなやかで当人にも痛みもないようだ。手錠式だと金具が絞まりやすくて、肌が挟まったりすると痛みも強い。その点ではやはり肌の当たる面が全て滑らかなレザーなので、晴にも苦痛も少ないようだ。それに外周の金具の取り付けも確りしていて、動かそうとガチャガチャしても肌が挟まるような不安がない。
「外して…………お願い、あきらぁ。」
膝を立てて膝頭を擦り合わせ座り込んでいる晴が、上目遣いに懇願する様はとっても可愛いのだ。しかも手首と足首がガッチリと余裕なく金具で繋がれているから、その体勢でないといられないのだけど。
「でも、見せてくれるんだよね?晴。」
キシッとベットを軋ませて晴の身体に近寄利覆い被さってくる明良の視線に、晴が戸惑うように見上げてくる。見るだけなら近づかなくてもといいたげな晴の身体を後ろに押しやった明良に、晴は驚いた声をあげて後ろ向きに転がっていた。
「ひゃあ!!わ、わ!」
肩を押されて転がると手首に繋がれた足首を上げるしかなくて、どうしても足を上げ膝を抱える体勢で寝転がる嵌めになってしまう。そうなると今度は手では股間を隠せないのに晴が慌てて頬を染めるのは、身に付けているのが何とも言いがたい恥ずかしいモノだからだ。
「や、やだぁ!ダメ!見ないでよぉ!」
自分ではどうにも出来ない状態で、恥ずかしい場所をジロジロと眺められるのに身悶える。晴のスリルとサスペンス好きの根本は、羞恥心を刺激されるのに弱いという面がある。ダメだと思うような状況や行動をするのもされるのにも晴は興奮してしまう。そんな刺激に弱い晴だから、『五十嵐ハル』の活動も楽しんでしまうし外で明良とオイタをして気持ち良くもなってしまうのだ。そんな晴がこの体勢で恥ずかしい思いをさせられるのに対して、なんともない筈がない。
「ダメ?ほんと?こんなにしてて?」
結局転がされてしまった晴が身動きとれないうちに、腰の下に高くクッションをあてがわれ腰が浮き上がってしまった。そうすれば晴には、もう自分では起き上がるどころか股間を隠すことも出来ない。その明良の目の前にさらけ出された布地一枚の張り詰めた晴の股間に、明良の指先一本がツツツ……ッと爪の先だけで掠める。
「ひゃううっん!」
薄く張り付く布地一枚越しに、晴の陰茎が淫らに脈打つのが分かる。その声を必死に手で押さえようとしても、晴にはもう膝を抱えることしか出来ないのだ。ゾクゾクとその姿に興奮が背筋を走るのを感じながら、明良はその下着の最大の特性であるモノに指をかけていた。
「あ、やっ、やだ、それっ。」
エナメル質の布地で身体を覆うのはその全体の3分の一程度。それがこの下着の一番のエロさではなくて、勿論サイドの編み込まれた紐でもない。この下着が一番性的に持っている特殊な部分は、中央を前から後ろに一直線に走る銀色のジッパーの存在なのだ。しかも、そのジッパーの金具は、当然前にも後ろにも一つずつ輪が存在している。
「ちゃんと、見せて…………ね?晴。」
チキチキと微かな音を立ててジッパーの動く音がするのに、晴の身体が強張り震えている。男としては敏感な部分をジッパーで挟まれたらと恐怖感も強いのだろうけれど、明良が手をかけたのは後側の仙骨の上で揺れる方のジッパーだった。それが引き下げられていくチキチキ、チィ……チリチリという音が寝室に響き渡るのに、晴が悲鳴に近い声で懇願する。
「やだ、開けちゃ、やぁ!!あきらぁ!!」
もしかして下に更に下着履いてたりしてと一瞬は考えたものの、下から姿を見せ始めたのは別な布地ではなく、滑らかな桃のようなツルンと柔らかな可愛い晴の臀部。そしてそのジッパーがジリジリと開かれて、その先の肌が更に空気に触れていく。
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