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間章 ちょっと合間の話3
間話84.おまけ 愛してる
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流石に3度目の精液を注ぎ込まれた瞬間に、抱き上げていた外崎了の身体が大きくガクンと戦いて胸の上で弛緩していた。下折たつモノを未だに突きいれながら息を荒げていた外崎宏太も流石にそれには気がつく。ハァハァと荒々しく息をつきながら、少し勢いを弱め質量を落とした怒張をズルンと抜き取っても、腕の中の了は完全に失神している風でピクリともしない。
くそ…………やり過ぎた…………
可愛い了の甘いお強請りに、正直言うと完璧に宏太は理性がとんでいたのだ。それはそうだろう?普段は負けん気の強く憎まれ口の方が多いと言える了が、甘えた声で「こぉたのチンポ」とか「お尻ズコズコしてぇ」なんてエロくて可愛い事を言って自分を誘うのだ。それを聞いていて、宏太がキレない筈がない。というかキレなかったら、それは宏太じゃないと宣言できる。
「了?」
グッタリしている了の身体は未だに昇り詰めた熱を放っていて、怒張を咥え込んでいた場所はまだポッカリと淫らに開いたまま。少し抱き上げただけで、宏太の注ぎ込んだ大量の白濁が驚くほどの量で中からドロリと溢れてくる。流石にそのままではと宏太が自分達の脱ぎ散らかした衣類で下半身を包むように優しくくるみ込んで、そっと抱き上げても了は未だに気がつく様子もないままだ。目が見えないから宏太にもリビングの現状がどうなっているのかは分からないのだが、後から了が怒るのは確実だという気がする。
「了…………、悪かった…………。」
囁きながら失神したままの了の身体を優しく抱き上げて浴室まで運んで、丁寧に洗ってやっても依然として腕の中でグッタリしたまま。その様子に宏太は俺は何をやってるんだと、心の中で自分に叱責の言葉を溢す。
『茶樹』で我が子といってもおかしくない年頃の源川仁聖と狭山明良に言われたのは、自分がある意味では鳥飼信哉と同類だと言うことだった。宏太自身は自覚がないが、たまに人間の限界が分かってないことがあるということなのだ。
外崎さんもそういうとこありますもんね?
明良にそう言われて思わず何が?と問い返したら、普通の人間は大概自力で殺人犯や何かとは対峙しないですよと明良に言われてしまった。しかも自分が勝てると算段したからだと宏太が言ったら、必ず勝てる判断できたとしても普通の人間は危険性があることには大概二の足を踏むものだと堂々と言われてしまう。
割れると分かってても瓦を殴る時には躊躇しますよ?普通の人間って
確かにそうかもしれないし、それを克服するのが鍛練といわれると、自分は余りその点では躊躇がなく鳥飼千羽哉に散々それを言われてきたのだった。勿論明良達には了との性行為を見られたわけではないが、日々の行動を見ていると自分は時に危険も厭わず動く傾向が強いからなおのことそう見えるようだ。それが性的にも当てはまるのだとしたら、何かぶちギレたらとんでもないことをしそうだと仁聖にまで言われてしまった。明良には絶対に言われたくないと思ったのだけれど、確かに事実として以前了が倒れるまでやりまくって『レイプされたみたいだよ?!』と結城晴に怒鳴られ、梨央にも殴られ説教されたことがある。それを端と一人心の中で思い出したら、明良に言い返す気力がなくなってしまったのは言うまでもない。
もう、そんなことは絶対にしない。了を傷つけない
そう自分に改めて誓わせた直後にこれだ。グッタリしたままの了の身体を抱き締めて湯船にそっと浸かるけれど、了は失神したままで一向に目を覚ます気配がない。
それに了さんだって…………
明良に言われた言葉がふと頭を過って、宏太は了の身体を確りと抱き締めて肩にもたれ掛かる了の顔にかかる髪の毛を掬い上げてやる。自分が平均的な人間の基準を知らないから、こんな風に相手を追い詰めるような行動になってしまう。それを明良に諭した自分も、結局は明良と同じ……いや、もしかしたらそれより酷いことをしてしまっている。
「悪かった…………。」
そっと頬を撫でながら小さな声で繰り返す。調教するつもりもなければ、以前のように相手を『雌』扱いするつもりも、今の宏太にはない。宏太にとって了は唯一無二の大切な人間になっただけで、自分のモノにしたいとは思うが『オンナ』扱いしたい訳ではないのだ。それなのに今日に限ってあんな言動で了を責め立てたのは、明良に言われたことが頭にあったからに違いない。
了さんだって男なんだから……したくなるってことないんですか?
それは男同士のパートナーだからこそ素朴に疑問に思うことらしい。元がヘテロセクシャルの明良は、その疑問をこちらも元はヘテロセクシャルの仁聖と榊恭平にも既にしたらしかった。(仁聖はそれに別に恭平がしたいと思うなら何時でも恭平に抱かれるつもりだと、仁聖らしいあっけらかんとした答えを出したそうだ。方や恭平の方は元々が淡白な質なので、今はそんなことは考えられないという。)
明良は宏太と同じ完全なヘテロセクシャルだが、結城晴と了は元からバイセクシャルでもある。男性でも女性でも相手に出来るのは宏太も仕事柄では同じだが、恋愛対象として男女共に対象に出来る晴が『したく』なったらどうしたらいいか?そこも含めて明良としても疑問に思うことがあったようで、そんな質問をしたようだ。
とはいえ…………
それを自分に置き換えて考えてみようにも、宏太にしたら了の身体を舐めたり吸ったりは問題なく出来るが、その先は?と思うと自分でも答えが出なくて首を傾げてしまった訳である。そんな明良達との会話と明良の質問のせいで、自分でも妙だなと思うような行動に繋がってしまって、
これを俺に入れたいと思うか?
目が見えていた頃の記憶と重なる宏太の掌に包まれた、しなやかで華奢な了自身そのものの陰茎。他人の性器なんか口に含みたいとか舐めたいなんて、正直調教師時代だって思ったこともない。ついでにいえば調教師の頃は当然だが、引退後に三浦和希を調教した時ですら口淫なんかは宏太ではなく他人…………あの時は三浦に薬漬けにされて性的に暴行を受けていた女を道具がわりにしていた。それを考えながら弄くり回していたら、焦れた了に可愛く強請られた結果がこれだ。
自分でもおかしくなっているのは分かっている
今まで何度も似たような言葉を調教の一環と、相手に言わせて自分の足元に這いつくばらせてきたのだ。その様を観察し更に調教して、プライドごとへし折ってきた。それでも宏太は相手には何も感じないまま、プライドを奪われ獣になり果てた相手を冷ややかに見下ろしてきたのだ。
三浦だってそうだ。
《random face》の奥の秘密の部屋の最後の暴君。同じ年頃の仲間や遠坂喜一の息子と一緒に再三女を連れ込み、その女を薬を使ってまで輪姦し尽くしてきた男。その男を散々に調教しつくして、自ら尻を犯されるのを懇願するように躾けたのは宏太だ。そして三浦にとっての最後の破滅の扉を開いて、そこに三浦を引き込んだのも宏太だった。それでも三浦が雌に堕ちてしまえば宏太は三浦への興味も完全に失せてしまったから、その後は三浦が仲間に犯されても宏太は無情に放置している。
だけど、同じような言葉でも了が甘い声で言うと、宏太には理性なんて紙屑に変わってしまう。了が可愛くて愛しいと心底思うし、了を髪の毛ほどでも傷つけるような奴は全力で排除するつもりだ。その了はこんなに宏太に抱かれていても、今も男性自身はちゃんと勃起もするし、そこへの刺激だけで絶頂にも達する。
それで、したいと言われたら?
もしも、それを強請られたら宏太はどうしたらいいのかなんて、実は考えたこともなかった。勿論自分が生粋のヘテロセクシャルだからと言うのもあるだろうけど、宏太は根っからのタチだから自分がネコになるのなんて想像も出来なかったりする。しかも明良に言われたことが少し引っ掛かったのもあるけれど、同時に了がそんな風に自分を欲しがる日がくるのだろうかとも内心では思う。何しろ宏太と了は二回りも年が違うのだから、少なくとも自分の方が先に性的に衰えるのだ。
そんなこと、考えるなんて…………
好きだから、愛しているから、この先ずっと一緒にいて欲しいから。それで求められたら?なんて宏太らしくない。らしくないけれど気になってしまったら、それを振りきるためになのか宏太は我武者羅になって了を自分の『オンナ』として抱き潰してしまっていた。その結果が、この乱暴狼藉としか言えない性行為なのだ。
「…………頼むから…………嫌なことは嫌だって言ってくれ…………。」
ポツリと呟く声にピクリともしなかった了の頭がユラリと揺れて、緩やかな吐息が首元にフワリと漂う。抱き締めた了の身体に愛しそうに頬を寄せて、宏太はらしくない懇願をするしかない。
「そうでないと……俺は暴走して、お前を滅茶苦茶にしてしまう……。」
自分でだってちゃんとこれ以上はと分かっているけれど、どうしても宏太は歯止めが効かず止められないのだ。懇願の声に目覚めたのか頬を寄せられた了の唇から、ホゥッと溜め息のような吐息が溢れ堕ちていた。
「こぉ、…………た。」
快感に幾度も叫び過ぎて掠れた声が寝ぼけたように惚けて名前を呼ぶのが分かって、宏太の頭がピクリと動く。目覚めたら先ずは了に怒られるとビクビクしている宏太の様子に気がつかないのか、了はボンヤリと自分が身を清められて宏太に抱きかかえられて湯船に浸かっているのに気がつく。
「こぉた…………、洗って……くれた?」
「…………あぁ、悪かった。辛かったろ?了。」
ん……と了の吐息混じりの声が、激しすぎと小さく呟くのが抱きかかえる宏太にはちゃんと聴こえる。再三の了の懇願を無視して性具のように扱われて執拗に突き込まれていたのだから言われて当然のことなのだけど、そう言われると宏太にはこれ以上何も言えなくなってしまう。
「………………たまに……だからな?」
「ん?」
そう言う了がほんのりと頬を薔薇色に染めているのは、宏太には見えていない。それでも宏太の肩に頬をのせた姿勢でいた了は、見えていないと知りつつ少し恥ずかしそうに顔を背けてポソポソと呟く。
「こ、いうの…………毎回は、ダメ、だぞ?…………時々。」
想定外の了の言葉に宏太がピシッと硬直しているのに気がつかず、了は自分が言おうとしていることの恥ずかしさに更に頬を濃く染めながら言葉を繋ぐ。
「時々………………だからな?……約束。」
「…………して、…………もいいのか?了。」
「だから、時々…………だからな、……毎晩は俺の……が、壊れちゃう。」
何処が?なんて無粋なことは宏太だって勿論聞かない。でも、了は宏太があんなに乱暴に犯したのを怒ってはいないし、今度の約束も可愛くしてくれて。思わず力一杯抱き締めると了が弱い抵抗をしてみせるけれど、それもどう考えても本気の抵抗ではない。
「愛してる。了、好きだ。」
抱き締めた途端溢れだした宏太の心からの言葉に、その腕に抱き締められたままの了はブワッと真っ赤になっていた。本当に宏太がこんな風に直情的に愛情表現を始めたのも驚きなのに、一年以上経ってもこんな風に直球で愛を囁かれるのには実は了はまだ慣れないのだ。物語なら兎も角自分に向けて他人の口から愛を囁かれるのに、了は自分でも対応が出来ないほど身体が熱くなってしまう。それに宏太はこんな風になったのは、産まれて初めてで、しかも相手は男の自分。
「愛してる。好きだ。」
たくましい腕に抱き寄せられながら繰り返される愛の言葉に、湯船に揺れているような目眩がしてしまう。羞恥を隠そうとアワアワしながら「逆上せるから」と訴えると、宏太は容易く了を湯から抱き上げてしまうのだ。慣れた動きで風呂から上がって、しかもフワフワのバスタオルで包まれて至れり尽くせりな状態だったが了は端と冷静になっていた。
なんで、こう雪崩れ込んだのか?
あれは自分が何があったのかと問いかけたら、宏太がいつになく妙な反応をみせて身体に触り始めたのだ。宏太は普段の憎まれ口も出てこないし妙な何時もとは違う触りかたをしてきたので、焦らされると感じていた了も我を忘れたのだけれど。
あれ?
トサッとベットの上に宝物のように下ろされてパチパチと瞬きを繰り返した了は、当然みたいに覆い被さろうとした宏太のことを見上げる。
「こぉた。」
呼び掛ける声に宏太は幸せそうに微笑みながら、なんだ?と答える。もう気にしてないということなのか、それとも話が反れたから安堵したのか。でも確かに妙な触り方だったのは事実だ。
「話…………反らしたろ。」
「ん?」
「何気にしてる?って聞いたのに。」
宏太が何の事か分からないという顔をしたのに、今は完全にあの問いかけを忘れていたんだと気がつく。ということは掘り返さない方が良かったかもとは思うけれど、口にしてしまった言葉は引き戻せない。
「何言われて気にしてたのか。」
そう繰り返すように問いかけると、やっと何のことか理解した様子で宏太は少しだけ動きを止めた。その様子は話を反らす意図はなかったと言いたげだけれど、暫し宏太は考え込んで言葉を選んでいる様子だ。やがてソロリと了の身体に触れる手は、また躊躇い勝ちで何時もとは違う手付きに変わっている。
「了は…………。」
くそ…………やり過ぎた…………
可愛い了の甘いお強請りに、正直言うと完璧に宏太は理性がとんでいたのだ。それはそうだろう?普段は負けん気の強く憎まれ口の方が多いと言える了が、甘えた声で「こぉたのチンポ」とか「お尻ズコズコしてぇ」なんてエロくて可愛い事を言って自分を誘うのだ。それを聞いていて、宏太がキレない筈がない。というかキレなかったら、それは宏太じゃないと宣言できる。
「了?」
グッタリしている了の身体は未だに昇り詰めた熱を放っていて、怒張を咥え込んでいた場所はまだポッカリと淫らに開いたまま。少し抱き上げただけで、宏太の注ぎ込んだ大量の白濁が驚くほどの量で中からドロリと溢れてくる。流石にそのままではと宏太が自分達の脱ぎ散らかした衣類で下半身を包むように優しくくるみ込んで、そっと抱き上げても了は未だに気がつく様子もないままだ。目が見えないから宏太にもリビングの現状がどうなっているのかは分からないのだが、後から了が怒るのは確実だという気がする。
「了…………、悪かった…………。」
囁きながら失神したままの了の身体を優しく抱き上げて浴室まで運んで、丁寧に洗ってやっても依然として腕の中でグッタリしたまま。その様子に宏太は俺は何をやってるんだと、心の中で自分に叱責の言葉を溢す。
『茶樹』で我が子といってもおかしくない年頃の源川仁聖と狭山明良に言われたのは、自分がある意味では鳥飼信哉と同類だと言うことだった。宏太自身は自覚がないが、たまに人間の限界が分かってないことがあるということなのだ。
外崎さんもそういうとこありますもんね?
明良にそう言われて思わず何が?と問い返したら、普通の人間は大概自力で殺人犯や何かとは対峙しないですよと明良に言われてしまった。しかも自分が勝てると算段したからだと宏太が言ったら、必ず勝てる判断できたとしても普通の人間は危険性があることには大概二の足を踏むものだと堂々と言われてしまう。
割れると分かってても瓦を殴る時には躊躇しますよ?普通の人間って
確かにそうかもしれないし、それを克服するのが鍛練といわれると、自分は余りその点では躊躇がなく鳥飼千羽哉に散々それを言われてきたのだった。勿論明良達には了との性行為を見られたわけではないが、日々の行動を見ていると自分は時に危険も厭わず動く傾向が強いからなおのことそう見えるようだ。それが性的にも当てはまるのだとしたら、何かぶちギレたらとんでもないことをしそうだと仁聖にまで言われてしまった。明良には絶対に言われたくないと思ったのだけれど、確かに事実として以前了が倒れるまでやりまくって『レイプされたみたいだよ?!』と結城晴に怒鳴られ、梨央にも殴られ説教されたことがある。それを端と一人心の中で思い出したら、明良に言い返す気力がなくなってしまったのは言うまでもない。
もう、そんなことは絶対にしない。了を傷つけない
そう自分に改めて誓わせた直後にこれだ。グッタリしたままの了の身体を抱き締めて湯船にそっと浸かるけれど、了は失神したままで一向に目を覚ます気配がない。
それに了さんだって…………
明良に言われた言葉がふと頭を過って、宏太は了の身体を確りと抱き締めて肩にもたれ掛かる了の顔にかかる髪の毛を掬い上げてやる。自分が平均的な人間の基準を知らないから、こんな風に相手を追い詰めるような行動になってしまう。それを明良に諭した自分も、結局は明良と同じ……いや、もしかしたらそれより酷いことをしてしまっている。
「悪かった…………。」
そっと頬を撫でながら小さな声で繰り返す。調教するつもりもなければ、以前のように相手を『雌』扱いするつもりも、今の宏太にはない。宏太にとって了は唯一無二の大切な人間になっただけで、自分のモノにしたいとは思うが『オンナ』扱いしたい訳ではないのだ。それなのに今日に限ってあんな言動で了を責め立てたのは、明良に言われたことが頭にあったからに違いない。
了さんだって男なんだから……したくなるってことないんですか?
それは男同士のパートナーだからこそ素朴に疑問に思うことらしい。元がヘテロセクシャルの明良は、その疑問をこちらも元はヘテロセクシャルの仁聖と榊恭平にも既にしたらしかった。(仁聖はそれに別に恭平がしたいと思うなら何時でも恭平に抱かれるつもりだと、仁聖らしいあっけらかんとした答えを出したそうだ。方や恭平の方は元々が淡白な質なので、今はそんなことは考えられないという。)
明良は宏太と同じ完全なヘテロセクシャルだが、結城晴と了は元からバイセクシャルでもある。男性でも女性でも相手に出来るのは宏太も仕事柄では同じだが、恋愛対象として男女共に対象に出来る晴が『したく』なったらどうしたらいいか?そこも含めて明良としても疑問に思うことがあったようで、そんな質問をしたようだ。
とはいえ…………
それを自分に置き換えて考えてみようにも、宏太にしたら了の身体を舐めたり吸ったりは問題なく出来るが、その先は?と思うと自分でも答えが出なくて首を傾げてしまった訳である。そんな明良達との会話と明良の質問のせいで、自分でも妙だなと思うような行動に繋がってしまって、
これを俺に入れたいと思うか?
目が見えていた頃の記憶と重なる宏太の掌に包まれた、しなやかで華奢な了自身そのものの陰茎。他人の性器なんか口に含みたいとか舐めたいなんて、正直調教師時代だって思ったこともない。ついでにいえば調教師の頃は当然だが、引退後に三浦和希を調教した時ですら口淫なんかは宏太ではなく他人…………あの時は三浦に薬漬けにされて性的に暴行を受けていた女を道具がわりにしていた。それを考えながら弄くり回していたら、焦れた了に可愛く強請られた結果がこれだ。
自分でもおかしくなっているのは分かっている
今まで何度も似たような言葉を調教の一環と、相手に言わせて自分の足元に這いつくばらせてきたのだ。その様を観察し更に調教して、プライドごとへし折ってきた。それでも宏太は相手には何も感じないまま、プライドを奪われ獣になり果てた相手を冷ややかに見下ろしてきたのだ。
三浦だってそうだ。
《random face》の奥の秘密の部屋の最後の暴君。同じ年頃の仲間や遠坂喜一の息子と一緒に再三女を連れ込み、その女を薬を使ってまで輪姦し尽くしてきた男。その男を散々に調教しつくして、自ら尻を犯されるのを懇願するように躾けたのは宏太だ。そして三浦にとっての最後の破滅の扉を開いて、そこに三浦を引き込んだのも宏太だった。それでも三浦が雌に堕ちてしまえば宏太は三浦への興味も完全に失せてしまったから、その後は三浦が仲間に犯されても宏太は無情に放置している。
だけど、同じような言葉でも了が甘い声で言うと、宏太には理性なんて紙屑に変わってしまう。了が可愛くて愛しいと心底思うし、了を髪の毛ほどでも傷つけるような奴は全力で排除するつもりだ。その了はこんなに宏太に抱かれていても、今も男性自身はちゃんと勃起もするし、そこへの刺激だけで絶頂にも達する。
それで、したいと言われたら?
もしも、それを強請られたら宏太はどうしたらいいのかなんて、実は考えたこともなかった。勿論自分が生粋のヘテロセクシャルだからと言うのもあるだろうけど、宏太は根っからのタチだから自分がネコになるのなんて想像も出来なかったりする。しかも明良に言われたことが少し引っ掛かったのもあるけれど、同時に了がそんな風に自分を欲しがる日がくるのだろうかとも内心では思う。何しろ宏太と了は二回りも年が違うのだから、少なくとも自分の方が先に性的に衰えるのだ。
そんなこと、考えるなんて…………
好きだから、愛しているから、この先ずっと一緒にいて欲しいから。それで求められたら?なんて宏太らしくない。らしくないけれど気になってしまったら、それを振りきるためになのか宏太は我武者羅になって了を自分の『オンナ』として抱き潰してしまっていた。その結果が、この乱暴狼藉としか言えない性行為なのだ。
「…………頼むから…………嫌なことは嫌だって言ってくれ…………。」
ポツリと呟く声にピクリともしなかった了の頭がユラリと揺れて、緩やかな吐息が首元にフワリと漂う。抱き締めた了の身体に愛しそうに頬を寄せて、宏太はらしくない懇願をするしかない。
「そうでないと……俺は暴走して、お前を滅茶苦茶にしてしまう……。」
自分でだってちゃんとこれ以上はと分かっているけれど、どうしても宏太は歯止めが効かず止められないのだ。懇願の声に目覚めたのか頬を寄せられた了の唇から、ホゥッと溜め息のような吐息が溢れ堕ちていた。
「こぉ、…………た。」
快感に幾度も叫び過ぎて掠れた声が寝ぼけたように惚けて名前を呼ぶのが分かって、宏太の頭がピクリと動く。目覚めたら先ずは了に怒られるとビクビクしている宏太の様子に気がつかないのか、了はボンヤリと自分が身を清められて宏太に抱きかかえられて湯船に浸かっているのに気がつく。
「こぉた…………、洗って……くれた?」
「…………あぁ、悪かった。辛かったろ?了。」
ん……と了の吐息混じりの声が、激しすぎと小さく呟くのが抱きかかえる宏太にはちゃんと聴こえる。再三の了の懇願を無視して性具のように扱われて執拗に突き込まれていたのだから言われて当然のことなのだけど、そう言われると宏太にはこれ以上何も言えなくなってしまう。
「………………たまに……だからな?」
「ん?」
そう言う了がほんのりと頬を薔薇色に染めているのは、宏太には見えていない。それでも宏太の肩に頬をのせた姿勢でいた了は、見えていないと知りつつ少し恥ずかしそうに顔を背けてポソポソと呟く。
「こ、いうの…………毎回は、ダメ、だぞ?…………時々。」
想定外の了の言葉に宏太がピシッと硬直しているのに気がつかず、了は自分が言おうとしていることの恥ずかしさに更に頬を濃く染めながら言葉を繋ぐ。
「時々………………だからな?……約束。」
「…………して、…………もいいのか?了。」
「だから、時々…………だからな、……毎晩は俺の……が、壊れちゃう。」
何処が?なんて無粋なことは宏太だって勿論聞かない。でも、了は宏太があんなに乱暴に犯したのを怒ってはいないし、今度の約束も可愛くしてくれて。思わず力一杯抱き締めると了が弱い抵抗をしてみせるけれど、それもどう考えても本気の抵抗ではない。
「愛してる。了、好きだ。」
抱き締めた途端溢れだした宏太の心からの言葉に、その腕に抱き締められたままの了はブワッと真っ赤になっていた。本当に宏太がこんな風に直情的に愛情表現を始めたのも驚きなのに、一年以上経ってもこんな風に直球で愛を囁かれるのには実は了はまだ慣れないのだ。物語なら兎も角自分に向けて他人の口から愛を囁かれるのに、了は自分でも対応が出来ないほど身体が熱くなってしまう。それに宏太はこんな風になったのは、産まれて初めてで、しかも相手は男の自分。
「愛してる。好きだ。」
たくましい腕に抱き寄せられながら繰り返される愛の言葉に、湯船に揺れているような目眩がしてしまう。羞恥を隠そうとアワアワしながら「逆上せるから」と訴えると、宏太は容易く了を湯から抱き上げてしまうのだ。慣れた動きで風呂から上がって、しかもフワフワのバスタオルで包まれて至れり尽くせりな状態だったが了は端と冷静になっていた。
なんで、こう雪崩れ込んだのか?
あれは自分が何があったのかと問いかけたら、宏太がいつになく妙な反応をみせて身体に触り始めたのだ。宏太は普段の憎まれ口も出てこないし妙な何時もとは違う触りかたをしてきたので、焦らされると感じていた了も我を忘れたのだけれど。
あれ?
トサッとベットの上に宝物のように下ろされてパチパチと瞬きを繰り返した了は、当然みたいに覆い被さろうとした宏太のことを見上げる。
「こぉた。」
呼び掛ける声に宏太は幸せそうに微笑みながら、なんだ?と答える。もう気にしてないということなのか、それとも話が反れたから安堵したのか。でも確かに妙な触り方だったのは事実だ。
「話…………反らしたろ。」
「ん?」
「何気にしてる?って聞いたのに。」
宏太が何の事か分からないという顔をしたのに、今は完全にあの問いかけを忘れていたんだと気がつく。ということは掘り返さない方が良かったかもとは思うけれど、口にしてしまった言葉は引き戻せない。
「何言われて気にしてたのか。」
そう繰り返すように問いかけると、やっと何のことか理解した様子で宏太は少しだけ動きを止めた。その様子は話を反らす意図はなかったと言いたげだけれど、暫し宏太は考え込んで言葉を選んでいる様子だ。やがてソロリと了の身体に触れる手は、また躊躇い勝ちで何時もとは違う手付きに変わっている。
「了は…………。」
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