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間章 ちょっと合間の話2
間話23.あなたの知らない?世界
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ユサユサとユックリ突き入れられ体内を捏ね回す腰つきに、何時までたっても唇から離れない明良の唇。焦れったいのに気持ち良過ぎて頭の芯まで完全に蕩けてしまっていて、怖かったことなんて完全に意識の遥か彼方で薫るのは甘い歓喜だけ。チュウチュウと舌を絡められ丹念に吸われながら、内側の気持ちいいとこだけを熱くて硬い怒張でゴリゴリと擦りたてられ続けている。今直ぐ激しく突き上げて一気に上り詰めてしまいたいのに、明良が意地悪く揺すり続けてくるから何時までたってもジワジワと快感だけが積み上げられていく。
もっと。激しく、もっとぉ奥ぅ
強請りたくても口を塞がれているから言葉にならず、一瞬離れた瞬間には喘ぐような吐息をこぼすので精一杯。和室の中にチュクチュクという音がしているのか、自分の頭の中の音なのかも判別出来ない。しかも凄く気持ちいい。気持ちよくて頭が回らないから、必死に先を体で強請る。
「んっ……ンッンっ……。」
薔薇色の頬をして涙を滲ませて蕩けている可愛い晴の顔に、どれだけ明良が興奮していて欲情しているかを見せられるものなら見せてみたい。明良に抑え込まれ歓喜に震えて滅茶苦茶に明良のものにされて、こんな場所でも自分に縋り痙攣するほどに晴はいきまくってしまっている。明良のものを中に強く押し込まれるのが好きで、しかも怒張に途中を強く擦られながら、奥に当てられると全身がビクンと淫らに腰をくねらせて肉襞が脈打つ。
「んぅうぅ!うーっ……んぅっ!」
喘ぎ声を出させないために唇を塞がれているのに、それすら気持ちよくて仕方がないみたいで可愛い舌がチロチロと明良の舌を擽ってくる。それに手を繋いだまま抑え込まれているのも気持ち良いのか、トロンとした瞳が甘えて桃色に染まっているみたいだ。
可愛い……凄い……何でこんなに可愛いんだ?
同じ年、同じ性別、身の丈も晴の方がしなやかで華奢だけどそれほど大きく違うわけでもないのに、凄く可愛い。誰にも渡したくないし誰にも見せたくないし、同時にこんなに可愛く晴が甘えるのは自分だけで自分の晴だと自慢したくなる。好き過ぎておかしくなるくらい好き、こんな誰かにバレてしまうとわかっているところでも迷わず抱いてしまうくらいに晴が好き。晴の初めての相手が自分じゃないのに嫉妬するし、会社にいるうちに晴をちゃんと見てなかったのを後悔している。でも会社にいる間に友人になっていたら、明良は晴と恋人同士にはなれなかったと思うのだ。もし友人なのに好きだったら、明良はどうなったんだろう、こんなに好き過ぎるくらいに好きなのに、晴が別な人と付き合う話を聞かされるとしたら。
「んぅんっ…………っうーっ……うぅんっんっ……。」
きっと必死に我慢したかもしれないけど、最後には無理矢理押し倒してしまったかもしれない。それこそ高橋がしようとしたことみたいに、物陰に引き摺りこんで乱暴に組み敷いて貫いてしまったかも。そう思うと怖いような気もするが、今の明良と晴はちゃんと気持ちの通じあった恋人同士だ。そして可愛い明良の晴は、誰よりも明良に触れられると気持ちよくなると言って甘えてくれる。
「…………き、らぁ……んっ……。」
ヌポヌポと淫らな音をたてて腰を緩やかに振り立てられて、晴の全身が快感に真っ赤に染まってヒクヒクと強張っていく。可愛い晴は明良の怒張で限界まで上り詰めつつあって、キュンキュンと可愛いお尻の孔で明良を締め付けて明良のことも気持ちよくしている。
ああ。スッゴい可愛い…………いっちゃうの、晴、俺ので……。
ビクッと喉を仰け反らせて晴の鈴口からトロトロと蜜が滴り落ちて絶頂に真っ赤になって蕩けて視点すら定まらない晴の唇を解放すると、ふぁ……と甘ったるい可愛い吐息が漏れて潤んだ瞳から涙が落ちた。思わずウットリ見とれてしまうほどその顔は可愛くて、今までのお付き合いした女の子の可愛いなんて比較できない程の破壊力だ。色っぽいしエロいし、やらしくて可愛い。明良にしかさせられない晴のいき顔、高橋至じゃないけど画像を撮りたくなる気持ちが分からないでもない超絶な可愛さ。
「ふぁ…………ぁ…………き、らぁ…………。」
トロンと惚けた視線が戸惑うようにさ迷いながら、腕を回して引き寄せ自分の名前を甘い声で呼ぶ。本当に可愛いし、出来ることならこのまま突きまくってアンアン思いっきり喘がせたいけど、障子一枚の現状は結構シビアだ。それでも縋りついて耳元に唇を寄せ強請りながら自分を呼ぶ晴の可愛い声に、いれたままの怒張がムクムクしているらしくて晴が可愛く「うぅん」なんて喘いでしまう。
「きもち、い?晴。」
「ん…………すっご…………ぃ、きもち、い、よぉ…………ぉっき、ぃ。」
「…………お家帰ったら、沢山もっといいことしてあげるね?晴。」
残念だけどこれ以上ここでは無理だと明良がいききらないまま硬い怒張を抜き取られ、晴が物足りなさそうに甘く泣く。そうしてキスしながら帰ったら沢山ねというと晴は素直にコクンと頷いて、明良の首に腕を回して尚更身を寄せてきたのだった。
「そろそろタイムアップ!!」
直後にスパーンッと流石に激しい勢いで障子を開けられたのには飛び上がる程に驚いたし、外崎了にシーツをひっぺがされ晴をそれでくるんで今直ぐ風呂へ直行!と命令されたのには明良も素直にはいっ!と答えるしかなかった。
リビングを横切ると同時に見ると既に他の面子は仕事やら何やらで解散していて、残っているのは自分達と家主二人だったわけで。慌てて惚けている晴を抱きかかえて二階のバスルームに明良は走らされたわけだ。そうしてまだ息を上げてフニャフニャのままの晴の体を洗って二人でバスルームから出る頃には、見計らったようにちゃんと新しい下着込みで着替えがサニタリーに準備されていたのには流石に絶句する。
了さんって……あの人…………相手も相手だけど、何なの?この手際のよさ。
頭を拭いてやって服を着せてもまだどことなくフワフワしてホニャンとしたままの晴の手を引いて階下に降りると、少し冷めたといえ一流ホテルの朝食プレートと温かいミルクティがリビングのテーブルにスタンバイしてあって。しかも和室の布団は既に陽射しに干してあって、シーツ類は洗濯にいっているのか和室は綺麗に片付いている。あまりの手際のよさにポカーンとする明良にキッチンから、了が朝食はリビングの方だと声をかけてくる。
「明良は?珈琲?」
「あ、はい。」
晴が当然みたいにリビングで幸せそうな顔でそのミルクティを飲んでいるのに、初めて晴が珈琲は苦手なのだと知ってしまう。実は珈琲が飲めない訳ではないけど本当はずっと甘いものの方が好きで、カフェオレよりミルクティの方が好き。しかもミルク多目のミルクで煮出したやつが好きで、了はそれを言わなくても出してくれるのだと言う。働いている仕事場がここなのだから日々入れて貰っているというのは分かるが自分が知らない晴を知っている了に少しだけ不満にも感じて眺めると、まるで穏やかな夫婦みたいにキッチンで了と宏太の二人が話しているのに少しだけ恥ずかしくなる。自分達が恥ずかしくないよう人がはけてから声をかけてくれたのだろうし、泊めてもらっていて不埒なことをしてる辺り申し訳ないのに、了の手際のよさにまるで監視でもされてたみたいに感じてしまったのだ。
「…………明良?どしたの?」
「ん……いや、ちょっと自己嫌悪……。」
「何に?」
美味しそうに食事をしている晴が明良の言葉に不思議そうな顔で首を傾げ、明良が思っていたままを口にすると何でか晴は仲の良さそうな二人の姿に視線を向けると肩を竦めて気にしたら敗けだと言う。どういう意味かと問うとあれは了を溺愛してる宏太を了が上手く乗りこなしてるだけのことだから、普通の人には無理だし気にしなくて良いなんて言うのだ。
「どうせ全部シャチョーが聞いてて、そろそろ起こしていいぞって教えたんだよ。」
「は?」
「シャチョー、地獄耳だもん。早く了と二人っきりになりたいだけだから気にしなくていいって。」
晴が余りにも平然と口にしているが、言葉の意図が今一つ飲み込めなくて明良がポカーンとしている。それに晴は美味しそうに厚切りのベーコンを頬張ってから、宏太が普通の聴覚では有り得ないものまで聞いているのを説明して、どうせ風呂の音も聞こえてるんだから着替えのことも晴はちっとも驚かないなんて言う。
「い、いや、それにしても何で二人っきりになりたいって……。」
「シャチョーは了のストーカーだし鬼畜で変態だから。了しか相手できないもん。」
「…………ストーカー?」
そ、と答える晴に明良は余計に首を傾げてしまう。こうしていると仲の良さそうな穏やかな恋人同士にしか見えないのに、晴は宏太は四六時中了の事は別格枠で監視してる超絶ストーカーなのとコンガリトーストにエッグスラットをスプーンで乗せて頬張りながら話すのだ。ストーカーと言うけどと問い返すと表の仕事のコンサルではなく、裏の仕事は元は成田了をストーカーするために始めてるなんてとんでもないことを言い出す始末だ。
どういうことだ?大体にしてここから二階の音まで聞き取れるわけないし…………。
ポカーンとしている明良にいつの間にか了が良い匂いのする珈琲の入ったマグカップを差し出して砂糖は?と問いかけてくるのに、明良は慌てて貰いますと答えた。手際よく珈琲と砂糖を置いてキッチンに戻った了が穏やかに微笑みながら、洗った食器を片付けているのをキッチン側の定位置なのかユッタリ腰かけた宏太が見えないのに眺めるみたいにしている。
その顔の傷は大きく顔を横切っていて、昨夜見たが体にもかなり大きな傷の残る怪我をしている四十代の男性。
高橋至の山崎倫子への暴行の件で、藤咲社長の幼馴染みで、こういう件に明るいと依頼を受けたとは聞いているし、晴からはコンサルタント兼ちょっと私立探偵みたいなことをしてるなんて事は聞いている。それにしても体の傷跡はどちらかといえば切り傷の後のように見えて頭の中には江戸時代の侍の話が過った訳だが、どうみても鍛えられていて四十代の体にはまるで見えなかった。藤咲や自分とは筋肉の付きかたがまるで違うから空手ではないが、何か格闘技は身に付けているだろうと思ったし、昨日風呂場で榊恭平が古武術なんて事を言っていたのは聞いている。
何だか得体が知れないと言うか……不思議な…………世界の人間って感じ…………
まるで明良の視線に肌で気がついたみたいに、キッチンカウンターの傍に腰かけていた宏太が顔をこちらに向ける。
「人を鬼畜ストーカー呼ばわりしてるが、お陰でお前のストーカーに気がついたんだぞ?晴。」
「何いってんだよ、了がストーカーされてると思ったから確認したんだろ。偶々じゃんか。」
トーストを口に押し込んで晴が膨れっ面で答えると、それでもお前は知らなかったんだから助かったろと宏太がニヤリと嗤う。小声で話していて了にはまるで聞こえていなかった二人の会話を確かに宏太は全部聞いていたのに気がついて、明良は思わず目を丸くする。それにしても盲目で私立探偵って…………助手が二人で耳が良いから出来るのか?等と今更のように気になってしまう。
「全く……間男卒業したら、今度は小舅みたいにキャンキャン言うようになったか……。」
「全部聞こえてますけど?!それ!」
思わず間男って何と言う明良の視線に、違うから・明良と付き合う前の事だからねと必死に晴が訂正していたのだった。
もっと。激しく、もっとぉ奥ぅ
強請りたくても口を塞がれているから言葉にならず、一瞬離れた瞬間には喘ぐような吐息をこぼすので精一杯。和室の中にチュクチュクという音がしているのか、自分の頭の中の音なのかも判別出来ない。しかも凄く気持ちいい。気持ちよくて頭が回らないから、必死に先を体で強請る。
「んっ……ンッンっ……。」
薔薇色の頬をして涙を滲ませて蕩けている可愛い晴の顔に、どれだけ明良が興奮していて欲情しているかを見せられるものなら見せてみたい。明良に抑え込まれ歓喜に震えて滅茶苦茶に明良のものにされて、こんな場所でも自分に縋り痙攣するほどに晴はいきまくってしまっている。明良のものを中に強く押し込まれるのが好きで、しかも怒張に途中を強く擦られながら、奥に当てられると全身がビクンと淫らに腰をくねらせて肉襞が脈打つ。
「んぅうぅ!うーっ……んぅっ!」
喘ぎ声を出させないために唇を塞がれているのに、それすら気持ちよくて仕方がないみたいで可愛い舌がチロチロと明良の舌を擽ってくる。それに手を繋いだまま抑え込まれているのも気持ち良いのか、トロンとした瞳が甘えて桃色に染まっているみたいだ。
可愛い……凄い……何でこんなに可愛いんだ?
同じ年、同じ性別、身の丈も晴の方がしなやかで華奢だけどそれほど大きく違うわけでもないのに、凄く可愛い。誰にも渡したくないし誰にも見せたくないし、同時にこんなに可愛く晴が甘えるのは自分だけで自分の晴だと自慢したくなる。好き過ぎておかしくなるくらい好き、こんな誰かにバレてしまうとわかっているところでも迷わず抱いてしまうくらいに晴が好き。晴の初めての相手が自分じゃないのに嫉妬するし、会社にいるうちに晴をちゃんと見てなかったのを後悔している。でも会社にいる間に友人になっていたら、明良は晴と恋人同士にはなれなかったと思うのだ。もし友人なのに好きだったら、明良はどうなったんだろう、こんなに好き過ぎるくらいに好きなのに、晴が別な人と付き合う話を聞かされるとしたら。
「んぅんっ…………っうーっ……うぅんっんっ……。」
きっと必死に我慢したかもしれないけど、最後には無理矢理押し倒してしまったかもしれない。それこそ高橋がしようとしたことみたいに、物陰に引き摺りこんで乱暴に組み敷いて貫いてしまったかも。そう思うと怖いような気もするが、今の明良と晴はちゃんと気持ちの通じあった恋人同士だ。そして可愛い明良の晴は、誰よりも明良に触れられると気持ちよくなると言って甘えてくれる。
「…………き、らぁ……んっ……。」
ヌポヌポと淫らな音をたてて腰を緩やかに振り立てられて、晴の全身が快感に真っ赤に染まってヒクヒクと強張っていく。可愛い晴は明良の怒張で限界まで上り詰めつつあって、キュンキュンと可愛いお尻の孔で明良を締め付けて明良のことも気持ちよくしている。
ああ。スッゴい可愛い…………いっちゃうの、晴、俺ので……。
ビクッと喉を仰け反らせて晴の鈴口からトロトロと蜜が滴り落ちて絶頂に真っ赤になって蕩けて視点すら定まらない晴の唇を解放すると、ふぁ……と甘ったるい可愛い吐息が漏れて潤んだ瞳から涙が落ちた。思わずウットリ見とれてしまうほどその顔は可愛くて、今までのお付き合いした女の子の可愛いなんて比較できない程の破壊力だ。色っぽいしエロいし、やらしくて可愛い。明良にしかさせられない晴のいき顔、高橋至じゃないけど画像を撮りたくなる気持ちが分からないでもない超絶な可愛さ。
「ふぁ…………ぁ…………き、らぁ…………。」
トロンと惚けた視線が戸惑うようにさ迷いながら、腕を回して引き寄せ自分の名前を甘い声で呼ぶ。本当に可愛いし、出来ることならこのまま突きまくってアンアン思いっきり喘がせたいけど、障子一枚の現状は結構シビアだ。それでも縋りついて耳元に唇を寄せ強請りながら自分を呼ぶ晴の可愛い声に、いれたままの怒張がムクムクしているらしくて晴が可愛く「うぅん」なんて喘いでしまう。
「きもち、い?晴。」
「ん…………すっご…………ぃ、きもち、い、よぉ…………ぉっき、ぃ。」
「…………お家帰ったら、沢山もっといいことしてあげるね?晴。」
残念だけどこれ以上ここでは無理だと明良がいききらないまま硬い怒張を抜き取られ、晴が物足りなさそうに甘く泣く。そうしてキスしながら帰ったら沢山ねというと晴は素直にコクンと頷いて、明良の首に腕を回して尚更身を寄せてきたのだった。
「そろそろタイムアップ!!」
直後にスパーンッと流石に激しい勢いで障子を開けられたのには飛び上がる程に驚いたし、外崎了にシーツをひっぺがされ晴をそれでくるんで今直ぐ風呂へ直行!と命令されたのには明良も素直にはいっ!と答えるしかなかった。
リビングを横切ると同時に見ると既に他の面子は仕事やら何やらで解散していて、残っているのは自分達と家主二人だったわけで。慌てて惚けている晴を抱きかかえて二階のバスルームに明良は走らされたわけだ。そうしてまだ息を上げてフニャフニャのままの晴の体を洗って二人でバスルームから出る頃には、見計らったようにちゃんと新しい下着込みで着替えがサニタリーに準備されていたのには流石に絶句する。
了さんって……あの人…………相手も相手だけど、何なの?この手際のよさ。
頭を拭いてやって服を着せてもまだどことなくフワフワしてホニャンとしたままの晴の手を引いて階下に降りると、少し冷めたといえ一流ホテルの朝食プレートと温かいミルクティがリビングのテーブルにスタンバイしてあって。しかも和室の布団は既に陽射しに干してあって、シーツ類は洗濯にいっているのか和室は綺麗に片付いている。あまりの手際のよさにポカーンとする明良にキッチンから、了が朝食はリビングの方だと声をかけてくる。
「明良は?珈琲?」
「あ、はい。」
晴が当然みたいにリビングで幸せそうな顔でそのミルクティを飲んでいるのに、初めて晴が珈琲は苦手なのだと知ってしまう。実は珈琲が飲めない訳ではないけど本当はずっと甘いものの方が好きで、カフェオレよりミルクティの方が好き。しかもミルク多目のミルクで煮出したやつが好きで、了はそれを言わなくても出してくれるのだと言う。働いている仕事場がここなのだから日々入れて貰っているというのは分かるが自分が知らない晴を知っている了に少しだけ不満にも感じて眺めると、まるで穏やかな夫婦みたいにキッチンで了と宏太の二人が話しているのに少しだけ恥ずかしくなる。自分達が恥ずかしくないよう人がはけてから声をかけてくれたのだろうし、泊めてもらっていて不埒なことをしてる辺り申し訳ないのに、了の手際のよさにまるで監視でもされてたみたいに感じてしまったのだ。
「…………明良?どしたの?」
「ん……いや、ちょっと自己嫌悪……。」
「何に?」
美味しそうに食事をしている晴が明良の言葉に不思議そうな顔で首を傾げ、明良が思っていたままを口にすると何でか晴は仲の良さそうな二人の姿に視線を向けると肩を竦めて気にしたら敗けだと言う。どういう意味かと問うとあれは了を溺愛してる宏太を了が上手く乗りこなしてるだけのことだから、普通の人には無理だし気にしなくて良いなんて言うのだ。
「どうせ全部シャチョーが聞いてて、そろそろ起こしていいぞって教えたんだよ。」
「は?」
「シャチョー、地獄耳だもん。早く了と二人っきりになりたいだけだから気にしなくていいって。」
晴が余りにも平然と口にしているが、言葉の意図が今一つ飲み込めなくて明良がポカーンとしている。それに晴は美味しそうに厚切りのベーコンを頬張ってから、宏太が普通の聴覚では有り得ないものまで聞いているのを説明して、どうせ風呂の音も聞こえてるんだから着替えのことも晴はちっとも驚かないなんて言う。
「い、いや、それにしても何で二人っきりになりたいって……。」
「シャチョーは了のストーカーだし鬼畜で変態だから。了しか相手できないもん。」
「…………ストーカー?」
そ、と答える晴に明良は余計に首を傾げてしまう。こうしていると仲の良さそうな穏やかな恋人同士にしか見えないのに、晴は宏太は四六時中了の事は別格枠で監視してる超絶ストーカーなのとコンガリトーストにエッグスラットをスプーンで乗せて頬張りながら話すのだ。ストーカーと言うけどと問い返すと表の仕事のコンサルではなく、裏の仕事は元は成田了をストーカーするために始めてるなんてとんでもないことを言い出す始末だ。
どういうことだ?大体にしてここから二階の音まで聞き取れるわけないし…………。
ポカーンとしている明良にいつの間にか了が良い匂いのする珈琲の入ったマグカップを差し出して砂糖は?と問いかけてくるのに、明良は慌てて貰いますと答えた。手際よく珈琲と砂糖を置いてキッチンに戻った了が穏やかに微笑みながら、洗った食器を片付けているのをキッチン側の定位置なのかユッタリ腰かけた宏太が見えないのに眺めるみたいにしている。
その顔の傷は大きく顔を横切っていて、昨夜見たが体にもかなり大きな傷の残る怪我をしている四十代の男性。
高橋至の山崎倫子への暴行の件で、藤咲社長の幼馴染みで、こういう件に明るいと依頼を受けたとは聞いているし、晴からはコンサルタント兼ちょっと私立探偵みたいなことをしてるなんて事は聞いている。それにしても体の傷跡はどちらかといえば切り傷の後のように見えて頭の中には江戸時代の侍の話が過った訳だが、どうみても鍛えられていて四十代の体にはまるで見えなかった。藤咲や自分とは筋肉の付きかたがまるで違うから空手ではないが、何か格闘技は身に付けているだろうと思ったし、昨日風呂場で榊恭平が古武術なんて事を言っていたのは聞いている。
何だか得体が知れないと言うか……不思議な…………世界の人間って感じ…………
まるで明良の視線に肌で気がついたみたいに、キッチンカウンターの傍に腰かけていた宏太が顔をこちらに向ける。
「人を鬼畜ストーカー呼ばわりしてるが、お陰でお前のストーカーに気がついたんだぞ?晴。」
「何いってんだよ、了がストーカーされてると思ったから確認したんだろ。偶々じゃんか。」
トーストを口に押し込んで晴が膨れっ面で答えると、それでもお前は知らなかったんだから助かったろと宏太がニヤリと嗤う。小声で話していて了にはまるで聞こえていなかった二人の会話を確かに宏太は全部聞いていたのに気がついて、明良は思わず目を丸くする。それにしても盲目で私立探偵って…………助手が二人で耳が良いから出来るのか?等と今更のように気になってしまう。
「全く……間男卒業したら、今度は小舅みたいにキャンキャン言うようになったか……。」
「全部聞こえてますけど?!それ!」
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