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間章 ちょっと合間の話2
間話4.勘違いすんな
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気持ちいいことは基本的に好き、それは確かで嘘じゃないし色々経験だって少なからずある。だけどこればっかりは初めて、目下結城晴は薄暗闇の中でポカーンとしていた。時間の感覚があやふやで、今が夜中なのかなんなのか判断ができないが、それが問題なのではない。
何がどうなってこうなった………………。
必死に思い出そうとしてもまるで思い出せない。視界は見知らぬ部屋の見知らぬベットで、しかも晴は全裸で背後から抱き締められた状態で目が覚めたのだ。身動ぎしようにもとんでもなくガッチリ背後から抱き締められていて、しかも首筋に顔を埋めているせいで顔が見えない。スウスウと規則正しい吐息がかかっていて項を擽る、そんな抱き締めている腕はどう見ても男。
ヤバい、俺、酔って……やっちゃった?!マジ?!
酔って箍が外れて、おかしくなったことはある。何しろ酔った勢いで獣になって了を襲ってやりまくった経験があるが、ただあの時だって異常に興奮はしたし何時まで経っても勃起してたけれど記憶はとんでない。案外晴は酒には強くて、記憶がなくなるなんて経験が一度もないのだ。飲んで記憶をなくすことなんて今まで一度もなかったのに、今の自分のは全裸で男に抱き締められてて…………昨日一緒に飲んだのは明良だけど、別れた記憶もなければ店を出た記憶すらない。
あの後はどうしたっけ?誰か助けて。
しかも相手も裸だと思われるのは触れてる腕が裸で、背中に触れる肌の感触が生で。必死にジタジタしても、まるで男の腕から抜け出せないというパニックがジワジワと晴を焦らせる。これが了だったら確実に知らない男の腕の中にいようものなら、扉を蹴破って鬼畜のストーカーのハイスペック男が乗り込んでくる筈。というよりは了の場合知らない場所で知らない男にということ自体が有り得なくて、こんな感じで抱き締めてるとしたら確実に当の鬼畜社長だと気がついてしまう。だけど晴にはそんな相手はいないし、
「……ん、はる……?」
「んひゃっ!」
モソリと項で吐息混じりに囁かれ思わず変な声が出てしまって、慌てて晴は口を手で塞いだ。晴自身としては最初は了を抱いていたけど後半では抱かれてもいて、何しろ今更のように言うけれども了はセックスがとても上手い男だった。お陰でそのあと誰と付き合っても今一だったのは、晴が了に惚れてたからなのか了がテクニシャン過ぎだったからなのかは分からない。
それにしたって最近了とコッソリ不倫してみようとか、妙なSMの夢を見るとか、
事実欲求不満なのかもしれなくて、たかが項に吐息でこんなにも過剰反応なんてしてしまう。しかも今の声はどう聞いても明良だった気がする。狭山明良、高橋至に悪戯されて女にされようとしていた方。それがなんで今自分を裸で抱き締めて寝ているのか。何をした自分?!そう必死に考えてみるが、ちっとも思い出せない。しかも背後の相手は一瞬動きを止めたのに、何でか突然項に唇を押し当ててきた。
「んやっ!」
チュと唇が触れる感触に過剰に体が反応して思わず身をすくませる晴に、何でか相手は何度も同じ辺りに口付けを繰り返し始める。チュチュと大きな音が項から耳元に近づいてきて、晴はイヤイヤと頭を振りながら必死に口元を押さえ込む。
「やっ……んっ!んっんんっ!」
「はる…………、気持ちいいの?これ。」
掠れた柔らかな声に晴は戸惑う。たかが項にキス位でこんな反応をしてしまう位、自分は欲求不満だったのかと呆れてしまいながら今の声と必死に考える。本当に明良だったのか、明良の声なのにイメージが違う。低く掠れた声に混乱して、突然ヌルンと項を舐められ噛みつかれたのに全身の肌がゾワゾワと逆立った気がした。
「んひゃぅっ!」
「晴…………、あと、どこがいいの?ここは?」
晴の腹を捕らえていた腕が上がって、素肌の胸元を探ったかと思うとヤンワリと乳首を捏ねる。熱い指先で円を描くように乳首をクニクニと捏ね回されると、ジィンと腰まで久々の感覚に痺れるような甘い快感が走った。
「あぅ…………ううんっ、んんっ。」
「乳首、気持ちいいんだ?晴は。」
「や、ちが、はぅんっ」
否定しようとした瞬間に指でキュッと硬くなった乳首の先端を摘ままれるのに、晴の体がピンッと突っ張って快感を示す。それに気をよくしたのか相手はクニクニとキュッとを交互に絶妙な間隔で繰り返し初めて、晴は思わず気持ちよさに身悶えてしまう。
「可愛い……晴……。」
項にキスされながら乳首を責め立てられる久々の行為に、次第に声が堪えきれなくて喘ぎながら腰が震えてしまう。最近ちっとも抜いてなかったからと言い訳してみるけど、了にされたのとは違うのに、明良の体温が妙に肌にあって気持ちいいのだ。
※※※
頭を撫でているとヘニャと蕩けた笑顔が可愛い。一途で真面目で、茶目っ気もあって、それに気さくに話せて、狭山明良はフワフワした頭を撫でながらそんなことを考えていた。いやいや、相手は同じ年の男で、しかも男と付き合ったことがあって、バイセクシャルで、あれ?バイセクシャルってことは男でも女でも良いってこと?でも、こんなに可愛いのに男だった、子犬みたいにじゃれてて、可愛い。あれ?可愛い?
「あーきら。」
ニコニコしながら頭を出してくるのが、すごく可愛い。もっと撫でてと言ってるみたいで、思わず撫でると嬉しそうにするのが尚更可愛い。ベットの中でもこんなに可愛いのかな?そう考えてる自分にハッとした。高橋のせいだ、二人で中年親父と性体験なんて話を馬鹿みたいにしてたから、頭が下ネタに向かってるだけなんだと必死に我に返ろうとする。明良が酔ったから帰ろうと声をかけると、晴は子供のようにはーいと素直に返事をして帰り支度を始めた。ところが、あんまり素直に帰り支度をするのに、何でか明良は傷ついてしまったのだ。
もう少し一緒にいたいってごねるかと……。
その思考にまたハッとする。何かおかしな思考にばかり向いているのは何で?そう思いながら、並んで店から出たら、晴はエヘヘと笑いながら明良の手を握ったのだ。
「ねえ、明良。」
「ん?何?晴。」
「一緒帰ろ?」
じゃれるような甘え声で顔を覗き込みながら、トロンとした瞳で晴が言う。酒には強いと言っていたが、実際にはかなり強めのアルコールばかり食べもせずにバカスカ杯を重ねていたから、実際には今自分が何を言ってるか分からないのかもしれないと明良は気がつく。大丈夫って言いながらストローのコーク割りばかり飲んでいたけど、ストローって確かアルコール度数馬鹿みたいに高い筈ではなかったか。
「俺、晴の家知らないよ?」
「明良んち行く。一緒帰ろ?」
咄嗟に出た言葉に予想外の返答が帰ってきて、ポヤポヤと暖かい手をまるで恋人のように絡めて繋がれ帰ろと強請られてしまう。確かに酩酊してたらこのまま離すととんでもないとこに行ってしまいそうだし、こんなに人懐っこくて甘えたになっていたら、それこそドブ臭い中年に悪戯されてしまいそうだ。そう思ったら、明良は晴を自宅に連れ帰るしかなくなってしまっていた。しかも自宅に連れ帰ってきた晴は、ニコニコしながら一緒に寝るとごねて明良の手を離さない。
「晴、俺はソファーに寝るから離して。」
「やだ、一緒に寝ようよぉ明良。」
それはなんだかヤバい。この流れでそこに着地するのは、自分でもヤバいと流石に明良だって思う。
高橋至に自分がさせられたことは悪夢のようだった。けど、結局三人のお陰で高橋の毒牙は、へし折られたからそれに多大な感謝もある。それに晴は自分が原因の一端にあるんだと思っていて(明良としてはそれは高橋の勝手な言い分で、そんなことが罷り通ったらAVでやってたからレイプしましたが通るのと同じだと思う。つまりは聞いたのは事実だとしても、高橋の行動は高橋の責任だ。)、明良を労って親身に話を聞いてくれて、しかも凄く良い奴で、可愛くて…………ちょっと最後のは間違い。自分もかなり酔っていておかしいんだと必死に言い訳するが、今は晴よりはマトモに考えられる筈。
「あーきらぁ、一緒に寝てぇ、寂しいからぁ一緒に寝よう。」
ただ一緒に寝る。セックス云々じゃない。晴が言っているのは勿論分かっているのだが、その甘えたな感じでじゃれつきながら言うのが、今の明良にはちょっとヤバい。可愛い。晴は男なんだしと繰り返しても、可愛いのは可愛い。何でか凄く可愛い。
「おねがぁい、明良、寂しいから一緒に寝よぅよぉ。ねー?」
そうして結局可愛い子犬のお強請りに明良は負けて一緒のベットに入ったのだが、そこからがまた大騒ぎだった。晴と来たらいつの間にかモゾモゾとしてるなと思ったら、服を脱いでて、しかも明良まで脱がしにかかったのだ。
「は、晴?!」
「服じゃぁまー。」
「じゃ、邪魔ってこ、こらっ!」
しかも酔ってるわりに、これが手慣れてて早い。お陰で下着一枚にまで脱がされて…………ここまで来たら何かが起きると誰しも思うだろうが、実は本気で何も起きなかった。何しろ晴ときたら人をパンツ一枚まで剥いた癖に、そのまま人の腕を枕にスヤスヤ寝始めたのだ。そんなわけでベットも狭いので、そのままくっついている内に明良の方も人肌の心地よさに寝てしまったというのが現実だった。
気がついたら抱き枕にしていたのは申し訳無かったと思うが、目が覚めたら目の前の項がホンノリ赤くなっているのに少しだけ意地悪したくなってしまったのだ。酔ってるからって流石に同じ年の男のベットに一緒に寝ようはないし、人のことをひんむいて先に寝てしまうのもどうかと思う訳で。何気なく思わず項で声を出したら、まるで敏感な乙女みたいに可愛い声を出したのも意地悪したくなった理由のひとつ。
※※※
「や、んっあっ、つま、むなよぉ……あっあん。」
乳首に触れた途端晴の声が少しずつ甘くなって腰が引けて、明良の体に尻が押し付けられ逸物を軽く刺激してくる。自分はされたことがなかったけどプックリと膨らんだ乳首は芯が入って、コリコリと指先に硬くしこっていて触り心地がいい。可愛くてたまらず続けている内に晴の腰が僅かに前後に揺らぐのが分かって、思わず明良はドキリとしてしまう。晴は乳首を摘ままれたり捏ねられたりで気持ちよくなってきて腰を動かしてて、それをしているのは紛れもない明良だった。
「や、ぁあっ!だめっ!」
キュウッと強く摘まみ上げながら、項に吸い付くとビクビクと震えて凄く可愛い。まるで恋人同士みたいに抱き締めてそんなことをしているのが信じられないけど、不快感なんかなくて晴が可愛くて凄く興奮する。いつの間にか明良の股間が硬くなっていて、それが尻の割れ目に明良の下着一枚の布越しに当たって晴は驚いたように腰をひく。でも明良にはその動きが何だか気に入らなくて、明良は咄嗟に脚を晴の脚に絡み付け引き付ける。
「あ、きらぁ、やぁ。」
可愛い声で困惑している晴のお尻の割れ目に濡れだした下着越しの怒張を擦り付けながら、乳首を摘まんでいた手を下半身に滑らせる。イヤイヤと必死に頭を振る晴の陰茎も、スッカリ硬くて熱くてガチガチになっているのを手で包み込むと耳元に囁く。
「晴のガチガチになってる……乳首でたっちゃった?エッチな、おチンチン。」
「や、やだ……意地悪言うの…………。」
「凄い、ピクピクしてる、…………晴って意地悪されるの好きなの?」
「ち、ちが……。」
違うと言いたいけれど、実際はどうなのかと晴自身も混乱してしまう。SMな夢を見て気持ちよくなってたのは事実だし、了との付き合いで自分が露出系の興奮に弱いのも知った。焦らされるのも好きだし、もしかしたらマゾ?と思えなくもない。混乱しながらそんなことを考えている晴の亀頭を、明良の指がクリクリと円を描くように擦り始めていた。
「はぅ、あっ!くぅん!」
「ね、晴?教えて?晴って了さんとするとき、男だったの?女だったの?」
了の高橋との様子を考えたら了の方が受け身だとは明良も思うが、そうすると付き合っていた晴は攻めということになる。でも明良の腕の中で身悶える晴は可愛く小動物みたいに震えていて、正直明良は今にも襲いかかってしまいたくなるのだ。
「んんっ先っぽ、クリクリ、やだぁっ!あんっ!」
「はーる?教えて、晴は女の子でもいいの?言わないとグリグリしちゃうよ?」
「んんっんふぅっ!強いと、ダメぇっ!あっ!あんっ!」
グリグリと先端を指で扱かれて親指の腹で擦り回されるのに、晴は腰をガクガク震わせながら絶頂を訴える。ところがギュッと強く明良の手に握り込まれて達しきることが出来ない晴に、明良は改めて意地悪く囁きかけた。
「教えないと、ダメ。」
「そ、んなぁ明良ぁ……。」
まだ酔いが残っているのか腰が甘く痺れて、塞き止められた射精でジンジンと強く疼く。腰が揺れているのを覆い被さるように体勢を変えられて耳元に囁かれると余計に疼きが激しくて、晴はヒクヒク怒張を揺らしながら懇願していた。
「いきたい……明良…………おねが、…………おれ、いきたい。」
震えながら縋りついて懇願する晴に明良は興奮したように下着の中から怒張を取り出すと、晴のものと一緒に握りしめた。他人の熱い怒張、脈打つ血管の感触、ヌチュヌチュと互いに卑猥な音を立てる汁。晴と明良が明良の手で射精に辿り着くまでは、ほんの短い時間しかかからなかった。
何がどうなってこうなった………………。
必死に思い出そうとしてもまるで思い出せない。視界は見知らぬ部屋の見知らぬベットで、しかも晴は全裸で背後から抱き締められた状態で目が覚めたのだ。身動ぎしようにもとんでもなくガッチリ背後から抱き締められていて、しかも首筋に顔を埋めているせいで顔が見えない。スウスウと規則正しい吐息がかかっていて項を擽る、そんな抱き締めている腕はどう見ても男。
ヤバい、俺、酔って……やっちゃった?!マジ?!
酔って箍が外れて、おかしくなったことはある。何しろ酔った勢いで獣になって了を襲ってやりまくった経験があるが、ただあの時だって異常に興奮はしたし何時まで経っても勃起してたけれど記憶はとんでない。案外晴は酒には強くて、記憶がなくなるなんて経験が一度もないのだ。飲んで記憶をなくすことなんて今まで一度もなかったのに、今の自分のは全裸で男に抱き締められてて…………昨日一緒に飲んだのは明良だけど、別れた記憶もなければ店を出た記憶すらない。
あの後はどうしたっけ?誰か助けて。
しかも相手も裸だと思われるのは触れてる腕が裸で、背中に触れる肌の感触が生で。必死にジタジタしても、まるで男の腕から抜け出せないというパニックがジワジワと晴を焦らせる。これが了だったら確実に知らない男の腕の中にいようものなら、扉を蹴破って鬼畜のストーカーのハイスペック男が乗り込んでくる筈。というよりは了の場合知らない場所で知らない男にということ自体が有り得なくて、こんな感じで抱き締めてるとしたら確実に当の鬼畜社長だと気がついてしまう。だけど晴にはそんな相手はいないし、
「……ん、はる……?」
「んひゃっ!」
モソリと項で吐息混じりに囁かれ思わず変な声が出てしまって、慌てて晴は口を手で塞いだ。晴自身としては最初は了を抱いていたけど後半では抱かれてもいて、何しろ今更のように言うけれども了はセックスがとても上手い男だった。お陰でそのあと誰と付き合っても今一だったのは、晴が了に惚れてたからなのか了がテクニシャン過ぎだったからなのかは分からない。
それにしたって最近了とコッソリ不倫してみようとか、妙なSMの夢を見るとか、
事実欲求不満なのかもしれなくて、たかが項に吐息でこんなにも過剰反応なんてしてしまう。しかも今の声はどう聞いても明良だった気がする。狭山明良、高橋至に悪戯されて女にされようとしていた方。それがなんで今自分を裸で抱き締めて寝ているのか。何をした自分?!そう必死に考えてみるが、ちっとも思い出せない。しかも背後の相手は一瞬動きを止めたのに、何でか突然項に唇を押し当ててきた。
「んやっ!」
チュと唇が触れる感触に過剰に体が反応して思わず身をすくませる晴に、何でか相手は何度も同じ辺りに口付けを繰り返し始める。チュチュと大きな音が項から耳元に近づいてきて、晴はイヤイヤと頭を振りながら必死に口元を押さえ込む。
「やっ……んっ!んっんんっ!」
「はる…………、気持ちいいの?これ。」
掠れた柔らかな声に晴は戸惑う。たかが項にキス位でこんな反応をしてしまう位、自分は欲求不満だったのかと呆れてしまいながら今の声と必死に考える。本当に明良だったのか、明良の声なのにイメージが違う。低く掠れた声に混乱して、突然ヌルンと項を舐められ噛みつかれたのに全身の肌がゾワゾワと逆立った気がした。
「んひゃぅっ!」
「晴…………、あと、どこがいいの?ここは?」
晴の腹を捕らえていた腕が上がって、素肌の胸元を探ったかと思うとヤンワリと乳首を捏ねる。熱い指先で円を描くように乳首をクニクニと捏ね回されると、ジィンと腰まで久々の感覚に痺れるような甘い快感が走った。
「あぅ…………ううんっ、んんっ。」
「乳首、気持ちいいんだ?晴は。」
「や、ちが、はぅんっ」
否定しようとした瞬間に指でキュッと硬くなった乳首の先端を摘ままれるのに、晴の体がピンッと突っ張って快感を示す。それに気をよくしたのか相手はクニクニとキュッとを交互に絶妙な間隔で繰り返し初めて、晴は思わず気持ちよさに身悶えてしまう。
「可愛い……晴……。」
項にキスされながら乳首を責め立てられる久々の行為に、次第に声が堪えきれなくて喘ぎながら腰が震えてしまう。最近ちっとも抜いてなかったからと言い訳してみるけど、了にされたのとは違うのに、明良の体温が妙に肌にあって気持ちいいのだ。
※※※
頭を撫でているとヘニャと蕩けた笑顔が可愛い。一途で真面目で、茶目っ気もあって、それに気さくに話せて、狭山明良はフワフワした頭を撫でながらそんなことを考えていた。いやいや、相手は同じ年の男で、しかも男と付き合ったことがあって、バイセクシャルで、あれ?バイセクシャルってことは男でも女でも良いってこと?でも、こんなに可愛いのに男だった、子犬みたいにじゃれてて、可愛い。あれ?可愛い?
「あーきら。」
ニコニコしながら頭を出してくるのが、すごく可愛い。もっと撫でてと言ってるみたいで、思わず撫でると嬉しそうにするのが尚更可愛い。ベットの中でもこんなに可愛いのかな?そう考えてる自分にハッとした。高橋のせいだ、二人で中年親父と性体験なんて話を馬鹿みたいにしてたから、頭が下ネタに向かってるだけなんだと必死に我に返ろうとする。明良が酔ったから帰ろうと声をかけると、晴は子供のようにはーいと素直に返事をして帰り支度を始めた。ところが、あんまり素直に帰り支度をするのに、何でか明良は傷ついてしまったのだ。
もう少し一緒にいたいってごねるかと……。
その思考にまたハッとする。何かおかしな思考にばかり向いているのは何で?そう思いながら、並んで店から出たら、晴はエヘヘと笑いながら明良の手を握ったのだ。
「ねえ、明良。」
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「一緒帰ろ?」
じゃれるような甘え声で顔を覗き込みながら、トロンとした瞳で晴が言う。酒には強いと言っていたが、実際にはかなり強めのアルコールばかり食べもせずにバカスカ杯を重ねていたから、実際には今自分が何を言ってるか分からないのかもしれないと明良は気がつく。大丈夫って言いながらストローのコーク割りばかり飲んでいたけど、ストローって確かアルコール度数馬鹿みたいに高い筈ではなかったか。
「俺、晴の家知らないよ?」
「明良んち行く。一緒帰ろ?」
咄嗟に出た言葉に予想外の返答が帰ってきて、ポヤポヤと暖かい手をまるで恋人のように絡めて繋がれ帰ろと強請られてしまう。確かに酩酊してたらこのまま離すととんでもないとこに行ってしまいそうだし、こんなに人懐っこくて甘えたになっていたら、それこそドブ臭い中年に悪戯されてしまいそうだ。そう思ったら、明良は晴を自宅に連れ帰るしかなくなってしまっていた。しかも自宅に連れ帰ってきた晴は、ニコニコしながら一緒に寝るとごねて明良の手を離さない。
「晴、俺はソファーに寝るから離して。」
「やだ、一緒に寝ようよぉ明良。」
それはなんだかヤバい。この流れでそこに着地するのは、自分でもヤバいと流石に明良だって思う。
高橋至に自分がさせられたことは悪夢のようだった。けど、結局三人のお陰で高橋の毒牙は、へし折られたからそれに多大な感謝もある。それに晴は自分が原因の一端にあるんだと思っていて(明良としてはそれは高橋の勝手な言い分で、そんなことが罷り通ったらAVでやってたからレイプしましたが通るのと同じだと思う。つまりは聞いたのは事実だとしても、高橋の行動は高橋の責任だ。)、明良を労って親身に話を聞いてくれて、しかも凄く良い奴で、可愛くて…………ちょっと最後のは間違い。自分もかなり酔っていておかしいんだと必死に言い訳するが、今は晴よりはマトモに考えられる筈。
「あーきらぁ、一緒に寝てぇ、寂しいからぁ一緒に寝よう。」
ただ一緒に寝る。セックス云々じゃない。晴が言っているのは勿論分かっているのだが、その甘えたな感じでじゃれつきながら言うのが、今の明良にはちょっとヤバい。可愛い。晴は男なんだしと繰り返しても、可愛いのは可愛い。何でか凄く可愛い。
「おねがぁい、明良、寂しいから一緒に寝よぅよぉ。ねー?」
そうして結局可愛い子犬のお強請りに明良は負けて一緒のベットに入ったのだが、そこからがまた大騒ぎだった。晴と来たらいつの間にかモゾモゾとしてるなと思ったら、服を脱いでて、しかも明良まで脱がしにかかったのだ。
「は、晴?!」
「服じゃぁまー。」
「じゃ、邪魔ってこ、こらっ!」
しかも酔ってるわりに、これが手慣れてて早い。お陰で下着一枚にまで脱がされて…………ここまで来たら何かが起きると誰しも思うだろうが、実は本気で何も起きなかった。何しろ晴ときたら人をパンツ一枚まで剥いた癖に、そのまま人の腕を枕にスヤスヤ寝始めたのだ。そんなわけでベットも狭いので、そのままくっついている内に明良の方も人肌の心地よさに寝てしまったというのが現実だった。
気がついたら抱き枕にしていたのは申し訳無かったと思うが、目が覚めたら目の前の項がホンノリ赤くなっているのに少しだけ意地悪したくなってしまったのだ。酔ってるからって流石に同じ年の男のベットに一緒に寝ようはないし、人のことをひんむいて先に寝てしまうのもどうかと思う訳で。何気なく思わず項で声を出したら、まるで敏感な乙女みたいに可愛い声を出したのも意地悪したくなった理由のひとつ。
※※※
「や、んっあっ、つま、むなよぉ……あっあん。」
乳首に触れた途端晴の声が少しずつ甘くなって腰が引けて、明良の体に尻が押し付けられ逸物を軽く刺激してくる。自分はされたことがなかったけどプックリと膨らんだ乳首は芯が入って、コリコリと指先に硬くしこっていて触り心地がいい。可愛くてたまらず続けている内に晴の腰が僅かに前後に揺らぐのが分かって、思わず明良はドキリとしてしまう。晴は乳首を摘ままれたり捏ねられたりで気持ちよくなってきて腰を動かしてて、それをしているのは紛れもない明良だった。
「や、ぁあっ!だめっ!」
キュウッと強く摘まみ上げながら、項に吸い付くとビクビクと震えて凄く可愛い。まるで恋人同士みたいに抱き締めてそんなことをしているのが信じられないけど、不快感なんかなくて晴が可愛くて凄く興奮する。いつの間にか明良の股間が硬くなっていて、それが尻の割れ目に明良の下着一枚の布越しに当たって晴は驚いたように腰をひく。でも明良にはその動きが何だか気に入らなくて、明良は咄嗟に脚を晴の脚に絡み付け引き付ける。
「あ、きらぁ、やぁ。」
可愛い声で困惑している晴のお尻の割れ目に濡れだした下着越しの怒張を擦り付けながら、乳首を摘まんでいた手を下半身に滑らせる。イヤイヤと必死に頭を振る晴の陰茎も、スッカリ硬くて熱くてガチガチになっているのを手で包み込むと耳元に囁く。
「晴のガチガチになってる……乳首でたっちゃった?エッチな、おチンチン。」
「や、やだ……意地悪言うの…………。」
「凄い、ピクピクしてる、…………晴って意地悪されるの好きなの?」
「ち、ちが……。」
違うと言いたいけれど、実際はどうなのかと晴自身も混乱してしまう。SMな夢を見て気持ちよくなってたのは事実だし、了との付き合いで自分が露出系の興奮に弱いのも知った。焦らされるのも好きだし、もしかしたらマゾ?と思えなくもない。混乱しながらそんなことを考えている晴の亀頭を、明良の指がクリクリと円を描くように擦り始めていた。
「はぅ、あっ!くぅん!」
「ね、晴?教えて?晴って了さんとするとき、男だったの?女だったの?」
了の高橋との様子を考えたら了の方が受け身だとは明良も思うが、そうすると付き合っていた晴は攻めということになる。でも明良の腕の中で身悶える晴は可愛く小動物みたいに震えていて、正直明良は今にも襲いかかってしまいたくなるのだ。
「んんっ先っぽ、クリクリ、やだぁっ!あんっ!」
「はーる?教えて、晴は女の子でもいいの?言わないとグリグリしちゃうよ?」
「んんっんふぅっ!強いと、ダメぇっ!あっ!あんっ!」
グリグリと先端を指で扱かれて親指の腹で擦り回されるのに、晴は腰をガクガク震わせながら絶頂を訴える。ところがギュッと強く明良の手に握り込まれて達しきることが出来ない晴に、明良は改めて意地悪く囁きかけた。
「教えないと、ダメ。」
「そ、んなぁ明良ぁ……。」
まだ酔いが残っているのか腰が甘く痺れて、塞き止められた射精でジンジンと強く疼く。腰が揺れているのを覆い被さるように体勢を変えられて耳元に囁かれると余計に疼きが激しくて、晴はヒクヒク怒張を揺らしながら懇願していた。
「いきたい……明良…………おねが、…………おれ、いきたい。」
震えながら縋りついて懇願する晴に明良は興奮したように下着の中から怒張を取り出すと、晴のものと一緒に握りしめた。他人の熱い怒張、脈打つ血管の感触、ヌチュヌチュと互いに卑猥な音を立てる汁。晴と明良が明良の手で射精に辿り着くまでは、ほんの短い時間しかかからなかった。
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