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第三章
22.
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何の気なしに夕闇の往来を歩き向かった道筋は、無意識の内に仁聖が恐らく学校から恭平の家へ通ってくるだろう道を逆に辿っていた。それに気が付いた瞬間恭平は、自分でも思わず苦笑が浮かぶのを感じる。誰かに慕われたり思われたりすることで、自分がここまで変化するとは思ってもいなかった。それに気がついて、恭平の顔に浮かぶ苦笑は柔らかく優しい微笑みに変わっていく。
あいつが…言ってくれる事が嬉しい……居てくれる事が嬉しい……。
滲むような思いの中で自分の心が柔らかな声でそう囁く。誰にも必要とされないで生きて行くのだと考えていた自分を、必要だと言ってくれた言葉が鮮やかに心を過ぎるのを感じる。恭平はすれ違い見た人がハッとするほど、柔らかく綺麗な微笑を浮かべていた。その視線の先に探していた筈の栗毛が見える。
「ねぇ!源川君!!」
「ちょ・ちょっと!」
不意にその名前と聞きなれた声に視線が引き寄せられて、そのまま凍りついたような気がした。見知った坂本真希ではない少女が腕を絡ませ寄り添ったその姿に、思わず視線が止まる。
同じ高校の制服。
年頃の可愛い高校生の男女のカップル。
身長が高くて青年らしい、しなやかさを見せる整った顔立ち。大部分はカッコいいと認めるだろうし、可愛い笑顔も人好きするだろう。その横にいる少女は身長もちょうどつり合いが取れているし、女の子らしい愛らしい仕草や細く長い髪を緩く波打たせている。それはどう見ても当たり前にあるべき姿なのだと心に突きつけられた気がした。
そうか…話って………。
一瞬で凍りついた感情が、諦めるように心の中でポツリと呟くのを聞いた様な気がした。恭平は自分が何を考えたのかが、分からないままその場に立ち竦んだ。
腕を絡みつかれた事に苦笑して照れたようにも見える視線が不意に持ち上がって、真正面から恭平とかち合っていた。それを無理に引き剥がすように、一瞬にして恭平は自分がクルリと何気ない仕草で踵を返していたことに気がつく。背後で息を呑むような気配がするのを感じながら、自分が振り返る事も立ち止まる事も出来ない。
そんな状況に自分がいること事態が信じられないまま、真っ白な思考に埋め尽くされた頭で勢いよく帰宅したドアを閉める。一瞬その脳裏に
鍵。
と言う言葉が浮かんで、咄嗟に自分でも訳が分からないままにドアガードを音を立ててかけて室内に足を進めていた。無意識の動作の先でリビングの扉を開いた瞬間、フワリと何処かから自分以外の存在が残していた香りを感じる。その何気ない存在感に、恭平はその場に唐突に立ち竦んでいた。何もない筈なのに不意に感じた自分以外の存在の大きさに、リビングの扉を背にして力が抜けてしまう。足の震えをボンヤリと感じながら、恭平は唇を噛んで視線を天井に向けた。
何を期待してたんだ……分かりきっていた事なのに。
それは考えてしまえば当たり前の事。
常識で考えれば何も悩むことのないほど、明確なことのような気がする。男同士では何を想おうとも、本当に男女で恋愛感情を持てばそれに敵う筈は無いのだ。そんなことは馬鹿でも直ぐに分かることなのに。そう心が冷静に呟いた瞬間、不意に自分の視界が揺らぐのを感じた。世界が揺らぎ、まるでプリズムのように光が分散して飛び散っていく。やがて恭平は初めて自分が泣いているのだと気がついた。
その瞬間扉越しに玄関のドアの鍵が開く音が微かにして、勢いよく開こうとしたドアがドアガードにガツンと阻まれる鈍い音が響き渡る。
「えぇ?!!う・嘘っ?!!な…なんでっ…?!」
ドア越しに聞こえる狼狽した仁聖の声の響きに、恭平は嗚咽を溢しそうな自分の口を咄嗟に押さえ込んだ。思わず身を縮め、ドアに背を押しつけた。これ以上仁聖に女々しい姿を見せたくないと、必死に嗚咽を飲み込もうとする。俯かせて伏せた瞳から、思わぬほどにボロボロと涙が溢れ落ちていく。
「ちょ…っ…恭平!!開けてよ!!頼むから!!」
困惑して狼狽した声にもういいからと言い返したい。なのにそうすることも出来ない。ただその場で震えながら嗚咽を飲み込むしか出来ないでいるのを知らない仁聖が、更に懇願する声を上げる。
「恭平ってば!!ちゃんと話させてよ!お願いだから!!」
まるでその声は悲鳴のようだと一瞬思った。
「……っ!!もう!!」
不意にその言葉の後にドアを音を立てて閉じる音が室内に響き、恭平はビクリと体を震わせ硬く瞳を閉じた。その瞳から止め様が無いままに、パタパタと床に滴る音が立つほどの大粒の涙が溢れ落ちていく。
室内に落ちた静けさの中で、微かに何処かから仁聖のいた証のように微かな香りがする。それがもう過去になるのだと感じると胸が鋭く切り裂かれるような気がして、女々しいと分かっているのに涙が止まらない。そして、ふっともう嗚咽を我慢する必要が無いのだと自分に言い聞かせながら、両手を口元から離そうとした。その瞬間、ゴトンと鈍い音がしたような気がして恭平は動きを止めた。
ガタンという鈍い音。
そして何かを動かすような音。
それが玄関からではないのは分かっているが、頭が理解できない。そして、不意にサッシを開くような音がしたかと思うと、それに床を踏む音が続いて、恭平は身を硬くして息を呑む。次の瞬間埃を払うように上のシャツを叩きながら寝室の扉を勢い良く開いて姿を見せた仁聖が、苛立ちながら視線を上げる動きと同時に口を開く。
「全く!話聞いてからにしてよ!!恭……平?」
真正面から向かい合った状況で声も無く、ボロボロと涙を溢しながら自分を見つめる恭平の姿。それに驚いたように目を見開いて、仁聖はその場に立ち竦んでいた。
一瞬自分が何を誰を見ているのかが分からないまま恭平は口元から手を離し、ガクガクと震える体を扉に押し付け必死に支えた。目の前に立っている仁聖の姿に状況を理解しようとすると、自分の全身から血の気が引いていくのが分かる。そう分かっていても無意識に震えた言葉が、口から問いかけの形に変わって溢れ落ちた。
「……お…おま……、どう…やって?……。」
「どうって…っアールコーブからメールボックス跨いだ!!恭平がドアにあんなのかけるからだろ?!」
窓開いてなかったら叩き割ったよと憮然とした口調ながらも、微かに訝しげな声が答える。しかし、その言葉の意味を恭平の脳が理解しようとした瞬間、ゾワリと思い出したくも無い記憶が脳裏を撫でたのを感じる。
アールコーブから外壁に乗り出してベランダに下りた。
その情景が一瞬にして脳内にある鋭い記憶の痛みを引き起こして、恭平の全身の血が凍りつく。自分がした事のせいで目の前の仁聖が、そうしたと言う事実が更に心に突き刺さっていく。目の前であからさまに血の気の引いて蒼褪めた恭平の様子の変化に気がついた仁聖が、戸惑うような表情で自分を見つめ返している。しかし次の瞬間、それすら一瞬意識の外に弾けて消えていた。
「恭平!!!しっかりして!恭平っ!」
狼狽して自分を呼ぶ声。
揺らいで霞んだ世界の中に見える仁聖の不安げな表情。恭平は、混濁したような意識で視線を向ける。仁聖の姿の向こうに夕闇の中のリビングの天井がある。そこで自分が仁聖の腕の中に抱き留められている事を朧げに理解した。ゆっくりと瞬く瞳に気がついた仁聖が僅かにホッと気を緩めるのに気がつくと同時に、再び取り戻そうとした意識に発作のような記憶が重なってヒュウと恭平の咽喉が掠れた音を立てる。
「恭平?」
ガクガクと再び震える全身の様子に驚き、焦点が合わないその瞳を覗き込んだ仁聖が、恭平の顔に手を添えるように引き寄せて恭平に向かって鋭く声を張り上げた。
「恭平!こっち見て!」
その声にまるで子供のように頭を振った恭平が、怯えたように身を竦めるのをしっかりと抱き締める。抱き締めながら仁聖が腕の中の恋人の名前を何度も呼ぶ。それはまるで悪夢にうなされている時に酷く酷似していた。仁聖は不意に恭平の喘ぐように激しく早い呼吸に気が付く。異常なほどに早く激しい恭平の呼吸の音に、咄嗟にその体ごと抱き寄せて自分の唇を重ねてそれを塞いでいた。
「ん…………ぅ………。」
塞がれ長い時間をかけて愛撫されて微かに蕩けた吐息に、その体がやっと弛緩して腕の中に身を預ける。それに仁聖は、唇を離して恭平の瞳を覗き込む。まだ揺らいではいるものの、弱く光を取り戻した瞳が腕の中で自分を見上げる。ホッと息をついたかと思うと、決心したように仁聖はその体を抱きあげ、かかえてリビングを横切りソファーに恭平を抱きかかえたまま腰を下ろした。まだ半分ボンヤリとした視線で戸惑うように膝の上に横抱きに座らされた恭平が、自分を抱きかかえる腕の主を見上げる。
「じ……ん…せ?」
「決めた、俺もうほおっておけない。恭平、何が恭平をそんな風に怖がらせてるか話して。」
真っ直ぐに抱き締められたまま言い切られて、恭平は不安げにその顔を見つめる。その視線を夕闇の中でもはっきり分かるほどにキラキラと輝く藍色の瞳で見つめ返して仁聖は、一度その額に優しく口付ける。
「話して、話せるだけでもいい。俺…ちゃんと聞くから。」
足の上に座らされて身動ぎする恭平に向かって、話してくれるまで離さないと囁きかける。そんな仁聖の表情を躊躇いがちに見つめた恭平が、暫し逡巡したように俯く。
自分の中にある見せたくない記憶。
自分ですら触れるのが恐ろしい狂気に似た感情。
それを口にするのを拒否するのは簡単な筈なのに、仁聖の視線から逃れる事が出来ない。そして、ゆっくりとその胸に手を付きながら重く沈んだ口を開いていた。
※※※
十三になるまで自分が何も知らなかったことは幸運だったのかそうでないのか分からない。だが、真実を知らせたものは酷く悪意に満ちていて苦痛を伴う傷を残した。
妾の子供
その事実だけでも痛むのに、実の父が師範である道場にのうのうと通っている恥知らず。そう罵られ、その事実を突きつけられて反論することも出来ない。だから自分に出来たのは母をなじる事だけだった。
何で俺を通わせたんだ?なんて言われるか分かってたのかよ?
母はその言葉に悲しげに漂うような微笑を浮かべて、恭平に「ごめんね。」とだけしか言わなかった。だけど、自分にはそれでは到底母の真意を理解できなかった。本妻のいる男を愛して、不義の子供まで作った母。そして、その子供を分かっていてその男の下に通わせ続ける母。やがて本妻に子供が産まれても、あえてそこに恭平を通わせ続けようとしている母。
結局自分はまだ子供で、母の本意は何一つ理解できなかった。
才能があるなし以前に恭平は本当は合気道がとても好きだった。だけど自分が誰の子か知ってからは、合気道をもう続けられない。自分が神聖であるべき道場を穢すと罵られても、恭平には何も言い返すことが出来ないと感じたからだ。妾の子の自分は乱れた関係の上に成り立った、穢れた存在なのだと思っていたから。
その後自分がどれだけ酷い息子だっただろうと思う。確かに犯罪行為は自分の利益にならないからしてはいないが、学校でも喧嘩はよくしていたし、一人必死に働く母の身を案じたことも無い。そうして十八歳のあの日、全ての真実を知る事になって自分がどれだけ愚かだったのかを、心に痛いほどに気づかされるのだ。
母が死んで初めて知った。
母、美弥子が心臓に先天性の病気を持っていた事。
その生まれ持った病気のせいで元々許嫁であり、結婚しようとしていた宮内慶恭の親に猛反対されたのだという事実。それでもほんの数回の行為で自分が出来て、心臓のために堕胎を周囲から促されて母が一人逃げた事。
必死で離れた土地で自分を産み落として戻った時には、宮内は母美弥子の親友と既に結婚していた事。だけど美弥子にはそれを怨むことも出来ず、ただ傍に住む事だけで満足したのだ。それでも美弥子は、慶恭に子供の恭平の存在だけは伝えようとしていた。その結果、手酷く宮内家の今は故人の恭平の祖母に当たる人に罵られていたという事。
何も知らなかった。それに自分は知ろうともしていなかった。
そして、母は心臓の事から自分の命が長くないと考えて、この先恭平が宮内家に引き取られてもいいように道場に通わせていたなんて知りもしなかったのだ。
夕闇に漂うように青褪めた表情で擦れて途切れがちになりそうな言葉を繋いでいた。恭平は不意に自嘲気味に微笑んだかと思うと、胸についていた手が微かに震える。それに気がついた仁聖は、ただ無言のまま彼の言葉の先を待った。
「仁聖……お前…、おふくろが何で死んだか……知ってるか…?」
酷く躊躇いがちに小さく囁いた声とその奇妙に浮かんだ笑みに仁聖は訝しげに眉を顰める。それが何を意味しようとしているのか分からないままに仁聖は、自分が知っているありのままを素直に告げる。
「病気だって…聞いた。」
仁聖が何も隠していないのを確信しながらも震える声は、安堵に似た表情を漂わせて「そうか…」と囁く。フワリとその体がまるで怯えるように仁聖の胸に肌を寄せて身を預けるのを直に感じる。仁聖はその微かな違和感を未だに掴めず、恭平の顔を覗き込む。身を寄せてもまだ恭平の表情が、奇妙な微笑に彩られていることに気が付いて仁聖は息を詰めていた。
「確かに…直接はそうだ…心臓が原因だろう。だけど…おふくろは…。」
不意に闇に漂うように思いを滲ませながら声が消えたことに気が付いて、仁聖がその表情を無言のまま覗き込む。見つめられている事にも気がつかず、凍りつく様に貼り付けられた笑みは心を侵食する闇の様に全ての感情を凍りつかせていく。
狂ってしまいそうだ…心が破裂してバラバラに……
そう心が何処かで感じた瞬間、唐突にその表情の意味に気がついた仁聖は、腕の中の恭平の顔を両手で包みこみ引き上げた。手の中で凍りつき張り付いた笑顔のまま、見上げた視線が震える声を囁きかける。
「…仁聖……?」
「無理しなくていい…辛かったら泣いていいから……俺の前では泣いていいんだよ、恭平。」
一瞬手に包み込まれた恭平の表情が全てを失った。笑顔も何もかもを失って途方にくれている、何も言いようのない戸惑う感情だけがその奥で微かに揺らめく。仁聖の表情を見つめていたと思っていた瞳が不意に揺れたと思った瞬間、まるで感情に打ち込まれた楔が全てを打ち砕いてしまった様にその顔が苦痛に歪んだ。刹那堰を切ったようにその瞳から涙が溢れるのを魅入られたように見つめる。仁聖に向かって震える恭平の声が弾けていく。
「…仕事の最中に…心臓の発作…を起こして、おふくろは…。」
その事実が耐え切れないと言うように声が鋭く室内の静寂を切り裂く。
「落ちたんだ…っまるで飛び降りるみたいにっ!頭からっ……!」
悲鳴のような声に仁聖は、息を飲んで言葉を失う。
さっき自分が何をしたか思い浮かべた瞬間、目の前の人が起こした反応の意味がまざまざと理解できた。自分がした事が知らないことだったとは言え、恭平に与えた苦痛の大きさに気がつく。咄嗟にその頭をしっかりと胸に引き寄せて、まるで自分ですらも鋭く心を抉られたかのように感じながら唇を噛んだ。
「ごめんっ…俺…ごめん…驚かせて…怖がらせた…っ…恭平…ごめん。」
その言葉に首を振り胸の中でくぐもった嗚咽が溢れ落ちる。
「だけど……俺は…おふくろの死に顔を見て…自業自得だって……そんな、酷い事を…。」
切れ切れの言葉が喘ぐような嗚咽の合間に溢れて消えていく。
そこにある深く闇のように広がり黒く染み付くような悔恨。十八歳の恭平が何を見て何を感じて、そしてその思いすら覆すような真実を更に突きつけられた。何かをするにも全てが手遅れだと知った激しい絶望。それ故に泣く事も誰かに頼る事も出来ず、一番願った事も果たせなかったという苦悩がはっきりと目の前に見える。それはまるでの彼の心にかけられた呪いの様に恭平を縛り続けていたのだ。
「…俺だけは…信じなきゃいけなかった……謝り…たいのに。」
「恭平……。」
震えながら自分の手で嗚咽を溢すのを抑えようとする恭平の手を、仁聖がそっと握り引き止める。その動作に戸惑うように視線を上げて必死に嗚咽を堪えようとする瞳を見つめながら仁聖は、そっとその手を下ろして柔らかい手付きでその体を胸に押し当てるように抱き締めた。
「ごめん…怖がらせて……、それに…ずっと辛かったのに気づいてあげなくて………。」
仁聖はそのまま抱き締めた体を愛おしそうにそっと優しく背中を撫でるように手を滑らせる。その瞬間一番大きな何かが崩れ落ちるのが分かったような気がした。初めて聞く腕の中の悲痛な泣き声に目を閉じたまま、その体をしっかりと抱き締め縋り付くその手の熱さと震える肩を感じる。
泣いていい
そう仁聖が恭平に言ったのは初めてではない。初めてではないが、今まで唯一人だけ。誰も決してそう口にしてはくれなかったのに、たった一人だけ自分に泣く場所を与えてくれようとした存在。自分が辛いのだと一度も口にしなかったのに気づいてくれた唯一の存在。その暖かく優しい腕の中に抱き留められたまま、恐らく誰かの前で産まれて初めて本当に自分の思いの為だけに声をあげて泣いている自分に恭平は気がついた。
あいつが…言ってくれる事が嬉しい……居てくれる事が嬉しい……。
滲むような思いの中で自分の心が柔らかな声でそう囁く。誰にも必要とされないで生きて行くのだと考えていた自分を、必要だと言ってくれた言葉が鮮やかに心を過ぎるのを感じる。恭平はすれ違い見た人がハッとするほど、柔らかく綺麗な微笑を浮かべていた。その視線の先に探していた筈の栗毛が見える。
「ねぇ!源川君!!」
「ちょ・ちょっと!」
不意にその名前と聞きなれた声に視線が引き寄せられて、そのまま凍りついたような気がした。見知った坂本真希ではない少女が腕を絡ませ寄り添ったその姿に、思わず視線が止まる。
同じ高校の制服。
年頃の可愛い高校生の男女のカップル。
身長が高くて青年らしい、しなやかさを見せる整った顔立ち。大部分はカッコいいと認めるだろうし、可愛い笑顔も人好きするだろう。その横にいる少女は身長もちょうどつり合いが取れているし、女の子らしい愛らしい仕草や細く長い髪を緩く波打たせている。それはどう見ても当たり前にあるべき姿なのだと心に突きつけられた気がした。
そうか…話って………。
一瞬で凍りついた感情が、諦めるように心の中でポツリと呟くのを聞いた様な気がした。恭平は自分が何を考えたのかが、分からないままその場に立ち竦んだ。
腕を絡みつかれた事に苦笑して照れたようにも見える視線が不意に持ち上がって、真正面から恭平とかち合っていた。それを無理に引き剥がすように、一瞬にして恭平は自分がクルリと何気ない仕草で踵を返していたことに気がつく。背後で息を呑むような気配がするのを感じながら、自分が振り返る事も立ち止まる事も出来ない。
そんな状況に自分がいること事態が信じられないまま、真っ白な思考に埋め尽くされた頭で勢いよく帰宅したドアを閉める。一瞬その脳裏に
鍵。
と言う言葉が浮かんで、咄嗟に自分でも訳が分からないままにドアガードを音を立ててかけて室内に足を進めていた。無意識の動作の先でリビングの扉を開いた瞬間、フワリと何処かから自分以外の存在が残していた香りを感じる。その何気ない存在感に、恭平はその場に唐突に立ち竦んでいた。何もない筈なのに不意に感じた自分以外の存在の大きさに、リビングの扉を背にして力が抜けてしまう。足の震えをボンヤリと感じながら、恭平は唇を噛んで視線を天井に向けた。
何を期待してたんだ……分かりきっていた事なのに。
それは考えてしまえば当たり前の事。
常識で考えれば何も悩むことのないほど、明確なことのような気がする。男同士では何を想おうとも、本当に男女で恋愛感情を持てばそれに敵う筈は無いのだ。そんなことは馬鹿でも直ぐに分かることなのに。そう心が冷静に呟いた瞬間、不意に自分の視界が揺らぐのを感じた。世界が揺らぎ、まるでプリズムのように光が分散して飛び散っていく。やがて恭平は初めて自分が泣いているのだと気がついた。
その瞬間扉越しに玄関のドアの鍵が開く音が微かにして、勢いよく開こうとしたドアがドアガードにガツンと阻まれる鈍い音が響き渡る。
「えぇ?!!う・嘘っ?!!な…なんでっ…?!」
ドア越しに聞こえる狼狽した仁聖の声の響きに、恭平は嗚咽を溢しそうな自分の口を咄嗟に押さえ込んだ。思わず身を縮め、ドアに背を押しつけた。これ以上仁聖に女々しい姿を見せたくないと、必死に嗚咽を飲み込もうとする。俯かせて伏せた瞳から、思わぬほどにボロボロと涙が溢れ落ちていく。
「ちょ…っ…恭平!!開けてよ!!頼むから!!」
困惑して狼狽した声にもういいからと言い返したい。なのにそうすることも出来ない。ただその場で震えながら嗚咽を飲み込むしか出来ないでいるのを知らない仁聖が、更に懇願する声を上げる。
「恭平ってば!!ちゃんと話させてよ!お願いだから!!」
まるでその声は悲鳴のようだと一瞬思った。
「……っ!!もう!!」
不意にその言葉の後にドアを音を立てて閉じる音が室内に響き、恭平はビクリと体を震わせ硬く瞳を閉じた。その瞳から止め様が無いままに、パタパタと床に滴る音が立つほどの大粒の涙が溢れ落ちていく。
室内に落ちた静けさの中で、微かに何処かから仁聖のいた証のように微かな香りがする。それがもう過去になるのだと感じると胸が鋭く切り裂かれるような気がして、女々しいと分かっているのに涙が止まらない。そして、ふっともう嗚咽を我慢する必要が無いのだと自分に言い聞かせながら、両手を口元から離そうとした。その瞬間、ゴトンと鈍い音がしたような気がして恭平は動きを止めた。
ガタンという鈍い音。
そして何かを動かすような音。
それが玄関からではないのは分かっているが、頭が理解できない。そして、不意にサッシを開くような音がしたかと思うと、それに床を踏む音が続いて、恭平は身を硬くして息を呑む。次の瞬間埃を払うように上のシャツを叩きながら寝室の扉を勢い良く開いて姿を見せた仁聖が、苛立ちながら視線を上げる動きと同時に口を開く。
「全く!話聞いてからにしてよ!!恭……平?」
真正面から向かい合った状況で声も無く、ボロボロと涙を溢しながら自分を見つめる恭平の姿。それに驚いたように目を見開いて、仁聖はその場に立ち竦んでいた。
一瞬自分が何を誰を見ているのかが分からないまま恭平は口元から手を離し、ガクガクと震える体を扉に押し付け必死に支えた。目の前に立っている仁聖の姿に状況を理解しようとすると、自分の全身から血の気が引いていくのが分かる。そう分かっていても無意識に震えた言葉が、口から問いかけの形に変わって溢れ落ちた。
「……お…おま……、どう…やって?……。」
「どうって…っアールコーブからメールボックス跨いだ!!恭平がドアにあんなのかけるからだろ?!」
窓開いてなかったら叩き割ったよと憮然とした口調ながらも、微かに訝しげな声が答える。しかし、その言葉の意味を恭平の脳が理解しようとした瞬間、ゾワリと思い出したくも無い記憶が脳裏を撫でたのを感じる。
アールコーブから外壁に乗り出してベランダに下りた。
その情景が一瞬にして脳内にある鋭い記憶の痛みを引き起こして、恭平の全身の血が凍りつく。自分がした事のせいで目の前の仁聖が、そうしたと言う事実が更に心に突き刺さっていく。目の前であからさまに血の気の引いて蒼褪めた恭平の様子の変化に気がついた仁聖が、戸惑うような表情で自分を見つめ返している。しかし次の瞬間、それすら一瞬意識の外に弾けて消えていた。
「恭平!!!しっかりして!恭平っ!」
狼狽して自分を呼ぶ声。
揺らいで霞んだ世界の中に見える仁聖の不安げな表情。恭平は、混濁したような意識で視線を向ける。仁聖の姿の向こうに夕闇の中のリビングの天井がある。そこで自分が仁聖の腕の中に抱き留められている事を朧げに理解した。ゆっくりと瞬く瞳に気がついた仁聖が僅かにホッと気を緩めるのに気がつくと同時に、再び取り戻そうとした意識に発作のような記憶が重なってヒュウと恭平の咽喉が掠れた音を立てる。
「恭平?」
ガクガクと再び震える全身の様子に驚き、焦点が合わないその瞳を覗き込んだ仁聖が、恭平の顔に手を添えるように引き寄せて恭平に向かって鋭く声を張り上げた。
「恭平!こっち見て!」
その声にまるで子供のように頭を振った恭平が、怯えたように身を竦めるのをしっかりと抱き締める。抱き締めながら仁聖が腕の中の恋人の名前を何度も呼ぶ。それはまるで悪夢にうなされている時に酷く酷似していた。仁聖は不意に恭平の喘ぐように激しく早い呼吸に気が付く。異常なほどに早く激しい恭平の呼吸の音に、咄嗟にその体ごと抱き寄せて自分の唇を重ねてそれを塞いでいた。
「ん…………ぅ………。」
塞がれ長い時間をかけて愛撫されて微かに蕩けた吐息に、その体がやっと弛緩して腕の中に身を預ける。それに仁聖は、唇を離して恭平の瞳を覗き込む。まだ揺らいではいるものの、弱く光を取り戻した瞳が腕の中で自分を見上げる。ホッと息をついたかと思うと、決心したように仁聖はその体を抱きあげ、かかえてリビングを横切りソファーに恭平を抱きかかえたまま腰を下ろした。まだ半分ボンヤリとした視線で戸惑うように膝の上に横抱きに座らされた恭平が、自分を抱きかかえる腕の主を見上げる。
「じ……ん…せ?」
「決めた、俺もうほおっておけない。恭平、何が恭平をそんな風に怖がらせてるか話して。」
真っ直ぐに抱き締められたまま言い切られて、恭平は不安げにその顔を見つめる。その視線を夕闇の中でもはっきり分かるほどにキラキラと輝く藍色の瞳で見つめ返して仁聖は、一度その額に優しく口付ける。
「話して、話せるだけでもいい。俺…ちゃんと聞くから。」
足の上に座らされて身動ぎする恭平に向かって、話してくれるまで離さないと囁きかける。そんな仁聖の表情を躊躇いがちに見つめた恭平が、暫し逡巡したように俯く。
自分の中にある見せたくない記憶。
自分ですら触れるのが恐ろしい狂気に似た感情。
それを口にするのを拒否するのは簡単な筈なのに、仁聖の視線から逃れる事が出来ない。そして、ゆっくりとその胸に手を付きながら重く沈んだ口を開いていた。
※※※
十三になるまで自分が何も知らなかったことは幸運だったのかそうでないのか分からない。だが、真実を知らせたものは酷く悪意に満ちていて苦痛を伴う傷を残した。
妾の子供
その事実だけでも痛むのに、実の父が師範である道場にのうのうと通っている恥知らず。そう罵られ、その事実を突きつけられて反論することも出来ない。だから自分に出来たのは母をなじる事だけだった。
何で俺を通わせたんだ?なんて言われるか分かってたのかよ?
母はその言葉に悲しげに漂うような微笑を浮かべて、恭平に「ごめんね。」とだけしか言わなかった。だけど、自分にはそれでは到底母の真意を理解できなかった。本妻のいる男を愛して、不義の子供まで作った母。そして、その子供を分かっていてその男の下に通わせ続ける母。やがて本妻に子供が産まれても、あえてそこに恭平を通わせ続けようとしている母。
結局自分はまだ子供で、母の本意は何一つ理解できなかった。
才能があるなし以前に恭平は本当は合気道がとても好きだった。だけど自分が誰の子か知ってからは、合気道をもう続けられない。自分が神聖であるべき道場を穢すと罵られても、恭平には何も言い返すことが出来ないと感じたからだ。妾の子の自分は乱れた関係の上に成り立った、穢れた存在なのだと思っていたから。
その後自分がどれだけ酷い息子だっただろうと思う。確かに犯罪行為は自分の利益にならないからしてはいないが、学校でも喧嘩はよくしていたし、一人必死に働く母の身を案じたことも無い。そうして十八歳のあの日、全ての真実を知る事になって自分がどれだけ愚かだったのかを、心に痛いほどに気づかされるのだ。
母が死んで初めて知った。
母、美弥子が心臓に先天性の病気を持っていた事。
その生まれ持った病気のせいで元々許嫁であり、結婚しようとしていた宮内慶恭の親に猛反対されたのだという事実。それでもほんの数回の行為で自分が出来て、心臓のために堕胎を周囲から促されて母が一人逃げた事。
必死で離れた土地で自分を産み落として戻った時には、宮内は母美弥子の親友と既に結婚していた事。だけど美弥子にはそれを怨むことも出来ず、ただ傍に住む事だけで満足したのだ。それでも美弥子は、慶恭に子供の恭平の存在だけは伝えようとしていた。その結果、手酷く宮内家の今は故人の恭平の祖母に当たる人に罵られていたという事。
何も知らなかった。それに自分は知ろうともしていなかった。
そして、母は心臓の事から自分の命が長くないと考えて、この先恭平が宮内家に引き取られてもいいように道場に通わせていたなんて知りもしなかったのだ。
夕闇に漂うように青褪めた表情で擦れて途切れがちになりそうな言葉を繋いでいた。恭平は不意に自嘲気味に微笑んだかと思うと、胸についていた手が微かに震える。それに気がついた仁聖は、ただ無言のまま彼の言葉の先を待った。
「仁聖……お前…、おふくろが何で死んだか……知ってるか…?」
酷く躊躇いがちに小さく囁いた声とその奇妙に浮かんだ笑みに仁聖は訝しげに眉を顰める。それが何を意味しようとしているのか分からないままに仁聖は、自分が知っているありのままを素直に告げる。
「病気だって…聞いた。」
仁聖が何も隠していないのを確信しながらも震える声は、安堵に似た表情を漂わせて「そうか…」と囁く。フワリとその体がまるで怯えるように仁聖の胸に肌を寄せて身を預けるのを直に感じる。仁聖はその微かな違和感を未だに掴めず、恭平の顔を覗き込む。身を寄せてもまだ恭平の表情が、奇妙な微笑に彩られていることに気が付いて仁聖は息を詰めていた。
「確かに…直接はそうだ…心臓が原因だろう。だけど…おふくろは…。」
不意に闇に漂うように思いを滲ませながら声が消えたことに気が付いて、仁聖がその表情を無言のまま覗き込む。見つめられている事にも気がつかず、凍りつく様に貼り付けられた笑みは心を侵食する闇の様に全ての感情を凍りつかせていく。
狂ってしまいそうだ…心が破裂してバラバラに……
そう心が何処かで感じた瞬間、唐突にその表情の意味に気がついた仁聖は、腕の中の恭平の顔を両手で包みこみ引き上げた。手の中で凍りつき張り付いた笑顔のまま、見上げた視線が震える声を囁きかける。
「…仁聖……?」
「無理しなくていい…辛かったら泣いていいから……俺の前では泣いていいんだよ、恭平。」
一瞬手に包み込まれた恭平の表情が全てを失った。笑顔も何もかもを失って途方にくれている、何も言いようのない戸惑う感情だけがその奥で微かに揺らめく。仁聖の表情を見つめていたと思っていた瞳が不意に揺れたと思った瞬間、まるで感情に打ち込まれた楔が全てを打ち砕いてしまった様にその顔が苦痛に歪んだ。刹那堰を切ったようにその瞳から涙が溢れるのを魅入られたように見つめる。仁聖に向かって震える恭平の声が弾けていく。
「…仕事の最中に…心臓の発作…を起こして、おふくろは…。」
その事実が耐え切れないと言うように声が鋭く室内の静寂を切り裂く。
「落ちたんだ…っまるで飛び降りるみたいにっ!頭からっ……!」
悲鳴のような声に仁聖は、息を飲んで言葉を失う。
さっき自分が何をしたか思い浮かべた瞬間、目の前の人が起こした反応の意味がまざまざと理解できた。自分がした事が知らないことだったとは言え、恭平に与えた苦痛の大きさに気がつく。咄嗟にその頭をしっかりと胸に引き寄せて、まるで自分ですらも鋭く心を抉られたかのように感じながら唇を噛んだ。
「ごめんっ…俺…ごめん…驚かせて…怖がらせた…っ…恭平…ごめん。」
その言葉に首を振り胸の中でくぐもった嗚咽が溢れ落ちる。
「だけど……俺は…おふくろの死に顔を見て…自業自得だって……そんな、酷い事を…。」
切れ切れの言葉が喘ぐような嗚咽の合間に溢れて消えていく。
そこにある深く闇のように広がり黒く染み付くような悔恨。十八歳の恭平が何を見て何を感じて、そしてその思いすら覆すような真実を更に突きつけられた。何かをするにも全てが手遅れだと知った激しい絶望。それ故に泣く事も誰かに頼る事も出来ず、一番願った事も果たせなかったという苦悩がはっきりと目の前に見える。それはまるでの彼の心にかけられた呪いの様に恭平を縛り続けていたのだ。
「…俺だけは…信じなきゃいけなかった……謝り…たいのに。」
「恭平……。」
震えながら自分の手で嗚咽を溢すのを抑えようとする恭平の手を、仁聖がそっと握り引き止める。その動作に戸惑うように視線を上げて必死に嗚咽を堪えようとする瞳を見つめながら仁聖は、そっとその手を下ろして柔らかい手付きでその体を胸に押し当てるように抱き締めた。
「ごめん…怖がらせて……、それに…ずっと辛かったのに気づいてあげなくて………。」
仁聖はそのまま抱き締めた体を愛おしそうにそっと優しく背中を撫でるように手を滑らせる。その瞬間一番大きな何かが崩れ落ちるのが分かったような気がした。初めて聞く腕の中の悲痛な泣き声に目を閉じたまま、その体をしっかりと抱き締め縋り付くその手の熱さと震える肩を感じる。
泣いていい
そう仁聖が恭平に言ったのは初めてではない。初めてではないが、今まで唯一人だけ。誰も決してそう口にしてはくれなかったのに、たった一人だけ自分に泣く場所を与えてくれようとした存在。自分が辛いのだと一度も口にしなかったのに気づいてくれた唯一の存在。その暖かく優しい腕の中に抱き留められたまま、恐らく誰かの前で産まれて初めて本当に自分の思いの為だけに声をあげて泣いている自分に恭平は気がついた。
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