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第一章
8.
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普段よりも酷く掠れて震え、窓を叩く雨脚の音にすら掻き消されてしまいそうな恭平の声に仁聖は息を呑んだ。その血の気を失って青味がかるような白い肌をした表情を、真正面から間近に見つめていた。唐突にフワリとあの甘く柔らかい香りが漂ったかと思うと、悲痛に歪められた表情が子供のように仁聖の胸元に焦点があっていない視線を彷徨わせる。
「どうして…お前は…俺にとって……特別・だったのに……。」
初めて耳にした言葉に驚きながら、思わず息が詰まる。その言葉を溢した先を見下ろして、初めて仁聖は朦朧としてハッキリとしない恭平の視線に気がつく。
意識がはっきりしてない?…でも……だから…これは……恭平の本心…?
薄く揺らぐような雨の向こうに漂う光源の中で、掠れた声を絞り出す。そうしながら腕の中で頭を振る青年の今まで見たこともない仕草に戸惑いながら仁聖は、彼の様子に自分の体の奥底が疼く様な熱を持ったのを感じ始めていた。今まで一度として触れられなかった目の前の恭平の琴線が、傍にあるのを感じている。手を伸ばせば直ぐ触れられるほど、本当に直ぐ指の先にそれが浮かんでいるような気がした。
「…女の代用なんて……っお前は誰でもいんだ…俺を、必要なわけ…っじゃない……。」
「なっ!何言ってんだよ?!」
青年がうわ言の様に溢した言葉に、咄嗟に激しい反応をして仁聖は思わず叫んでいた。そんな風にとられていたなんて思いもしなかった。震える体に覆い被さる様にしてしっかりときつく抱きしめて、ひやりと白く滑らかな首筋に顔を埋めた。震えるひんやりした体に微かに漂う甘い香り。心が震えるほどにその人の全てが愛おしくて、同じ性別で同じものを持っている筈のその体の全てが何物にも変えがたく愛おしい。狂いそうな程その全てが欲しくて、耐え切れなくなっていたのに。
「何でそんな風に考えんの?!どうして?!女がいいなら女抱けばいいだけだよ?!」
矢継ぎ早に感情が言葉になって、止める隙もないままに口から溢れ落ちていく。その綺麗な体を抱きしめたまま熱を含んだ鋭い吐息で、恭平の耳元に顔を埋めて声を落とす。熱くて仕方がない体を持て余し、その思いの全てを示すことができるなら。きつく抱きしめ何度も何度もその体の感覚を確かめるように、自分の体を擦るように触れ合わせる。全ての思いが心の奥から湧き上がって、それがもしかしたら腕の中の人を失うかもしれないと分かっていた。それでも境界線を越えようと、感情は全てを決壊させようとしていた。
「―――っ………俺…っ……好きだ…、恭平の事…好きだ。」
ピクン。
微かな体の動きが腕の中に走って、それがあっと言う間に腕の中の体を強張らせた。仁聖は首筋に埋めた顔を上げて、目の前の青年の顔を覗き込んだ。
目の前に我に返ったように理性の光を浮かばせる綺麗な濡れた瞳が大きく見開かれていた。それが真っ直ぐに自分を見ているのに気がついて、仁聖は覚悟したようにその瞳を見つめ返した。これ以上嫌われることなんかない。それならいっそのこと、全てを伝えてしまわないと。
「好きだよ…恭平。俺…………ず………っと、好きだった。」
「う…嘘だっ!!」
不意に弾ける様に返された言葉に、今度は仁聖が目を見開く。予想だにしない返答を返した腕の中の青年は思い出した様に腕の中から逃れようとぎこちなく軋む体を捩る。
「ちょっ…何だよ?嘘って!なんでっ!」
「離せっ!嘘ばかりだ!お前なんかっ!!」
「ちょっと!何だよ?!嘘なんか言ってないよ?!俺!!」
暴れる体を押さえ込んで鋭く言い返しながら、その顔を覗き込む。今まで見たことのない鮮やかな感情を浮かべた表情がそこにあって、仁聖は思わずその意味を図りかねて一瞬たじろぐ。
腕の中で微かな怒りに似た感情をその瞳に激しく光らせて恭平は、身を捩りながら仁聖を睨み付けた。
「嘘じゃないか!好きだなんて言って、女と付き合ってるくせに!!」
「だ・だって!仕方ないじゃないか!恭平は男だし!!それに恭平だって彼女いただろっ!!」
腕の下で暴れるしなやかな体が、微かな熱を持って朱に染まっていく。そんな艶めかしい変化を眺めながらも、力をこめてずり上がって逃げようとする恭平の体を自分の腕の中に引き摺り下ろす。その仁聖の動きに闇雲に暴れながら、恭平は苛立ちに大きな声を張り上げた。
「俺はっ!俺は自覚してからは付き合ってなんかない!!」
言い放った瞬間ハッとした様に腕の中で体が凍りつき、目の前の変化に半分聞き逃そうとしていた仁聖も動きを止めた。
「…え………?……恭平?今………。」
腕の中で凍り付いていた恭平の顔がカッと朱に染まったかと思うと、本気で逃れようと腕の中から身を捩りだした。仁聖の視線から必死に顔を背けベットに顔を伏せようと身じろぐ。
「まっ…待って!!駄目!!!恭平!待ってったら!!!」
「う…うるさいっ!離せ!!離せってば!!いっ…痛いっ!!」
「駄目!逃がさない!離さないよ!!痛かったら暴れないで!」
昨夜の痛みが残り思うままにならない体を持て余して恭平は、最後の抵抗と言わんばかりに顔を背け綺麗で鮮やかに肌を染めながら腕で顔を覆う。再び今までに見た事のない腕の中の仕草を目の当たりにしながら、抱きすくめた体を縫いとめる様に柔らかい夜具の上に押し付けて全身で圧し掛かる。のし掛かられる重みに、そのしなやかな体が微かに苦痛の悲鳴を上げた。それでも、悲鳴に構わずその体をしっかりと逃さないように抱きこんで仁聖は躊躇いがちにその耳元に唇を押し当てる。
「恭平……駄目だよ……。ホントの事…全部教えてくれるまで……絶対離さない。」
雨の音が微かに響く室内で囁きかけられる息に、熱を含んだ肌の下で抱きすくめられて身動きもできないでいる。それに気がついた恭平が小さく息を呑んだのを感じた。自分の吐息もその目の中に入る全ての恭平の仕草に、熱を持って跳ね上がる。仁聖は、緩慢にも感じられる動作でそっと耳元に唇を触れさせ顔を埋めながら、甘く溶ける様な漂う恭平の香りを感じた。
「ね…聞かせて?……恭平は・本当は…ずっと……俺の事待っててくれたの?」
腕の中でしなやかな四肢が震えて、顔を覆ったままの恭平の微かに覗く横顔が微かに短く鋭い息をつく。それを知りながら仁聖が、そっともう一度耳に吐息を吹き込み名前を囁く。囁かれる熱にまるで怯える様に、ヒクンと一度大きく体が震える。仁聖は狂おしいほどの欲望を感じながら繰り返すように、もう一度彼の名前を囁いた。
「恭平…?俺の事…ずっと……考えてくれたの?………恭平。」
「……や…………っ……。」
思わずこぼれ落ちた擦れる恭平の声が、今までにない音色に染まっている。仁聖はうっとりと眼を細めながら、絡みつくような低く甘く擽る様な声でまた名前を囁く。その耳を擽る様に熱を持った擦れた自分を呼ぶ声の響きに、恭平は覆った筈の腕の下で自分の頬が酷く熱を持っていく。しかも、顔だけでなく全身に悪感じみた感覚を走らせていくのに気がついて、困惑の表情を浮かべた。
なんで…?名前を…呼ばれるだけで…なんで…っ…
戸惑う様な心の中の疑問の声すら溶かす様に、雨脚の音に冷えていた筈の恭平の体がジワリと奥から熱を生みだしていく。
「………恭平…?ね…こっち見て?」
優しくまるであやす様な囁き声に、無意識に体が震える。きつく抱きしめていた筈の仁聖の腕が、いつの間にか僅かに力を緩め、そっと片手を腰のあたりにまわされながら自分の様子を見下ろしている。そんな事にすら気が付けないでいる恭平に、仁聖は確信めいた思いを抱く。
「恭平………、ね、お願い…顔見せて?」
必死に頭を振るその仕草に思わず寄せた唇で耳に甘い音をさせてキスをすると、その体は身を竦ませた様に震えた。
「恭平。」
フワリと誘う低い声に恭平の体が、無意識のうちに震えて更に熱を増す。
「恭平…ね?お願いだよ……顔…見せてよ。」
躊躇う息を飲む音の後、戸惑いながら下ろした腕の向こうに浮かぶ瞳の光。そして、直に伝わる薄い毛布越しの体に起きた変化に仁聖は陶然と微笑む。その目にした腕の中にいる綺麗な月の様な瞳に浮かぶ光に、想いの端を掴んだ様な気がしていた。
「やっと見てくれた。」と子供の様に感嘆して微笑みながら、仁聖はもう一度音を立てて耳にキスを振り落とし強く立ち昇る香りに酔う。
「恭平、………俺の事…好き………でしょ?」
仄かに揺らぐ差し込む光源を受けながら、蒼褪めている肌にフワリと微かな朱を走らせた。恭平の視線が答えを戸惑う様に揺れる。その表情を眺めながら仁聖は耳元から頬へと唇を滑らせて、甘く疼く熱を落としながら疼いて弾けてしまいそうな衝動を自分の中に自覚した。そして、薄く肌を隔てる毛布越しの変化にそっと自分の体を押し付ける。
「…俺に声に……感じちゃった?……ココ…起ってるよ?恭平。」
「ば…馬鹿言うな…………っあ…。」
あからさまな表現に赤面した恭平だが、その声に拒否の色がそれ程ない。仁聖は歓喜の想いを抱きながら、熱く滴る様な吐息で何度もその名前を耳元に囁く。グイと押しつけられた体に思わず零す甘く震わせた声に仁聖が微笑むと、困惑した瞳がまるで睨みつけるように光を放ちながら彼を見据えた。
「……や…やめ……ろってば……、こんな…の、お…おかし…っ。」
「俺…好きな人と一緒にいたらエッチしたいよ?…恭平の事…好きだから触りたい。」
唐突で躊躇いもなくストンと落ちてくるようなハッキリとした想いを綴る言葉に恭平が絶句する。自分を見つめるの恭平を、仁聖は嬉しそうな笑顔を鮮やかに浮かべてむかえる。一瞬その笑顔に陽射しが差し込んだように目を細めた恭平が、直ぐに不安げな表情で躊躇う様に視線を彷徨わせた。仁聖はそれにもふわりと柔らかい視線を向けた。そして、そっとその耳元にもう一度顔を寄せる。
「ん…っ…仁……せ…、やめ……。」
その何をした訳でない肌を寄せる行為にすら、微かに恭平が反応する。その様子に仁聖は体の奥で更にうねる欲望の衝動を感じながら、それを必死に飲み込む。
「ねぇ…恭平はどうして欲しい?俺ね?…恭平が望む事なら何でもしてあげたい…。」
「え……っ………?」
ぎしりと微かに軋む音をさせた仄かな光の中に浮かぶ。ベットの上で濡れた制服を肌にはりつかせ、しなやかな四肢を浮かび上がらせる。見慣れた色素の少し薄い髪をした青年に覆いかぶさられながら、白々とした陶器の様な滑らかな肌をした艶やかな黒髪を夜具に散らす青年は凍りつく。全く予想だにしなかった言葉に恭平は、今までになく真っ直ぐに切羽詰まった様な表情を浮かべながら必死にその衝動を抑え込んでいるのが目に見える。そんな状況でそう口にした青年の顔を、恭平はまじまじと見つめていた。
「どうして欲しい?……恭平、教えて。」
自分がどうして欲しいか…
仁聖が口にした言葉に、恭平は自分が何を思うのかが分からなくなっていた。耳に響くのは窓を打つかすかな雨音と、自分の早鐘のような鼓動。真っ白に染まる思考の向こうで、酷く真剣に、それでいて感情の行き場をなくして沸き起こる衝動を押さえ込もうとしているのが目に見えて分かる。そんな仁聖の熱を持った眼差しが、揺らめいている。
俺が…望む……事?
そんなの決まっている。そう理性が囁いた瞬間、まるでその心の言葉を聴いていたかのように、クシャッと目の前の表情が切なげに歪みながら微笑んだ。
「…今、恭平が、もうニ度と来るなっていったら…そのとおりにするよ…俺。」
呟く様な仁聖の悲しげな口調に、吸い寄せられたように視線が止まる。ただそのとおりの言葉を口にすればイイだけ。もう二度と来るなと、顔も見たくないと、そう口にすれば全てが終わる。目の前の青年が本心からそう口にしている事は、恭平にも仁聖の表情で分かっていた。
言えばいい、もう来るなって…こんな事するなって……
言おうとした言葉が声にならずに吐息になって溶けて、微かに自分の唇が震えるのが分かる。暫しの間息をつめるようにして真っ直ぐに恭平を見つめていた仁聖は、その姿にふっと淡く微笑みを浮かべた。かと思うと、優しく柔らかい撫でる様な仕草でスイッとその頬に指を滑らせた。
「言わないの?…恭平。じゃぁ……俺・好きにしちゃうよ?」
「す…好きにって……?」
「恭平?…俺、恭平が………好きだよ。」
あやす様に諭す様に柔らかい声が低く囁く。それは雨音の上にのって、恭平の耳を擽りながら肌に沁み込み溶けていく。滑らされた指先が毛布の下の肌に潜り込んで、直に触れるのに恭平は身を強張らせたが、仁聖の手はただ恭平の体を抱き寄せただけで動きを止めた。ただ抱き寄せられ、きつく抱き締められたまま、夜具の上で相手の重みを直に感じる。戸惑うような視線で恭平は、首筋に顔を埋めたままの仁聖の顔を覗き込むように視線を巡らせる。その視線に気がついて間近にある瞳にニッコリと微笑みかけた仁聖は、まるで摺り寄せる様に顔を寄せる。
「………俺、恭平がいてくれたら・何もいらない。」
「……っ?……な…何言っ…。」
「好きだよ、恭平。信じて?……俺、絶対…恭平に嘘言わないから。」
真っ直ぐで淀みのない感情を素でぶつけられて言葉を失う。恭平の顔を覗き込みながら、そっと震えてしっとりと濡れるような彼の唇に触れる。小さく音を立て柔らかく丹念に愛撫するように、自分の唇と舌とで恭平の唇をなぞりあげた。次第にその行為に恭平の体の強張りが解けて、仁聖の腕の中に収まっていくのを感じる。
「仁……聖…っ………ん…ふ…………っぅ………。」
「ん…、……キス…気持ちいい?」
否定の声を上げようとした恭平は、そこにあった微かな不安の篭る問いかけに気がついた。腕の中から微かに熱を帯びた潤んだ瞳を仁聖に向ける。けして自信があって問いかけるのでは無く、本当は不安でたまらない。そう仁聖の瞳が自分を覗きこみ必死の想いで問いかけてくるのに気がついて、恭平は思わず目を見開いた。仁聖は躊躇いがちにそっと肌に触れていた指を撫でるようにそっと滑らせながら、大切に愛おしむ様に毛布を滑らせる。露になる肌に戸惑い視線を揺らめかせる恭平にもう一度キスを落として意識を引き寄せると、恐る恐るという様に恭平の表情を見下ろす。
何で…こんな事してる方のお前が…そんな表情するんだ……
不意に気がついたように恭平は、真正面からその青年の顔を見つめる。不安で潰されてしまいそうなのに止める事も引く事も出来ずに泣きだしそうになっている。そんな仁聖に、チリと体の奥底で何かが爆ぜる様な気がした。思わず恭平の指が躊躇いがちに、彼の胸元に触れると自嘲気味な笑みが目の前に漂う。
「ん?なぁに?…恭平、……やめて…欲しい?」
次の瞬間、優しく耳元に落ちる囁き声に、恭平は微かに頬に朱を走らせて見上げる。その麗しい表情に仁聖は、一瞬我を忘れそうになるのを感じながら微かに喉を鳴らす。嫌がっているのとは全く違う疼くような熱を感じさせる表情の向こうで、漂う甘い香りがまるで濡れたようにしっとりと深みを増して強くその肌から立ち上る。それは内面から華が咲き綻ぶ変化をもたらす気がして、仁聖は小さく溜息を付きながらその首筋にもう一度顔を埋めた。
「……もう…たまんない……恭平…、好きだよ…、我慢できない…俺。」
溢れ落ちそうな思いと一緒に沸きあがる欲情をハッキリと感じながら、苦笑を浮かべて腕の中の綺麗に潤んだ顔を覗き込む。その腕の中の表情は一瞬だけ躊躇いを見せたかと思った次の瞬間、不意にそっと仁聖の濡れた制服のシャツの胸元に指を滑らせ、シュと衣擦れの音を立てて濡れたネクタイを引き抜いた。
「きっ・恭平?!」
「っ…無茶しないって…約束…しろ、いいな?…辛いんだから。」
そう口にしながら仄かな光を放つ様に匂いたつ色を滴らせ、恭平は自分でも何を言いたいのか分からないという様に言葉を滲ませる。自分自身でも戸惑いながら恭平は、ゆっくりと仁聖のシャツのボタンに手をかける。驚いたように目を丸くして自分を見下ろす仁聖の視線に恭平は言い難そうに言葉を緩やかに区切りながら、そっと呟く様に吐息を溢し揺れる宝石の様に輝く瞳を伏せた。
「…………仁聖……俺……。」
その表情に仁聖は緩やかな仕草で上半身から制服を滑り落としながら、そっと体に覆い被さって首筋に柔らかく唇を落とす。そして甘い低く響き渡るような声で、そっとその腕の中にいる大切な人の名前を呼ぶ。彼が切望した言葉を熱を変えて、その体に落としていく。
「恭平が…………俺には必要なんだ……、好きだよ……恭平…。」
その声にふわりと遥か彼方にあった筈のその存在は、掠めるように意識を滑らせ仁聖の腕の中に熱と共にしっかりとその身を躍らせる。微かに雨脚の緩み窓を叩く雫の音が遠のくのを何処かに感じながら、室内には強く甘い溶けるような香りと軋む様な熱を持った激しい吐息だけ。それが風に舞い散る花弁のように飛び散っていた。
「どうして…お前は…俺にとって……特別・だったのに……。」
初めて耳にした言葉に驚きながら、思わず息が詰まる。その言葉を溢した先を見下ろして、初めて仁聖は朦朧としてハッキリとしない恭平の視線に気がつく。
意識がはっきりしてない?…でも……だから…これは……恭平の本心…?
薄く揺らぐような雨の向こうに漂う光源の中で、掠れた声を絞り出す。そうしながら腕の中で頭を振る青年の今まで見たこともない仕草に戸惑いながら仁聖は、彼の様子に自分の体の奥底が疼く様な熱を持ったのを感じ始めていた。今まで一度として触れられなかった目の前の恭平の琴線が、傍にあるのを感じている。手を伸ばせば直ぐ触れられるほど、本当に直ぐ指の先にそれが浮かんでいるような気がした。
「…女の代用なんて……っお前は誰でもいんだ…俺を、必要なわけ…っじゃない……。」
「なっ!何言ってんだよ?!」
青年がうわ言の様に溢した言葉に、咄嗟に激しい反応をして仁聖は思わず叫んでいた。そんな風にとられていたなんて思いもしなかった。震える体に覆い被さる様にしてしっかりときつく抱きしめて、ひやりと白く滑らかな首筋に顔を埋めた。震えるひんやりした体に微かに漂う甘い香り。心が震えるほどにその人の全てが愛おしくて、同じ性別で同じものを持っている筈のその体の全てが何物にも変えがたく愛おしい。狂いそうな程その全てが欲しくて、耐え切れなくなっていたのに。
「何でそんな風に考えんの?!どうして?!女がいいなら女抱けばいいだけだよ?!」
矢継ぎ早に感情が言葉になって、止める隙もないままに口から溢れ落ちていく。その綺麗な体を抱きしめたまま熱を含んだ鋭い吐息で、恭平の耳元に顔を埋めて声を落とす。熱くて仕方がない体を持て余し、その思いの全てを示すことができるなら。きつく抱きしめ何度も何度もその体の感覚を確かめるように、自分の体を擦るように触れ合わせる。全ての思いが心の奥から湧き上がって、それがもしかしたら腕の中の人を失うかもしれないと分かっていた。それでも境界線を越えようと、感情は全てを決壊させようとしていた。
「―――っ………俺…っ……好きだ…、恭平の事…好きだ。」
ピクン。
微かな体の動きが腕の中に走って、それがあっと言う間に腕の中の体を強張らせた。仁聖は首筋に埋めた顔を上げて、目の前の青年の顔を覗き込んだ。
目の前に我に返ったように理性の光を浮かばせる綺麗な濡れた瞳が大きく見開かれていた。それが真っ直ぐに自分を見ているのに気がついて、仁聖は覚悟したようにその瞳を見つめ返した。これ以上嫌われることなんかない。それならいっそのこと、全てを伝えてしまわないと。
「好きだよ…恭平。俺…………ず………っと、好きだった。」
「う…嘘だっ!!」
不意に弾ける様に返された言葉に、今度は仁聖が目を見開く。予想だにしない返答を返した腕の中の青年は思い出した様に腕の中から逃れようとぎこちなく軋む体を捩る。
「ちょっ…何だよ?嘘って!なんでっ!」
「離せっ!嘘ばかりだ!お前なんかっ!!」
「ちょっと!何だよ?!嘘なんか言ってないよ?!俺!!」
暴れる体を押さえ込んで鋭く言い返しながら、その顔を覗き込む。今まで見たことのない鮮やかな感情を浮かべた表情がそこにあって、仁聖は思わずその意味を図りかねて一瞬たじろぐ。
腕の中で微かな怒りに似た感情をその瞳に激しく光らせて恭平は、身を捩りながら仁聖を睨み付けた。
「嘘じゃないか!好きだなんて言って、女と付き合ってるくせに!!」
「だ・だって!仕方ないじゃないか!恭平は男だし!!それに恭平だって彼女いただろっ!!」
腕の下で暴れるしなやかな体が、微かな熱を持って朱に染まっていく。そんな艶めかしい変化を眺めながらも、力をこめてずり上がって逃げようとする恭平の体を自分の腕の中に引き摺り下ろす。その仁聖の動きに闇雲に暴れながら、恭平は苛立ちに大きな声を張り上げた。
「俺はっ!俺は自覚してからは付き合ってなんかない!!」
言い放った瞬間ハッとした様に腕の中で体が凍りつき、目の前の変化に半分聞き逃そうとしていた仁聖も動きを止めた。
「…え………?……恭平?今………。」
腕の中で凍り付いていた恭平の顔がカッと朱に染まったかと思うと、本気で逃れようと腕の中から身を捩りだした。仁聖の視線から必死に顔を背けベットに顔を伏せようと身じろぐ。
「まっ…待って!!駄目!!!恭平!待ってったら!!!」
「う…うるさいっ!離せ!!離せってば!!いっ…痛いっ!!」
「駄目!逃がさない!離さないよ!!痛かったら暴れないで!」
昨夜の痛みが残り思うままにならない体を持て余して恭平は、最後の抵抗と言わんばかりに顔を背け綺麗で鮮やかに肌を染めながら腕で顔を覆う。再び今までに見た事のない腕の中の仕草を目の当たりにしながら、抱きすくめた体を縫いとめる様に柔らかい夜具の上に押し付けて全身で圧し掛かる。のし掛かられる重みに、そのしなやかな体が微かに苦痛の悲鳴を上げた。それでも、悲鳴に構わずその体をしっかりと逃さないように抱きこんで仁聖は躊躇いがちにその耳元に唇を押し当てる。
「恭平……駄目だよ……。ホントの事…全部教えてくれるまで……絶対離さない。」
雨の音が微かに響く室内で囁きかけられる息に、熱を含んだ肌の下で抱きすくめられて身動きもできないでいる。それに気がついた恭平が小さく息を呑んだのを感じた。自分の吐息もその目の中に入る全ての恭平の仕草に、熱を持って跳ね上がる。仁聖は、緩慢にも感じられる動作でそっと耳元に唇を触れさせ顔を埋めながら、甘く溶ける様な漂う恭平の香りを感じた。
「ね…聞かせて?……恭平は・本当は…ずっと……俺の事待っててくれたの?」
腕の中でしなやかな四肢が震えて、顔を覆ったままの恭平の微かに覗く横顔が微かに短く鋭い息をつく。それを知りながら仁聖が、そっともう一度耳に吐息を吹き込み名前を囁く。囁かれる熱にまるで怯える様に、ヒクンと一度大きく体が震える。仁聖は狂おしいほどの欲望を感じながら繰り返すように、もう一度彼の名前を囁いた。
「恭平…?俺の事…ずっと……考えてくれたの?………恭平。」
「……や…………っ……。」
思わずこぼれ落ちた擦れる恭平の声が、今までにない音色に染まっている。仁聖はうっとりと眼を細めながら、絡みつくような低く甘く擽る様な声でまた名前を囁く。その耳を擽る様に熱を持った擦れた自分を呼ぶ声の響きに、恭平は覆った筈の腕の下で自分の頬が酷く熱を持っていく。しかも、顔だけでなく全身に悪感じみた感覚を走らせていくのに気がついて、困惑の表情を浮かべた。
なんで…?名前を…呼ばれるだけで…なんで…っ…
戸惑う様な心の中の疑問の声すら溶かす様に、雨脚の音に冷えていた筈の恭平の体がジワリと奥から熱を生みだしていく。
「………恭平…?ね…こっち見て?」
優しくまるであやす様な囁き声に、無意識に体が震える。きつく抱きしめていた筈の仁聖の腕が、いつの間にか僅かに力を緩め、そっと片手を腰のあたりにまわされながら自分の様子を見下ろしている。そんな事にすら気が付けないでいる恭平に、仁聖は確信めいた思いを抱く。
「恭平………、ね、お願い…顔見せて?」
必死に頭を振るその仕草に思わず寄せた唇で耳に甘い音をさせてキスをすると、その体は身を竦ませた様に震えた。
「恭平。」
フワリと誘う低い声に恭平の体が、無意識のうちに震えて更に熱を増す。
「恭平…ね?お願いだよ……顔…見せてよ。」
躊躇う息を飲む音の後、戸惑いながら下ろした腕の向こうに浮かぶ瞳の光。そして、直に伝わる薄い毛布越しの体に起きた変化に仁聖は陶然と微笑む。その目にした腕の中にいる綺麗な月の様な瞳に浮かぶ光に、想いの端を掴んだ様な気がしていた。
「やっと見てくれた。」と子供の様に感嘆して微笑みながら、仁聖はもう一度音を立てて耳にキスを振り落とし強く立ち昇る香りに酔う。
「恭平、………俺の事…好き………でしょ?」
仄かに揺らぐ差し込む光源を受けながら、蒼褪めている肌にフワリと微かな朱を走らせた。恭平の視線が答えを戸惑う様に揺れる。その表情を眺めながら仁聖は耳元から頬へと唇を滑らせて、甘く疼く熱を落としながら疼いて弾けてしまいそうな衝動を自分の中に自覚した。そして、薄く肌を隔てる毛布越しの変化にそっと自分の体を押し付ける。
「…俺に声に……感じちゃった?……ココ…起ってるよ?恭平。」
「ば…馬鹿言うな…………っあ…。」
あからさまな表現に赤面した恭平だが、その声に拒否の色がそれ程ない。仁聖は歓喜の想いを抱きながら、熱く滴る様な吐息で何度もその名前を耳元に囁く。グイと押しつけられた体に思わず零す甘く震わせた声に仁聖が微笑むと、困惑した瞳がまるで睨みつけるように光を放ちながら彼を見据えた。
「……や…やめ……ろってば……、こんな…の、お…おかし…っ。」
「俺…好きな人と一緒にいたらエッチしたいよ?…恭平の事…好きだから触りたい。」
唐突で躊躇いもなくストンと落ちてくるようなハッキリとした想いを綴る言葉に恭平が絶句する。自分を見つめるの恭平を、仁聖は嬉しそうな笑顔を鮮やかに浮かべてむかえる。一瞬その笑顔に陽射しが差し込んだように目を細めた恭平が、直ぐに不安げな表情で躊躇う様に視線を彷徨わせた。仁聖はそれにもふわりと柔らかい視線を向けた。そして、そっとその耳元にもう一度顔を寄せる。
「ん…っ…仁……せ…、やめ……。」
その何をした訳でない肌を寄せる行為にすら、微かに恭平が反応する。その様子に仁聖は体の奥で更にうねる欲望の衝動を感じながら、それを必死に飲み込む。
「ねぇ…恭平はどうして欲しい?俺ね?…恭平が望む事なら何でもしてあげたい…。」
「え……っ………?」
ぎしりと微かに軋む音をさせた仄かな光の中に浮かぶ。ベットの上で濡れた制服を肌にはりつかせ、しなやかな四肢を浮かび上がらせる。見慣れた色素の少し薄い髪をした青年に覆いかぶさられながら、白々とした陶器の様な滑らかな肌をした艶やかな黒髪を夜具に散らす青年は凍りつく。全く予想だにしなかった言葉に恭平は、今までになく真っ直ぐに切羽詰まった様な表情を浮かべながら必死にその衝動を抑え込んでいるのが目に見える。そんな状況でそう口にした青年の顔を、恭平はまじまじと見つめていた。
「どうして欲しい?……恭平、教えて。」
自分がどうして欲しいか…
仁聖が口にした言葉に、恭平は自分が何を思うのかが分からなくなっていた。耳に響くのは窓を打つかすかな雨音と、自分の早鐘のような鼓動。真っ白に染まる思考の向こうで、酷く真剣に、それでいて感情の行き場をなくして沸き起こる衝動を押さえ込もうとしているのが目に見えて分かる。そんな仁聖の熱を持った眼差しが、揺らめいている。
俺が…望む……事?
そんなの決まっている。そう理性が囁いた瞬間、まるでその心の言葉を聴いていたかのように、クシャッと目の前の表情が切なげに歪みながら微笑んだ。
「…今、恭平が、もうニ度と来るなっていったら…そのとおりにするよ…俺。」
呟く様な仁聖の悲しげな口調に、吸い寄せられたように視線が止まる。ただそのとおりの言葉を口にすればイイだけ。もう二度と来るなと、顔も見たくないと、そう口にすれば全てが終わる。目の前の青年が本心からそう口にしている事は、恭平にも仁聖の表情で分かっていた。
言えばいい、もう来るなって…こんな事するなって……
言おうとした言葉が声にならずに吐息になって溶けて、微かに自分の唇が震えるのが分かる。暫しの間息をつめるようにして真っ直ぐに恭平を見つめていた仁聖は、その姿にふっと淡く微笑みを浮かべた。かと思うと、優しく柔らかい撫でる様な仕草でスイッとその頬に指を滑らせた。
「言わないの?…恭平。じゃぁ……俺・好きにしちゃうよ?」
「す…好きにって……?」
「恭平?…俺、恭平が………好きだよ。」
あやす様に諭す様に柔らかい声が低く囁く。それは雨音の上にのって、恭平の耳を擽りながら肌に沁み込み溶けていく。滑らされた指先が毛布の下の肌に潜り込んで、直に触れるのに恭平は身を強張らせたが、仁聖の手はただ恭平の体を抱き寄せただけで動きを止めた。ただ抱き寄せられ、きつく抱き締められたまま、夜具の上で相手の重みを直に感じる。戸惑うような視線で恭平は、首筋に顔を埋めたままの仁聖の顔を覗き込むように視線を巡らせる。その視線に気がついて間近にある瞳にニッコリと微笑みかけた仁聖は、まるで摺り寄せる様に顔を寄せる。
「………俺、恭平がいてくれたら・何もいらない。」
「……っ?……な…何言っ…。」
「好きだよ、恭平。信じて?……俺、絶対…恭平に嘘言わないから。」
真っ直ぐで淀みのない感情を素でぶつけられて言葉を失う。恭平の顔を覗き込みながら、そっと震えてしっとりと濡れるような彼の唇に触れる。小さく音を立て柔らかく丹念に愛撫するように、自分の唇と舌とで恭平の唇をなぞりあげた。次第にその行為に恭平の体の強張りが解けて、仁聖の腕の中に収まっていくのを感じる。
「仁……聖…っ………ん…ふ…………っぅ………。」
「ん…、……キス…気持ちいい?」
否定の声を上げようとした恭平は、そこにあった微かな不安の篭る問いかけに気がついた。腕の中から微かに熱を帯びた潤んだ瞳を仁聖に向ける。けして自信があって問いかけるのでは無く、本当は不安でたまらない。そう仁聖の瞳が自分を覗きこみ必死の想いで問いかけてくるのに気がついて、恭平は思わず目を見開いた。仁聖は躊躇いがちにそっと肌に触れていた指を撫でるようにそっと滑らせながら、大切に愛おしむ様に毛布を滑らせる。露になる肌に戸惑い視線を揺らめかせる恭平にもう一度キスを落として意識を引き寄せると、恐る恐るという様に恭平の表情を見下ろす。
何で…こんな事してる方のお前が…そんな表情するんだ……
不意に気がついたように恭平は、真正面からその青年の顔を見つめる。不安で潰されてしまいそうなのに止める事も引く事も出来ずに泣きだしそうになっている。そんな仁聖に、チリと体の奥底で何かが爆ぜる様な気がした。思わず恭平の指が躊躇いがちに、彼の胸元に触れると自嘲気味な笑みが目の前に漂う。
「ん?なぁに?…恭平、……やめて…欲しい?」
次の瞬間、優しく耳元に落ちる囁き声に、恭平は微かに頬に朱を走らせて見上げる。その麗しい表情に仁聖は、一瞬我を忘れそうになるのを感じながら微かに喉を鳴らす。嫌がっているのとは全く違う疼くような熱を感じさせる表情の向こうで、漂う甘い香りがまるで濡れたようにしっとりと深みを増して強くその肌から立ち上る。それは内面から華が咲き綻ぶ変化をもたらす気がして、仁聖は小さく溜息を付きながらその首筋にもう一度顔を埋めた。
「……もう…たまんない……恭平…、好きだよ…、我慢できない…俺。」
溢れ落ちそうな思いと一緒に沸きあがる欲情をハッキリと感じながら、苦笑を浮かべて腕の中の綺麗に潤んだ顔を覗き込む。その腕の中の表情は一瞬だけ躊躇いを見せたかと思った次の瞬間、不意にそっと仁聖の濡れた制服のシャツの胸元に指を滑らせ、シュと衣擦れの音を立てて濡れたネクタイを引き抜いた。
「きっ・恭平?!」
「っ…無茶しないって…約束…しろ、いいな?…辛いんだから。」
そう口にしながら仄かな光を放つ様に匂いたつ色を滴らせ、恭平は自分でも何を言いたいのか分からないという様に言葉を滲ませる。自分自身でも戸惑いながら恭平は、ゆっくりと仁聖のシャツのボタンに手をかける。驚いたように目を丸くして自分を見下ろす仁聖の視線に恭平は言い難そうに言葉を緩やかに区切りながら、そっと呟く様に吐息を溢し揺れる宝石の様に輝く瞳を伏せた。
「…………仁聖……俺……。」
その表情に仁聖は緩やかな仕草で上半身から制服を滑り落としながら、そっと体に覆い被さって首筋に柔らかく唇を落とす。そして甘い低く響き渡るような声で、そっとその腕の中にいる大切な人の名前を呼ぶ。彼が切望した言葉を熱を変えて、その体に落としていく。
「恭平が…………俺には必要なんだ……、好きだよ……恭平…。」
その声にふわりと遥か彼方にあった筈のその存在は、掠めるように意識を滑らせ仁聖の腕の中に熱と共にしっかりとその身を躍らせる。微かに雨脚の緩み窓を叩く雫の音が遠のくのを何処かに感じながら、室内には強く甘い溶けるような香りと軋む様な熱を持った激しい吐息だけ。それが風に舞い散る花弁のように飛び散っていた。
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