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5 グラナート視点

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 一体どこに行ったのだろうか。

 俺は店員が走っていった方向と街の入り口を交互に見ていた。

 しばらくすると店員は一人の女性を連れて戻ってきた。

「お待たせ。この人なら渡す相手と好みが似ているかもしれないと思って……」

「ちょっと何? どういう事なの?」

 女性は困惑した顔をしている。

 きっと何も説明をしないで連れてきたのだろう。
 

「……なるほどね」

 店員が事情を説明すると女性は俺のことを見る。

「この子の相手って事は子どもでしょう? もし本当に私と好みが似ていたとしても、私が選ぶ物は大人っぽすぎるんじゃないかしら……」

「それでも私よりはあなたの意見の方が参考になると思うの」
 
「まあ、それはそうかもね。……わかったわ」

 店員は嬉しそうに笑う。

「ありがとう! 私はこれとかいいと思ったんだけど、どうかな?」

「そうねぇ……」

 二人は長い時間をかけてアクセサリーを選んでくれた。



「あ、もうこんな時間。私これから用事があるから戻るわね」

 女性は時計を見ると店員にそう言った。

「ええ、助かったわ。ありがとう」

 俺も店員に続いてお礼を言った。

「ありがとうございました」

「いくつか選んでおいたから、その中からあなたがその子にあげたい物を決めるといいわ」

 女性はそう言うと急いで来た道を帰っていった。

「私達が選んだのはこの三つよ。どうかしら?」

 俺の目の前にネックレスとブレスレットと髪飾りが置かれた。

 三つとも派手すぎないシンプルなデザインの物だ。

 どれがいいだろう。

 ブレスレットは仕事でよく手を動かすだろうから邪魔になるかな……

 いや、そもそも仕事中にアクセサリーはつけないか?

 普通はどこかに出かける時につける物なのだろうか。

 出かける時か……

 もし家の外に出る事ができるようになったらその時に……

 俺は髪飾りを手に取った。

「それにする?」

「はい」

 俺は代金を払うと店員にお礼を言って店を後にした。


 時刻は昼を過ぎていた。

 俺はさっきのカフェ以外で昼食を食べる場所はないか探す事にした。

 混んでいる店なら、そこまで店員の目が気にならないかもしれない。

 そう思って店を探していた時に俺は息を呑んだ。

 ゴルトだ……

 前からゴルトが歩いてくる。

 このまま進むとゴルトとすれ違う事になるが、ここで引き返すのは不自然だ。

 俺はゴルトと視線を合わせないように、店を探すフリをしてゴルトの横を通った。

 ……なんとかしてゴルトの後ろを着いていく形にしないと、またゴルトを見失ってしまう。

 俺は建物を一周してゴルトとすれ違った場所の近くに戻り、ゴルトの姿を探した。

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