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7 エルツ視点
しおりを挟む「お父様とお母様は、なかなか子宝に恵まれなかったみたいでね。生まれたばかりの赤ちゃんを養子にするのなら周りの人に自分達の子どもだと言えるけど、僕が養子になったのは多分五歳くらいの時だったから僕が養子だということは皆んな知っているんだよ」
「そうそう。それで、歳の近そうなボクがサフィーロの世話係になったんだ」
「だから仲がいいんですね」
私がそう言うとブラウさんはニコッと笑った。
「一緒に成長してきたから、あんまり世話係って感じがしなくてね。本当はこんな話し方とかしちゃダメなんだろうけど……」
「僕が敬語とか使わないでくれって言ったんだよ。その方が話しやすいし、僕はブラウの事を世話係じゃなくて友達だと思ってるから」
サフィーロ様の言葉を聞いたブラウさんは嬉しそうな顔をした後に泣き真似をした。
「サフィーロは友達に潜入調査とかの危険な仕事させているの!? 酷いよ……」
サフィーロ様はその様子を見て意地悪な顔をする。
「いや、僕の勘違いだったかも。友達だと思っていたのは別の人だったかな? ブラウは、ただの使用人だからもっと危ない仕事を頼も——」
「いや、ボクたちは友達だよ!」
ブラウさんの必死な声を聞いてサフィーロ様は、アハハッと笑って言った。
「冗談だよ」
ブラウさんは急に真面目な顔になる。
「……本当だよ」
サフィーロ様は、何が?といった顔をした。
「ボクも友達だと思っているのは本当だよ。昔からサフィーロの事は友達、グラナートの事は弟のように思っていたから……」
「……弟か」
そう呟くとサフィーロ様は私の方を見た。
「話が逸れてしまったね。ゴルトは僕が養子だということ以外は何か言ってなかった?」
私は養子の事を説明してもらったおかげで頭の中がスッキリして、ゴルトとゴルトの息子の会話を思い出すことができた。
「ゴルトは、サフィーロ様は養子なので家を継ぐことは無いと思っていたが、最近はグラナート様が問題行動を起こしているので、どちらが後継者になるかわからない、と言っていました」
サフィーロ様は腑に落ちたような顔をする。
「グラナートは自分の事を言われたから怒って二階から物を落としたのか。落としたのは二階の廊下に置いてある物だったから、カッとなって投げつけたんだろう」
「なるほどね。でも、割れない物でよかったよね。ガラスとかだったら大事になってたよ」
「ああ、そうだな。……前はこんな事しなかったんだけどな」
サフィーロ様の表情が暗くなった。
「今のグラナートからは想像つかないと思うけど、前は素直で可愛かったんだよ」
ブラウさんは以前のグラナート様を思い出したのか、フフッと笑いながら言った。
「…….何かグラナート様が変わられたきっかけがあるのですか?」
私がそう聞くと、ブラウさんはチラッとサフィーロ様を見る。
ブラウさんと目が合ったサフィーロ様は私の方を見て話し始めた。
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