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おまけ

城内にて【リアム】

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 灰色の空。灰色の雲。大粒の雨。
 今日は最高のデート日和~!

「ねぇねぇ、クレア~。今日はどこ行きたい~? 公園? 海? 山? 川?」
「うん。城内がいいかな」
「え~。こんなに天気がいいのに~」

 可愛い可愛いクレアはまるで頭のおかしな人を軽蔑するような目で私を見つめている。
 なに~? そういう雰囲気~?

 私は横に座っているクレアに少しだけ近づくとクレアも磁石の同極の如く退いた。
 あれ~? キス待ちじゃなかったのかな~?

「いつもだけど、頭大丈夫? なに? ヒューズ家ってみんな頭お花畑なの?」
「違うよ。ヒューズ家は私以外み~んなアホバカくそ童貞野郎だよ~」
「うん。言い過ぎかな」

 軽蔑をするような目だったクレアは今度は憐れむような表情をして苦笑を浮かべている。
 最近のクレアは表情がコロコロ変わって面白い。まるでドロシーくんみたい。やっぱりドロシーくんとずっと一緒にいるから似てきたのかな? 妬けちゃうな~。

 私は少し微笑むと前に置いてあるカップを手に取り紅茶を啜った。
 とほぼ同時に肩に軽く重みがかかった。

「ん~?」

 横を見るとクレアが私の肩に頭を乗せて寄りかかっている。
 相当恥ずかしいのか小刻みに震えながら耳まで真っ赤にしている。

「どうしたの~?」
「べ、別に……ちょっと疲れちゃっただけだから……」

 そう言うとクレアは下を向いて怯えた子犬みたいにプルプルと震えている。

 あ~……可愛い……

 私は軽くクレアの頭を撫でると滑らすように頬に手を当て、顎を指で軽く持ち上げた。
 林檎のように真っ赤になったクレアは潤んだ瞳で目を泳がせている。

「クレア、目閉じて?」

 クレアは軽く瞬きするとゆっくりと目を閉じた。
 私は軽く接吻をするとなんだか抱きしめたくなってクレアを力強く抱きしめた。

 ーーガタガタ! バタン!

 扉の向こうで激しい物音が聞こえ反射的にクレアが私から離れた。
 ん~? 誰かに邪魔されちゃったな~?
 まぁ、誰だかなんとなくわかるから今度仕返しするか~。

「い、今の誰だろうね?」
「さぁ~? あの狼狽えようと素早い行動、人の部屋を覗き見するような不届き者はたぶん黄金色の脳筋ゴリラかな~?」
「え、ゴリラ? 黄金色?」

 よくわかっていなさそうなクレアは小首を傾げたが何かに気づいたのか「あっ」と声を上げた。

「そのゴリラさんをいじめちゃダメだからね……?」
「ふふっ」
 優しい優しいクレアの言葉に私は否定も肯定もせずに微笑み返した。

 いつの間にか雨は止んでいて綺麗なお月様が出ている。
 やっぱり今日は最高のデート日和だな~。

 てことで、

「どこ行きたい~? 公園? 海? 山? 川?」
「うん。もう夜遅いから城内にしようか」
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